今年、映画ファンが最も盛り上がった作品とは?2020年公開作品の中から話題作をおさらい「パラサイト」から「TENET」まで10本

『パラサイト 半地下の家族』『ミッドサマー』『TENET テネット』など、Filmarksで話題を集めた2020年公開作を10本まとめて紹介。

様々な出来事があった2020年。映画業界もその波をモロに受け、数々の困難が起きました。そんな中でもたくさんの名作が公開され、勇気付けられた映画ファンも多いのではないでしょうか。そこで今回は、2020年話題作を公開順で総おさらいします。まだ観ていない作品があれば、年末の鑑賞リストに加えてみるのはどうでしょうか。

パラサイト 半地下の家族』(2019)

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。長男ギウ(チェ・ウシク)は、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。そして兄に続き、妹のギジョン(パク・ソダム)も豪邸に足を踏み入れる。この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく……。

本作はアカデミー賞で、外国語映画としてははじめてとなる作品賞を受賞し、映画ファンを大いに湧かせました。Netflixオリジナル『愛の不時着』や『梨泰院クラス』なども大いに話題になった今年は、韓国映画・ドラマの魅力に気づいた人も多かったのではないでしょうか。

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ミッドサマー』(2019)

家族を不慮の事故で失ったダニー(フローレンス・ピュー)は、大学で民俗学を研究する恋人や友人と5人でスウェーデンの奥地で開かれる“90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖、それは想像を絶する悪夢の始まりだった……。

「明るいことが、おそろしい」のキャッチコピーで公開前から大いに話題になった本作。ホラー映画のフォーマットに留まらない斬新なストーリーテリングで、鬼才アリ・アスターの才能に酔いしれました。監督はしばらくホラージャンルからは離れて、次作はコメディ映画を撮るそう。

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 『初恋』(2020)

天涯孤独ながら希有な才能を持つプロボクサーの葛城レオ(窪田正孝)が、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫し、試合後の診察で余命いくばくも無い病に侵されていることを知る。 そんな時に、刑事・大伴(大森南朋)に追われていた少女モニカ(小西桜子)を助ける。ヤクザと大伴から追われる身となったレオだが、モニカと自らの境遇が重なる部分もあり、どうせ短い命ならと半ばやけくそで彼女を救おうと決意する……。

近年の日本映画ではなかなか珍しいほど吹っ切れた作品で、三池崇史監督だからこそ撮れた作品。窪田正孝をはじめとしたキャストが素晴らしい演技を披露していて、鑑賞後は元気をもらえる、ヤクザ映画史に残る傑作。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)

情熱家で、自分を曲げられないため周りとぶつかってばかりの次女ジョー(シアーシャ・ローナン)は、小説家を目指し、執筆に励む日々。自分とは正反対の控えめで美しい姉メグ(エマ・ワトソン)が大好きで、病弱な妹ベス(エリザ・スカレン)を我が子のように溺愛するが、オシャレにしか興味がない美人の妹エイミー(フローレンス・ピュー)とはケンカが絶えない。この個性豊かな姉妹の中で、ジョーは小説家としての成功を夢見ている。ある日ジョーは、資産家のローレンス家の一人息子であるローリー(ティモシー・シャラメ)にダンス・パーティで出会う。ローリーの飾らない性格に、徐々に心惹かれていくジョーだった……。

シアーシャ・ローナンやエマ・ワトソン、ティモシー・シャラメをはじめとした豪華すぎるキャストが集結した本作。誕生から150年以上愛されてきた「若草物語」を、『レディ・バード』で知られ、マンブルコアの中心人物であるグレタ・ガーウィグが現代の価値観に合わせてアップデート。四姉妹の生き方が多くの人の共感を呼びました。

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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019)

成績優秀な優等生であることを誇っていた親友同士のエイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)。しかし、卒業前夜、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知り自信喪失。二人は失った時間を取り戻すべく卒業パーティーに乗り込むことを決意する。果たして、二人を待ち受ける怒涛の一夜の冒険とは……。

「こんな学園コメディ待ってた!」と多くの人が賞賛した本作。価値観が多様化するZ世代の若者を描き、 あらゆるマイノリティを肯定した世界観を提示した。

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mid90s ミッドナインティーズ』(2018)

1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィー(サニー・スリッチ)は兄のイアン(ルーカス・ヘッジズ)、⺟のダブニー(キャサリン・ウォーターストーン)と暮らしている。⼩柄なスティーヴィーは⼒の強い兄に全く⻭が⽴たず、早く⼤きくなって彼を⾒返してやりたいと願っていた。そんなある⽇、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出⼊りする少年たちと知り合う。彼らは驚くほど⾃由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが……。

A24製作らしい洗練されておしゃれな世界観の本作。90年代カルチャー愛がいたるところに詰め込まれ、公開後は有名ブランドでコラボアイテムが発売後すぐ完売するなど、作品に留まらない影響を与えた。ちなみにA24による2020年公開作は、他に『ミッドサマー』『WAVES/ウェイブス』『ウェアウェル』などがある。

TENET テネット』(2020)

主人公に課せられたミッションは、人類がずっと信じ続けてきた現在から未来に進む“時間のルール”から脱出すること。 時間に隠された衝撃の秘密を解き明かし、第三次世界大戦を止めるのだ。 ミッションのキーワードは「TENET(テネット)」。 突然、国家を揺るがす巨大な任務に巻き込まれた名もなき男(ジョン・デイビット・ワシントン)とその相棒(ロバート・パティンソン)は、任務を遂行する事が出来るのか……。

コロナウイルスによる影響で、来年まで公開延期の選択をする大作が多い中で、何とか公開までこぎつけ、多くの人に勇気を与えた本作。「記憶」「時間」「逆行」などのクリストファー・ノーラン節を本作でも遺憾無く発揮し、その難解なストーリーは多くの観客が複数回鑑賞したいと思わせるほどでした。

ミッドナイトスワン』(2020)

故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙(草彅剛)。ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果(服部樹咲)を預かることに。常に片隅に追いやられてきた凪沙と、孤独の中で生きてきた一果。理解しあえるはずもない二人が出会った時、かつてなかった感情が芽生え始める……。

新しい地図のメンバーとして、活躍の幅を広げる草彅剛の演技と、“生きづらさ”という主題は多くの観客の心を掴みました。本作は、公開から3ヶ月が経った現在(2020年12月27日)でも勢いが衰えることなく、ロングランを記録しています。

 『82年生まれ、キム・ジヨン』(2019)

結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン(チョン・ユミ)。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。「疲れているだけ、大丈夫」。そう夫のデヒョン(コン・ユ)にも自分にも言い聞かせる彼女だったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をとるようになる。その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず、ひとり精神科医に相談に行くが、本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう……。

韓国で出版され、日本でも大ヒットを記録したフェミニズム小説の映画化である本作は、「結婚する前に恋人と観たい」という感想が見られるなど、男女間で考え方が変わりがちな“育児・出産”というイベントのジェンダーバランスの悪さと、女性の生きづらさを描いていて、正に今観てほしい一作。人気俳優コン・ユ、3年ぶりの復帰作としても話題になりました。

 『スパイの妻』(2020年)

1940年。満州で偶然、恐ろしい国家機密を知ってしまった優作(高橋一生)は、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子(蒼井優)は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく……。

日本人としては歴代3人目となる、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した黒沢清監督による話題作。『回路』『CURE キュア』を生み出してきた彼らしい、一筋縄ではいかない歴史ミステリーになっている。

※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」のデータに基づいてセレクトしたものです。

※2020年12月27日時点のVOD配信情報です。

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