はじめまして、代官山蔦屋書店にてシネマコンシェルジュをしております、吉川明利といいます。観たい映画、借りたい映画や、オススメ映画など映画にまつわる様々なお問合せにお答えすべく日々奮闘してます。
映画が好きで、この映像パッケージ業界に入ってはや33年目の映画オヤジでございます。今回はアカデミー賞に関する個人的な思い入れなどを少しだけ語らせていただきます。
オスカー愛に目覚めたきっかけとは?
今思い返せばそのきっかけとなったのは『ロッキー』と言えるんじゃないでしょうか。
1976年、ちょうど第50回目のアカデミー賞で見事作品賞に輝いたその結果に驚くとともに、“やっぱりアカデミー賞最高!”と、突然自分の中の「オスカー愛」が芽生えたのです。
もちろん、それまでにも主要なアメリカ映画はほとんど観ていたし、アカデミー賞の知識もある程度ありました。最多部門受賞作は12部門に輝いた『ベン・ハー』で、『ウエストサイド物語』も同じ12部門だけど、特別賞が入っている『ベン・ハー』の方がすごい!とか、『ゴッドファーザー』で主演男優賞を獲得しながら、受賞を拒否したマーロン・ブランドがネイティブ・アメリカンの女の子を代理出席させたことなど、アカデミー賞のトリビアを知ることで、一丁前の映画青年を気取っていました。
ベン・ハー
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そんな私を変えた作品が『ロッキー』でした。
全く売れないでいた俳優シルベスター・スタローンが書いた1本の脚本から『ロッキー』は生まれました。それ以前のアメリカ映画、いやアメリカという国全体が暗く重苦しい雰囲気に満ちていたのです。
理由は、ベトナム戦争の敗北です。
そこからやがて『ディア・ハンター』(第51回目の作品賞)や『タクシードライバー』などが生まれるのですから、あながちその敗北が映画界に何ももたらすことがなかったとは言えませんが、とにかくとっても沈んでいたアメリカに活気を取り戻させたのが『ロッキー』だったのです。
まさに『ロッキー』のオスカー受賞という出来事が“アメリカン・ドリーム”としてスタローンの人生を一変させる一夜となった日であったと言えるでしょう!
ロッキー
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それだけの力がアカデミー賞にはあったのです。(一方では受賞後に売れなくなる「オスカーの呪い」なんて言葉もありますが)
この受賞結果に感激したことが、私が「オスカー愛」に目覚めたきっかけとなりました。
予想外の結果こそ、アカデミー賞の楽しみ!
当然のことながら作品賞と共に、「俺に主演させなきゃこの映画作らせない!」と頑張ったスタローンも主演男優賞を獲れるだろうと予想しました。
ところが受賞は叶わなかったのです。
私の予想は大外れ、この年の主演男優賞は『ネットワーク』のピーター・フィンチでした。スタローンは受賞を逃します。
さらに受賞発表の時点でフィンチはこの世にいなかったのです。
後年『ダークナイト』のヒース・レジャーで同じようなことが起きることになりますが、この時は誰も知るよしもありませんでした。
ダークナイト
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オスカーは亡くなっても貰えるんだ、と不思議な感覚にとらわれた記憶があります。でも、その予想の大外れそのものがアカデミー賞予想の楽しみだとわかりました。
毎年ノミネートが待ち遠しい!
それ以来、ノミネートが発表されるや必ず誰かと(時に2歳上の兄だったり、仕事場の同僚だったり)予想合戦をやってばかりいました。対戦相手に先に選ばせてあげるというハンデを与えながらも、最終的に勝負に負けても、マニアックな助演女優賞をズバリ的中させ、溜飲を下げるというアホな映画オヤジと化していったのです。
作品、監督、主演男優・女優、助演男優・女優と全部で6部門、いまだ全部門的中はなく、5部門どまりの予想人生なので、毎年言ってますが、今年こそは当てたい!と思っています。
今とは違うオスカー予想?!
1970年代後半くらいは受賞結果発表の翌日、駅売りのスポーツ新聞を全部(6紙だったろうか)買っていた時期が長くありました。そこで、この新聞の写真は良くないとか、的を得た視点でオスカーの結果を分析している新聞社はどこかな、などをチェックして一番のお気に入りの記事をスクラップしていたのです。
今も手元に残っているその40年前のスクラップブックには『帰郷』で主演男優&女優賞に輝いたジョン・ボイドとジェーン・フォンダの笑顔やら、『普通の人々』で初監督ながら見事監督賞を獲得したタキシード姿がカッコいいロバート・レッドフォードの写真と記事などが貼られています。
帰郷
ネットの時代となった今では考えられないでしょうが、こうした翌日の新聞記事が本当にありがたかったのです。また今ではハリウッドと同時刻にオスカー授賞式のテレビ放送がありますが、50回授賞式がフジテレビの独占放送(中継録画の夜遅い時間の放送なのに)となることがビッグニュースになる時代でした。
今年の賞レースは?
こうして培われていった私の「オスカー愛」は今も健在!さぁ、遂にレオナルド・ディカプリオは念願のオスカー像を手にすることが出来るのか?そして『ロッキー』以降、まったく賞とは縁遠い俳優となってしまったスタローンが7度目のロッキー・バルボア役を演じた『クリード』で助演男優賞を獲るのか?興味は尽きないですねぇ。
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(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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※2022年7月27日時点のVOD配信情報です。