【ネタバレ】映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』黒の組織集合!知られざる灰原哀の想いとは?徹底考察

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ネジムラ89

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の注目ポイントをネタバレありで徹底解説。

2023年に公開となった名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)は、劇場版名探偵コナンシリーズとしては第26作目にまでも達する作品です。しかしこれだけナンバリングを重ねつつも、今回の映画でもこれまで“コナンがやってこなかった”初めての出来事が数多く描かれていました。

ジンの地位を狙う黒の組織の新たなメンバーの登場や、黒の組織のキールの活躍。そしてさらには灰原哀のコナンに対する思いが赤裸々に描かれるシリーズでも初めてのクライマックスが用意されていました。

作中の主要人物のバックボーンやシリーズにおける立ち位置なども含めて、本作の注目のポイントをネタバレありで解説していきます。

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(2023)のあらすじ

園子の招待によって八丈島を訪れていたコナンたち。そのお近海では、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設「パシフィック・ブイ」が本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織であるユーロポールのネットワークへと接続しようとしていた。

黒田兵衛たちの姿を見つけたコナンはこっそり警視庁関係者が乗る船に侵入し、パシフィック・ブイに忍び込むことに成功する。

顔認証システムを応用し監視カメラの映像上の人物の過去や未来の姿も感知できる新技術“老若認証”のテストが進められていることを教えてもらうコナンだったが、そのシステムを狙って黒の組織が動き出していた。

老若認証を開発した直美が誘拐され、さらには老若認証システムによってシェリーと同一人物と判定された灰原哀に対しても黒の組織の魔の手が迫っていた……。

※以下、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のネタバレを含みます。本作をまだ見ていない人は予めご注意ください。

黒の組織集結! レアキャラクターの姿もあり!

映画のタイトルに“黒”の文字が登場しているということで、『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』では黒の組織の面々との対決が見どころの一つになっていました。

しかも今作ではオールスターと言わんばかりに主要メンバーが集結。ジン、ウォッカ。ベルモット、キャンティ、コルン、そして組織に潜入している本堂瑛海(キール)と安室透(バーボン)それぞれに活躍の場が設けられていました。さらには安室が赤井秀一に対してかつてのコードネームである“ライ”と呼びかける懐かしい場面も登場しました。

懐かしいといえば回想などの場面では、劇場版シリーズでの限定登場となったアイリッシュ(『名探偵コナン 漆黒のチェイサー』(2009)に登場)や、キュラソー(『名探偵コナン 純黒の悪夢』(2016)に登場)に関しても久しぶりに言及されているのも、往年のファンには嬉しい部分です。

そして忘れてはいけないのが、映画の公開直前の放送となったTVアニメ「名探偵コナン」の第1079話「黒ずくめの謀略(正体)」でその正体が明かされたばかりのRUM(ラム)も劇場版シリーズ初登場しています。ある意味、黒の組織の全員集合回とでも言うような顔ぶれとなりました。

初登場・ピンガとは何者だったのか?

これまでに登場した黒の組織の面々に加えて、今回の映画オリジナルの黒の組織メンバーとして、ピンガも初登場しています。コーンロウに編み上げた髪型が特徴の男で、これまでの組織の面々ともまた異なる特徴を持った人物でした。

ピンガはキュラソーが亡くなった後、ラムの側近として活動しており、蘭と互角の格闘戦を交わせるほどの実力派でした。組織のメンバーに対する野心も強いようで、味方であるはずのジンに対して敵意を持っていたことなども語られていました。

一方で詰めが甘い様子も描かれており、ユーロポートのネットワークセンターへの侵入を目撃されてしまったり、コナンによってグレースに変装していることを見破られてしまったり、挙げ句の果てには潜水艦の自爆に巻き込まれてしまったりと情けなさが目立つ活躍となってしまいました。

潜水艦の爆破について共有がされなかったのはジンの仕業でもあったわけですが、ジンもあまりピンガのことはよく思っていなかったようです。

ただし、ピンガはコナンと新一が同一人物であることを老若認証によって突き止めていました。ジンにとっては「新一の生存」という失敗が明るみになる窮地を逃れる結果となったわけですが、組織に生存を知られかけるコナンのピンチまでも救ってしまったのは皮肉な話です。

黒の組織の裏切り者たち、その目的は?

本作では黒の組織内がそれぞれ一致団結できているわけではないこともハッキリと分かる映画となりました。

すっかりコナンと協力的な行動を見せる安室はおなじみとなりましたが、今作では灰原の救出の立役者となったキールこと本堂瑛海が大活躍を果たしています

瑛海はCIAの諜報員であり黒の組織に潜入している上、日売テレビのアナウンサー・水無玲奈という顔を持つ、安室と同じ“トリプルフェイス”です。

父親のイーサンは同じCIAの諜報員で、彼も黒の組織に潜入していたのですが、自らの命を犠牲にすることで組織に正体を知られてしまう窮地を回避しつつ、瑛海の組織での昇進のきっかけをもたらしました。作中でもわずかに回想シーンが登場していますが、詳しい内容はTVアニメ第500話「赤と黒のクラッシュ 遺言」にて彼女の過去が描かれます。

そしてもう一人、コナンたちにとって敵なのか味方なのかわからない動きを見せるのがベルモットでした。直美・アルジェントを誘拐したり、パシフィック・ブイの防衛システムを遠隔解除させたりとはっきりと敵側の動きを見せましたが、一方でわざわざ灰原とそっくりの人間になりすますことで老若認証に欠陥があるように組織に思わせたり、灰原の命を救う動きを見せました。

その真意については今回の映画では明かされませんでしたが、エンドロールの後にはベルモットがシルバー・ブレッドと呼ぶコナンに対して、彼女の行動の思惑を問いかける場面が登場することからも、今後のアニメシリーズでベルモットが灰原を救った理由が明らかになっていく可能性が高そうです。

知っておきたい! 灰原の姉・宮野明美とは?

黒の組織の面々についてばかり取り上げてきましたが『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』はもう一人、重要なキーパーソンが存在します。それがコナンと同じく毒薬・APTX(アポトキシン)4869の効果で子供の姿になってしまった灰原哀です。

怪盗キッドや服部平次といったキャラクターは度々映画のメインキャラクターとして活躍の場が与えられてきましたが、劇場版第3弾『名探偵コナン 世紀末の魔術師』(1999)以来登場している灰原にスポットが当たるケースは少なく。灰原の心情に迫る作品といえば劇場版第5弾『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』(2001)以来ともいえます。

同作でも重要な存在として描かれたのが、灰原の姉である宮野明美の存在です。灰原はかつて親しかった姉をジンに殺されており、明美の最期を看取ったのがコナンでした。この話はTVアニメ第128話「黒の組織10億円強奪事件」で描かれます。

明美はすでに故人ではありつつも、死後も度々彼女の過去や影響に言及するエピソードが登場しており、今作でも幼少時代にいじめられかけた直美・アルジェントを救ったり、そんな彼女の老若認証開発のきっかけをもたらすことになりました。

灰原の秘めた思いが明かされるクライマックス

本作では灰原の明美に対する思いだけでなく、コナンに対する秘めた思いも描かれる貴重な映画となりました。

水中で意識を失ったコナンを救うため阿笠博士の水中スクーターで駆けつけた灰原は、口移しでコナンに空気を送りました。灰原の救援のおかげで意識を取り戻したコナンは、灰原を連れて海面へと戻ろうとします。

本来であればここで会話が交わされるところなのでしょうが、二人がいるのは水中ということで、“心の声”という形で灰原の思いが描かれます。

組織に正体が知られてしまい元の生活には戻れないと悟る灰原に対して、前向きに手を引くコナン。そのコナンの心強い様子に灰原は思わず、先ほど口移しで空気を送ったことをハッキリと“キス”と表現し、異性としてコナンを意識した心中を明かします。

命を救うためとはいえ、すでに新一と蘭が恋人関係であることを灰原は知っています。その上で交わした口づけのケジメとして、映画の最後には灰原が蘭に対して強引に人工呼吸してもらうことで、コナン(新一)から奪った唇を“返す”という行動に出ました

新一の好意が蘭にはっきりと向かっていることは作中でもなんども描かれている事実です。灰原自身がその好意の対象にはなれないことを自覚的なことが、ある意味せつない結末でもありました。

ただ、そんな灰原がわざわざ“唇を返す”行動に出るほどの展開が『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』にはあったわけです。「名探偵コナン」という作品のメインヒロインはもちろん蘭なのですが、この映画もといあの灰原だけが知る水中での出来事の瞬間については、紛れもなく彼女が映画のヒロインを務めていたことは間違いないでしょう。

 

※2023年4月18日時点の情報です。

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