Filmarksを運営する社員に、映画やドラマ、アニメに関する「偏愛」やオススメを聞いてみる企画。第5回目は、Filmarksで PRを担当している清水さんに、「映画好きにオススメのアニメ」について語ってもらいました!
今回のFilmarksの人
FilmarksのPRを担当している清水さん。
平日はアニメと漫画、休日は映画、深夜にゲームのリズムで生きており、メガネの度数がすごい事になっている。1クールに20本ほどアニメを見る頼もしいオタクであり、映画好き。最近のお気に入りは『本好きの下剋上』!
好きなものを“ディグ”る原体験
編集:まず聞きたいのですが、私たちの世代でいうと「子供の頃はアニメを見ていたけど、ある程度大人になると自然と見なくなった」って人が多い気がします。清水さんがアニメを「好きだ!」と自覚したきっかけの作品って何ですか?
清水:多くの人がそうだと思うんですが、初めてアニメをみたのはニチアサ系ですね。いわゆる女児向けアニメが入りですが、きっかけになったアニメは『カードキャプターさくら』です。まずビジュアルの繊細さに心を持って行かれて、活発な女の子が主人公というところも憧れましたし、サブキャラクターの描かれ方も今まで見ていたアニメと一線を画していて「なにこれ!」と惹き込まれました。
編集:懐かしい! 私も子供の頃ハマりました。たしかに『カードキャプターさくら』はサブキャラの魅力も凄いですよね。
清水:叶わない恋やすれ違いのもどかしさとか、敵にも事情があって、それぞれの想いがぶつかり合う切なさとか、そういうのも初めて知りましたね……。大切な感情を沢山学んだ気がします。
編集:たしかに、色んな新しい感情が自分の中に入ってきて、『カードキャプターさくら』に学んだことはかなり多い気がします。そこから清水さんのアニメ好きが始まったんですね。
清水:そうですね〜。「もっとカードキャプターさくらのことがしりたい!」って感情が芽生えて、アニメだけじゃ足りなくなったことがキッカケだったと思います。そこから原作漫画を古本屋で集めたり、原作者のCLAMPさんの他の漫画やアニメを見始めたりして……。深層へと潜っていきました(笑)。
編集:「もっとくれ!」ってディグり出すってのは、まさにオタクの原体験ですね。
清水:今みたいに検索したらすぐに答えがわかる時代じゃなかったので、手探りで自分が好きそうなアニメを探しました。おばあちゃんにレンタルビデオ店に連れて行ってもらって、『魔法騎士レイアース』のビデオを借りたり(笑)。そうしているうちに、段々と自分が好きなアニメの傾向や共通点が見えてきて。
『おジャ魔女どれみドッカ〜ン!』の「どれみと魔女をやめた魔女」を妙に覚えていたり、『アリスSOS』のOPが大好きだったり、『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』で泣いたり……。少し大きくなって気づいたのですが、どうやら自分は細田守という監督の作品が好きなんだ! とか。
編集:なるほど〜。世代が同じなので目頭にきます……。そういうった体験が今に通じてるんですね。ではいよいよ、映画好きにオススメのアニメ作品について聞いていこうと思います!
「映画好きにオススメ」アニメ 3選
クライム映画好きにオススメ!
ハリウッド級詐欺師アニメ『GREAT PRETENDER』
清水:映画好きにオススメしたいアニメ1作品目は、『GREAT PRETENDER』です。古沢良太さんという、『コンフィデンスマンJP』や『リーガルハイ』などの大ヒット映画を手がけている方が脚本を担当した“詐欺師”物のアニメで、キャッチー且つ王道の豪華さと、観ている方もまんまと騙される感じが堪らなくて、映画好きもハマると思います。キャラクターデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行さんなので、絵も馴染みやすいと思うし、スタイリッシュな世界観なのにキャラクターたちの愛らしさもあって、クライム映画好きに是非観ていただきたいです。
編集:制作陣の名前を聞いただけでも、お! っと思う人多そうですね。絵も太さのある線なのにシャープな感じとか、懐かしさと新しさが混在している感じですごいオシャレ。
清水:オシャレですよね。背景とかも大胆な配色で、あえて境界をはっきり描いたり、色を絞った感じもスタイリッシュ。伏線もモリモリだし、映画好きには気持ちいい瞬間が多いと思います。何喋ってもネタバレになるので詳細は控えますが、主人公の詐欺師の男の子が同業のフランス人を標的にしてしまい、そこから色んなことに巻き込まれていくのですが……。展開がまさにハリウッド級なんです。
編集:たしかに、なんか雰囲気がハリウッド映画っぽい! 洒落っ気があっていいですね。めっちゃ観たくなりました。一気見リストに入れておきます(笑)。
クリストファー・ノーラン好きにオススメ!
異次元に漂流した少年少女『Sonny Boy』
清水:続いてのオススメは『Sonny Boy』です。学校ごと異次元に漂流した学生たちが特殊能力を手に入れて、元の世界に戻ろうと奔走する「SF青春群像劇」なのですが、最近のアニメとは少し変わった作風が魅力的です。
通常のアニメでは、キャラクターの過去を掘り下げたり、心情をモノローグで説明したりなど、話を「わかりやすく」持っていくスタイルが定番ですが、『Sonny Boy』は主流のスタイルから逆走するかのように説明のないまま「今」が進んでいき、未来や過去をチラつかせながら物語が展開していきます。このスタイルと、異次元という世界設定でおこる物理学的な問題の「わからなさ」にクリストファー・ノーランを感じて、是非映画好きにもオススメしたいです。
編集:私も観たのですが、「ちょっとわかってきたぞ!」と思っていたら、次の話でまた「全然わからん。」になったり(笑)。でもその「わからなさ」と絵のオシャレさが、独特の雰囲気を醸していて魅了されました。
清水:キャラクター原案がマンガ家の江口寿史さんでビジュアルもいいし、主題歌も銀杏BOYSが書き下ろしていて、豪華なクリエイターが集結しているのも魅力的です。
編集:そうですね。ストーリーの複雑さも込みで、ちょっと大人な雰囲気がまた良かったです。「説明のなさ」が故に真剣に見入ってしまうし、意味を調べたくなるような要素が多くて、映画好きに刺さりそうですね。
清水:考察が捗る作品ですよね。“異次元”や“特殊能力”を扱った作品で、モノローグやストーリーテラー的キャラクターがなくてもきちんと成立していて面白いのも、ノーラン作品に通づる点かなと思います。世界観はノーラン的だけど、描いているのは青春群像劇なので、難しいことを抜きにしても、もちろん面白いです!
社会派映画好きにオススメ!
人間社会への問題提起?骨太ドラマ『BEASTERS』
清水:続いてオススメするのは、『BEASTERS』です。人型の動物たちが暮らす社会で、チェリートン学園に通うオオカミのレゴシくんがウサギのハルちゃんに恋をして、肉食獣である自分の在り方や社会と向き合っていくといったストーリーなのですが、設定はかなりアニメ的だけど内容は骨太な社会派で、濃いヒューマンドラマ(?)が楽しめます!
編集:アニマルドラマ(?)よりしっくりきますね(笑)。『BEASTERS』、回を追うごとに社会派な面が強くなっていっていく様が見事で、毎週楽しみに観てました。少しノワール的なところも渋くてかっこよかったな……。
清水:肉食獣と草食獣が共存する社会なので、そのための法律やルールが細かくあって。どちらにも住み良い世界を作っているつもりでも、やっぱり社会から“あぶれる”獣がいるんですよね。登場人物を動物にしているからこそ、映画でもよく主題になる“人種問題”だったり、そこから生まれる“貧困”や“マイノリティの排除”だったりを分かりやすく問題提起しているなと思います。「自分はどう社会に関わっていくべきなのか、本当の平和ってなんなのか」など考えるきっかけにもなるので、社会派映画が好きな人にぜひオススメしたいです。
編集:なるほど。大きなルールの中で取りこぼされた者たちを救う“救世主”的ポジションになっていくレゴシというキャラクターが、現実社会で求められていることの反映なのかもしれないですね。
清水:そうですね。他にもすごく人間臭くて(?)魅力的なキャラクターたちが沢山登場するので、骨太なドラマを楽しんでもらえればと思います!
編集:ここまで紹介していただいた3本、どれも映画好きに刺さりそうな作品でさすがのラインナップだと思いました! 他にも紹介しきれなかった作品もあると思うので、また是非お話し聞かせてください。本日はありがとうございました!
清水:是非(笑)! 楽しかったです、ありがとうございました!
次回の【Filmarksの人に聞いてみた】は……?
FILMAGA編集部の二人が「泣ける」映画をご紹介。次回も是非、お楽しみに。
※2022年9月13日時点での情報です。