映画『思い出のマーニー』に登場するマーニーとは何者だったのか?作中の謎を徹底解説【ネタバレ】

アニメの風通しがもっと良くなりますように

ネジムラ89

スタジオジブリが二人の少女の交流と成長を描いた感動作『思い出のマーニー』。本作のあらすじや見どころ、そして謎が多いマーニーの正体までまとめてネタバレありで解説。

2014年にスタジオジブリより公開されたアニメーション映画『思い出のマーニー』。本作は『借りぐらしのアリエッティ』に続く、米林宏昌監督による長編映画第二弾となった作品です。現代の日本を舞台にしていながら、どこかファンタジー映画のような不思議な体験が描かれた本作が、どんな内容を描いていたのか結末をふまえて改めておさらいしていきましょう。

映画『思い出のマーニー』(2014)あらすじ

12歳の少女・佐々木杏奈は、学校の写生の授業の最中に持病の喘息の発作によって早退することになってしまう。後からカバンを届けに来たクラスメイトの態度から、義母である頼子は杏奈が学校生活に馴染めていないのではないかと心配する。杏奈の主治医の助言を聞き、杏奈は夏休みの間、自然豊かな頼子の親戚夫婦の家で療養することになる。大人しく頼子の言うことを聞く杏奈だったが、感情を表に出さないその態度はどこかよそよそしいものだった。

こうして親戚夫婦の家を訪れる杏奈だったが、町を訪れて早々、近所の少女・信子に悪口を言ってしまい喧嘩になってしまう。とっさに逃げ出した杏奈は、なぜか知っている気がする“湿っ地屋敷”に行き着いていた。

そこに浮かんでいたボートに乗って屋敷へやってきた杏奈は、金髪で青い目をした少女・マーニーと出会う……。

※以下、『思い出のマーニー』のネタバレを含みます。

改めておさらい!杏奈の血筋とは!?

思い出のマーニーにおける1番の驚きのポイントであり、物語の運命的な物を感じるのがマーニーの正体でしょう。映画の最後で、杏奈の義母が見つけた写真からマーニーが杏奈の祖母であることが発覚したわけですが、改めて今作に登場した登場キャラクターと杏奈との関係をおさらいしていきましょう。

マーニーの屋敷で、遭遇したマーニーの父親と母親。彼らは杏奈の曽祖父と曽祖母だったわけです。杏奈は祖母だけでなく、曽祖父母とも出会っていたのです。一方で作中に登場しながら、対面という形では出会うことができなかった親族が、マーニーの幼馴染であり結婚相手となる和彦です。つまり和彦は杏奈の祖父にあたる人物です。

そしてマーニーの人生を語ってくれた久子のエピソードで、マーニーの娘である絵美里が登場します。悲しいことに事故死をしてしまう彼女こそ、杏里の母親だったわけです。

物語の一番最後にマーニーが杏奈の祖母だと分かったため、分かりにくいかもしれませんが杏奈は作中多くの親族と遭遇していたのです。

マーニーは想像の友達だったのか?

杏奈は彩香にマーニーのことを「想像の友達だった」と語ります。

実際に心理学においても、空想の中だけに想像する人物を作り出して助言をしてくれたり、反対に傷つける対応をとってしまったりする友人を頭の中で作り上げてしまう、“イマジナリーフレンド”という言葉があります。人間関係に悩みを抱える子供に多い現象とされており、杏奈に関してもイマジナリーフレンドに類似した現象により、マーニーと遭遇していたのかもしれません。

しかし重要なのは、杏奈が遭遇するマーニーは勝手に作り上げた想像の産物ではなかったということです。久子が語る晩年のマーニーの姿の中に、杏奈を引き取った彼女が自身の体験を語っていたシーンが描かれています。この時にマーニーが語った幼い頃に体験したエピソードが、杏奈の頭の中に残っていたのかもしれません。

成長する中でその記憶はどんどん薄まっていったものが、杏奈が屋敷を訪れたことをきっかけに脳の片隅にあったものが甦り、杏奈にマーニーの幻を見せたのではないでしょうか。

絵美里と分かり合えなかったマーニー

死別してしまった親族と再会する物語といえば、一番つながりの強い実父母との再会が定番です。しかし『思い出のマーニー』の面白いところは、それが祖母との遭遇になっているところにあります。

一方で作中で多く語られないのが、マーニーの実子であり杏奈の実母である絵美里です。物語では登場場面が限られているので、ぞんざいな印象を受ける人もいるかもしれませんが、マーニーと杏奈を結びつけるきっかけとして、絵美里という存在が大きいことを忘れてはいけません。

両親や世話係の人間からも良い扱いを受けてこなかったマーニーは、絵美里にうまく愛情を注ぐことができず、関係を修復することができないまま絵美里が死別してしまいます。その後悔も経てわずかな期間だったものの、マーニーが絵美里に与えられなかった分の愛情を杏奈へと与えられていったと言えます。

一方の杏奈も、実母である絵美里への喪失感によって自身を孤立に追い込んでいってしまいます。マーニーにとっても、杏奈にとっても、絵美里という存在はかけがえのない存在であったからこそ、二人の絵美里を想う気持ちが杏奈と子供時代のマーニーを出会わせてくれたのではないでしょうか。

杏奈はなぜマーニーと出会えなくなっていくのか

では物語を通して、次第に杏奈がマーニーと出会えなくなるのはなぜでしょうか。

それは、杏奈が現実世界での繋がりが次第に獲得していったからです。

マーニーとの遭遇によって、精神的にも安定していった事はもちろん、頼子との手紙でのやり取りや、屋敷に引っ越してきた彩香との出会いによって、杏奈はマーニー以外の愛情を受け止められるようになっていったのでしょう。マーニーがいなくても現実世界を生きていけるようになった杏奈は自然と、マーニーの幻から離れていくわけです。

そう考えると、クライマックスに描かれるマーニーが杏奈に別れを告げるシーンは、杏奈の中の心象風景として観ることができます。杏奈は大切な存在だったはずのマーニーが現実世界の存在ではなく、いつまでも一緒に居られる存在でもないことを悟り、彼女とどう別れを告げるのか葛藤をしていたわけです。

“もちろんよ、許してあげる。あなたが好きよ、マーニー。”

この「許してあげる」には、マーニーとの遭遇に結びつけた実母への思いも混ざっているのでしょう。自分を置いてこの世を去った両親への気持ちも受け止めることができるようになり、杏奈は現実世界へと歩んでいけるようになったわけです。

そう考えると、マーニーが居たはずの場所に彩香が訪れるのも象徴的です。杏奈とマーニーが親友となっていったように、杏奈と彩香も親しい仲であり続けることを予感させます。

悲劇が多く語られる本作がどこか優しい物語に感じられるのは、祖母が残した最後の愛情が時代を越えて孫に現実世界を生きる希望を与える、という夢のある内容だったからでしょう。

結末を知った上で、改めて初めから思い出のマーニーを観ていくと、マーニーと杏奈の交流は、最初に観た時とはきっと違った見え方になっているはずです。

(c)2014 Studio Ghibli・NDHDMTK

※2020年10月6日時点の情報です。

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