【60作以上から厳選】映画人・染谷将太の魅力を紐解く9作品

2016.09.03
映画

映画デートでモメてみたいショタコン文筆家

martha

本日9月3日は、今や日本の映画界に欠かせない存在となった俳優”染谷将太”の誕生日だ。

子役として7歳でデビューした彼は、今年で24歳。若手俳優と言っても、芸歴は17年。2011年には若干18歳で園子温監督作品『ヒミズ』に出演し、日本人で初めてヴェネチィア国際映画祭・最優秀新人賞を受賞。二階堂ふみと共に、その名を世界に知らしめた。

白く透き通った肌や大きな目、笑ったときの可愛い表情からは想像出来ないほど迫力のある存在感で、演じるキャラクターに寄って様々な色を見せる。2015年の快進撃は特に凄まじく、1年で何と10作品に出演。

そこで本日は、そんな染谷のカメレオンっぷりが楽しめる作品を、近年公開のものから中心に紹介したい。
(60作品以上あるので選ぶのが本当に大変だった・・・。)

まずはヒット作から!

『寄生獣』(2014)

恐らく染谷将太と名前を聞いてピンと来ない方も、このタイトルを聞けば顔が思い浮かぶであろう大作にして、ヒット作。『寄生獣』(2014)は後に、完結編も公開された。


寄生獣

(C)映画「寄生獣」製作委員会

この映画、とてもよくできていたと言うと偉そうに聞こえるかもしれないが、前編・後編ともに染谷将太のビジュアル面の魅力、演技面での魅力が存分に楽しめる映画になっている。

ちょっと冴えない普通の高校生役はファンとしてはありがたいキャラクターの一つであり、高校生の可愛い表情から一変、右手に寄生したミギーと共生していくうちに人間の心を失っていく様子はさすがと言える。深津絵里の演技や、橋本愛とのピュアなラブストーリーも見どころだった。

山崎貴監督作品には、『ALWAYS 三丁目の夕日’64』『永遠の0』、今冬に公開される『海賊とよばれた男』にも出演している。

園子温と染谷将太

『ヒミズ』(2011)

冒頭でも紹介した『ヒミズ』(2011)では、15歳の中学3年生を演じている。学ラン姿がまだあどけない染谷は当時18歳。園子温監督のファンであった染谷が、念願の園作品に初出演し主役を務め、世界でも注目を浴びた問題作であり名作だ。


ヒミズ

この作品は2011年の東日本大震災直後、被災地で撮影された。親に捨てられ、ただ平凡に生きることを夢見る少年・住田を染谷が、それを救おうともがく同級生の茶沢を二階堂ふみが演じた。

「立派な大人になるんだ!」「住田、頑張れ!」

顔中に絵の具を塗りたくり、茶沢と殴りあったりと一見奇行にしか見えない彼らの叫びは、目を伏せようとしてもそれを観ずにはいられない。目に入れるのは痛いけれど、見逃すのは駄目な気がした。

園監督が台本に走り書きしていた言葉を、メイキング映像で知ることができる。「叫べ若者よ 礼儀正しく生きたっていつか死ぬんだぜ」。若い二人は、見事にその言葉を映画に変身させている。石川啄木の詩、塩っぽいキス、私たちは園子温の手によって、これから映画界に起こる奇跡を見た。

『映画みんな!エスパーだよ!』(2015)

そんな監督が、『映画みんな!エスパーだよ!』(2015)では、本気で、全力でふざけている・・・。(と、個人的には思っている。)


エスパー2

(C)若杉公徳・講談社/映画「みんな!エスパーだよ!」製作委員会

真野恵里菜や、池田エライザなど可愛い子ちゃん達のパンチラやセクシーショットももちろん楽しんで欲しい作品だが、愛知県豊川市の三河弁を話す染谷がとかくキュート。「愛してるにっ!」の「にっ!」が特に最高!揺るぎない童貞感は、何処からにじみ出るのだろうと不思議に思うが、それも彼が醸し出す魅力の一つ。

ドラマ版で「僕が、世界を救うんだー!」と自転車を投げ捨てて走るダサい彼もぜひ観て欲しい。それにしても、染谷将太はよく叫ぶ・・・。

少年から大人へ

『WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常』(2014)

ウッジョブ

(c)2014「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜」製作委員会

頼りなさやバカっぷり、真っ直ぐな純粋さが眩しいWOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常』(2014)は、能天気で目標もない18歳が、林業やそれを仕事にして命懸けで働く人たちに魅せられ、成長していく青春映画。童貞感は、エスパーだよ!の時よりも強い気がする。

女の子からの電話に喜んだり、お尻をヒルに噛まれておじさん達に下半身すっぽんぽんにされたりと、あまり見たことのない染谷将太を味わえるのでオススメしたい。トラックの荷台に乗って歌う彼には、なんだかとても癒される。

学生役から抜け出し大人になった染谷将太は、色っぽさにいっそう磨きがかかる。

『さよなら歌舞伎町』(2015)

歌舞伎町

(C)2014「さよなら歌舞伎町」製作委員会

『さよなら歌舞伎町』(2015)では、歯磨きをしながら同棲中の彼女(前田敦子)といちゃいちゃしたり、自転車で彼女を送ったりする普通の彼氏を演じる。

誰にでも嘘はある。人に言えない秘密を抱え、またそれは大事な人にだからこそ言えずに嘘を重ねていく。染谷演じる徹は、妹がアダルトビデオに出演していることを知っても声色は変えない。ミュージシャンを目指す彼女が、枕営業を強いられても止めることはしない。

でも傷つくことを恐れ、見たくないものを避けて生きていても、何も生まれないことに彼らは気付いていく。長いふわふわな前髪から覗く徹の目は、まだ死んでなんかいないのだ。

”バカ”でも色っぽい

『ドライブイン蒲生』(2014)

どこにでもいそうな、ラフな格好でダラダラと過ごす少年を演じた『ドライブイン蒲生』(2014)

蒲生

(C)2014 伊藤たかみ/キングレコード株式会社

バカ一家と呼ばれる錆びたドライブインを営む蒲生家の長男、蒲生俊也。通称トシ。中途半端な短ランとボンタンはダサいが、彼が着るとそれも有りかな、と思わせる。寡黙なわけではなく無口な役立たずの弟。尖った姉を優しく、でも力強く見守る表情が印象的だ。

サントラは記憶する中ではほぼ一曲のみ。こちらの気持ちまで弾いてくるようで何だか懐かしい切なさが込み上げる。トシのふてくされたような口元が、姉や友達の前でだけキュッと上がり、弾けるような笑顔に変わると安心した。不器用を象徴する様なダサいダンスが愛しい。また会いたい、と思うキャラクターの一人である。

はみ出し者の気高さ

『ソレダケ that’s it』(2015)

白と黒の染谷将太が、爆音と共にスクリーンに登場するソレダケ that’s it』(2015)

それだけ

 (C)2015 soredake film partners. All Rights Reserved.

石井岳龍監督が今は亡きブッチャーズのリーダー・吉村秀樹との約束を果たすべく制作した話題作。モノクロの画面の中、染谷が白い服を着て走る場面から始まる。鬼気迫る空気感と、爆音上映の鼓膜を震わす音楽に鳥肌が立つオープニングだ。

雑居ビルの中で暮らすホームレスの大黒は、自身の戸籍を取り戻し、太陽の昇る世界へ這い上がるため必死にもがいている。ヒロインを演じた水野絵梨奈の、鍛えあげた筋肉質な体や安定感のあるアクションも素敵だった。

正直、めちゃくちゃで宗教的な雰囲気もある本作。鑑賞1回目は頭が理解しようと必死だったが、2回目は純粋にその格好良さを堪能することができた。『ヒミズ』と被るような、絶望感が漂う作品でもあるが、染谷将太の成長と果てしない可能性を感じることができる。

『ノラ』(2010)

『ノラ』(2010)は、大庭功睦監督の自主制作映画。

数々の賞を受賞したインディーズ作品にして、染谷将太の代表作品であるとも言える。その後の役に繋がっているような気がしてならない本作。

ノラ

(C)大庭功睦

傷だらけの少年・幸雄は父のところへ復讐に向かう。恐怖や怯え、過去の記憶に首を絞められ生きる少年は体や心を引きつらせて生きる。まるで幸雄が乗り移ったような染谷の演技は圧巻だ。

幸雄と根気強く向かい合う、
三原康可演じる繁もとても良かった。しんどい1時間15分だが、黒く暗い若さの爆発を観ておくべきだろう。

ぜんぶシカのせいなんだ

『ディアーディアー』(2015)

ブラックでニヒル、ちょっと気持ち悪い染谷将太を味わえるのが昨年公開された『ディアーディアー』(2015)

ディアー

本人と交流の深い菊地健雄監督の、長編監督としての待望のデビュー作。栃木県足利市を舞台に、田舎に縛られる兄や、田舎を捨てた妹、全部人のせいにする次男。それぞれの抱える問題や孤独がぶつかる時、観客席は何とも言えない爽快感に包まれた。

染谷は近所にある大きな寺の息子を演じている。その寺を中心とした、田舎の厄介な縛りや人間関係に悩まされる長男・冨士夫を、口先で操り見下すロクでもない息子。染谷の普段の雰囲気からはかけ離れた嫌味な奴だ。そして問題の木魚殴打シーンには、思わず吹き出さずにはいられない。

配役が絶妙で、どのキャラクターにもリアル感があり本当の田舎の三兄妹を見ている気分にもなるが、中村ゆり演じる妹の少女感の抜けない反抗的な色っぽさは見ものだった。そしてその魅力を、使えるだけ使ってやる!となり振り構わない様子は、すごく痛かった。

男を振り回して女友達に嫌われるのも、父親の葬儀で話がまとまらないのも、全部シカのせいだったらいいのに・・・。

三兄妹が幼い頃に見たリョウモウジカは、森の神様だったのかもしれない。忘れていた、忘れようとしていた子供の頃を3人が思い出しお互いに向き合う時、神様はそっと姿を現し、穏やかに解放してくれる。

映画人・染谷将太 

本人も大の映画ファン故、多数の監督との交流を通し積極的に作品作りに参加している。2013年には『シミラー バット ディファレント』で監督としてもデビューを果たした。その才能は演技だけにとどまらないが、新しい出演作品が発表される度に、若き天才俳優はいつも期待以上のものを届けてくれる

何よりも演じている染谷自身が作品作りを楽しみ、それを愛しているからこそ、彼が出演している作品は安心して鑑賞することができるのではないか。今後はどんな出演作品を選ぶのか、どの監督と組み映画を作り出していくのか、映画人・染谷将太から目が離せない。

また、2015年の元旦に日本のみならずハリウッドでも活躍する女優、菊地凛子との結婚を発表。夫や父親としての彼の顔にも、注目していきたいところだ。

では、改めて・・・「染谷くん、24歳おめでとう!」

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  • 地獄の助次郎
    3.5
    綾野ユニコーン剛
  • まみ
    -
    記録
  • koocky
    -
    ソッコー観るのやめた。 超ダサい。 観る価値なし。 石井岳龍よ、これは引退勧告ものだぞ。
  • 岡田拓朗
    3.7
    ソレダケ that's it はじめて逃げない俺が生まれるんだ。 行くんだよ、その先に。 物凄くぶっ飛んだ熱量のある石井岳龍っぽい作品。 でもその中にしっかりと軸がある。 まさに「パンク×映画」というのがぴったり! この世界観は彼にしか作れないと思う。 戸籍を奪われて超絶アンダーグランドな生活から抜け出せずにもがきながら生きる大黒(染谷将太)が、裏社会の調達屋大吉(渋川清彦)のコインロッカーを破壊し、予期せずにたくさんの戸籍の入ったハードディスクを入手することになる。 そのことに気づいた大吉は大黒を追い、監禁し、そこで大黒が南無阿弥(水野絵梨奈)と再会し、一緒に何とか脱出し、ダークサイドに生きる猪神(村上淳)に助けを請うがうまくいかずに、極悪ギャング千手(綾野剛)率いる闇組織に、拷問され海に放り出される。 過去が暴かれた大黒は、自身の復讐の矛先であった父親がすでに殺されていることを知り、そもそも人を搾取して陥れている千手に怒りの矛先を変えることとなる。 そもそもアンダーグランドな世界の中でも特に底辺な中でもがいていた弱き大黒が、大きな闇組織に歯向かおうとする時点で止めに入ろうとするのは言うまでもない。 それでも良くも悪くも頭が悪く怖いものなしの大黒は聞く耳持たずで千手を殺す決意をし、行動に移すのである。 殺したいやつを殺すというよりも、殺すべきやつを殺すという一種の正義感が爆発しまくっている。 その背景には、当たり前の普通の生活(健康で文化的な最低限度以上の生活)が戸籍を奪われたことでできずに、その中心にいるものへの反骨心からくるものか。 または、千手を殺さないと前に進めない(普通の生活を取り戻せない)のもあるのだろうか。 どちらにせよ、自らの命の危険を晒してまでも殺しにかかろうとするのは相当の思い入れがあるかぶっ飛んでるかであることはわかる。 それ以外の誰もにとっても、千手を殺すことはたったソレダケのこと。 それだけに見えてもそれほどに彼らにとっては重要なことである。 結局全員で殺しにかかりに行くことになる。 理解するのは難しい。 こんな生活を自分自身が送っていないし、どこか遠くすぎる世界のように思えるから。 でも裏社会では本当にあり得る世界なのかもしれないとも思える。 石井岳龍の中には、鬱々とした殺すべきだと思っているやつがいるのだろうか。 現実世界で殺すのはさすがに無理だから、表現としてこのような作品を作ったのだろうか。 石井岳龍のこれまでの人生ってどんなものがあったのか背景も知りたくなる。 それほどにアンダーグランドな世界への反骨心がむき出しのパンクな映画。 背景の爆音の音楽がさらにその世界の表現を助長していた。 表現の形は人それぞれ違うけど、並ならぬ反骨心から生まれるアートは人の心を動かし、瞬く間に広がっていく。 ピストルズやクラッシュなどのパンクロックがそうであったように。しかもずっと残っていく。 このような生活を送ってる人の数が多ければ、今作ももっと広がっていたのかもしれない。 P.S. それこそ染谷将太、綾野剛と今を彩る俳優陣が今作に出ている意味はとてもなく大きな気がする。 渋川清彦と村上淳もいい味出しすぎてる! 村上淳は今まで見た彼の演技の中で、今作が間違いなく個人的にはベストアクト作品。
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「ソレダケ that’s it」
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