『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』あらすじ&魅力徹底解説!“破”の名は伊達じゃない!?旧来ファンも驚かせる展開へ突入…?【ネタバレあり】

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ネジムラ89

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』あらすじ&魅力を徹底解説!旧来ファンも楽しめる展開への突入…ネタバレありで紹介。

2009年に劇場公開を果たし、エヴァンゲリオンの新劇場版シリーズの物語に大きく方向転換を促す役目を担ったのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の物語を踏襲しながらも所々、アレンジや従来なかった展開を迎え、続く続編に思わぬバトンタッチをする作品となりました。

今回はそんなヱヴァンゲリヲン新劇場版:破のTV版を踏まえた本作の魅力をネタバレ有りで解説してまいります。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)のあらすじ

EVAのパイロットとして度重なる激闘を経てきたシンジは、父ゲンドウと共に亡き母の墓参りに訪れていた。そんな帰路の途中、シンジやミサトは海上に第7の使徒が出現するのを目撃する。急いで基地に戻ろうとするシンジたちだったが、それに先駆けて赤いEVAがたちまちにEVAの撃退をしてしまうのだった。

そんんあEVAのパイロットとして現れたのが、式波・アスカ・ラングレー。シンジはアスカの強気な性格に圧倒されてしまうのだが、彼女もミサトと同居することになり、同じ中学校に通うことになるのだった。

思いもよらぬ共同生活の始まりに戸惑うシンジだったが、次第に二人の仲は親密になっていく……。

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※以下、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のネタバレを含みます。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』とはどんな作品なのか?

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のTV版と同じく、TV放送のルールに従った色彩の調整などが施されるなど独自のバージョンとなっています。

一口にTV版と言っても、実は決まった映像を指しているわけではなく、実はTV版にも放送毎に調整がされていたりするので複数のバージョンが存在します。以前TV放送されたものを録画してある人は、後に放送されたものと比較してみると面白いですし、今後のTV放送される際も、新たなバージョンのものとして調整が施されていることは大いにあり得ます。

謎のメガネの少女の登場

そんなヱヴァンゲリヲン新劇場版:破。公開前の情報から衝撃的だったのが今作で初登場となる、メガネの少女・マリです。本名は「真希波(まきなみ)・マリ・イラストリアス」。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』には登場しておらず、今回の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で初登場となるキャラクターということもあり、いったい何者なのかと注目を浴びていましたが、冒頭でいきなりの登場となりました。

マリは元々はNERVのユーロ支部に所属していたEVAのパイロットであり、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破では彼女の北極での戦闘から物語が始まります。

EVA仮設5号機と呼ばれる機体に乗ったマリは、北極にあるベタニアベースにて封印されていた第3の使徒と戦います。苦戦を強いられましたが、EVA仮設5号機の自爆により決着を迎えます。

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マリとは何者なのか?

EVA仮設5号機の自爆は不測の事態と思われたのも束の間、実はこの事件は碇ゲンドウらも織り込み済みの計画だったことが明らかになるのですが、利用された側かと思われたマリもまた、承知の上での戦いだったことが直後の言動に表れています。

彼女の目的や思惑はなんなのかは、今作そして続編である『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』でも明らかにはなりませんが、NERV本部のメンバーの多くも知らなかった、EVA弐号機の別形態であるザ・ビーストこと“獣化第二形態”を知っていたりとEVAシリーズの事情に詳しい人物であることは確かです。

そんなマリの正体を解き明かす鍵として、漫画「新世紀エヴァンゲリオン」の14巻の書き下ろしエピソード「夏色のエデン」というエピソードが存在します。ここではゲンドウやシンジの母である碇ユイの大学時代の物語が描かれるのですが、ここに「真希波マリ」というキャラクターが登場します。

漫画に登場したこのマリというキャラクターは、16歳で飛び級で大学に入学した天才少女という設定。漫画版はTVアニメシリーズをベースに展開されてきたとはいえ、TVアニメシリーズになかった内容があえて描かれるということは、新劇場版シリーズに登場したマリとも深い関係がありそうです。

もし、新劇場版シリーズに登場したマリと、漫画に登場したマリが同一人物であれば、もしかするとマリはゲンドウやユイたちと共にEVAの開発に関わっていた人物という見方もできます。果たしてマリは何者なのか、続くシリーズにその謎は託されていきます。

TVアニメシリーズから変異していく物語

このようにヱヴァンゲリヲン新劇場版:破はこれまでのシリーズに馴染みがあった人にも、たくさんの謎を投げかける映画となりました。

前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』がTVアニメシリーズの展開に大きくは外れることのない物語だったのに対し、徐々にこれまでのシリーズから大きく離れていく物語となっています。中でもファン達に決定的な歪みを感じさせるのがEVA3号機の顛末。

北米より送られてきたEVA3号機のテストパイロットにアスカは志願しますが、輸送途中に使徒に機体は寄生されており、操作不能となってしまいます。最終的にシンジの乗り込む初号機に、半ば強引に破壊されてしまうという悲劇を迎えます。

この展開は、TVアニメ第18話『命の選択を』でも描かれるので、観たことがある人はある程度予測はできたのですが、ファンが驚くのはEVA3号機に乗り込むのがアスカだということ。

何を隠そう、TVアニメシリーズでEVA3号機に乗り込む役を担うのは、同級生のトウジだったからです。かつて最悪の顛末を迎えたトウジは、今回の映画ではその悲劇を回避するかのように、アイスの棒の“ハズレ”を引きます。その代わりにEVA3号機に乗り込むのがよりによって、生活への希望を見出だし始めたアスカだというのが、なおも皮肉。すでにTVアニメシリーズを観ていた人には、初めて見る人とは違ったスリルを味わうことになるのが面白い仕掛けです。

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決定的に違うエヴァの世界へ突入

EVA3号機にアスカが乗り込むという、これまでのシリーズとのボタンの掛け違いは、映画のクライマックスで、今後は全く新しい物語になっていくという、決定的な展開を迎えます。それが第10の使徒の襲来です。

TVアニメシリーズに登場した第14使徒ゼルエルを思わせるデザインでありながら、いくつものATフィールドを展開できたり、EVAの機体を捕食できたりと、能力も姿も誰も観たことのない姿へと変貌していきます。

この観たこともない敵の力に対抗するのが、これまた観たこともない力。前述のEVA弐号機の“獣化第二形態”であったり、初号機の覚醒形態で人類は対抗します。そして、使徒に飲み込まれてしまった綾波レイを救うべく、シンジはエントリープラグの深部へと這っていきいき、ついにレイを抱き寄せるというカタルシスを迎えます。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』ではTVアニメシリーズを観ていた人には懐かしいけど新しい、と思わせる体験をもたらしてくれました。そして、このヱヴァンゲリヲン新劇場版:破ではTVアニメシリーズを観ていた人をも観たこともないエヴァンゲリオンの物語へと引き込んでくれる役割を担うことになるのでした。

新劇場版シリーズという企画がただのリメイク作品でないことを決定的にする、まさに拍子の変貌を表す“破”というタイトルにふさわしい映画が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』だったのです。

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(C)カラー

※2021年1月22日時点の情報です。

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