世界中の映画ファンから愛された名優:アラン・リックマンを偲んで

劇場未公開作品を愛してやまない田舎人

フレスコの傘

それは突然の訃報でにわかには信じられませんでした。英国の名優アラン・リックマンが1月14日に亡くなった、と…。亡くなった?あのアランが?死因は癌・・・とのこと。癌を患っていることすらも知らなかった…。本当に衝撃でした。

ARFlickr

出典:https://www.flickr.com/photos/icaroferracini/24359420556/

奇しくも1月10日に亡くなったデヴィッド・ボウイと同じく69歳という若さでの死。

『ダイ・ハード』のハンス・グルーバー、『いつか晴れた日に』のブランドン大佐、『ラブ・アクチュアリー』のハリー、そして『ハリー・ポッター』のスネイプ先生・・・。一番の特徴であるベルベット・ヴォイスとともにたくさんの映画ファンを魅了してきたことだろうと思います。

今回は故人を偲び、少しクセのある出演作にフォーカスを当て哀悼の意を表します。

乙女座殺人事件(1989年/原題:JANUARY MAN)

乙女座殺人事件

ニューヨークで起きる連続絞殺事件を追ったサスペンス映画。ケヴィン・クライン、スーザン・サランドン、ハーヴェイ・カイテル、ロッド・スタイガーなどの豪華俳優陣が出演しているにも関わらず、その内容はおせじにも面白いと思えるようなものではありません。しかし、アランファンにとっては根強い人気を誇っている作品ではないでしょうか。

アランはケヴィン・クライン演じる主人公ニックの友人で画家のエドを演じています。もともとグラフィックデザイナーをしていた方なのでこの役は本当にぴったり!壁に絵を描いているシーンなんかもあったりしてもしかしてこの絵、アランが描いたのかな・・・?なんて想像できるところも楽しい。

独特のファッションに身を包み、ふわふわの髪と髭がとにかくキュートで観ていて全く飽きません。『ダイ・ハード』の次に出演した作品ということでガラリと違う役柄が逆に楽しめると思います。片眉だけを上げてニヤっとするあの仕草も観ることができますよ!

シャンプー台のむこうに(2001年/原題:BLOW DRY)

シャンプー台のむこうに

イギリス・ヨークシャーの片田舎が舞台。家庭崩壊寸前のとある一家がヘアドレッサー・コンテストをきっかけに家族の絆を取り戻す姿を描いたハートウォーミングドラマ。

アランは理髪店を経営するフィルを演じており、その息子ブライアン役にはジョシュ・ハートネット、フィルの妻シェリーはナターシャ・リチャードソンらがそれぞれ顔を見せています。

地元でヘアドレッサー・コンテストが開かれることを知りブライアンは家族での出場を決意しますが、父と母は長いこと絶縁状態。その原因は10年前のコンテストにあったのでした。果たしてシャンプー台のむこうには何が待っているのか?

全英ヘアドレッサー・コンテストの様子は何度観ても面白い。 ただ、意外とサクサクテンポで進んでいくのでもう少しコンテストのシーンを観たいな~というのが本音。全体としてはバランスのとれている作品になっていますし、何より題材そのものが面白いのでアランそっちのけで観てしまうかも?いやはや競技中の本気になったアランは相当にカッコいいです。

また死人でカラーリングの練習をするシーンはいつ観ても忘れられず、「シド・ヴィシャスかよ!」の台詞はいかにもイギリスらしいウィットに富んだ台詞ですよね。こういったユーモア溢れる場面が多いのも見所のひとつだと思います。

ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡(2008年/原題:BOTTLE SHOCK)

ボトルドリーム

田舎者の二流品と嘲笑われていたアメリカワイン。そのワインが1976年のパリで行われた試飲会で大勝利を遂げたパリ・テイスティング事件を描いた作品です。

アランが演じるのはパリで活躍するワイン評論家のスティーヴン・スパリエ。あの殺人的なベルベット・ヴォイスから放たれるフランス語が本当に素敵でうっとり・・・。それと同時にコミカルな演技を意外と多く披露しているという点にも驚きました。むしろこういう演技は得意中の得意なのかも。

飛行機の乗客にワインを一本ずつ運んでもらうエピソードなど、散りばめられた個々の小さなエピソードも効果的に使われており、また普段ワインをあまり飲む機会がない私でもちょっと飲んでみようかな・・・と思わせる演出はさすが。ワイン好きな方はワイン片手に映画を観ると更に楽しめるのではないでしょうか。劇場未公開なのが惜しまれる作品です。

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モネ・ゲーム(2012年/GAMBIT)

モネ・ゲーム

シャーリー・マクレーン主演『泥棒貴族』(1966年)のリメイク作品。クロード・モネの名画『積みわら 夕暮れ』を贋作し、気に食わない上司のシャバンダーに売っぱらっちまおう!というキュレーターの男を描いたクライムコメディ。

贋作がテーマというとバリー・ペッパー主演の『リプリー 暴かれた贋作』やカート・ラッセル主演の『エージェント:スティール』など意外と良作が揃っている印象で、少し大袈裟な言い回しになってしまいますが外れがないジャンルなのかもしれません。本作もそのひとつといえるでしょう。

コーエン兄弟による脚本は昔ながらの喜劇を目指したものとなっており、手堅い作りが光ります。またコリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、トム・コートネイら大物俳優が名を連ねていることもあって、華やかさに溢れた映像が楽しめると思います。

アランは嫌味な男シャバンダーを演じていますが、これがまたまたハマり役なんですね。ものすごい体勢のヌードシーンを披露しておきながら次の場面ではぴっしりスーツでキメてくる。こんなのもはや反則じゃないですか!

アランのヌードシーンと同じくらい強烈だったのが日本人集団の描写。道化を演じておいて最後に天地がひっくり返る様は本当に爽快です。もともと日本を舞台にした脚本が用意されていたこと、モネは日本人と繋がりがあったことなどを考えると本作は日本とは切っても切れない何かがあるのかもしれません。そんな作品にアランが出演していること自体がとても嬉しいのです。

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哀悼

幅広い役柄と確かな演技力でたくさんの映画ファンを魅了してきたアラン・リックマン。今回紹介した作品はDVDで観られるものに絞らせて頂きましたが、彼の出演作の中には未DVD化のものがまだまだたくさんあるのです。

『ブラッディ・ガン』(1990年)、『愛しい人が眠るまで』(1991年)、『クローゼット・ランド』(1991年)、『クローズ・マイ・アイズ』(1991年)、『裏切りのKISS』(1998年)などはVHSのみしか発売していないので今後ぜひともDVD化して欲しいと思います。

名優を失った悲しみは深い。けれども私たちはいつでも好きな時に会えるではありませんか。彼の姿は映画の中で永遠に焼き付き、生き続けるのだから。

さあ、今すぐお気に入りのDVDをセットして……。

 

※2021年6月14日時点のVOD配信情報です。

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    4.4
    2026年196本目(再) 傷だらけのクリスマスイブ、バイオレントナイト〜♪ テロリストによる高層ビル占拠事件に運悪く巻き込まれた刑事の奮闘を描き、ブルース・ウィリスを一躍スターの座に押し上げた傑作 クリスマスイブのロサンゼルス。ニューヨーク市警の刑事・ジョン・マクレーンは別居中の妻に会うため、彼女が働く日系企業ナカトミ社の超高層ビルを訪れる。その直後、テロリストの集団がビルに侵入し、1フロアを占拠してしまう。リーダーのハンスは社員たちを人質に取り、金庫室にある6億4000万ドルの無記名債券を要求。マクレーンは孤立無援の中、たった1人でテロリストに立ち向かうが……。 原作は、ロデリック・ソープが1979年に発表した小説『Nothing Lasts Forever』で、ジェブ・スチュアートとスティーヴン・E・デ・スーザが脚色した。同書は、フランク・シナトラ主演で映画化された『刑事』(1968年)の原作小説の続編にあたり、契約上の理由から本作の主演も最初にシナトラへ打診されたという経緯がある。監督は『プレデター』のジョン・マクティアナン、製作はローレンス・ゴードンとジョエル・シルバー。ハンス役のアラン・リックマンは、舞台やテレビで経験を積んだのち、本作で長編映画デビューを果たした。ナカトミ・プラザの撮影には、当時完成したばかりのロサンゼルスのフォックス・プラザが使われた。入居前の階や工事中の空間を活用し、実際の高層ビルから見える街並みを背景に撮影を実施。撮影監督のヤン・デ・ボンは、その後『スピード』『ツイスター』などを監督している。傷つき、疲れ、恐怖を口にしながら闘うマクレーンの人物像は、1980年代に人気を集めた屈強なアクションヒーロー像に変化をもたらした。「閉ざされた場所で、孤立した主人公が武装集団に立ち向かう」という設定も、その後のアクション映画に大きな影響を与え、戦艦を舞台にした『沈黙の戦艦』、旅客機を舞台にした『パッセンジャー57』、走行中のバスを舞台にした『スピード』などは、それぞれ「船上版」「飛行機版」「バス版」の『ダイ・ハード』と紹介され、作品名が1つのアクション映画の形式を指す表現として定着した。製作費は約2800万ドルで、世界興行収入は約1億4000万ドルを記録。第61回アカデミー賞では編集賞、視覚効果賞、録音賞、音響効果編集賞の4部門にノミネートされ、2017年には文化的・歴史的・美学的重要性を認められて全米映画登録簿に選出された。成功を受けて4本の続編が製作され、クリスマス映画としても長く親しまれている。 何度見ても、マクレーンには早く靴を履いてくれと思ってしまう。飛行機で隣り合わせた男の助言に従って靴を脱いだだけなのに、その小さな行動がやがてビルの中を逃げ回る彼を苦しめることになる。本作は、こうした何気ない会話や動作を、その後の危機や反撃へつなげるのが抜群に巧い。展開を知っていても、危険が近づくたびに身構えてしまい、切り抜ければまた胸が躍る。繰り返し見る楽しさが好きな場面を待つことと、そこへ至る段取りの見事さを確かめることの両方にある。 ニューヨークからロサンゼルスへ来たマクレーンは、リムジンに慣れず、妻の職場の華やかさにも馴染めず、再会を喜びたいのに余計なことを言って口論になる。仕事では頼りになりそうな男が、私生活では自分の気持ちさえうまく伝えられないという姿をブルース・ウィリスが軽口と気まずい表情で見せてくれる。ホリーが仕事で認められていることを素直に喜べず、夫婦関係をこじらせてきた彼の問題は、事件の前からはっきりしている。そのため、人質を救う闘いには、言い争ったままになっている妻と、もう一度話をするために生き延びたいという願いが重なる。 武装集団がビルを制圧すると、それまで見ていた場所の印象が一変。受付やエレベーター、パーティー会場、工事中の階、屋上へと続く経路が逃げる場所にも敵に追い込まれる場所にもなり、マクレーンはその場で使えるものを探し続ける。ビルという舞台を隅々まで使うため、身を隠しているだけの時間にも、次にどこへ動けるのか、敵がどこから来るのかが気になる。撮影監督のヤン・デ・ボンは、人物同士の位置関係がわからなくなる映像を避け、現場で俳優の動きに合わせて撮り方を考えたと語っていた。画面は激しく動いていても、何が危険でどちらへ逃げたいのかが伝わりやすい構造になっている。 マクレーンは、目の前の危機を切り抜けるだけで精いっぱい。まず警察へ知らせようとし、それがうまくいかなければ、もっと目立つ方法で異変を伝えようとする。手に入れた武器や無線機を使い、ときには自分でも呆れるほどの無茶をするが、行動するたびに疲れ、傷つき、動きに余裕がなくなる。足に刺さったガラスを抜く場面は何度見ても痛々しく、そこまでして動き続けなければならない状況の過酷さが伝わる。怖がり、悪態をつき、自分を励ましながら進む姿を見ているからこそ、危険を切り抜けるたびにほっとするし、反撃がうまくいけば嬉しくなる。 マクレーンと対峙するハンス・グルーバーは、落ち着き払った態度がかえって恐ろしい。アラン・リックマンの穏やかな声と、相手の反応を見ながら言葉を選ぶ話し方によって、銃を振り回さなくても、その場を支配する力が伝わってくる。礼儀正しく話していたかと思えば、必要と判断すればためらわず人を殺し、計画を邪魔されても冷静に状況を見極め、次の手を打つ。それだけに、マクレーンの抵抗によって彼の余裕が崩れ、顔に苛立ちが浮かぶと、思わず嬉しくなってしまう。上質なスーツを着こなすハンスと、汗と血にまみれた肌着姿のマクレーンという見た目の違いまで、2人の対決を面白くしている。 無線越しの会話では、互いの顔が見えないことが駆け引きを面白くする。ハンスはマクレーンの正体や目的を探り、マクレーンは軽口で相手を苛立たせながら、余裕があるように振る舞う。決め台詞の威勢のよさも、こうした会話の積み重ねがあってこそだと思う。相手から西部劇の英雄気取りと見下されても、その言葉を受けて言い返す彼には、用意してきた名文句を披露するような気取りがない。怖い状況で黙り込んでしまわないために、口だけでも動かしているような切実な可笑しさがある。そして2人が同じ場所で顔を合わせる場面では、今度はどちらが何を知り、何を隠しているのかという緊張に変わり、銃撃とは違った面白さで引き込まれる。 外から救出を指揮する警察やFBIまで、マクレーンの味方になるとは限らないところも、本作を飽きさせない。現場を十分に知らないまま指示を出す者や、自分の経験だけで事態を決めつける者が動くことで、ビルの中の危険がさらに増してしまう。ハンスの計画がそうした組織の対応まで見込んでいるとわかる展開には感心するし、救援が来れば安心という期待を何度も崩す脚本が巧い。一方で、上層部の判断が繰り返し的外れになる描き方には誇張もあるが、そのわかりやすい腹立たしさが現場で必死に動くマクレーンへの肩入れを強めている。 そんな中で、アル・パウエルとの無線のやり取りがあるとほっとする。顔も知らない2人が軽口を叩き合い、互いの話に耳を傾けるうちに、命を預けられるほどの信頼を築いていく。ビルの外では上層部が的外れな判断を重ねるが、パウエルはマクレーンの声を聞き、その場で何が起きているのかを理解しようとしてくれる。孤立して闘う彼にとって、無線の向こうに自分を信じてくれる人がいることがどれほど心強いか。やがて会話は互いの後悔にまで及び、マクレーンは妻の仕事を認められなかった自分の過ちを打ち明け、パウエルも銃を抜けなくなった理由を話す。冗談で励まし合っていた2人が普段なら口にしにくい弱さまで伝えられるようになる過程に胸を打たれる。その声をずっと聞いてきたからこそ、最後に2人が顔を合わせ、言葉を交わす前から互いが誰なのかわかる瞬間は、何度見ても嬉しくなる。 ホリーは、人質にされた状況でも周囲を気遣い、ハンスに必要な要求を伝える冷静さを保っている。上司を失ったあと、自ら交渉に立つ姿を見ると、マクレーンが認めきれなかった彼女の判断力や責任感がよくわかる。夫婦の姓や家族写真、会社から贈られた腕時計といった細部は、2人のすれ違いや彼女の仕事での成功を伝えながら、後の展開にも関わってくる。人物紹介の中でさりげなく示されたものが正体を知られる手がかりや、危機を切り抜ける鍵になるため、見返すたびに脚本の無駄のなさに感心する。 何人も命を落とし、マクレーンも傷だらけになるのに見終えると晴れやかな気分になる。ジョン・マクティアナンは、シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』を参考に、特別な一夜に人々の立場が入れ替わり、朝には愛し合う2人が結ばれる構成を考えたと語っている。そう聞くと、権限を持つ者たちが失態を重ねる一方で、現場の警官やリムジンの運転手が人を救い、すれ違っていた夫婦が再会する展開にも頷ける。クリスマスの夜に起きた大騒動を通して、肩書きよりも行動がものをいい、互いを大切に思う人たちが再び結びつく。その結末があるから激しい闘いのあとにも祝祭らしい喜びが残るのだと思う。 本作のあとには、飛行機や船など、限られた場所へ主人公を閉じ込めるアクション映画が数多く作られたが、舞台を狭めるだけで、この面白さが生まれるわけではない。マクレーンが困る理由も、ハンスが計画を進められる理由も、脇役が思わぬところで役立つ理由も、会話や小道具、場所の使い方によって積み重ねられている。何度も見て次の展開を覚えていても、人物たちの思惑が噛み合い、あるいは食い違う瞬間の楽しさは薄れない。軽口には笑い、痛い場面では顔をしかめ、最後には無事に会えた人たちの顔を見て嬉しくなる。その1つ1つを気持ちよく味わわせてくれる最高の映画だ。
  • na_t_umi
    5
    アメリカ映画すぎて最高に好き こういうのがいちばんいいんや!!!!
  • ryussss.hosei
    4.6
    めちゃくちゃ面白い。緊張感も満足感も味わえる作品。タンクトップで裸足で、ムキムキな男でもないのに、強くてかっこいい。観ていて安心感がある。 エリスや警察やマスコミなど、場をめちゃくちゃにするうざい奴がめちゃくちゃ出てきて、腹が立ったし、この映画のFBIの無能さに引いた。 でも敵キャラのハンスの知的な感じも好きだし、とても魅力のあるキャラだった。
  • にょも
    4
    今更ながら初鑑賞。 90年代後半の映画だと勝手に勘違いしていたが、88年公開と知って驚いた。髪がある頃のブルース・ウィリスというのもなんだか新鮮。 マクレーンが悪態をつきながら、その場しのぎで突破していく泥臭さと、破茶滅茶なアクションに大胆な爆破。対照的に、知的で計画的、常に余裕を感じさせるハンスの存在感も良かった。 そして何より、『地面師たち』でハリソン山中が言及していた、あのシーンが見られたのが良かった。 思わず「これか!」と言ってしまった。
  • まこと
    5
    むっちゃくちゃ気持ちいいこと全部してくれる。 おもろい
ダイ・ハード
のレビュー(68691件)