2024年に公開された『マッチング』は、マッチングアプリの出会いから巻き起こる惨劇を描いた映画で、その続編にあたる『マッチング TRUE LOVE』では、また新たな戦慄がキャラクターたちを襲う。前作で不幸の底に叩き落とされた主人公・唯島輪花を演じた土屋太鳳、そしてミステリアスさを漂わせながら輪花の恋人となった永山吐夢役の佐久間大介(Snow Man)が続投、内田英治監督のオリジナル脚本のもとに集った。
本作の舞台は、青い海と白い砂浜に囲まれた南の島。マッチングツアーの手伝いを頼まれて島にやってきた輪花だが、そこでマッチングしたカップルたちが、謎の“執行人”によって無残な死を遂げていくことに。吐夢とともに犯人を割り出そうと奔走する輪花だが、恐怖の矛先は輪花にも忍び寄る。
人気映画の続編、なおかつ内田監督によるオリジナル作品ともあり注目度は高まるばかり。本作でも物語をけん引し、あっと驚く展開へ観客をいざなってくれた土屋&佐久間ペアにロングインタビューで思いを聞いた。

『マッチング』のマッチングアプリ殺人事件から、『マッチング TRUE LOVE』では南の島でのデスゲーム&恋愛リアリティーショーへとスケールアップしました。最初に脚本を読まれたときは、どのような感想でしたか?
土屋:えっ、吐夢と輪花どうしたの!?と(笑)。
佐久間:ね!マッチングツアー!?って。
土屋:そう思いました。でも真実の愛を探し求めている部分では前作と共通していますし、さらに吐夢の過去が明らかになるんです。すごく興味を持ちながら読み進めました。
佐久間:概要だけを聞いたときは、前作で付き合ったはずの輪花と吐夢なのに、マッチングで恋愛リアリティーショー要素を混ぜていくとなったら……「俺らなしでやるのかな!?」みたいに思ったんです。それでも脚本を読むと、うまい具合に前作よりもエンターテインメントの色がより強くなって、すごくまとまった感じがしたので、やはり内田(英治)監督の手腕が光っている作品だなと思いました。
前作で取材した際(記事はこちら)、役作りに関しては、土屋さんは「本当につらかったです。家に帰っても輪花が全然抜けなくて、家族も心配するくらい憔悴していました」、佐久間さんは「ファンレターに、いろいろな番組で佐久間を見るとき“いつもよりテンションがちょっと落ち着いていた”と言われた」とお話されていました。比較して、本作ではいかがでしたか?
土屋:役作りに関しては、前作のほうが辛かったです。私は割と日常生活でも役を引きずっちゃうタイプだったんですけど、当時、母に「あなた、自分の家族ができたときにもそれをするの?」と言われたんです。そのとき、「役を引きずることは別に実力があるからすることじゃない」と思って、やめようと意識しました。
今作では、いかに感情を客観的に出していけるかを意識していました。前作だと1回勝負みたいな撮り方が多かったんですけど、今回はエンタメ感の強い作風なので、カット割りも多かったんです。その中で集中力を持って、客観的に感情を出していくことが必要だと感じました。自分の感情を立体的に見るということをテーマに、役作りをしていた気がします。
続編で同じ人物とはいえ、作風が前作とは違う感じですし人は進化しますもんね。
土屋:同じ人物だけれども、場所が違うと人も違うし、性格も変わりますよね。
佐久間:今回、輪花さんには守る人もいるしね。
土屋:それが大きいですね! マッチングツアーに参加した伊藤愛羅(豊嶋花/亡き親友・尚美の妹役)を守らなきゃと思っている気持ちが大きいからこそ、客観的になるのが大事かなと思っていました。
佐久間:僕は……吐夢はいつでも取り出せるような位置に基本いるんですよ。
佐久間さんの中にずっと吐夢がいる、と。
佐久間:そうですね。一番取り出しやすい場所に。なので、スイッチパチパチぐらいの感じで入れられるのが吐夢なんです。今回の吐夢に関しては、前作同様謎は多いんですけれど、吐夢の過去も少しは明かされますし、ちょっとたくましくなった感じです。それを踏まえた上で、吐夢の感情がどう追いつくか、この子はここでどう思うかなど、より進んだ視点で吐夢を考えるのが楽しかったです。吐夢は人間味が強くなっています。
土屋:輪花を演じていて思うのが、吐夢は、佐久間さん自身の正義や男らしさみたいなものがすごく反映されている感じがするんです。
佐久間:本当に?うれしい~。関係性としては付き合っている事実があるので、輪花さんに対しての近づき方や、より守らなきゃいけないという責任感を持つところは意識していました。危なそうだったら輪花さんよりちょっと前に出てあげるとか。そういう動きが自然と出るようになったんじゃないかな、と。
土屋:佐久間さんの「守りたい」と思う瞬間を、吐夢に落とし込んでくれている気がしました。佐久間さんじゃなかったら、吐夢はもうちょっとヒーロー感が控えめだったかもしれないですし、佐久間さんの運動神経がなかったら、ラッキーちゃん(※劇中に登場するウサギのマスコットキャラクター)も蹴れていなかったですよね!
佐久間:飛び蹴りしたからね(笑)。

お見事でした。そして、そのシーンでの土屋さんのアクションもさすがでした!
土屋:いえいえ!
佐久間:土屋さんはかなり走ってたよね。
土屋:追いかけてくるラッキーちゃんから逃げるシーンがあるのですが、前作ではあんなに精神的に苦しかったのに、何で今作ではウサギに追いかけられているんだろう……って、思わず笑ってしまいました(笑)。
佐久間:お互いにたくましくなったよね。
土屋:ピンチがあるごとに、お互いどんどん新しい自分を見つけている感じです。
現場で、内田監督からはどのようなディレクションがありましたか?
土屋:(前作より)エンターテインメントに寄っている作品だったので、前の突き詰め方とはまたちょっと違いました。ただ、前作で監督が言ってくださった「お芝居は音楽と一緒。1回も同じものをできないからこそ、1回の感情を大事にしたい」という言葉を心のお守りにして、撮っていました。
佐久間:内田監督は、ライブ感をすごく大事にしてくれるよね。
土屋:だから監督にとっても挑戦だったのかな、と思いました。
佐久間:「オリジナルで続編を作るのは初めて」と監督が言っていたので、これもまた挑戦だよね。監督の場合、ディレクションというものがどんどんなくなってくるんです。役者に任せてくれる人というか。アドリブについても「これ、どうですか?こういうのをやっていいですか?」と聞くと、「いいね!」と取り入れてくれる柔軟な方なんです。
うれしかったことで言うと、「こういうとき、吐夢だったらどうすると思う?」と聞かれて、「たぶんこうなると思います。ずっとこう考えているので」と答えたんです。内田監督は「確かにそうだね。もう俺よりも吐夢に詳しいからね」と言ってくれて。監督は脚本も書いていらっしゃるから、生みの親じゃないですか。そんな人に言ってもらえることが、うれしかったですね。

本作では、新たなキャストも加わっています。現場の雰囲気はいかがでしたか?
土屋:佐久間さん、どうでした?
佐久間:キャストさんもスタッフさんも変動があった中で、みんなで「頑張ろうね!」と一丸となれたのは、やっぱり土屋さんがいるおかげだと思います。土屋さんは、いろいろな人にすごく寄り添ってくれるんですよ。気にかけてくれること自体みんなはうれしいし、「こっちも頑張んなきゃ!」と思えるんです。ご本人は自然とやっていることだろうけど、すごく(現場を)鼓舞されているのが今回はより強く感じましたね。
土屋:ありがとうございます……!
佐久間:作品は重い話だったりするけれど、引っ張ってくれてるのが土屋さんだったから、空気が重くならずにいられたのかなと感じました。
土屋さんは、意識されている部分があったんですか?
土屋:前作の撮影時は、感情を出さないといけないシーンが多くて、割とすぐ感情が出るように用意している状態だったので、すごく明るくは(現場で)いられなかったんです。けど、佐久間さんと金子(ノブアキ/アプリ運営会社のプログラマー・影山役)さんが少年のような明るさでキャッキャしていたんですよ。それでいて「スタート」がかかったらスイッチが入るので、切り替えがうまいなと思っていたんです。そのとき、金子さんが「ドラムも同じだけど、ずっと力を入れていたらいい音は出ない。力を抜いて叩く瞬間だけポンと力を入れる、そうするとパンッと跳ねる」とおっしゃっていて。ああ、それだなと思ったんです。
今回は自分の感情を立体的に見ていこうというイメージはできていたので、現場で自分ができることは何だろうと考えました。人数が多いときに、みんなが切り替えられる状態で「楽しい」「怖い」「楽しい」「怖い」とできたらいいなあと。あとはみんなが意見を言い合えるようにできればと、取り組んでいました。だけど、たまに「大丈夫かな」と不安なときは、佐久間さんがすぐに「大丈夫、大丈夫だよ!」と声をかけてくださったんです。
佐久間:今回は吐夢がいろいろな人と絡むシーンのほうが圧倒的に少なかったので、いざ現場に行ったときに、土屋さんが話していたり、現場を盛り上げていたんです。「めっちゃ楽しそう!早く入りたいんだけど!」と、僕はなっていました(笑)。
新規キャストの中でも注目したいのが、韓国からのツアー参加者である会社経営者イ・ソンイル役のクァク・ドンヨンさんです。お見事でしたよね。
土屋:私はもともと『雲が描いた月明り』を観ていて、「すごい素敵な俳優さんだな」と思っていました。今回ご一緒できるということで、すごくうれしかったです。現場でも積極的に日本語をしゃべってくれたり、みんなに剣をウワーッとか(つきつけるフリをして)現場を盛り上げてくれたりして。
佐久間:おふざけを結構やってくれたよね!しかも雰囲気をよくしようとして、やってくれるんだよねえ。真面目な人なんですよ。
土屋:そうなんです。すべてにおいて素晴らしい方でした。ものすごくいい俳優さんなのは皆さんご存じだと思いますけど、お芝居はやっぱり人柄が出るんだなと思いました。彼のストイックさと柔軟さを感じる時間でした。
佐久間:俳優には決められた動きや芝居、セリフがある中で、“間”をいかにその人物として埋められるかが大事だと僕は思っているんです。ドンヨンさんと一緒にお芝居をしたときに、「ああ、この人生きてる」と感じられました。そのキャラクターとしてその場にいると感じられたことに、僕はすごく燃えました!大振りな芝居もしてくれるし、細かい芝居もすごい緻密にできる方で。
土屋:お二人のアクションもすごかったですよね!
佐久間:今までいろいろなところでアクションをやりましたけど、こんなに合わせるのがうまい人は初めてでした。びっくりした!ちゃんとリアリティーのあるお芝居をしつつ合わせるのが本当に上手で「こんな人いるんだ!」と。とてもやりやすかったです。

また、ロケ地が久米島だと伺っています。その土地ならではの印象的な出来事はありましたか?
土屋&佐久間:本当に暑かった!!
土屋:撮ったら「逃げろ!!」みたいな感じでしたよね(笑)。そうでないと焼けてしまう……というか、すでに焼けていたんですけど(笑)。
佐久間:本当に暑いし、まぶしかったねえ~。
土屋:中打ちのときは、みんなでバーベキューをしました。みんなで歩いて流れ星を見られたりして、よかったですよね~。
佐久間:流れ星はすごかったよね。星空、超綺麗でした。あと今回出演してくれている塚田さん(塚田僚一(A.B.C-Z)/スポーツトレーナーの天野由太郎役)が車を出してくれたんです。つかちゃんが運転で、ソーキそばを食べに行ったりして。
土屋:つかさんが「空いてる?」と言ってくださって。「お昼に、さっくんを誘っているんだけど、よかったら一緒に食べに行こうよ」と。別日にもつかさんが、撮影のないみんなを連れて久米島ツアーに連れて行ってくれたんです。
佐久間:そうそう、時間があるから「みんなで楽しいことしよう」って。俺はいなかったんですけど、みんなで集まってカードゲームをしたとも聞いたよ?
土屋:そうです。つかさんが飲み物も用意してくれて、「みんなでカードゲームしようぜ!」みたいな。年下の人たちはなかなか言えないと思うので、上の方が、そこでできることや楽しめること、思い出を作れることを率先して企画してくださったので、本当につかさんに感謝しています。

本作では「恋愛リアリティーショー」がキーにもなります。普段、恋愛リアリティーショーにはどういうスタンスで向き合っていますか?
土屋:恋愛リアリティーショーは、登場人物が試行錯誤して「愛とは何なのか」を探し求めている姿に、みんな共感するから人気があるんだろうなと。「自分はこれに気をつけないとな」と恋愛リアリティーショーから学んでいる人もたくさんいるので、面白いなあと思います。
佐久間:大人気だもんね!
土屋:そうそう。私自身は「すごいなあ」と思いながらも、駆け引きなどに馴染みがないので、自分の生活の中ではあまり(関わりが)ないんですが。
佐久間:僕も全然これまで見たことがなくて。どんな感じかなと思いながら、概要は何となくネットで知ったりもするし、見ている友達から聞いたりもするから、「確かに、こういうのありそう」みたいな感じでこの映画は観ていました。でも、もし参加するとなると……。
土屋:きっと大変ですよね!「恋愛してください」と言われて恋愛をするのは、難しいじゃないですか。
佐久間:そうそう、そんなんでできるわけないじゃん!本当かよ!?みたいな気持ちがある(笑)。
土屋:恋愛ってちょっとしたことでときめいたりするものだと思うので。

恋愛リアリティー“ショー”なので、恋なのか自己承認欲求なのかが合体しているものではありますよね。
佐久間:恋なのか、故意的な恋なのか、わからないですね!
土屋:佐久間さん、うまい(笑)。
本作では誰のことも信じられない状況に陥りますが、お二人は人に対して信じられる・信じられないなどを何で判断しますか?
佐久間:ええ~!?信じるか、信じないか、どこを見るか……。一番この人信用できるというか、いいなと思えるのは、一生懸命になれる人です。僕の中でカッコいいと思うのは、一生懸命にちゃんとなれる人、向き合える人なので。一生懸命な人だと、そこで信頼感が一気に生まれます。この人と一緒に何かしたいと思えるかというか。
土屋:ありますよね。私は、わかり合えないことをプラスに取れる人、です。わかり合えないことを罪にする人もいるじゃないですか。
佐久間:いるよね。わかる。
土屋:でもわかり合えないから会話するし、知ろうとするし、それが刺激になったり、思いやりになったりしますよね。だからわかり合えないことを受け止めてくれたり、プラスに取れる人がいたら信じます。
(取材・文:赤山恭子)
映画『マッチング TRUE LOVE』は9月25日(金)より全国公開。

出演:土屋太鳳、佐久間大介、クァク・ドンヨン
監督・脚本・原作:内田英治
公式HP:https://movies.kadokawa.co.jp/matching/
(c)2026『マッチング TL』製作委員会
※2026年9月10日時点の情報です。
