9月10日、ミシェル・ゴンドリー監督作品『グッバイ、サマー』が公開されました。
誰もが通過する青春の多感なひと時を描いた今作は、ちょっぴり切なく、みずみずしい作品となっています。
監督自身の自伝的作品と言われる今作、14歳の少年二人の青春ストーリー。
(C) Partizan Films- Studiocanal 2015
中学生のダニエルは、ひ弱な見た目からクラスでも浮いた存在。家に帰っても理解者はいないという、憂鬱な日々を過ごしていました。
そんなダニエルは、改造オタクで変わり者の転校生テオと出会い意気投合し、親友となります。
周りの友人からは理解されず、型にはめようとする大人たちやつまらない毎日から脱出するため、二人は廃材を使った自作の車で旅に出るのです。
一夏の大冒険で二人が感じるものとは何なのか…。
独創的なイマジネーション! ファンタジーとリアルが融合した映像表現
ミシェル・ゴンドリーといえば、自らデザイン、製作したセットや美術を用いた映像表現を得意とし、その作品はファンタジーとリアルが見事に融合した独特の世界観が特徴的です。
彼は美術学校を卒業後、自身のバンドのPVを制作していたところ、それがビョークの目に留まり、彼女のプロモーションビデオや作品の映像を制作する事となりました。
その後はザ・ローリング・ストーンズ、ケミカルブラザーズ、ダフト・パンクなど、名だたる有名アーティストの作品を数多く手がけています。
次々と生み出されるその独創的な映像表現はたちまち評判となり、リーバイスやコカ・コーラ、ナイキ、そのほか世界的有名ブランドのCM制作も手がけ、数々の賞を受賞しています。
彼の作品の特徴は、遠近法や鏡、ストップモーション、逆再生を利用したシンプルなトリックが独自に組み合わせられていること。その映像表現は、鑑賞者をあっという間に幻想の世界に引き込んでしまいます。
彼自身が企画した映像制作ワークショップや展示会は世界各国で開催されており、2014年には東京都現代美術館にてミシェル・ゴンドリーの世界観を表現した展示が開催されました。このように、日本でも大変注目される気鋭の映画監督であり、脚本家であり、映像作家なのです!
ミシェル・ゴンドリー監督の過去オススメ作品
ほぼ全ての作品において原案や脚本も手がけるミシェル・ゴンドリーですが、その中から筆者オススメの2作品を紹介します。
『エターナル・サンシャイン』
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2004年制作、日本では2005年に公開の作品でミシェル・ゴンドリー、チャーリー・カウフマン、ピエール・ビスマスが脚本を手がけ、アカデミー賞脚本賞を受賞しました。
「記憶除去手術」を受けた、男女の記憶と恋愛がテーマになった本作。
・意識上の世界と脳内記憶の世界で起こる出来事の描き分け
・DVDのパッケージにもなっている、主人公の二人が記憶の中で思い出の場所に寝転ぶロマンチックなシーン
・記憶の中での追いかけっこのシーン
などファンタジーと現実の狭間で描かれる不思議な映像表現がとても印象的です。
切ないラブロマンスとSFが融合したこれまでに無い設定と、結末に向かって徐々にわかる二人の真実がミシェル・ゴンドリーの不思議な映像表現と合わさり、何度も観たくなる作品です。
『ムード・インディゴ』
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2006年に制作され、日本では2013年に公開された本作は、彼自身がこだわり抜いた「手作り」の映像表現を存分に堪能できる内容となっています。
二人の男女が辿る、甘く切ない人生の移ろいが描かれているのですが、話が進むに連れて曖昧になる現実と幻想の世界が見事に映像化され、鑑賞者はこれでもかというほどに人間の手によって創作された不思議な映像世界に引きずり込まれるでしょう。
彼の脳内世界をスクリーンに描ききったような本作は一見の価値有りです。
『グッバイ、サマー』でダニエルの母親役を演じるオドレイ・トトゥが主演を務めており、彼女の魅力溢れる演技にも注目して欲しいです。
9月10日公開!『グッバイ、サマー』
もちろんこちらも監督自らが脚本を執筆していますが、これまでよりもファンタジー要素は薄めで現実味のある作風となっています。
冒頭にも記載した通り、今作は監督自身の自伝的なお話です。
幼い頃からものつくりに夢中だったミシェル・ゴンドリー。今では世界を代表する映像作家、映画監督となった彼が、少年時代何に影響を受け、どんな事を考えていたのか…。
今作を通じて、ミシェル・ゴンドリーがこれまで生み出した数々の映像作品の原点を感じられるかもしれません。
是非劇場に足を運んでみてくださいね。
(C) Partizan Films- Studiocanal 2015
※2022年7月10日時点のVOD配信情報です。