映画『名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン)』本気のコナンvs怪盗キッドが実現!?シリーズの中で貴重な作品である理由とは?ネタバレありで徹底解説

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シリーズでも貴重な理由とは?映画『名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン)』の魅力をネタバレありで徹底解説!

2004年に劇場公開された劇場版名探偵コナンシリーズ第8弾『名探偵コナン銀翼の奇術師(マジシャン)(以下、『名探偵コナン銀翼の奇術師』と記載)は驚きのある映画でした。何に驚かされたかと言えば、久しぶりに怪盗キッドが登場する映画ということでも注目を浴びました。

今でこそ、劇場版シリーズには多く登場しているキッドですが、劇場版コナンシリーズの初期の出演は少なく、公開当時は第3弾『名探偵コナン世紀末の魔術師』から5年ぶりの登場となっています。

今回はそんな名探偵コナン 銀翼の奇術師について、実はこの映画が名探偵コナンシリーズにおいてもかなり貴重なシーンが目白押しの映画となっているということを、ネタバレありで解説していきます。一体どう貴重なのか知っていると、よりこの映画が味わい深いものとなるはずです。

名探偵コナン 銀翼の奇術師』(2004)のあらすじ

毛利探偵事務所に、舞台女優として有名な牧樹里が相談に訪れていた。なんと、樹里のところへ怪盗キッドからの予告状が届いたのだった。怪盗キッドは樹里の持つ宝石・スターサファイアを狙っているのだという。小五郎の暗号の解読では、舞台の千秋楽の日に舞台で使われるスターサファイアを狙いに来ると推理するが、コナンは暗号で無視されている手がかりが引っかかっていた。

ついに迎えた舞台当日。博士や少年探偵団、園子といった面々も加わり、舞台に招待されるのだったが、そこで遭遇した中森警部は助っ人として、なんと工藤新一を連れているのだった。コナンはすぐに正体が怪盗キッドだと気づくが、もともと素顔が似ていることもあり、周りからは信じてもらえない事態に。しょうがなく、コナンは一人、新一の行動をマークする中、ついに舞台は始まるのだった。

※以下、『名探偵コナン 銀翼の奇術師』のネタバレを含みます。

貴重な直接対決!コナンvs怪盗キッド

名探偵コナン 銀翼の奇術師』に用意されている貴重なシーンの一つが、コナンと怪盗キッドの直接対決です。名探偵コナンはTVアニメの放送スタートから2021年で四半世紀を迎えるわけですが、その中でも直接対決する展開は限られており、しかも1対1のタイマンを張るケースはさらに絞られてきます。意外と共闘する展開が多く、今回の映画も後半は同様のコナンとキッドが協力する展開だったのですが、前半はしっかりとキッドとは敵対する、逆に珍しい展開となっていました。

中でも今作のコナンの作戦がなかなかユニーク。コナンはキッドと対決する事を見越して、あらかじめパラグライダーの入ったバッグを背負ってくるという用意周到ぶりを見せます。そして、いざキッドと対峙するここぞというシーンでは、わざとビルから落下して、救助しに来たキッドをだまし討ちしようとする姑息さを披露。空中でキッドに時計型麻酔銃をあと一歩で当てるところまで持ち込むというファインプレーを見せました。

少しコナンの狡さが見えるシーンだからこそ、コナンの本気ぶりが見られるベストバウトだったと言えるでしょう。コナンが本気でキッドを捕まえようと攻めに転じたらどうなるのか。そんなスペシャルな「もしも」の体験を見せてくれるところが、映画らしいスペシャルな展開でした

衝撃!コナンは飛行機の操縦もできる!?

コナンの意外な一面が見られると言えば、多くのコナンファンも驚いた展開が後半には用意されています。映画の後半は、舞台をジャンボジェット機に移して展開されます。飛行機内で毒殺事件が発生するのですが、これはあくまでもジャブ。なんと、操縦士と副操縦士が毒によって瀕死になってしまい、飛行機の操縦をしなくてはいけなくなります。

ここで飛行機の操縦をするというのが、ほかでもないコナンと怪盗キッドが変装した舞台俳優・新庄功。コナンは作中でいろんな特技を披露してきましたが、ついに今作では飛行機の操縦ができる事が判明。その理由は、もはやお決まりの文句となっているハワイで親父に教わったという一言。小型飛行機であるセスナの操縦経験から、ジャンボジェット機を自信を持って操縦できるという肝の座り方も含めて、コナンの技量と度胸に驚かされます。

ここでコナンに目がいきがちですが、しれっとキッドも余裕そうに飛行機の操縦ができてしまうのだから二倍に驚き。全編に渡ってコナンとキッドのハイスペックぶりをこれでもかと思い知らされる映画だったわけです。

極限状態の夢のチームプレイ!

名探偵コナン 銀翼の奇術師はコナンとキッドが天才的な能力を発揮するだけで終わらないところもまた憎い。なんと飛行機は落雷に遭遇してオートパイロット機能が使えなくなります。さらには管制塔に激突するという大惨事を引き起こし、第2エンジン、そして燃料タンクも損傷してしまい、残りはわずか10分ほどしか飛行する事ができなくなるという窮地に陥ります。着陸場所も失い、絶望的な状況になってしまうのですが、ここでまた、これまでのシリーズでも貴重な展開を迎えます。

操縦席に集合した少年探偵団を含むレギュラーメンバーは、現実的に燃料が足りる近隣の着陸場所に頭を悩ませます。それぞれが次々に着陸場所の代案を提案し、それが現実的な案かどうかをトントン拍子に詰めていく様はスリリングで、キャラクターたちが世代を超えてチームプレイを見せてくれる珍しいシーンとなっていました。

ついには歩美の提案で室蘭にある崎守埠頭への着陸を決意してからもさらに熱い展開が待っています。キッドは飛行機から脱出して、警察を誘導する事で着陸地点へと誘導。さらに操縦を蘭、そして園子に譲り、コナンは新一の声で蘭のサポートにまわります。大勢の命がその手にかかっているという極限状態のプレッシャーの中で、新一そして園子の二人の支えによって、蘭が着陸に挑むという展開は、非常に感動的なものとなっていました。

それぞれが協力して災難に立ち向かうシーンはこれまでの映画でも多く描かれてきましたが、ここまで多くのレギュラーキャラクターが一致団結して人命救助に挑む展開は、歴代でもかなり貴重な見せ場だったと言えます。

実は超貴重!蘭からの告白

そして、極め付けの『名探偵コナン 銀翼の奇術師』の貴重なシーンが、蘭から新一への告白シーンです。コナンから新一の声で、心配するなと励まされる蘭だったのですが、大きなプレッシャーに弱音を吐きます。これまでの思い出が頭を過ぎる蘭は、新一に想いを伝えます。

私のこと何だと思ってんのよ!私は……私は好きだよ、新一。

実はこれまでの名探偵コナンの作中では、蘭から新一へ想いを伝えるシーンは出てきていませんでした。後に新一と蘭が付き合うことになる告白も、新一から伝えられることになります。なので、蘭から新一へ直接的な告白がされる唯一と言っていい貴重なシーンでした。

しかし、せっかくの告白だったわけですが、映画の最後に電話をしていた相手が怪盗キッドだったと思い込んでしまい、この告白がなかったことになってしまいます。もし、ここで怪盗キッドと思い込んでいなければ、その後の新一と蘭の関係性も変わっていたかもしれません。『名探偵コナン 銀翼の奇術師』はコナンシリーズにおける転機になり得る映画だったわけです。

この名探偵コナン 銀翼の奇術師以降、怪盗キッドの劇場版での活躍機会がどんどん増えていくことになります。その理由も、今作がコナンシリーズにおける怪盗キッドというキャラクターの特異性が、いつもと違ったコナンを体験させてくれるスパイスになる実感を与えてくれたからかもしれません。

※2021年2月9日時点の情報です。

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