本日ボジョレー解禁!でも飲みすぎにはご注意を!アルコール依存の恐怖を描く映画5選

感受性複雑骨折

寂々兵

「ここ数年で最高」「過去50年でも素晴らしい出来」「1950年以降最高の出来といわれた2009年と同等の出来」などのキャッチコピーでお馴染み、ボジョレー・ヌーヴォーが本日11月19日に解禁です。今年は「フルーティな味わい」だそうで、楽しみですね。

しかし、飲みすぎにはご注意を。今回はアルコール依存によって人生が狂ってしまった人々を描く映画を紹介したいと思います。

『失われた週末』 アル中度:★★★★★

7週末

作家志望の男がニューヨークへ出てくるものの次第に筆が進まなくなり、気持ちを紛らわすために軽い気持ちで飲んだ一杯のお酒が原因でアルコール依存に。兄や恋人が酒を忘れさせるために奔走させるものの、あの手この手で酒を飲もうと頑張る主人公の姿を描きます。

ミステリや悲喜劇の巨匠、ビリー・ワイルダー監督による世界で初めてアルコール依存を大きく扱った映画です。主人公が商売道具であるタイプライターを質に入れてまでも酒を手に入れようと奔走する姿が恐ろしくも滑稽で、絶望と喜劇は紙一重であることを体現しています。

狂気の底にいる患者にとって恋人の存在がアルコール依存と闘う重要なファクターになるのは映画も現実も同じですが、かえって悪影響を与えてしまう作品も存在します。

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『酒とバラの日々』 アル中度:★★★★☆

7酒とバラ

PR会社に勤務するジャック・レモンが得意先の秘書をセミプロの女性と間違えてしまったことから交流が始まり、やがて結婚して家庭を持ちます。

しかし出張が多く、寂しさから妻は酒に溺れるようになり、元々アルコール依存気味だったジャック・レモンと共に手が付けられない状態に。アルコール依存だと頑なに認めない妻と共に決死の治療が始まります。

『ピンクパンサー』シリーズのブレイク・エドワーズ監督、ジャック・レモン、アルコール依存、というキーワードから完全無欠のコメディが連想されますが、これがなかなかのシリアス路線で驚きです。

序盤は確かに夫婦の出会いがややコミカルに描かれるのですが、結婚してからが苦難の連続。酔っぱらった妻が家に火をつけたり、義父の植物園に酒を持ち込んで荒らしまくったり、一体お酒はどれだけ人を狂わせるのかと仰天必至。

そして本作のもっとも大きなポイントは、ラストを迎えるまでハッピーエンドになるのかバッドエンドで終わるのかの予測が付かないところ。誰が救われて誰が救われないのかに注目です。

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『鬼火』 アル中度:★★☆☆☆

7鬼火

アルコール依存で病院にいるモーリス・ロネが孤独感によって自殺を決意し、パリの旧友を尋ねて歩く最後の48時間を描く作品です。監督は『死刑台のエレベーター』等の作家ルイ・マル。

主人公がアルコール依存症患者という設定ではあるものの、実際はその男の空虚で厭世的な生きざまを厳かに活写した繊細な人間ドラマです。終始「人生とは……」みたいな哲学的な台詞のオンパレードですが、誰もが経験したであろうモラトリアムと本質的には変わりないのですんなりと頭に入ってきます。

何となく社会に適応できない、日々を漫然と過ごしている、仕事も恋人もいるがなぜか満たされない、そんな方におすすめの作品です。

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『リービング・ラスベガス』 アル中度:★★★★☆

7リービング

妻子に逃げられ仕事も失ったニコラス・ケイジが自暴自棄になり、ラスベガスで酒浸りの生活を送ります。ある日出逢った娼婦に心惹かれていき、また孤独を抱えていた娼婦も優しいニコラスに惹かれていき、何となくふわふわした恋仲に。世間からの白い目に晒されつつもトラウマを克服すべく懸命に生きる2人の姿を活写します。

何といっても見所は本作でオスカーを取ったニコラス・ケイジのあられもない姿。90年代以降はアクション俳優としての一面が強くなっていきましたが、本来彼は情けないオジサンの役が堂に入っているのではないかと思います。

2009年にはリメイク版『バッド・ルーテナント』において、ドラッグに溺れる悪徳警官を演じていたのが記憶に新しいですね。

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『28days』 アル中度:★★☆☆☆

728days

サンドラ・ブロック演じる破天荒なコラムニストが酒に酔っ払い、姉の結婚式をぶち壊したことからアルコール依存の更正施設に入れられます。施設で出会ったのは、それぞれ薬物依存やセックス依存などに悩む個性豊かな面々。彼女は禁断症状に苦しみながらも、過去のトラウマなどに向き合いながら依存症を克服していきます。

女流監督ベティ・トーマスによる2000年の長編です。テーマは重いですが、先述の4作とは比べものにならないほどアルコール依存を軽く扱っており、良く言えば非常に観やすい作風になっています。

序盤はいがみ合っていた所内の人々が絆を深めていく様子は必見。また、登場人物の誰よりも何かしらの依存症で苦しんでいそうなスティーヴ・ブシェミが冷静な職員を演じているのも笑えます。

酷似したタイトルのホラー映画『28日後』(原題:28 Days Later…)と間違えないようにしましょう。

おわりに

いかがでしたか?

「酒は百薬の長」と言いますが、今回紹介した作品の主人公たちほどアルコールに溺れないようにしたいところです。

社会人になって2年経ちますが、周りの友人たちも「仕事あがりのビールは最高だ~!」とテンプレ通りの文句を言うようになってきました。おっさんへの第一歩です。

ちなみに筆者は梅酒を一杯飲んだだけで顔が梅みたいになるほどの下戸なので、今夜はハンカチを噛みしめながらブドウジュースを飲みたいと思います。

 

※2022年7月27日時点のVOD配信情報です。

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  • もんてすQ
    3.7
    アル中になり職を失い、どん底まで落ちていくひと組の夫婦を描いたドラマ 久しぶりにこういう、超深刻な人間ドラマを観たな〜...って感じ 名優ジャック・レモンの壮絶なアル中演技(温室ぶち壊しシーンなど)はもう観ててヒリヒリする 『失われた週末』は昔観て結構感動したけど、これを観た後だと「若干依存症を甘く描いてたのでは」と思っちゃうくらい とにかく依存症になっちゃった人の思考?みたいなのを、めちゃくちゃリアルに表現していた 主演の二人の演技が凄まじいのでオスカーにノミネートされているけど、この年のオスカーは超強豪揃いのため受賞には至らず...
  • straighttohell
    3.3
    アル中なので見た 確かにアル中映画の金字塔だった。共感できる台詞が詰まっていた。 中盤にかけてのジャックレモンの切なげな表情がいいね
  • kojikoji
    3.6
    題名は「酒🍷とバラ🌹の日々」だが、ジャックレモン🍋だから、きっと楽しませてくれるだろうと思っていたら、とんでもないシビアな映画だった。 酒がやめられない貴方、いや私、観るといいでしょう。酒🥃の怖さを思い知らされます。 #1464 2023-496 1962年 アメリカ🇺🇸映画 監督:ブレイク・エドワーズ 脚本:J・P・ミラー 撮影:フィリップ・ラスロップ 美術:ジョセフ・C・ライト 音楽:ヘンリー・マンシーニ 営業マンのジョー(ジャック・レモン)は仕事先で知り合ったカーステン(リー・レミック)と恋に落ちる。その愛を確かめた初めて夜、カーステンが海を見ながらささやく。 「はかなきは 酒とバラの日々 二人の道は霧の中よりいでて 夢のうちに消えん」 いい詩だと思って書き留めていたら、それはこの後の二人の人生を暗示のような詩だった。 二人は、ほどなく結婚して子供が産まれる。しかし激務を紛らわせるため酒を飲むようになったジョーは、ある日、育児のために酒を飲まない妻カーステンを厳しく責める。それがきっかけでカーステンもまた酒を口にするようになる。酒に依るところが多くなる二人の生活は、やがて破綻をきたし始める...。 止めようとすると、もう一人が足を引っ張る。二人だから、飲み始めたら際限がない。夫婦のアル中の恐ろしさを初めて映画で観た。 よく大麻に溺れる夫婦がニュースになるが、こんな感じなのかもしれない。 ジャック・レモンは喜劇役者のイメージしたないので、こんなシビアな演技をするとそのギャップが凄まじく訴えてくる。 酒を探して義父が作ったハウスの中を探しまわって花の鉢を壊してしまうシーンはゾッとするほどの熱演だ。 そういえば、ヘンリー・マンシーニのこの曲は、確かに聴いたことのある音楽だった。 しかし、何故、酒🥃はわかるが、バラ🌹の日々なのだろう。
  • ほろでぃん
    3.8
    アルコール依存症の恐ろしさを描いた作品。 ジャック・レモンのよく動く顔がいい仕事をしている。特に鬼気迫ったり悲しみに襲われるシーンでなくとも、多弁な顔をしている。 妻役の人は初めて見たが、序盤の可愛らしさと中盤以降のやつれ具合の対比は見事。 カラーなら血色の悪さなどで安易に表現できるが、白黒の表情と若干のメイクだけでこの雰囲気の差を作れるのは凄まじい。
  • まなぶくん
    2.6
    なんつっても曲がいいよねぇ🎵 ヘンリー・マンシーニだもん。 『シャレード』『ムーンリバー』 『刑事コロンボ』…
酒とバラの日々
のレビュー(465件)