32歳、ニート、恋愛経験ゼロの女性“一子(いちこ)”が初めての恋とボクシングに命がけで挑む映画が『百円の恋』(2014年)。主演の安藤サクラはこの年の主演女優賞を総ナメに(日本アカデミー賞さえも! 本人もビックリ!)しました。
一子は、実家の弁当屋を手伝うわけでもなく、スウェットのまま甥っ子とテレビゲームをして、コンビニに夜食を買いに行って、妹とケンカして頭からケチャップをかけられるような日々を送っています。
しかし、ある出来事をきっかけに一子は生まれ変わります。ボヨボヨだった怠け者体型があっというまに引き締まったボクシング体型に!(撮影期間2週間で実際に減量……)「人間ってすごい…(というか安藤サクラってすごい)」と思わせるほどのトランスフォーマーっぷりです。
今回は、貞子、伽椰子と並ぶ(?)驚異の女性キャラクター“一子”を紹介します。どうぞ!
1. 一子の生態
一子の過去については細かく説明されません。ただ、妹の「女捨ててるんじゃなくて、捨てられないんでしょ」というセリフで「な、なるほど……」と理解することができます。この時期の一子の自堕落っぷりは“干物女”どころの騒ぎではありません。
2. ダメなのは自分だけじゃない
母から自立を促されて家を出て、百円均一のコンビニバイトを始める一子。メンタル弱めの店長や本物のゲス男や廃棄弁当を狙う根岸季衣などと交流するうちに「そんなにキチンとしてなくても社会って生きていけるのかも」と思ったことでしょう。
3. バナナマンとの出会い
そのコンビニでいつもバナナを大量に買っていくのがバナナマンこと新井浩文。中年のプロボクサーでありストイックな彼の姿に一子は惹かれていきます。
4. 不器用な2人の恋のようなもの
2人は惹かれあって恋のような関係になりますが、お互い不器用すぎてすぐに壊れてしまいます。ほかにもいろんな事件が起きて……。さぁ、ここから一子の覚醒です。
5. 「百円の価値しかない女なんで!」
いろんなことから目を逸らしてきた一子ですが、初めて他人と関わることで逆に自分を見つめることができるようになったのです。そこで出会ったボクシング。自分と向き合うという意味ではボクシングというスポーツは一番かもしれません。
撮影日数2週間のうち、太っている期間を最初の4日で撮影して、10日かけて肉体改造して、最終日に試合のシーンを撮ったそうです(試合のシーンは映画の中では10分ですが、20時間かけて撮影したとのこと)。肉体の変化も感動ものですが、表情やオーラだって全く違います。肉体だけじゃない安藤サクラの演技が素晴らしいです。
一子の勇姿と中年ボクサーとの恋がどういう結末を迎えるのか、ぜひご覧くださいね。
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この『百円の恋』の武正晴監督の3年ぶりの新作は総合格闘技をテーマにした『リングサイド・ストーリー』(公開中)。佐藤江梨子と瑛太を主演に迎えた、映画界では貴重な“オリジナルストーリー”です。
不完全で愛らしい人々が困難に立ち向かう姿は観る人の心を少し励ましてくれます。ぜひ劇場へ足を運びましょう!
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