映画ごとにある独特の色味や印象的なワンシーン。そんな“イメージ”をお酒と花を愛するライター・JUNERAYがカクテルに落とし込んで紹介。
第1回の映画は、ストーリーはもちろん、色彩豊かなLAの景色や音楽も印象的な『ラ・ラ・ランド』。切り抜きたくなるような美しいシーンをカクテルにしてもらいました。
映画『ラ・ラ・ランド』(2017)
夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)。いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋に落ち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。
監督は『セッション』などのデイミアン・チャゼル。夢を追う二人を演じるのはライアン・ゴズリングとエマ・ストーン。第89回アカデミー賞で主要6部門受賞作品。FilmarksでのMark数もNo.1と、長く愛される作品。(※2022年11月時点データ)
JUNERAY’s VOICE
エンドロールが流れ始めたとたん、だまされた! と衝撃を受けました。目にも鮮やかなオープニングシーンを観て、幸せな愛情に彩られたサクセスストーリーだと思っていたのに。
二人でいる時間は、夢のようにロマンチック。でも現実のミアは自主開催の舞台で大失敗するし、セブはラストシーンにおいても派手な曲で盛り上げたりなんてしない。その寂しさすら感じさせるギャップが、わたしたちのような大人の思い出の繊細なところを、ぐいっと掘り起こしてくるような気持ちがします。
「誰もが望むようなハッピー・エンドでなくても、それが自分にとっての幸福だと受け入れることが、成長である」と諭すような、ラストの彼女の複雑な微笑みが印象的な作品です。
Inspired by『ラ・ラ・ランド』
光の粒が残るトワイライトタイムの幻想的な景色をバックに始まる駐車場でのダンスシーンからインスピレーションを受けた1杯。
カリフォルニアはワインの名産地で、作中でもしばしば登場人物たちがワインを飲んでいます。こちらもカリフォルニアの名産である、オレンジの果汁と、オレンジ果皮のリキュールであるブルー・キュラソーを使用して、鮮やかなワイン・クーラーに仕立てました。樽の香りの余韻が大人のラブストーリーを引き立てます。
Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate. (C)2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
日暮れどき、青く染まる街並みと、街路灯に照らされエメラルドグリーンに映し出されるコンクリート。オレンジピールでミアのワンピースを踊らせたら、心が通じ合った瞬間の二人に祝福の乾杯を。
HOW TO
■材料
・カリフォルニア産白ワイン……適量(グラスを満たせる量)
・ブルー・キュラソー……15ml
・オレンジ果汁……30ml
・オレンジピール……1ケ
底にブルー・キュラソーを入れたら荒めのクラッシュドアイスをグラス半分ほど詰め、白ワインをそっと注ぐ。浮かべるように優しくオレンジ果汁を加えたら、オレンジピールを飾って完成。
赤ワインとホワイト・キュラソーで作れば、プールサイドのシーンで人々が飲んでいたようなカクテルへのアレンジも。
※2022年11月28日時点の情報です。