あの巨匠も絶賛!満足度96%の超新感覚最恐ホラー『イット・フォローズ』日本上陸!

映画と音楽は人生の主成分

みやしゅん

年明け早々、衝撃的なホラー作品『イット・フォローズ』がついに1月8日から公開されます。

本作は『キル・ビル』などを製作した映画界の巨匠クエンティン・タランティーノ監督が「とにかく恐い!こんな設定のホラーは観たことがない!」と絶賛した超新感覚の最恐ホラーです!全米では、上映館が4館から1600館へと拡大し、話題を呼びました。

長々と話しても伝わらないので、まずは予告編を…終盤にはショッキングな映像がありますので、苦手な方はご注意ください。

それでは、2016年一発目の最恐ホラー作品『イット・フォローズ』をご紹介していきます。なお、今回は皆さんの想像力を刺激するため、劇中の画像などは伏せてあります…是非、ご自身の目で、その“恐怖”を確認してみてください。

あらすじ

ジェイは、ヒューという男性と一夜をともにする…しかし、目覚めると車椅子に縛り付けられていた。明らかに様子がおかしいヒューは、ジェイにこう告げる。

“それ”はずっと君から離れない。“それ”は友人に似ているかもしれないし、他人の姿をしているかもしれない。いずれにしても君の近くにいる…。逃げたいなら殺られる前に誰かにうつせ。

“それ”が何かも分からない恐怖の中、ジェイは奇妙な人物たちに付け回されるようになる。しかし“それ”は他の人には見えていない…果たして、ジェイは孤独と恐怖から逃げきることはできるのだろうか―。

超新感覚のホラーの鉄則~“それ”にまつわるルール~

この映画の肝となるのは“それ”にまつわるルールです。実は序盤から様々な恐怖が観客を待ち受けています…しかし、このルールは徐々に明らかになっていくため序盤の仕掛けに残念ながら気づくことが出来ません。

でも、このルールを知っていれば監督が巧みな仕掛けに気づき、恐怖と作品自体の面白さが倍増します!そこで、フライングではありますが“それ”にまつわるルールを3つご紹介致します。

ルール1:“それ”は自分にしか見えない

ホラー映画において自分にしか見えないという設定はよくあります。しかし“それ”はいつ、どのような姿で現れるかわかりません。時に知人、時にどこにでもいるような老人の姿や女性の姿をし、時におぞましい死人の姿で現れる…しかし、自分以外の誰にも見えないため、その怖さを共有することはできません。

もちろん、周囲に人がいれば「そこに誰か見えるか?」という質問をすれば、目の前のものが“それ”なのかどうかの確認は可能です。しかし“それ”に追われる者に訪れる本当の恐怖は1人でいるとき…つまり、孤独な状況において恐怖は最高潮に達します。誰にも確認が出来ないため、ありとあらゆるものが“それ”に見えてしまう…その恐怖がジェイの精神を蝕んでいきます。

観客にはちょっとしたヒントとして“白”で表現されています。しかし、それとは異なる部分で私がもう一つ恐怖を感じる部分があります。それが近所の少年…彼はなぜジェイの家の屋根によじ登っていたのか、そして、ジェイとその友人が出かける際になぜじっと見つめていたのか…色々と考えていると気味が悪くなります…。

ルール2:“それ”はゆっくりと近づいてくる

“それ”は突然襲いかかってくるものではありません。ゆっくりと歩いて近づいてきます…しかも、先ほども書きましたが“それ”の容姿は毎回異なるため、近くにくるまで確証は得られないのです。

実は、本作では序盤から“それ”が登場しています…しかし、ルールが明らかになるまでの間、私たちはスクリーンに映る“それ”に気づくことが出来ません。けれど、これを読んだあなたは、序盤からその恐怖に気づくことが出来ます。怖いとは思いますが是非、スクリーンから目を離さず、ご鑑賞ください!

ルール3:“それ”は人にうつすことができる

この映画の最大の恐怖は“それ”をうつす方法があることです。しかし、その方法は実に理不尽…というのも、その方法は「誰かと関係を持つ」ということ…。さらに、序盤のシーンでヒューはジェイに「君が殺されたら僕のところに戻ってくる」と話していました。

正直、このうつす方法の細かなルールはどこまで正しいかはわかりません…しかし、このルールによってジェイは葛藤することになります。ジェイは、その理不尽な方法自体を疑うだけでなく、誰かと関係を持って恐怖から逃れたいという自身のエゴと闘うことになるのです。

恐怖で蝕まれる自分自身を守るために、誰かにうつすか…誰かにうつすことを拒み自ら破滅することを選ぶか…あなたならどちらを選びますか?

タランティーノが絶賛!その理由とは?~ホラー映画ファンも納得。これが新たなホラーのかたち~

本作はクエンティン・タランティーノが「とにかく恐い!こんな設定のホラーは観たことがない!」と絶賛するだけでなく、2014年のカンヌ国際映画祭でも賞賛されています。

itfollows

(c)2014 It Will Follow. Inc.

また、映画評論家のレビューをまとめたサイトRotten Tomatoesでは、96%という驚異の満足度をたたき出しています。まさに2016年を代表する正真正銘のホラー映画と言えるでしょう。では、これほどまでに評価される理由は何なのでしょうか?

斬新な設定~恐怖の伝染方法~

“それ”から逃れるためには誰かと関係を持つ必要があります。こんな設定のストーリーは今まで観たことがありません。自分を守るためには誰かを犠牲にしなければならない理不尽な状況の中、襲いかかってくるであろう“それ”が何かも分からない…けれど、そのある種の“呪い”の伝染方法だけは明白であるという、まさに人間のエゴが浮き彫りにされるストーリーなのです。

これが、タランティーノ監督が絶賛した理由です。巨匠のお墨付きということもあって、本作は様々なポイントでホラー映画好きの心をくすぐるものとなっています。それ以外にも、この映画には注目すべきポイントがあります。

仕掛けられた巧みな演出効果

ホラー映画と言えば、BGMやカメラワークが特徴的です。最近ではホラー映画と言えば、音で驚かすことを前提としたBGMは当たり前となっているだけでなく、手持ちカメラの視点や固定カメラの視点といったアングルが非常に多くなっています。しかし、本作ではそうしたマンネリ化したホラー映画のルールに囚われることなく、監督の型破りな演出がきらりと光っています

まずは、本作のBGMについてです。本作のBGMは非常に独特なものとなっています。それもそのはず…担当しているのは、カナダのコンピュータゲーム“FEZ”のBGMを創ったDisasterpeaceという若きミュージシャンです。

このFEZのトレーラーを観てもわかりますが、ゲーム音楽はどこか無機質な印象があります。この、どこか無機質な電子音が本作では全編に渡って使用されており、観ている私たちの不安をあおるものとなっています

次に、カメラワークについて。この『イット・フォローズ』では、360度カメラが回る場面やスローモーションなどが使用されています。その映像の中に映り込む“それ”はとてつもなく不気味。独特のカメラワークは、息をすることさえ忘れてしまう緊張感を生み出すものとなっています。

オープニングが想像させる無限の恐怖

映画は、アニーという女性が何かから逃げるシーンから始まります。そして海岸で不可解な死を迎える…こんな表現をするのは不謹慎かも知れませんが、その衝撃的かつどこか美しさを感じる映像は脳裏に焼きつくほどのもの…。このオープニングの映像があるからこそ、観客は恐怖を想像させられるのです

と言うのもこの映画では、死に至る瞬間が描写されていません。死の直前もしくは直後の映像はありますが、その過程は一切謎に包まれています…そのため様々な容姿を持つ“それ”に追われた人々の末路を、私たちは想像してしまうのです。

謎に包まれた時代設定

今作の時代設定は、とても不思議なものです。テレビ画面に映る映像はとても古いものですが、登場人物たちが使用している携帯電話や小説を読むための電子機器はとても現代的なのです。その設定は観客をどこか夢見心地な世界へと誘い、魅了します。

もっともっと細かく見れば、時代設定を紐解くヒントが隠されているはずです…是非、注目してみてください。

監督が隠したメッセージ~ドストエフスキーの「白痴」~

映画の序盤には、ジェイの友人がドストエフスキーの「白痴」を読んでいるシーンが出てきます。ドストエフスキーと言えば、数年前に日本でもドラマ化された「カラマーゾフの兄弟」が有名ですが、この「白痴」も5大長編小説として有名なものです。ドストエフスキーは「白痴」で、複雑な愛をテーマに「他者の欲望を介して自己の欲求を満たす傲慢さ」を描いたと言われています。

このタイトルには日本においては差別用語とされている言葉が使用されています。しかし、もう1つの意味である「世間知らず」が込められています。それとなく登場したドストエフスキーが、実は『イット・フォローズ』の軸になっているように私には思えます。

ストーリーはジェイとその友人たちの間で展開されるのですが、「世間知らずな」若者たちが“それ”に追い回されるストーリーと言い換えることも出来ます。若さは欲望と直結しているといっても過言ではありません…本作は「白痴」という作品をヒントに、「世間知らずな」若者たちのエゴを描いた作品となっているのです。

是非、観て欲しい“超”新感覚の最恐ホラー

ホラーというジャンルは、ストーリーがマンネリ化してしまう傾向が強く、はっきり言ってオススメ出来る作品はなかなか出てきません。私自身もホラー映画は好きなのですが、正直言ってここ数年のホラー映画は、お世辞にも“良い”とは言えないものばかりでした。唯一あるとするならば、様々なホラー映画のキャラクターが登場する斬新な設定の『キャビン』くらいです。

しかし、この『イット・フォローズ』は今まで出逢ったことのないストーリーの設定に加え、気づくと恐ろしい細かな仕掛けや独特の演出が随所にあり、オススメ出来る作品になっています

おそらく、本作を鑑賞した人の中には「設定の説明がないからよく分からない」と言う人もいるでしょう。しかし、ルールはすべて人から人へと伝わったもの…現実世界と同様に「すべてが正しいかどうかが分からない」のです。

そうした点も含めて、今回の記事を読んだ方は、本作を鑑賞する際には想像力を掻き立てられるはずです。そうした状況の中、スクリーンの隅から隅まで見ることで、あなたは本当の恐怖を知ることとなります。

…そういえば、一つお伝えし忘れた大事なルールがあったことを思い出しました。“それ”はあなたが死ぬまでついてきます…ご注意を。

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  • スギヤマモトキ
    -
    【記録】 2021年1月16日 観賞 スタイリッシュ。この一言に尽きる。
  • フリーザ
    3.3
    「セックスをしたら霊(?)が追ってくる。他の誰かとセックスしたら霊をうつせる。」 という設定一本勝負の青春ホラー。 設定だけだとバカなB級ホラーですが、妙にローテンションでジョン・カーペンターみたいな安っぽい(褒めてる)シンセサイザーによるBGMも相まってアンニュイな気分になります。 シンメトリーの構図が何度も出てきたり面白いカメラワークも多く、追ってくる霊との距離感も絶妙で映像が中々面白い。
  • タイレンジャー
    4.6
    最大の謎は、ゆっくりと後を追ってくる「それ」が何を意味しているのか、に他ありません。 セックスを介して「感染」するので、性病やHIVの喩えだとも言われていたようですが、これは監督自身が否定、「ゆっくりと迫りくる、死そのもの」の喩えであったと発言があったようです。実際に様々な考察サイトに目を通しても、それと同じかまたは近い内容のものが多かったです。 僕もその解釈に納得ですが、死に至る前の「大人になってしまう」過程もまた「それ」に内包されているのでは、と考えます。 本作の地味な特徴としては、大人がほとんど出てこないという点があります。 主人公である19歳の女子大生ジェイをはじめ20歳前後の若者ばかりが登場し、ジェイの母親や大学講師、警察官などの大人たちは僅かに登場すれど、画面にはほとんど映らないので存在感が極端に希薄です。 「それ」に追われることになってしまったジェイを救おうと同年代の若者たちが立ち向かうという物語ですが、そこには驚くほど大人が介在していません。ジェイと母親の間には親子らしいやり取りは僅か。僕は2回目の鑑賞でようやく母親の存在に気づいたくらいです。 本作の中では大人はいてもいなくても良いほどの存在感であり、むしろ若者から大人に対する不信感が伺えます。冒頭の犠牲者である女の子こそ父親に対する愛を口にしていましたが、ジェイとその仲間たちが大人を頼ることはありません。 しばしば挿入されるデトロイトの廃墟だらけの荒廃した景観が映し出されるのには、大人がつくった社会に対して夢も希望もない若者の心象が読み取れます。あの廃墟の数々はジェイたちが大人に対して抱くイメージそのものなのかもしれません。 加えて印象的なのは、姿かたちを変えて現れる「それ」がグレッグ(チャラ男風)の母親やジェイの父親の姿になったりすることです。見た目だけで言えば、親が子を殺しにやってくるわけですから、ここもまた何か象徴的な意味があると考えるべきでしょう。 グレッグを襲う「母親の姿をしたそれ」はグレッグを性的に犯しますし、「父親の姿をしたそれ」を目にしたジェイは「何が見えるかは言いたくない」と意味深な発言をします。まるで父親の存在に触れることがタブーであるかのように。 これらから匂ってくるのは親から子に対する性的虐待の含みです。親に犯されるなんてのは子にとっては決して起きてほしくない悪夢ですが、その潜在意識の表れなのか、ジェイに至っては過去に父親との間にそれは起きたことが仄めかされるような一幕でした。 つまり、ジェイとその仲間たちは大人というものを信じておらず、自分たちがじきにそちら側になってしまうことに不安を抱いているように思えるのです。 なりたくない大人になってしまうことが若者にとっての死である、そんな捉え方もできるかと思いました。
  • ScapesMa
    3.5
    結構好き 普通に怖がらせてくるからこわいし、みたあともこわくなった、設定すき 昔の設定?もよかった、幽霊は昔のトラウマが反映されてたのかなぁ 後半の物理戦は笑えたけどたのしめたーーーーあ
  • 小松佑太朗
    -
    追いかけて来る者の正体はなんだったのかわかりませんが、大切な人ではない者に移してしまえばいいのにと思いました。
イット・フォローズ
のレビュー(31665件)