恋愛や結婚だけではない、自分の人生を切り開こうとするシスターフッドムービーの新境地『あのこは貴族』。本稿では、あらすじ・キャスト情報/公開時コメントの他、原作情報をご紹介します。
映画『あのこは貴族』(2021)あらすじ
東京に生まれ、箱入り娘として何不自由なく成長し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華子(門脇麦)。20代後半になり、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手立てを使い、お相手探しに奔走した結果、ハンサムで良家の生まれである弁護士・幸一郎(高良健吾)と出会う。幸一郎との結婚が決まり、順風満帆に思えたのだが……。一方、東京で働く美紀(水原希子)は富山生まれ。猛勉強の末に名門大学に入学し上京したが、学費が続かず、夜の世界で働くも中退。仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。幸一郎との大学の同期生であったことから、同じ東京で暮らしながら、別世界に生きる華子と出会うことになる。二人の人生が交錯した時、それぞれに思いもよらない世界が拓けていく……。
映画『あのこは貴族』キャスト
榛原華子/門脇麦
本作の主演は、NHK大河ドラマ第59作「麒麟がくる」で、長谷川博己演じる明智光秀に生涯にわたって影響を与えるヒロイン・駒役を好演している門脇麦。(画像左)門脇は都会に生まれ、婚活に余念がない箱入り娘の華子を演じる。
門脇麦コメント
この度、映画『あのこは貴族』で榛原華子役を演じさせて頂きました。
家柄の事、出身の学校、職業。
私達は無意識のうちに世間から、そして自ら自分の人生に線引きをし、それを全うすべく日々を過ごしている部分が少なからずあるのではないかと思います。この物語は、そんな窮屈さを感じながら生きる 2 人の女の子が、少しづつ自分を解き放っていくお話です。
『グッド・ストライプス』を観てから、いつかご一緒したいとずっと思っていた岨手監督。さり気ないト書き 1 行が監督の手によって、みるみるうちに胸をきゅっと掴まれるようなシーンに変わっていく様に何度も高揚しました。
皆様が映画館に足を運べる日常が、1 日でも早く訪れることを祈っています。
『あのこは貴族』がたくさんの方に届きますように。
時岡美紀/水原希子
女優だけでなく、モデル、デザイナーと多彩に活動し、常にその動向から目が離せない水原希子は、地方から上京し、自力で都会を生き抜く美紀を演じた。
水原希子コメント
この度、『あのこは貴族』で地方生まれの時岡美紀役を演じさせて頂く事になりました。
そして大好きな門脇麦さんをはじめとする素敵な共演者の方々に沢山刺激を受けながら共演させて頂けた事をとても嬉しく思います。初めて岨手監督とお会いした時、とても柔らかい印象。でも現場に入ると、明確に指導して下さり、全てのシーンにおいて、フラットにディスカッション出来た事、疑問や不安から解放してくれて、監督の包容力で等身大の自分として、素直な感情を制限なく自由に表現する事が出来たと思います。
この映画は境遇の全く違う 2 人が、自分らしく生きる事、自分にとって本当の幸せとはどういう事なんだろうと葛藤しながらも、悩みと変化の中で成長し、自立していく事でより自由になり解放されていく。29 歳、地方育ちの私にとって、とても共感の多い作品でした。女性のみならず、色んな方が自分で自分の人生を選択していく事の大切さに共感して頂ける作品になっていると思います。
青木幸一郎/高良健吾
奇しくも華子と美紀を繋ぐことになる弁護士役、青木を演じる高良健吾。
高良健吾コメント
それぞれの一生があり、そこにある当たり前のズレが、それぞれの一生に色を添えていて、すべてがひとつの生き方で、この役だからこそ思うことが多くありました。その加減を監督と話し合うことが多く、役としての立場を監督は包み込んでくれていたと思います。そして、感覚的な演出がいろんな気づきを与えてくれて楽しかったです。
当時、意識していたことを現場がアップしてから時間が経つにつれ、自分の中でより大きな意味を持っていることに驚いています。本当にいい経験をさせてもらいました。映画自体も時間がひとつのキーワードです。
わからない正解が多い中、この映画はいろんな今。が押し付けられることなく切り取られていると思います。
相良逸子/石橋静河
華子の学生時代からの友人でバイオリニスト役に石橋静河。
石橋静河コメント
今回、初めてプロのバイオリニストの役を演じることになり、短い期間でしたが猛特訓をして、肩がガチガチに凝りながらも、なんとか自分なりの精一杯を形にしました。お芝居の面では、門脇麦さんと水原希子さんという人間的にも素晴らしいお二人とご一緒できたことがとても嬉しかったです。ぜひ劇場でご覧ください!
平田里英/山下リオ
美紀の地元の友人で同じ名門大学に入学する平田役に山下リオ。
山下リオコメント
私は、日々生きていく中で、社会には見えないカーストがあるのでは?と思うことがあります。そして、その社会の目を気にしながら、自由に生きることは難しい。台詞の一言一言に共感し、そんな社会に生きる女性たちが、足掻きながらも成長し、逞しく生きていく姿に、いつしか私自身がリンクし、演じながら勇気をもらっていました。撮影中、岨手監督は、優しく背中を押し続けて下さいましたし、水原希子ちゃんとは、旧友のように居心地よくいさせて頂きました。あの一瞬一瞬が、すべて愛おしい時間です。ありのままの自分を抱きしめてあげたくなる映画になっているのでは。
是非、たくさんの方に観ていただきたいです。
映画『あのこは貴族』監督
監督は初のオリジナル⻑編作品『グッド・ストライプス』で、新藤兼人賞金賞を受賞した岨手由貴子。
岨手由貴子監督コメント
監督を務めた岨手由貴子です。『あのこは貴族』は出自も生きる階層も違う二人の女性が、これまでどんな風に生きてきて、これからの日本をどう生きるのかを描いた作品です。多くの選択肢が用意されているわけでもなく、器用にベストな選択ができるわけでもない。それでも自分の足で立ち、生きていく。そんな原作の持つスピリットを、素晴らしい俳優陣が血の通った物語に昇華してくれました。
タイプの違う二人の女性、「華子」と「美紀」を演じた門脇さんと水原さん。お二人は芝居や役柄へのアプローチも異なる、まさに“タイプの違う”役者さんでした。けれど、対峙するのではなく、お互いを認め、共存する。そうやって、それぞれのやり方で「華子」と「美紀」の人生を生き、体現してくれました。そんなお二人の在りようは、まるで劇中の彼女たちそのもので、初号試写のあと普通の女の子に戻って楽しくおしゃべりする姿に、とても幸福なキャスティングだったことを実感
させられました。
普通に生きることすら困難な時代だからこそ、これまで頑張ってきた自分を肯定してあげたくなるような、誰かにとっての特別な一作になることを願っています。ぜひ、多く方に見ていただきたいです。
映画『あのこは貴族』原作情報
原作は、映像業界が最も注目する山内マリコによる同名小説。
山内マリコ コメント
映画『あのこは貴族』、正直に言ってわたし、ものすごぉーく気に入ってます。2021年の日本映画の大収穫の一つなんじゃないかと。籠の鳥のようなヒロイン華子は、いつも安全なタクシーの中から、二度目のオリンピックを夢見て普請中の東京を眺めます。そして上京者という名の越境者であるもう一人のヒロイン美紀は、バッグを斜めがけにして自転車を漕ぐ。異なる階層に属する二人を岨手監督は、移動手段ひとつとっても映画的にアプローチしている。その演出力は本当に見事で、主役から傍役まで役者さんたちは誰もがその役柄を生きていて、命が吹き込まれるってこういうことかと唸りました。
深みのある映像、美術、衣装、音響、どれをとっても丁寧ないい仕事ばかり。映画を観るよろこびをビリビリ感じます。世襲され固定化した社会階層と、女性をしばる価値観。女同士を分断させてなるものかと橋をわたす、逸子の存在。原作に込めたメッセージを大事にしてくれているのは、監督の作家性とこの物語が、ちゃんと共鳴しているからにほかなりません。監督ありがとう。岨手監督に撮ってもらえて、とても幸せな作品となりました。
映画『あのこは貴族』予告編
映画『あのこは貴族』作品情報
公開日:2021年2月26日
監督・脚本:岨手由貴子
原作:山内マリコ「あのこは貴族」(集英社文庫刊)
配給:東京テアトル/バンダイナムコアーツ
(C) 山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会
公式サイト: anokohakizoku-movie.com
公式Twitter&公式Instagram:aristocrats0226
※2022年10月27日時点での情報です。