【Filmarksの人に聞いてみた Vol.3】今アツい「シスターフッド」映画ってどういう作品?「シスターフッド」映画の魅力をきいてみた。

Filmarksを運営する社員に、映画やドラマ、アニメに関する「偏愛」やオススメを聞いてみる企画。第3回目は、FILMAGA編集部の堤さんに「シスターフッド」映画について語ってもらいました!

今回のFilmarksの人

Filmarks内で展開されるwebマガジン「FILMAGA」編集部 の堤さん。

学生時代はTSUTAYAに週8で通うなど、狂ったように映画を観続けていた。小さくて可愛い物を集める癖があり、部屋を片付けてもなんとなくスッキリせずに困っている。ロビン・ウィリアムズが永遠のスター!

「シスターフッド」映画ってどんな作品?

編集:早速質問です! なんとなくは分かるけど、「シスターフッド」って具体的に自分で説明する自信がなくて。改めて意味を教えていただけますか?

:まず「シスターフッド」って言葉が生まれた背景なんですが、1960年代から70年代アメリカのウーマンリブ運動で、これまでのジェンダーロールからの解放を求めた女性たちの連帯をそう呼んだことが始まりだそうです。現代では、女性同士の強い絆のことを指している場合が多いですかね。私は“女性たちが利害関係を超えて、同じ目的に向かって共闘する関係性”のことかな、と解釈しています。

編集:グッとくるフレーズ。そういう歴史的背景から生まれた言葉なんですね。“共闘”って聞くと、強い女性たちが活躍する作品はシスターフッド要素があると言えるのでしょうか?

:そうですね〜。ただ単に強い女性の集まりというより、結束することで強くなる! みたいな部分がシスターフッド映画の旨みだとも思っていて。

“共闘”っていうのは意味合いも多種多様なのですが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『ガンパウダー・ミルクシェイク』なんかは、女性たちが腕っぷしで戦うパワー系の“共闘”で、『旅するジーンズと16歳の旅立ち』や『メタモルフォーゼの縁側』などは、精神的に支えあって“共闘”している感じですね。もちろん、どちらもある種の絆が生まれてこそ「シスターフッド」になると思います。

編集:なるほど……! 結束することで、強くなる。いろんな「シスターフッド」がありますね。では続いて、オススメをお伺いしていきますね!

青春は痛いもの。ガールズパワー全開「シスターフッド」映画のオススメ

編集:まずはガールズパワー全開の、青春系「シスターフッド」作品から。どういったところが好きですか?

:ティーンとかヤングアダルトあたりの「シスターフッド」作品って、それまで生きてきた狭い世界から脱出するために“自分の殻を破る”作品が多いというか、成長物語としての側面も強くて。失敗もしっかり描かれている所が好きです。そんな所も全部眩しくみえちゃう(笑)。

編集:わかる、全部眩しく見えますよね(笑)。作品で言うとどのあたりでしょうか?

:『ローラーガールズ・ダイアリー』、『モキシー ~私たちのムーブメント~』、『ブック・スマート 卒業前夜のパーティーデビュー』、『旅するジーンズと16歳の旅立ち』とかですかね。あと、邦画だと『下妻物語』が初めてシスターフッドを感じた映画かもしれません。

編集:ポスターがどれも可愛い。どういったところがおすすめのポイントですか?

:どの作品もやはり、「わたしたちの物語」とはっきり感じさせてくれる所です。どの関係性も尊くて……。外の世界が見えてくる年頃だからこそ、初めて感じる痛みが多い年齢だと思うんですね。種類は違えど皆んな通ってきた道というか。でも、傷ついた時に支えてくれて、戦ってくれるのはやっぱり「シスターフッド」で。元気がもらえて、ジーンときて、親友に話したくなるような作品たちです。

編集:なるほど……。なんだか愛おしくてジーンときますね。あと、『下妻物語』が邦画で初めて「シスターフッド」を感じた作品ということですが、確かに、改めて考えてみるとかなり「シスターフッド」映画ですね。

:そうなんですよ。『下妻物語』は全然タイプの違う2人の女の子の間に生まれた「シスターフッド」が本当に奇跡で。この年代の友達って、クラスが一緒だとか、近所だからみたいな理由でなんとなく出来ることがあると思うんですが、対極にいるような二人でも、喧嘩したり頼りあったりしていくうちにリスペクトが生まれて「シスターフッド」になるっていう、本当に貴重な存在で……。ずっと心に残っている作品です。

クラシックで至高。往年の「シスターフッド」映画のオススメ

編集:続いては、往年の「シスターフッド」映画について聞かせてください。クラシックも堤さんの得意分野ですよね。

:はい、好きです(笑)。往年の「シスターフッド」作品でオススメは、『9時から5時まで』、『マグノリアの花たち/スティール・マグノリア』、『フライド・グリーン・トマト』、『テルマ&ルイーズ』です。

編集:大体80年代〜90年代の作品ですね。こちらもオススメポイントを教えてください!

:まず時代背景として、ウーマンリブの影響が色濃く描かれている『9時から5時まで』なんかは、女性の働き方改革を描いた都会派「シスターフッド」ブラックコメディであるのですが、その他の3本はアメリカ南部の話です。保守的な場所で育まれる「シスターフッド」というプラットフォームをよく見るのは、80年代後半〜90年代くらいが、ウーマンリブの価値観が田舎にも浸透してきた時代だからなのかなと思ったり。そういった時代の動きを感じられるのもオススメポイントのひとつです。

編集:そう考えてみると、また違った見え方で面白いかも。『9時から5時まで』以外の3作品はどういった作品なんですか?

:他3作品もですね、一直線上に並べて魅力を説明することは難しいんですが、やっぱり「自分たちの幸せとは何か」を再定義するという点で共通しているのかな。どの作品も大人の女性たちですから、それぞれにまた色んな役割が課せられた中で育まれる「シスターフッド」が凄く良くて。母であったり、お嫁さんであったり、社会人だったりで、それもまた「女性らしさ」みたいなジェンダーロールが今の時代よりもっと強固なので、より濃いヒューマンドラマになっています。

編集:なるほど、さっきのガールズパワー作品より、ちょっと重厚な雰囲気を感じます。

:でも、ちゃんと笑えるんですよ(笑)! 『マグノリアの花たち/スティール・マグノリア』は、私の中で笑って泣けて感動する映画No.1かもしれません。こんなシスターたちが周りにいたらどんなに良いだろうなって……。『フライド・グリーン・トマト』はそれでいうと、カルチャー的要素が強いというか。1930年頃の過去を回想して1980年頃の現代とリンクする話なのですが、過去パートはカウンターカルチャーという概念が生まれる前なので、マイノリティへの差別がより酷に描かれます。そんな中でも、「自分達を信じて、生き方を貫き通す」二人の女性に、現代で話を聞いている方の女性もエンパワメントされていったり。

編集:シリアスだけじゃなくて、笑いも感動もあるんだ。映画としても凄く面白そう。

:そうなんです。“強くなる”過程が描かれているので、やったった! みたいなシーンも多くて(笑)。『テルマ&ルイーズ』は、言わずもがな「シスターフッド」映画の金字塔として知られる、女性二人の逃避行ロードムービーです。転がり出すと止まらない石のように、誰にも止められない・止まらないという覚悟に毎回涙してしまいます……。ラストは色んな意味でカタルシスが強くて、思い出すたびに考えてしまうような、心に残る作品でオススメです。

編集:うんうん。ここまでオススメ作品を聞いてきて、どれも勇気をもらえそうな作品で観てみたくなりました。最後に、改めて「シスターフッド」作品について考えてみて、いかがでしたか?

:「シスターフッド」作品といっても多種多様だけど、どれも根底に「自分らしく生きる」ことへの賛辞があって、「自由」を目指す女性たちの物語なんだなって、再確認することができました。凄く楽しかったです、ありがとうございました!

次回の【Filmarksの人に聞いてみた】は……?

社内でもぶっちぎりでホラー作品を観ている高田さんに、ホラー映画について語ってもらいました! 次回も是非、お楽しみに。

【Filmarksの人に聞いてみた】連載

※2022年8月9日時点での情報です。

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