2021年4月9日に発売された別冊少年マガジン2021年5月号にて、ついにあの人気漫画『進撃の巨人』が堂々の完結を迎えました。2009年より連載をスタートした本作は、10年代を代表するヒットタイトルとして、多くのメディアを巻き込んでのブームを生んできました。

コミックス最終巻は6月9日(水)発売。アニメも今年12月でファイナルを迎えるなど盛り沢山のラストスパート。このタイミングを契機に『進撃の巨人』の人気が過熱したTVアニメにおける第1期の展開を振り返ってみましょう。

『進撃の巨人』序盤のあらすじ

王都を中心に巨大な城壁が三重に巡らされた世界。この世界には、人間を捕食する巨大な人型の生命体“巨人”が存在していた。その巨人達からの侵攻を防ぐために設けられた高い城壁は、100年もの間人類の平和を守り続け、人々は巨人のことなど考えず、壁の内側で平穏な日々を送っていたのだった。そんな中、少年・エレンは一人、その壁の外側へ憧れを抱いていた。

そんな矢先に事件が起こる。なんと、通常の巨人の大きさを遥かに凌ぎ、城壁を軽々と超えるほどの大型の巨人が現れたのだ。

その巨人によって破壊された城壁から、無数の巨人が壁の内側に侵入。逃げ惑う人々を巨人達は次々に殺し、喰らっていく。そしてエレンの母親もその一人として、エレンの目の前で捕食されてしまうのだった。

生き延びたエレンは、巨人に蹂躙された故郷を前に巨人への復讐を誓う。それから5年後、104期訓練兵団を卒業したエレン達の姿がそこにはあったーー。

『進撃の巨人』第1シーズン主要キャラクター一覧

エレン・イェーガー

『進撃の巨人』の主人公・エレン・イェーガー。壁の外の世界を夢見ており、かつて巨人に母親を目の前で食べられてしまったことを切っ掛けに、巨人を駆逐することを誓います。

その後、訓練兵団として入団したエレンは、壁外への進出を任務とする調査兵団への配属を希望します。そんな矢先、再び城壁内に侵入した巨人によって仲間達もろとも自身も巨人に食べられてしまうのですが、それを切っ掛けに自身の中に秘められていた巨人化能力が覚醒して復活。その後は人類側の切り札として、調査兵団で戦うことになります。

ミカサ・アッカーマン

エレンとは幼馴染であり、かつて強盗によって両親を殺されてしまった際にエレンに助けられ、以後はイェーガー家で暮らすようになります。そんな縁から、エレンを守ることを使命に感じています。いつも首に巻いているマフラーもエレンから貰ったもので、その様子からもエレンに執着していることが伺えます。エレンを追うように自身も訓練兵団に入団し、首席で卒業するほどの身体能力を持っています。

アルミン・アルレルト

エレンとミカサの幼馴染であり、特にエレンにとっては城壁の外の世界への憧れを持たせるきっかけを作った存在であり、親友と言える間柄です。身体能力はそれほど高くなく、臆病な性格の一方で、その博識さと機転の利く性格から、度々エレン達のブレーンとして立ち回ることも多いです。

リヴァイ・アッカーマン

“人類最強の兵士”とされる調査兵団の兵士長を務める人物であり、その評判に違わぬ実力の持ち主。小柄な体格と鋭い眼光が特徴で、一見無愛想で冷徹な人物ではあるものの、巨人に襲われて死に絶えようとしている部下を熱く看取る一面もあったりと、実は誰よりも仲間想いな人物です。

アニ・レオンハート

104期訓練兵団卒業生の一人である金髪の少女。クールな性格をしており、あまり馴れ合うことを好まない一方で、エレン達とは同期であることからも親しい間柄にありました。小柄な体格ながらも、父親譲りの格闘術でエレンを投げ飛ばしてしまうほどの実力を持っているのですが、実はある秘密を抱えています。

『進撃の巨人』第1期の顛末は?

訓練兵を卒業したエレン達が配属先を決める矢先に、再び壁が崩壊します。壁の内側のトロスト区へ侵攻してきた巨人達によって仲間達は次々に捕食されてしまい、同じく巨人に飲み込まれかけたアルミンを救うべく、エレンは身代わりとなり命を落とします。

しかし、それを契機にエレンの中の巨人化能力が覚醒。巨人となって復活したエレンは人類側の味方として次々に巨人を倒し、巨人による侵攻の阻止に成功します。

この事件をきっかけに、リヴァイ班と呼ばれる兵士長リヴァイの所属する特別作戦班に配属されることになりますが、初の遠征早々に女型の巨人の強襲に遭遇してしまいます。一度は巨人の生け捕りに成功したものの、巨人達に捕食され緊縛を解いた女型の巨人の反撃によって多くの仲間を失った兵団は、撤退を余儀なくされます。

この失敗により、エレンの身柄は憲兵団に引き渡されることになるのですが、アルミンは女型の巨人の正体はアニではないかと推測し、エレンたちに相談します。半信半疑のエレン達はアニを誘い出すことに成功しましたが、捕縛されることを感づいたアニは間一髪で女型の巨人と化し、エレンは巨人化して応戦します。危機迫ったアニは硬化能力で自らを水晶体に閉じ込めますが、そのままの状態で捕獲されてしまいました。そして、この戦いで崩壊した壁から大型巨人の顔が現れたことをきっかけに、事態は新たな局面へと動き出しますーー。

多くの人を惹きつけた『進撃の巨人』ブームはどう生まれていったか?

『進撃の巨人』のブームは、TVアニメ化が始まる以前から始まっていました。2011年度の「このマンガがすごい!2011オトコ編」で1位を獲得し、この頃から既にすごい漫画が現れたと話題になっていました。

人間達が為す術もなく次々に巨人達に食べられるというショッキングな描写と、そんな世界で巨人を憎み、巨人達への復讐を誓い“駆逐”を目的とする主人公の壮絶さ。当時より作中で描かれる過酷な内容は、低迷する日本の先行き不透明な状況から読者の大きな共感を得たとも言われているようです。その真偽はともかく、少年漫画でありながらも次々と登場人物が無残な死を遂げ、それでもなお巨人への復讐心を絶やさず燃やし続ける姿を描く点は、他の漫画では見られない稀有な魅力を持っていたことは間違いないでしょう。

そんな原作漫画の人気をベースに、さらに決定的なブームへと昇華していったのが2013年よりスタートした、アニメ『進撃の巨人』でした。人気キャラクターが無残に死にゆく姿や緊迫した心理描写など、原作に忠実で衝撃的な内容は、1期放送開始から早々に、漫画やアニメをあまり知らないという人もその存在を知るほどの作品へと成長させていきました。

当時TVアニメシリーズを製作していたのは、『魔法使いの嫁』シリーズや『GREAT PRETENDER』を手がけた「WIT STUDIO」。原作では描ききれなかった『進撃の巨人』の世界観を、緻密な描写でよりリアルに魅せこんでくれた同スタジオの進撃ブームへの貢献は大きいでしょう。なかでも、立体起動装置によるアクロバティックなアクションをアニメーションならではのカメラワークで描いたシーンは衝撃的で、設定や物語以上の見応えを作品に与えることになりました。

『進撃の巨人』ブームは新たな世界へ

こうして決定的なブームとなった『進撃の巨人』はTVアニメのヒットをきっかけに、次々に様々なメディアへとその存在をアピールしていくことになります。

TVアニメの主題歌となったLinked Horizonの「紅蓮の弓矢」もヒットソングとなり、2013年の大晦日に放送された第64回NHK紅白歌合戦でのテレビ初パフォーマンスは、TVアニメの映像と合わせて展開され話題となり、作品の世界観を代弁する存在となりました。

2015年には『シン・ゴジラ』の監督、平成『ガメラ』シリーズの特技監督でも知られる樋口真嗣監督によって実写映画化。エレン役には三浦春馬が選ばれ、『進撃の巨人ATTACK ON TITAN(前編)』『進撃の巨人ATTACK ON TITANエンド オブ ザ ワールド(後編)』の前後二編が公開されました。漫画やTVアニメでは描ききれなかった巨人達との戦いを怪獣映画のようなスケールで魅せ、これまでとは一味違った魅力を描いたシリーズとなりました。

2016年には、PlayStationシリーズにてゲーム「進撃の巨人」が発売されます。立体起動装置によって町を自在に飛び回るアクションを再現し、進撃ファンなら一度は憧れる、自身の操作によって巨人との戦いを実現しヒットタイトルとなりました。

『進撃の巨人』は今後も語られる作品になっていくのか

ここまで書いてきたことは00年代末〜10年代の中盤にかけての『進撃の巨人』の歩みだったのですが、振り返ってみると、その知名度を決定的にしたこの頃の熱は、全体を通しても一番熱かった時期だと言えるかもしれません。

しかし改めて思うのは、連載開始から最終回に至るまでこれだけ話題が絶えることなく続いたのは、やはり作品自体の面白さが牽引していることは間違いないでしょう。

この第1シーズンのクライマックスでは、アルミンのこんなセリフがあります。

何かを変えることのできる人間がいるとすればその人はきっと…
大事なものを捨てることができる人だ
化け物をも凌ぐ必要に迫られたのなら人間性をも捨て去ることができる人のことだ

何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう
2020年から現在まで、新型コロナウイルスにより世界規模での変化を強いられる時代を生きる私たちは、個人での体験はもちろん、日本の在り様に置いても『進撃の巨人』を思い出す機会は度々やってくるのかもしれません。

第1シーズン以降に迎えるエレン達の物語も含めて、今一度アニメ・漫画を振り返ってみてはいかがでしょうか?