映画上映中に「コカコーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」という文字を、目立たない様に二重映写し、無意識にうったえかけて売上を伸ばした、とされるサブリミナル広告。日本のテレビでは禁止されている手法ですが、実は効果はそれほど見込めないという研究結果もあります。あたりまえですが商品を無意識にうったえるより、意識的に見せる方が効率は良いのです。
しかし「無意識のうちに人を操る」という、ある種のロマンは創作意欲を掻き立てるらしく「サブリミナル」をテーマにした作品は多く存在します。
実写版『ドラドラ子猫とチャカチャカ娘』
『プッシーキャッツ』は、『チキチキマシーン猛レース』など多くの傑作アニメを生んだハンナ・バーベラ・プロダクション製作のアニメ『ドラドラ子猫とチャカチャカ娘』の実写版映画です。
演奏する場所にも事欠くアマチュアの3ピースガールズバンド「プッシーキャッツ」に、超メジャーな音楽会社プロデューサーからCDデビューを持ちかけられます。もちろん快諾し、晴れてデビューをするのですが、CDには超強力なサブリミナル広告が隠されていました。それを知った彼女たちのキャイキャイと可愛らしい奮闘がコミカルに描かれます。
1970年代のアニメを元にしているだけあってポップで鮮やかな映画になっていますが、カラフルさの要因のほとんどは画面を埋め尽くすロゴ、いわゆるコーポレーション・アイデンティティ(CI)です。レコードストアや街に立つ巨大ビルボードなど、背景にはかなり意識的に会社ロゴが映り込んでいます。映画のテーマと呼応した、見事な画面構成になっています。
映画に溢れる広告
本作ではかなり意識的に会社ロゴが画面に取り入れられていますが、多くの映画では強く意識させない広告があふれています。登場人物の服や飲み物のCIを“見える”ように配置する「プロダクト・プレイスメント」と言われる手法です。
映画に登場するパソコンはたいがいMacですが、ソニー・ピクチャーズが製作する映画では必ず「VAIO」です。『トランスフォーマー/ロストエイジ』は中国パソコン「レノボ」を始め、ファッションから牛乳まで中国ブランド商品に溢れていました。さほど効果の無いオカルト的なサブリミナル広告は、より現実的な広告手法プロダクト・プレイスメントへ姿を変えたのです。
『トップ・ガン』を見た当時、MA-1を買った私はそう思うのでした……
公式トレイラー