大人気作品『僕のヒーローアカデミア』こと“ヒロアカ”。2021年にはついに劇場版第3弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』が公開され、同年TVアニメシリーズは5周年という節目を迎える大ヒットシリーズとなっています。
これだけ話題になっているので、実際に本編を観たことがない人もその存在ぐらいは知っているという人も多いのではないでしょうか。「今からヒロアカに手を出すのは遅いんじゃないか……」と思っている人も中には居るのかもしれませんが、実はそんなことなく、むしろこれだけの歩みを経てきた作品を、贅沢に一挙に楽しめるというのが新規でヒロアカを体験できることの醍醐味でもあります。
今一度、“ヒロアカ”がどんな魅力を持った作品かを紹介するので、手を出すのに躊躇している人がいれば、これを機にヒロアカの世界に触れるきっかけになって欲しいです。
『僕のヒーローアカデミア』とは?
『僕のヒーローアカデミア』はもともと2014年に週刊少年ジャンプにて連載をスタートした少年漫画です。作者は「逢魔ヶ刻動物園」や「戦星のバルジ」などを手がけてきた堀越耕平。自身にとって『僕のヒーローアカデミア』が一番のヒット作となりました。
物語の舞台は、世界の総人口の約8割が超常能力である“個性”を持つようになった世界。人によってはその個性を使い、悪事を働く「ヴィラン」となる者が増え、一方ではそんなヴィランを取り締まるべく個性を以って戦うヒーローが活躍しています。
そんな中、主人公の緑谷出久(みどりやいずく)ことデクは、幼い頃からヒーローに憧れていた者の、“個性”を持たない“無個性”側の人間でしたが夢を諦めきれず、多くのヒーローを輩出してきた国立雄英高校のヒーロー課への進学を目指します。
そんな矢先にデクの前に現れたのが、No.1のトップヒーローであるオールマイト。実は活動の限界を迎え始めていたオールマイトは、デクの素質を見出し、デクに自身の個性を継承することになります。こうして、思わぬ形で“個性”を手に入れたデクがヒーローとして成長していく姿を追っていく作品です。
一見それだけ聞くと、思わぬ形でスーパーパワーを手に入れた主人公の物語に思えるのですが、そこには“努力”が必要だったり、ヒーローとしての苦悩や葛藤が溢れていたりと、デクやその周囲の人物の汗や涙に心を掴まれるドラマが詰まっています。
ヒーロー物×学園物×異能力バトル物!
『僕のヒーローアカデミア』はタイトルにもあるように、主人公のデクが最初の目標であった雄英高校に入学し、同じくヒーローを志望する同級生たちと切磋琢磨していく姿が描かれていきます。
そのためストーリーの大筋は学園物の体裁をなぞっていきます。体育祭や文化祭があったり、時には林間合宿をしたり、プロのヒーローの事務所にインターンへ出かけたりと、その目標はヒーローという大きな違いはあれど、その内容はそのまま私たちが体験して来たような学校行事に重なるところは面白いで賞。
『僕のヒーローアカデミア』がまた見事なのが、主人公のデクだけでなく、そのほかの生徒のドラマにもスポットをあてていくことにあります。かつてデクをいじめる側だった爆豪、ヒーローである父にコンプレックスを持つ轟、実はデクに対して好意を寄せている麗日などなど……デクの物語はもちろんのこと、周囲の人間たちのドラマも多岐に渡って展開していき、作品開始からの期間に対して、主要登場人物と称することのできるキャラクターの数は特に多いです。
また、さらにそこにかけ合わされるのが、異能力バトル物の要素です。同級生も教師も敵に至るまでが全く異なる能力を持っている中で展開していく戦いは、シチュエーションや編成によってどんどん変わっていき、ここぞというバトルシーンを毎回新鮮に楽しむことができます。それぞれが持つ能力を“個性”と称したのがまた意味深で、個性のぶつかり合いはどこか現実世界の我々が体験する営みと重なるところもありますよね。
Bonseが手がけるTVアニメシリーズ
そんな『僕のヒーローアカデミア』に転機が訪れたのが2016年です。原作漫画の連載スタートからわずか2年で早くもTVアニメ化を果たします。
アニメシリーズの制作を務めるのは、『機動戦士ガンダム』シリーズや『カウボーイビバップ』などで知られる株式会社サンライズからの系譜を持つ、アニメーション制作会社Bonse(ボンズ)。『鋼の錬金術師』や『交響詩篇エウレカセブン』などの人気作品を世に送り出して来ましたが、『僕のヒーローアカデミア』でも、超現実とも言える“個性”の特殊なアクションを見事にアニメーション化し、ここに来て新たなヒットタイトルを生み出すことになります。
放送を開始をした『僕のヒーローアカデミア』は、ベースとなる原作漫画の人気はあったとはいえ、第1期はわずか1クールの放送でありながらもさらにファン層を拡大しての大ヒットし、第2期以降は2クール制となり、2021年には第5期が放送されるにまで至っています。
作品を彩る主題歌にも、人気アーティストが抜擢されているのも忘れてはいけないポイント。ポルノグラフィティに始まり、米津玄師、LiSA、菅田将暉、MAN WITH A MISSIONなどがオープニングやエンディングを盛り上げてくれています。
最終回をも思わせる本気の劇場版!
さらなる転機が訪れるのは2018年。TVアニメシリーズの第3期の放送を迎えたこの年に、ついに劇場版の公開が発表されました。夏休み映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄(ヒーロー)~』の公開です。
それまでTVアニメシリーズにも監督として携わって来た長崎健司が、劇場版でも引き続き監督を務め、総監修として原作者の堀越耕平も携わり、原作で描かれなかった空白期間を埋める物語が描かれる作品となりました。
本作の興行収入は20億円に迫るヒットとなり、続々と海外での上映も果たしました。中でも全米での上映は、1000万ドル以上の成績を記録しています。
そして、このヒットを受けて2019年には第2弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』が公開されるのですが、こちらも前作に近い布陣での制作を果たしました。TVアニメの劇場版といえば、本編の番外編的な立ち位置になってしまいがちな中、本作では原作者の堀越耕平が原作の最終回のエピソードの一つとしても構想していた大ネタをクライマックスに用意していたりと、原作ファンこそ必見と言えるサプライズが詰まったストーリーとなっており、漫画・TVアニメに加えて映画でも決定的な爪痕を残すことになりました。
ついに物語は終章へと向かっていく……
多くのメディアで成功を収めている『僕のヒーローアカデミア』ですが、ついにその物語も佳境を迎えています。2021年3月に発売された週刊少年ジャンプで、物語が終章に突入したことが明らかになりました。
超常解放戦線の面々との戦いによって、多くのヒーローがヒーローをやめていき、大ボスとも言えるオール・フォー・ワンが再び動き出し、クライマックスにふさわしい状況を迎えています。そんな中、デクも歴代の継承者の個性にも目覚めていき、心境にも変化を迎えています。まさに『僕のヒーローアカデミア』史上でも一番と言える盛り上がりを見せているタイミングとなっており、前から気になっていた…..という人には、ちょうど物語の美味しいところを味わうに絶好のタイミングを迎えています。
これまで手を出せずに居たという人も、ぜひこのタイミングで『僕のヒーローアカデミア』の世界に飛び込んできて、デクの物語がどんな最後を迎えるのかをリアルタイムで体験してみてはいかがでしょうか。
※2021年8月5日時点の情報です。