TOKYO MXの人気バラエティ番組「バラいろダンディ」で、玉袋筋太郎(以下:玉さん)&RHYMESTER 宇多丸(以下:宇多さん)の映画好きコンビが、月に一度とっておきの映画を解説するコーナー「水曜バラいろショー」
10月のテーマは「魔性の女映画」。男をあざむき、手玉に取る美女が出てくる映画といえば?
祝コーナー1周年!Filmarks映画ランキング初登場
玉:このコーナーが始まってなんと1年が経ちました!
宇多:お花もいただいて、ありがとうございます。こちらが本日をもっての(我々の)降板記念でないことを祈りつつ、いってみましょうかね!(笑)
玉:今日のテーマはこちら!「魔性の女映画」。
宇多:魔性の女を「ファム・ファタール」なんて呼ぶんですよ。運命の女というね。いわゆるフィルム・ノワールという犯罪映画のジャンルがございまして、そちらに出てくるような魔性の女といえば、世の中の皆さんはどんな映画を思い浮かべるのか。TSUTAYAさんがオススメする国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」によるランキング。見てみましょうこちらです!
「魔性の女映画」Filmarksランキング TOP15
1位:『サンセット大通り』(1950年/アメリカ)《グロリア・スワンソン》
2位:『ゴーン・ガール』(2014年/アメリカ)《ロザムンド・パイク》
3位:『深夜の告白』(1944年/アメリカ)《バーバラ・スタンウィック》
4位:『エヴァの匂い』(1962年/フランス)《ジャンヌ・モロー》
5位:『(500)日のサマー』(2009年/アメリカ)《ズーイー・デシャネル》
6位:『バウンド』(1996年/アメリカ)《ジェニファー・ティリー》
7位:『暗くなるまでこの恋を』(1969年/フランス)《カトリーヌ・ドヌーヴ》
8位:『モテキ』(2011年/日本)《長澤まさみ》
9位:『蜘蛛女』(1993年/アメリカ)《レナ・オリン》
10位:『ロリータ』(1961年/イギリス)《スー・リオン》
11位:『白いドレスの女』(1981年/アメリカ)《キャスリーン・ターナー》
12位:『氷の微笑』(1992年/アメリカ)《シャロン・ストーン》
13位:『イニシエーション・ラブ』(2015年/日本)《前田敦子》
14位:『ファム・ファタール』(2002年フランス/アメリカ)《レベッカ・ローミン》
15位:『白夜行』(2010年/日本)《堀北真希》
宇多:やっぱね、映画好きが集まるサービスだけあって、きっちりシブい。ちゃんと1位が『サンセット大通り』とかね、3位に『深夜の告白』、4位に『エヴァの匂い』なんていうね。
玉:おー!
宇多:フィルム・ノワールの正当派なものもちゃんと入ってる。2位に入った、割と新しめのね『ゴーン・ガール』なんかも傑作だし。
玉:『モテキ』も8位に入ってるね。
宇多:あれもまぁ、振り回されるっていうことかもしれませんね、長澤まさみさんにね。
玉:11位の『白いドレスの女』っつうのはいい!最高だなこれ。
宇多:80年代フィルム・ノワールの傑作ですね。90年代といえば『氷の微笑』(12位)とかね。さて、私が本日おすすめする魔性の女映画はこちら!
『マジカル・ガール』(2014)
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宇多:架空の日本のTVアニメに憧れる少女をめぐる物語を描いた、こちらの『マジカル・ガール』という作品。私のおすすめするポイントはこちらでございます。
宇多:運命を変えてしまう女が出てきて、どんどんどんどん男が闇の中に入り込んでいってしまうようなジャンルの新たな傑作が誕生した、ということでございます。スペイン映画です。監督はカルロス・ベルムトさん、新人の方ですね。
(『マジカル・ガール』の映像を観ながら)
宇多:女の子が病気なんです。で、お父さんもいて。この女の子は日本の魔法少女アニメみたいなものに憧れていて。娘が余命いくばくもないということを知ったお父さんがですね、娘に魔法少女の衣装を買ってあげたいんですけど高いわけですね。
宇多:さあどうしよう、お金もないし困った。娘の願いを叶えてあげたいと。ついに泥棒をしてしまおうとする。
玉:やめろっ!
宇多:その瞬間に上から何か落ちてきた!
玉:えっ!
宇多:ということで、上に住んでいた、ちょっと変わったバルバラという美女とお父さんが知り合うわけですね。そしてこのバルバラという美女と肉体関係をもってしまう。それをきっかけにお父さんがこのバルバラさんを恐喝し始めるわけですよ。お金をせびり取ろうとするという。
玉:わっ、楽しそう!
宇多:このバルバラは元々どうやら売春とかをしていたのか、謎の売春組織にもう一回戻ってきて、SMプレイ的な…
玉:えー!
宇多:SMプレイ的と思われる!思われる仕事で一気に大金を稼ごうとする。
玉:あらぁ。
宇多:お父さんは金を恐喝して、娘思いではいるけれども、ひどい方法ではあるけれどもお金を稼ぎましたよ。で、娘に衣装を買ってあげるんだけど、なんかあんまり喜んでいないなと思ったら、まだ(魔法の)ステッキがあった!と。で、このステッキがまたさらに高いということが判明して、もう一回恐喝をしようとする。
玉:うんうん。
宇多:さぁそれでバルバラさん2度も恐喝されちゃって、さあ困ったというところで、バルバラの中学時代の教師で、実はバルバラとかつて何か因縁があったと思われるダミアンという老人が出てきてから、さらに話が二転三転していくんですが、これ以上は明かせない!ということで。
玉:うわーダミアンが出てくるのかぁ。
宇多:まさに悪魔の子ダミアンという名前が出てくるくらい。ほんとに二転三転するストーリーで、話が読めないんですけどね。で、この『マジカル・ガール』の何がオススメかと言いますと、こういうことだと思うんです。
宇多:「直接的な描写はなんにもないのにものすごく禍々しいことが起きてる」ってのがわかるわけです。脅迫されたバルバラさんは、男の人にある意味で傷つけられ、虐げられてきた人なんですよ。で、SM的な方法でお金を稼ぐ。その仕事がどんなかというとね、売春組織の元締めと相談する場面が面白いのでご覧ください。
玉:オプションとか入れるのかな。
(映像を観ながら)
宇多:元締めはアダというきれいな人なんですけど。(バルバラは)“挿入なし” “1日で終える”とか、いろいろ条件をつける。そうするとアダは、条件は限られてくるわよと。で、怪しい男がいる家があるんだけど行ってみる?と。ここ観るだけで「え、どんなプレイが行われるの!?」っていう感じがしますよね。そしてバルバラさん、おそらくカタギじゃないその男の家に行く。
玉:変態だな。
宇多:で、「ブリキ」って言葉がパスワードになっていて、どうしてもプレイに耐えきれなくなった時はブリキと言えと。でも、大抵の人はブリキって言葉を言うのも忘れちゃうからちゃんと覚えておけよと(その男が言う)。
宇多:よく見ると、バルバラさん実はカラダが傷だらけなんです。そして、その奥の部屋に行ってプレイをする。一瞬映りましたけど、部屋の上のところに黒トカゲのマークが付いている。
玉:あったあった!
宇多:最後にこのバルバラさん、黒トカゲの部屋に入ってプレイをする。そうするとみんな、海千山千のやり手のアダも「絶対やめろ!」と止める。でも、(バルバラは)その黒トカゲの部屋に入る。この黒トカゲっていうのは、まさに江戸川乱歩の「黒蜥蜴」のオマージュなんですよ。
玉:ほぉー。
宇多:エンディングで美輪明宏さんの「黒蜥蜴のテーマ」が流れるんです。
玉:へぇー!
宇多:で、その歌詞がまさにファム・ファタール宣言というかですね、歌詞もバッチり合っていたりして。この監督、ものすごい日本通なんですよ。江戸川乱歩マニアだったりなんかして。ということで『マジカル・ガール』、大傑作だと思いますのでぜひご覧ください!
日本の芸能界にも数々のファム・ファタールが!?
「魔性の女はね、映画の世界だけじゃないんですよ。日本の芸能界にもたくさんいます」と語り始めた玉さんが用意したミニコーナーが「これぞ魔性の女!男が寝れ9(ナイン)!!」。9人の魔性の女ランキングを紹介。宇多さんも「ファム・ファタール感あるな!」と思わずツッコんだ大物女優・大物歌手とそのエピソードの数々。1位は「色々ありました…」というネタで、一番魔性なのはあの男…!? と宇多さんが締めたところで、次回のテーマ発表!
次回11月放送は「モテ男映画」特集
宇多:魔性の女に続いて、今度はプレイボーイの世界!
玉:男にモテる男かもしれないしね(笑)
玉・宇多:以上、水曜バラいろショーでしたーー!!
■オトナの夜のワイドショー!「バラいろダンディ」番組公式サイト
(月〜金曜日 21:00〜21:55放送)
水曜バラいろショー過去放送分 書き起こし
- 宇多丸おすすめのフィルム・ノワール新傑作『マジカル・ガール』
- 男性必見!悲哀なプレイボーを描いた名作『カサノバ』
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※2021年5月31日時点のVOD配信情報です。