【Filmarksの人に聞いてみた Vol.2】年間300本映画を観る社員に「2022年上半期ベストムービー」をきいてみた。

Filmarksを運営する社員に、映画やドラマ、アニメに関する「偏愛」やオススメを聞いてみる企画。第2回目は、年間300本映画を観る社員の渡辺さんに「2022年上半期ベストムービー」について語ってもらいました!

今回のFilmarksの人

Filmarksが主催する映画館での上映企画「プレチケ」チームでプロデューサーとして活躍する渡辺さん。年間300本ほど映画を観るので、平日も休日も映画尽くし。物心がついた頃から今まで、ずっと映画にハマっている。最初に観た映画は『グーニーズ』!

2022年上半期、どんな映画を観た?

編集:それでは、よろしくお願いします! 渡辺さんはFilmarks社員の中でもかなり映画を観ているイメージで、社内で勉強会なども開催していただき、私も新入社員の頃から大変お世話になっています……!

渡辺:そうだね、昔同じチームでしたしね(笑)。今日はよろしくお願いします。

編集:では早速、上半期(1~6月)はどれくらい映画を観ましたか?

渡辺:配信を含めて約150作品くらいですかね。半分以上は劇場で観てます。

編集:半分以上を劇場で観るって、社員の中でもダントツだと思います……! どういった作品が多いですか?

渡辺:『コーダ あいのうた』や『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』、『ウエスト・サイド・ストーリー』に『カモン カモン』、『トップガン マーヴェリック』などFilmarksのトレンドトップに上がってきているような話題作はもちろん、エリック・ロメールのレトロスペクティブや、ミニシアター系作品など色々と観ています。あと、上半期は『ナワリヌイ』などドキュメンタリー作品もアツかったですね。

編集:やはり本数観てるので、「アレ観てるかな?」はもはや不問ですね(笑)。最近はリバイバル上映なども増えてきて、それこそ「プレチケ」もそうですよね。やはりコロナ禍で新作の公開延期が重なったのを機に需要が高まってきたんでしょうか……! 個人的にも過去作を映画館で観れるのは嬉しいです。

渡辺:そうですね。それはあると思います。見逃した作品や好きな監督の過去作などを映画館で観れるのは嬉しいですよね。あと、僕は映画館で観る時にパンフレットも大体買うのですが、コラムを読んだり、ロケ地の地図や舞台設定などを知るのも楽しみ方のひとつだと思います。お財布に余裕があって映画が面白かったら、パンフレットも読んでもらえるとより楽しめると思うので、是非!

編集:パンフレットを読み込んで理解を深めるのもまた楽しいですよね。実は好きな作家さんがコラムを寄贈しているとか結構ありますし、発見があって面白いです! それでは、いよいよベストムービーを聞いていけたらと思います。

渡辺:ベスト難しい……(笑)。ちょっと自分のFilmarksチェックします。

渡辺さんの2022年上半期ベストムービーは?

編集:チェックできましたかね(笑)? では、ベスト3をお伺いできればと思います!

渡辺:個人的ベストは、『カモン カモン』ですかね。次いでリバイバル上映で観た『ハッピーアワー』、あとは先ほど話した『ナワリヌイ』です。絞るの難しかった……。

心に染み入る人間賛歌『カモン カモン』

編集:『カモン カモン』、私もとっても好きでした! マイク・ミルズ監督のファンでもあるので凄く楽しみにしていたんですが、心に染み込んでくる感じが堪らなくよかったです……。渡辺さんはどういったところがベストの理由ですか?

渡辺:言葉で説明すると陳腐になってしまうくらい“最高”でしたよね……。僕もマイク・ミルズ監督のファンで、公開を楽しみにしていました。話のプラットフォームとしては「おじさんと甥っ子のロードムービー」といった感じでそんなに珍しくないですが、なんでこんなに響いたかというと“全編モノクロ”も大きかったと思います。視覚的に色の情報を狭めることで、対話中心のストーリーが際立つというか。

特に今作は、監督の“日常を切り取る力”がかなり発揮されていると思っていて、変わり者の二人が次第に心を通わせていくテンポも、ゆっくりと心地よくて。空気感を操るディレクション力にやられました。あとは、ホアキンの圧倒的存在感。彼でないといけないと思わせる、素晴らしい演技でした。

編集: ほんとにじんわりと心に残り続けるような作品でしたね。メインはおじさんと甥っ子、そしてその母親という極小の登場人物たちの日常を描いた成長物語なのに、要所で差し込まれる子供たちへのインタビューが“これからの世界”についてだったりとか。凄く小さな穴でも掘り続けると、地球の裏側に届くような、そんな希望がありました。

渡辺:本当によかったですよね。えも言われぬ心地よさで、何度も思い出したい作品になりました。

人生の岐路に立つ女性たちの選択『ハッピーアワー』

編集:では、次いで『ハッピーアワー』についてお話し聞かせてください。5時間17分という長尺ですが……!

渡辺:これは公開当時観れてなくて、濱口竜介監督の特集上映で観たんですが、尺の長さが全然気にならないくらい面白くて。アート寄りな作品を想像していたんだけど、どちらかというと昼ドラみたいな感じでかなり緊張感がありました。親友4人組の女性の話で、そのうちの一人のある“秘密”から物語が発展していって、他の女性たちの抱えている問題もじわじわ動き出していくっていう……。

濱口監督が所属する脚本ユニット「はたのこうぼう」の脚本がとにかく素晴らしかったです。劇場で観れて本当によかった。一番驚いたのは、この4人組がワークショップで集まった演技未経験者の俳優たちだったことですね。

編集:主演が未経験の俳優たちで、ワークショップが元となっているとは驚きです! Filmarksでも★4.3とかなり高評価ですし、レビューも濃いものが多い。人間ドラマだけどミステリー要素が強そうで、確かにこれは5時間あっという間に感じそうです…….! では続いて、『ナワリヌイ』のお話しもお伺いしたいのですが、これは実話を元にしたドキュメンタリー作品ですね。あらすじが衝撃的です……!

“反体制のカリスマ”アレクセイ・ナワリヌイの衝撃の実話『ナワリヌイ』

渡辺:これは本当に衝撃でした。プーチン政権への痛烈な批判で“反体制のカリスマ”として支持を集めるロシア人政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイが暗殺未遂に遭い、犯人を割り出していく様子を追ったドキュメンタリーで、まさに“事実は小説より奇なり”というか。常識外の世界の闇を描いた衝撃作でした。

編集:暗殺現場まで撮ってるの、かなり攻めてる。しかも毒殺って、変な話本当にスパイ映画みたいというか。現代に起きているという事実だけでもう衝撃です……。

渡辺:ですよね。彼はロシアでもかなり人気のある政治活動家で、政府は名前を口に出すことすらしないような人物です。カリスマ性があって、観ていくうちにどんどん魅了されます。そんな人物が、国民のため世界のためにと反旗を翻し戦う姿が本当にかっこよくて。もちろんロシアでは上映されていないのですが、世界ではかなり話題になっていますし、日本でももっと観られるべき映画だと思います。

編集:確かに、予告でもその人柄が伝わってきます。でも暗殺未遂にまで遭って、どうやって犯人を割り出していったんですか?

渡辺:調査報道ユニット「ベリングキャット」の協力で犯人を割り出していくんですが、最新のテクノロジーを駆使したスマートで知的な攻防戦にとにかく痺れます。アプリの追跡機能や使用履歴・メール情報などをハックして、暗殺の現場に誰がいたか、どういう人物なのかなどをどんどん割り出していく様がかなりスリリング。1分1秒も見逃せない緊張感と、劇場を出て「凄い物をみてしまった」という興奮が冷めないうちに、書籍「 ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く」も購入して読みました。本当に衝撃的なドキュメンタリーなので、是非観て欲しいです。

編集:渡辺さんの興奮が伝わります……! まさに今観るべき作品ですね。Clip!したので観たら感想を伝えます!ハマったら本も貸してください(笑)。

さて、今回上半期のベストムービーを教えていただきましたが、同時に映画館で映画を観る事の良さも語っていただけたと思います。“プレチケ”という映画好きの声をカタチにするプロジェクトを通して、Filmarksユーザーに届けたい思いはありますか?

渡辺:映画館で観るという体験に対する“感情の動き”ってかならずあると思うんですよ。誰と行っただとか、その時の環境だったり、ムードだったり。思い出と共に“いい映画に出会う”ことの楽しさをもっと広めていけたらなと思います。ありがとうございました!

次回の【Filmarksの人にきいてみた】は……?

FILMAGA編集部の堤さんに、シスターフッド映画について語ってもらいます! 次回も是非、お楽しみに。

【Filmarksの人にきいてみた】連載

※2022年7月29日時点での情報です。

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