【ネタバレ】ついに完結!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の結末で何が起き、何が分かったのか…徹底考察!

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ネジムラ89

ついに新劇場版4部作完結を迎えた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の謎・疑問点をまとめて解説!「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの結末との比較や新劇場版からの新キャラ・マリの正体などネタバレありで徹底考察。

2021年2月26日、晴天の霹靂のように公開日が発表されたシン・エヴァンゲリオン劇場版。新型コロナウイルスの影響による二度の延期を経て、2021年3月8日(月)についに劇場上映が行われました。新作映画の公開日としては異例とも言える月曜日公開ということにも驚かされますが、何よりも発表から間もないタイミングでの上映開始ということで、衝撃も大きいものでした。

無事公開され、各所で内容について考察や議論などが交わされているのがまたエヴァンゲリオンシリーズらしいところですが、改めてシン・エヴァンゲリオン劇場版』で明らかになった事実を踏まえて、見えてくることをネタバレありで解説していきます。

※以下、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のネタバレを含みます。ご注意ください。

ついに完結!エヴァンゲリオンの終わり

ポスターに添えられた惹句“さらば、全てのエヴァンゲリオン。”の言葉の通り、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2020)は、これでもかというほど、エヴァンゲリオンシリーズの完結を描いた物語となっていました。

シンジとゲンドウが対話を通して和解したことはもちろん、アスカ、レイ、カヲルといったエヴァンゲリオンの搭乗者たちを救済、きわめつけは全てのエヴァンゲリオンを槍を持って消滅させるにまで至り、最後は母ユイの助けを持って、シンジはエヴァの呪縛から解き放たれることになります。

シリーズを総括するような、まさにこれ以上ないようなハッピーエンドな結末だったのではないでしょうか。

かつてのエヴァンゲリオンシリーズの結末との共通点と違い

多幸感に溢れるこのシン・エヴァンゲリオン劇場版の結末はかつての「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズであるTVアニメや劇場版とは大きく異なるものでした。ただ、その手法や展開、ビジュアルに関しては結末を描いたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の25話や最終話、映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』に寄せた演出となっています。

TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の第弐拾伍話『終わる世界』、最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」では、主人公シンジの心象風景を描いた内容となっており、ラフなビジュアルやアニメーションの制作工程の素材を映像に用いるなど抽象的な演出が用いられた内容となっていました。

シン・エヴァンゲリオン劇場版ではこれをなぞるように、ゲンドウの独白や、シンジとゲンドウのぶつかり合いが超次元的な映像で描かれました。裏宇宙というTVアニメシリーズには登場しない舞台を用いることで、トリッキーなアニメーション演出を本編に登場させることに成功しています。

また新劇場版シリーズが始まる以前の結末であった『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のラストシーンを思わせる展開も登場。中でもシンジはゲンドウを救った後、アスカを迎えに行きます。その迎えに行った場所が浜辺なのですが、このシーンはまさに『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のラストでシンジとアスカが行き着いた場所を想起させます

かつて『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』では、この浜辺でシンジはアスカの首を締め、それに対してアスカはただ「気持ち悪い」と言葉を返します。幸福な結末とは言い難い、その顛末は衝撃を与えました。

しかしシン・エヴァンゲリオン劇場版では、同じシチュエーションを迎えながら全く違う結末を迎えます。浜辺に横たわるアスカに対して、シンジは自分を好きだと言ってくれたことに対してお礼を言います。それを聞いて、照れるアスカ。そしてシンジは、アスカを受け入れてくれるであろう同級生・相田ケンスケのところへ送り出すのでした。

これは新劇場版シリーズのアスカだけでなく、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』でショッキングな結末を迎えたアスカまでをも救済するかのような展開でした。アニメシリーズから観ている人ほど、より感慨深い結末となっていました。

結末の鍵はマリだった!

そんな、かつてない結末を迎えることになったシン・エヴァンゲリオン劇場版ですが、その立役者がほかでもない“マリ”こと真希波・マリ・イラストリアスだったことはさらに驚きでした。裏宇宙に取り残されたシンジを迎えに行く役目を担ったのがマリであり、マリが駆けつけたことをきっかけに、シンジ自身が解き放たれていくことになります。

実は結果的にマリが何者だったのかは最後まで明かされないのですが、冬月コウゾウと知人であることを示唆する会話や、ゲンドウの回想シーンにマリらしき人物の姿が映るなど作中にはいくつかヒントが登場します。

ゲンドウの過去のエピソードと言えば、漫画「新世紀エヴァンゲリオン」の最終巻14巻の「夏色のエデン」というエピソードに、ゲンドウやユイの学生時代の出来事が描かれます。もしかすると、この漫画版で描かれたように大学時代にゲンドウたちと出会い、のちの研究の過程でエヴァンゲリオンのプロジェクトに関与して、シンジやアスカといった登場人物同様にエヴァの呪縛にマリも取りつかれることになったのかもしれません

実はマリが重要人物になり得ることは、以前のシリーズからも示唆されていました。初めてシンジがマリと遭遇する屋上のシーンでは、それまで25曲目と26曲目を繰り返し聞いていたS-DATの表示が、マリがS-DATを拾ってシンジに渡したことを契機に27曲目が再生されるという仕掛けが施されていました。つまりマリの存在こそが、シンジの物語を動かす鍵となることがまさにこの時点で示唆されていたと言えます。

なぜマリが重要人物になったのか?

とここまでは、作中でのマリの扱いをなぞるだけでしたが、新劇場版の制作現場におけるマリの扱いも見ていくとまた面白い視点で、シン・エヴァンゲリオン劇場版を観ることができます。

このマリというキャラクターは、過去のシリーズでは登場していない、新劇場版シリーズで初登場となったキャラクター。当初はエグゼクティブプロデューサーの大月俊倫氏のリクエストにより商業的な理由で新キャラクターの導入が決まったそうで、物語への関わり方は登場することを前提に後から練られていったことが語られています。

それに加えてキャラクターのディテールや演出については、監督の鶴巻監督が担当し、シンジら他のキャラクターとは違い、総監督・庵野秀明氏の手から距離を持って描かれてきた特異な存在でした。そういった庵野秀明氏の外的な存在だったからこそ、マリが『シン・エヴァンゲリオン劇場版』という物語をポジティブな方向に持っていく役目を担うことができたのかもしれません

加えて外的な存在と言えば、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のスタッフロールに名前を連ねている庵野秀明氏の妻でもある、漫画家の安野モヨコ氏。お二人の結婚秘話が描かれる安野モヨコ氏の漫画「監督不行届」の単行本では、庵野秀明氏自身のインタビューが掲載されています。エヴァンゲリオン以降、アニメマンガファンや業界の閉塞感に嫌気が差していたことを打ち明けつつ、結婚をきっかけにした変化を語っています。

結婚してもそんな自分はもう変わらないだろうと思っていました。けど、最近は少し変化していると感じます。脱オタクとしてそのコアな部分が薄れていくのではなく、非オタク的な要素がプラスされていった感じです。オタクであってオタクでない。今までの自分にはなかった新たな感覚ですね。いや、面白い世界です。
これはもう、全て嫁さんのおかげですね。ありがたいです。

お二人がご結婚されたのは『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』公開後の2002年。庵野秀明氏にとって他者であった安野モヨコ氏の存在を経て、エヴァンゲリオンの物語が新たに広げられていくという意味では、まさに作中のマリの存在とも重なるところがあります。
そう思うと、登場人物の数々を救っていったシンジが最後に共に新たな世界に飛び出す相手がマリである……という結末も、庵野秀明氏の世界を広げることになった安野モヨコ氏に重なって見えてくるところがあります。

思わぬ登場となった神木隆之介

物語は最後、成長した姿のシンジと成長したマリが駅のホームで交流し、マリがDSSチョーカーを外し、そしてシンジがマリの手を取り、駅から飛び出していくというラストシーンでエンドロールへと移ります。

駅のホームを出ると人物以外が実写になるのですが、ここで映されるのが庵野秀明氏の出身地である山口県の宇部新川駅。まさに全てのエヴァにさよならを告げたシンジ達が、新たな世界=現実の世界へ飛び出していくという、希望が感じられるラストカットでした。最後にマリの手を引くのがシンジであることから、あれだけ受動的だったかつてのシンジを思うと、その成長に感動を覚えます。

そんな、この本当に最後の最後のシーンを終えたエンドロール。流れてくる製作陣の中の声の出演の欄に思わぬ名前が登場します。それが俳優として活躍する神木隆之介氏。実は最後に成長したシンジの声を担当したのが、神木隆之介氏だったのです。

『千と千尋の神隠し』『サマーウォーズ』、そして『君の名は。』など数多くのアニメーション映画のヒット作に出演している経験を持っている彼が、まさかシン・エヴァンゲリオン劇場版にまで参加するとは最後の大きなサプライズとなりました。

これまでシンジ役を務めた緒方恵美氏から最後の最後で担当者が変わってしまうことは、少し寂しく思える気持ちはある一方で、それほどエヴァンゲリオンの結末が、次の世界へ飛び出さなければいけないという決意がこのキャスティングにも表れていると言えます。世紀末に生まれ多くの若者に影響を与えてきた『新世紀エヴァンゲリオン』という作品から、2010年代の若者たちにとって新たなアニメーションの波を象徴する存在となった『君の名は。』……そしてその主人公役を務める神木隆之介氏。次世代のバトンを引き継ぐ存在を抜擢するとしたら、まさに適任と言えるのではないでしょうか。

「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」が示す通り、作中ではこれでもかと明確に全てのエヴァンゲリオンの機体を破壊していくシーンが描かれています。その徹底したエヴァンゲリオンとの別れを行う上で、シンジが“変わること”は必須事項だったのです。

これでエヴァンゲリオンは終わってしまうのか?

これでエヴァンゲリオンシリーズは完全な区切りを迎えたといっても過言ではありませんが、むしろ新たな始まりと解釈することもできるでしょう。

シン・エヴァンゲリオン劇場版では渚カヲルが目覚めた棺が複数個存在しており、カヲルという存在がこれまでに何度も生まれ、シンジとの物語を繰り返してきたことを示唆するシーンが描かれています。ある意味、このシン・エヴァンゲリオン劇場版という物語をきっかけに、エヴァンゲリオンシリーズを今まで以上に自由に波及させていく準備ができたという見方もできます。

そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、本作では描かれきれてない出来事が存在します。それはシンジが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』でサードインパクトを引きおこそうとした際に、加持リョウジが命を犠牲にすることでそれを止めたという一連の出来事です。作中ではわずかしかその出来事は描かれておらず、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の間に何が起きたのかはまだ詳細に語られる余地はあると言えるでしょう。

そして終盤ではその加持リョウジが、カヲルのことを司令と呼ぶシーンが突如登場します。それまで関係性が描かれなかった二人が、旧知の仲であったかのように語らうシーンは、二人がなんらかの協力関係にあったかのように思わせます。もしかすると加持がサードインパクトを阻止する際に、カヲルがなんらかの加担をしていたのではないかと思わせます。

このようにまだまだ謎を残していることを考えると、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』と『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の語られきれてない出来事が、今後なんらかの形で我々の前に現れる日が来てもおかしくはないでしょう。

しかしそれを手がける時はすでに今回のように庵野秀明氏の名前がないかもしれません。なぜなら、エヴァンゲリオンの物語はやはりシン・エヴァンゲリオン劇場版でさよならを告げた存在であるから。今作を庵野秀明氏がエヴァンゲリオンシリーズとけじめをつけるための表明と受け取るのであれば、次にエヴァンゲリオンが我々の前に現れる時、そこの製作陣に庵野秀明氏の名前がないことは覚悟しておくべきでしょう。

“さらば、全てのエヴァンゲリオン。”

映画を観た後に、改めて噛み締めがいのある言葉であることが分かります。

※参考文書:「監督不行届」安野モヨコ著/祥伝社

※2021年3月19日時点の情報です。

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