お金大好き♡えげつないほどの“金の亡者”が登場するおすすめ映画12本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

みなさんはお金が好きですか? もちろん好きですよね?

しかし、お金愛があまりに度を超すと“守銭奴”になってしまい、結局自分の身を滅ぼすことになるわけで……映画にもそんな人たちがちょくちょく登場するが、スクリーンで観ている分にはエンターテイメントとして楽しめる。

そこで今回は、金欲にとりつかれた人たちが登場する映画12本をご紹介しよう。

後妻業の女』(2016)

愛を換金する女

後妻業の女

独身で資産家の高齢男性と結婚し、その財産を奪う女に翻弄される人々を描く。

女にしかできない職業である。しかもあまり若い美女だと警戒されるので、程よい年齢で程よいかわいさ。これ大事。その役を大竹しのぶが演じるというだけで、この映画は成功間違いなしだ。無邪気でふてぶてしくて金に汚くて、彼女を裏で操っているはずの男も簡単に手玉に取ってしまうとんでもない女。

だけど、彼女の本性を知りながらそれでもそばにいてほしいと願う男もいるのでは? たとえ偽物であっても愛がお金で買えるなら……そこらへんの男の哀しさも感じたりして、遺族にとってはたまらんだろうが、最期に幸せだったのならよかったんじゃないかと思ったりもする。

悪行でタッグを組む豊川悦司がワルで新境地だが、大竹しのぶの底なし沼のような演技力には叶わず。笑福亭鶴瓶との騙しあいもみどころ。

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メリッサ・マッカーシーinザ・ボス 世界で一番お金が好き!』(2016)

寂しさゆえに

世界でお金が一番好き

親に捨てられて孤独に育ち、お金が全ての人生を送っていた主人公が、インサイダー取引を密告されて刑務所に入ることになってしまう。

意外にもアクションありのコメディ映画。どちらかといえばB級だが、道端でライバル同士がぶつかる乱闘シーンなどは笑いを交えたなかなかの出来栄えである。ちょっと太めの彼女がタートルネックをいつもあごまで引き上げて着ているのは、小顔効果を狙っているのだろうか。

人を信じることができず、ひたすら金儲けに邁進して金融界の大物にのしあがった彼女。その寂しさ。今まで愛情を受けたことがないので、親切にされるとつい突き放してしまうあたりが泣かせる。強欲だけど元部下の女性とおっぱい談義であれこれ言い合う茶目っ気もあり、どうも憎めないんだよなあ。

経営手腕のある彼女は実に頼もしく、こんな人がいたら味方につけたいくらいだ。元カレとの確執も愛情表現のゆがみだったということで、みんなの心が溶ければ大団円。

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Disney’s クリスマス・キャロル』(2009)

人は変われるか

クリスマスキャロル

クリスマス・イヴの夜、冷酷でケチな老人の元へ3人の精霊が現れ、彼を過去・現在・未来の旅に連れて行く。

これまで何度も映像化されてきた有名小説だが、この作品は単なる実写化ではなく、CG技術を駆使した人間とアニメの中間のような映像だ。しかも俳優たちは特殊メイクをしているので、ジム・キャリーは主役だからわかるとして、ゲイリー・オールドマンやコリン・ファースにいたっては「どれ?」という感じ。ちなみにジム・キャリーは1人7役をこなしている。

彼はいわゆる金の亡者というやつで、あまりにもエゴイストなのでみんなから嫌われている。そんな自分の姿を精霊たちによって客観視させられた彼は、たった一晩で別人になったように改心するのである。誰も自分の死を悼まない。そのことがよほど身に堪えたのだろう。

でも、周りは怖くなかったのかな。彼の激変ぶりが。何にしても、与えることによって満たされる幸せを死ぬ前に知ることができてよかった。きっと寿命も延びたことだろう。

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遺産相続』(1990)

愛情の奪い合い

遺産相続

社長の突然の事故死によって巻き起こるドロドロな遺産相続を描く。

社長の遺産は50億円。彼には本妻のほかに内縁の妻とその連れ子、その長男の嫁、ほかに愛人と認知した息子がいた。ほんとにもう相続問題集に出てきそうな複雑な家族構成で、彼らはそもそも対立した人間関係なのだからそりゃ争いになるだろう。予想通り本妻VS内縁の妻という図式で遺産をめぐる闘いが繰り広げられるのだが、結局のところそこはお金よりも女のプライド。物語は内縁の妻の視点で語られていく。

これはコメディなのでドタバタだ。野々村真のヘンな関西弁が許されているのは、当時は京都と大阪が一括りにされていたから? 内縁の妻は、ずっと一緒に暮らして苦労を共にしながら会社を支えてきたのに、法的に一文も財産がもらえないと怒り狂う。それは、自分の価値を認めてもらえない虚しさと哀しさ。

でも、自分がかけがえのない幸せな時間を過ごしていたことに気づいた彼女。人生をお金では換算できないのだ。どちらかというと小川真由美の方が愛人のイメージだが、これは意図的なキャスティングだろうか。社長の死に方があっけらかんとしていてよい。

ヴェニスの商人』(2004)

プライドとお金

ヴェニスの商人

ユダヤ人の金貸しが宿敵の商人から借金を申し込まれ、その担保として体の肉1ポンドを要求する。

いわずと知れたシェイクスピア原作の映画化。アル・パチーノVSジェレミー・アイアンズという2大名優の演技合戦が注目されたが、どう見ても狡猾な金貸しを演じたアル・パチーノに軍配が上がる。だって、こっちの役の方が哀しいもん。だってこれ、ユダヤ人差別の話だもん。

当時の歴史的背景はよくわからないが、キリスト教徒に高い利子を付けて金を貸すことで大金持ちになったユダヤ人というのが、よほど許せないのだね。怒りと悔しさから無慈悲になり、冷酷な手段に出てしまうのも無理はなかろうにと複雑な気持ちになる。

それに加えて男女の愛が試される話もからみあうあたり、さすがシェイクスピア。でも、男からするとずいぶん卑怯なやり方じゃない? どちらの話も何だかモヤモヤ。

ひみつの花園』(1997)

全てはお金のために

ひみつの花園

お金が大好きなヒロインが、樹海の池に眠る5億円を手に入れるため次々と資格を取得していく。

モチベーションが桁外れだと、技術の取得能力が超人的になる。フィクションとはいえ、そこらへんの目的意識はぜひ見習いたいものだ。あのお金がほしい。そのためだけに大学で地質学の勉強をし、車の免許も取得。ほかにも水泳とスキューバダイビングとロッククライミングもやる。必要に迫られると人間何でもやる。

その大金を得るための支度金として、またお金がいる。そうやってとにかく、お金、お金、お金。なりふり構わずお金に向かって突き進んでいく主人公の姿は滑稽で、目的が果たされたらどうするのだろうと心配になるのだが、そこは意外な展開に。

彼女が得たもの。それはお金ではなく生きがいなのか。でもエサは常にお金でないといけない。好きこそものの上手なれ。うん。やっぱり見習おう。

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シャロウ・グレイブ』(1994)

大金が狂わせる

シャロウ・グレイブ

ふとしたことで大金を目にしたルームメイト3人が、それを手に入れようとするうちに関係が崩壊していく。

男2人に女1人という定番の三角関係だが、そこに恋愛要素はない。いや、あるにはあるのだが、それがテーマではない。最初はその大金を平等に分けるつもりだった。しかし、死体の後始末やら証拠隠滅やらの作業分担をしていくうちに、彼らの間に微妙なズレが生じるようになり、お金をめぐる疑心暗鬼に振り回されるようになる。

お金は人間を変える。その金額が大きければ大きいほど、人間を狂わせる。そもそもそれはヤバイ金なのだから慎重かつ計画的に事を進めつつも、誰が誰を騙しているのか騙していないのか、複雑な心理戦だ。でもそれがややこしくならず、娯楽として楽しめるのがすごい。最後に笑うのは一体誰?

やるなあ。結局こういうタイプが生き残るんだよなあ。このスカッとする感じは、やっぱり『トレインスポッティング』の監督。

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マルサの女』(1987)

脱税の執念ときたら

マルサの女

国税局査察部(マルサ)に勤務する女性査察官と大物脱税者との攻防を描く。

公開当時、そのバラエティに富んだリアルな脱税の手口(お金の隠し方)にみんなビックリしたものである。天井や裏部屋、銀行の架空口座に隠す。そこまではまあ素人でも予想できることだが、ランプシェードや口紅や急須の中にねえ……意外と盲点。そういうプロの見破り方もみどころだ。

脱税額が大きい相手だと、暴力団や政治家や銀行が絡んできて戦争のようになる。そこに女性が果敢に立ち向かっていくという構図が当時は斬新だったわけだが、面白いのは、彼女と脱税者の間に奇妙な同志的絆が生まれてくるところ。とっつぁんとルパンみたいな。脱税者の降参の仕方が凄まじいやらカッコいいやら。

ゲティ家の身代金』(2017)

本当にドケチ?

ゲティ家の身代金

世界一の大富豪ゲティの孫が誘拐され破格の身代金が要求されたが、彼は支払いを拒否してしまう。

実在する誘拐事件の映画化。損得勘定に基づいて合理的に物事を進めていき、結果的に欲しいものを手に入れる。これぞ大金持ちとして成功する秘訣だねと感心する一方、「卑劣な手段による金銭の要求には屈しない」or「お金よりも愛情」という葛藤に苦しんでいるようにも見受けられ、メンツもあるしで落としどころがなかなか難しそう。

なので、息子が誘拐されて苦悩する母親の姿よりも、この大富豪が一体どうするのか、どうやって孫を取り戻すのかをハラハラしながら注視してしまう。それにしても「ここで身代金を支払ったら、他の14人の孫たちもターゲットになりかねん」という発想には驚いたが、確かにそうだから単なるドケチではなさそう。

大富豪役がクリストファー・プラマーで大正解。実話とは少々展開が違うらしいので、そこらへんを比較しながら鑑賞するのも楽しいかも。

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黒い家』(1999年)

笑ってしまうほどの狂気

黒い家

生命保険会社で査定業務を担当している主人公が、顧客である夫婦の異常な行動に巻き込まれていく。

いわゆる保険金殺人の話だが、自分の体もターゲットにして故意に大怪我をしたり、真相をかぎつけた主人公を執拗に追い詰めたりするあたりがサイコパス。なので、そのやり口に恐怖よりも気持ち悪さと不気味さが先に立ち、そういう嫌な気持ちにさせられてしまうところが監督の思うツボだ。

とにかく大竹しのぶの怪演ぶりが話題となり、特に、ここではとても書けないあるシーンに女優魂を見て鳥肌が……実際には本人が裸の胸を見せているわけではないのだろうが、観終わってもそこしか覚えていないほどの狂気。でもあまりのことにちょっと笑ってしまうあたり、これも監督の思うツボか。

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銭ゲバ』(1970)

極貧ゆえに

貧乏暮らしで母親を失った主人公は、金銭のためには何でもするようになり、ついには殺人を繰り返すようになる。

銭ゲバとは金銭に異常な執着を持つ人のこと。しかし、彼の場合はその育ちを知るともう不憫すぎて「悪いのは大人だ~っ!」と叫びたくなる。働かないで家のお金を持ち出すろくでもない父親と、愛情はあるが病弱で非力な母親。そんな家庭環境でも健気に生きようとしていた彼が自暴自棄になったからといって、誰が責められよう。

この物語は松山ケンイチ主演でドラマにもなったが、社長一家にじわじわと取り入り、ついに企業まで乗っ取ってしまう銭ゲバが、妙にハマッていた。これは彼なりの世間への、人生への復讐劇。そして、彼なりの決着の付け方がこれまた強烈で……哀しすぎる。

彼は一体何のために生まれてきたのだろうかと思うと、あまりにもやるせなく、救いもない。だけど、この物語にはきっと意味があるのだと思いたい。

蜘蛛女』(1993)

からめとられて

蜘蛛女

マフィアから賄賂をもらっている悪徳警察官が、美しい女殺し屋に誘惑され、破滅へと追いやられていく。

マフィアに内通してお金をもらい、妻帯者でありながら愛人を作ったりしてやりたい放題の暮らしをしている彼は、悪人だが小物。札束を缶に隠して庭に埋めた後、その幸福感にウットリしながら1人でダンスをするシーンが目に焼きつく。人間は自己陶酔に浸るとつい踊ってしまうのか。本当にお金が好きなんだなあ。

そんな彼が、護送中の女殺し屋に後部座席から足で羽交い絞めされ、あれよという間に逃してしまうのだが、彼女の逃走姿が最大のみどころだ。両手を後ろに縛られたまま足で窓を蹴破り、ミニスカート姿でガニ股になりながら走り去る。途中でヒールが空にポ~ン。映画史に残したい名シーンである。

残忍で欲深い彼女は、自分の身を犠牲にしてまで目的を遂行する。それにビビまくる小悪人ゲイリー・オールドマンが途中から気の毒になるほど。でもまあ自業自得だから。欲望の世界だけに、欲望が強い方が勝つ。

いかがでしたか?

コメディあり。サスペンスあり。ホラーあり。どれもお金について考えさせられる映画。

お金はもちろん大事だけど、お金だけの人生にならないようにお互い気をつけましょう。

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