【ネタバレ】『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』TVアニメ3期の謎がついに判明!2年前の常守たちに何が起きたのか?徹底解説

アニメの風通しがもっと良くなりますように

ネジムラ89

2012年にオリジナルTVアニメーションとしてスタートした『PSYCHO-PASS サイコパス』が10周年という節目を経て、久しぶりに帰ってきました。

TVアニメシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』(2019)で新たな主人公を登場させるという試みから一転し、2023年5月12日(金)より劇場公開された『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』では、再び常守朱と狡噛慎也の二人の視点に立ち返り「シリーズの集大成」として新たな物語が描かれました。

そんな本作で描かれるのは、謎に包まれていた2年前のある事件。果たして常守や狡噛に何が起きていたのでしょうか。

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』(2023)あらすじ

人間のあらゆる心理状態を数値化することに成功し、日本は巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している。

そのシビュラシステムの正体を知り複雑な思いを抱く厚生省統括監視官と公安局刑事課一課監視官を兼務する常守朱(つねもり あかね)と、かつては公安局の執行官でありながらシビュラシステムに疑念を抱き失踪した末に現在は外務省に所属する狡噛慎也の二人は、外国船舶で発生したミリシア・ストロンスカヤ博士の襲撃事件をきっかけに再会する。

博士が確立した研究結果であるストロンスカヤ文書を、海外で破壊活動を続ける集団「ピースブレイカー」よりもいち早く発見し守るべく、刑事課一係と外務省海外調整局行動課は共同調査のチームを編成するのだった。

しかし、その裏には二人も知らない思惑や秘密が隠されていた……。

※以下、『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』のネタバレを含みます。

ついに明かされる、2年前に起きた事件の真相

シリーズ最新作として登場した『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』ですが、時系列としては前日譚にあたる作品であることは予めおさえておきたいポイントです。

今回『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』で描かれるのは『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」』(2019)とTVアニメ第3期『PSYCHO-PASS サイコパス 3』(2019)の間に起きた出来事です。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』では詳細が明かされないまま、常守朱がなんらかの罪で拘束されていたり、狡噛と宜野座が共に外務省で行動しているなど、本編中では詳細が描かれないまま物語が進んでいき視聴者を驚かせましたが、ついにその答えが明かされます。

今作の物語の舞台は2118年、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の2年前の世界が描かれています。『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』(2020)のエンドロール後に流れた映像(編集版では割愛)では、常守朱が慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフの2人に、2年前に何が起きたのかを語ろうとするシーンが描かれており、今作ではその常守が二人に語る内容を映像化したものと受け取れるでしょう。

狡噛慎也はいつの間に外務省所属になっていたのか?

槙島聖護との事件以来、国外へと逃亡していた狡噛慎也。今回の『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』では、そんな狡噛が突如として外務省の人間として日本に帰ってきています。狡噛がなぜ外務省の人間となっているのか。その答えはPSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」』(2019)で描かれました。

放浪の旅を続けていた狡噛は、南アジアの小国にて復讐のために戦い方を学びたいという少女テンジンと遭遇します。そんなテンジンの暮らす地域で生まれた因縁から狡猾は戦いに臨んでいくことになるのですが、その矢先に遭遇したのが外務省行動課特別補佐官の花城フレデリカです。

限られた戦力で戦うことになった狡噛は花城に協力してもらうことになるのですが、その条件は「外務省の任務に参加するべく日本に帰ること」でした。これに対し、狡噛は二つ返事で快諾。

これが、二度と日本に帰ることはないと思われた狡噛が『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』でしれっと日本に帰ってきていた上、いつの間にか外務省の所属になっていた答えでした。

敵として登場する“砺波告善”とは何者なのか

今回、常守や狡噛と対峙する敵は、外務省海外調査部現地調査隊こと“ピースブレイカー”と呼ばれる集団でした。彼らは何者だったのでしょうか。

ピースブレイカーは元々、外務省の海外実働部隊だったのですが、現在は解体されて海外で破壊活動を重ねる集団へと成り代わっていました。

そんなピースブレイカーを指揮しているのが、今作の宿敵である砺波告善(となみ つぐまさ)です。かつては温厚だったとされた人物でしたが、現在は一変して無人工業都市の廃墟となっていた北方列島を占拠し、新たな国家の樹立を目論んでいました。

かつての所属元であった外務省に対しては因縁があるようで、捨て駒のように利用されていたと考え、人間に対して深い絶望を感じているような存在でした。

そのためか、ピースブレイカーの最高指導者は砺波ではなく、その正体はAIである“将軍(ジェネラル)”です。AIによって統治された国家を設立し、ストロンスカヤ文書を用いてよりその影響力を拡大させていこうとしていたことが予想できます。

法による統治を信じる常守とは対照的な存在であり、『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』では人間(法)かAIかが重要なテーマとなっていました。

法を守るべく犠牲となった常守朱

『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』では、法かAIかで揺れていた日本を動かすべく、常守朱がある行動を取ったことが明かされました。

シビュラシステムによる統治に対し、法の統治を捨ててはいけないと考えている常守朱は、今作のラストで厚生省公安局局長を務める存在である禾生を銃殺するのでした。

銃殺といっても、禾生はシビュラシステムが単独行動を行うための義体。本体はシビュラシステムなので、実際には殺害をしていないのですが、シビュラシステムの正体を知っているのは常守だけです。大衆にとっては突然禾生を殺した犯罪者でしかありません。

殺人を行う意思がない常守は色相が濁ることなく、犯罪係数は上がらなかった一方、それを目の当たりにした大衆には明らかに人殺しをしている人物に対してドミネーターを機能させられなかった」という現象だけが映っており、シビュラシステムへの絶対性を揺らがせる行動となりました。

常守は自らが“犯罪者”となることで世論を動かし法による統治を継続させたというのが、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』で突然罪により収容されていた答えだったのです。

TVアニメ第3期『PSYCHO-PASS サイコパス 3』との繋がり

『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』では、TVアニメ第3期『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の謎に包まれていた存在の数々が明らかになりました。

まずは『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の主人公の一人・慎導灼の父親である慎導篤志です。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』ではすでに亡くなった人物でしたが、今作で生前の様子が克明に描かれました。監視官からキャリアをスタートし、厚生省大臣官房統計本部長にまで出世したエリートでした。

シビュラシステムの輸出プロジェクトや移民政策に関わってきた一方で、決して綺麗なことばかりを行ってきていたわけではないようで、その裏ではピースブレイカーの様な割りを食う存在を生んできてしまった様です。

そんな篤志が、ケジメのために死んでしまうきっかけともなったのが『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のもう一人の主人公、炯・ミハイル・イグナトフの兄である、甲斐(かい)・ミハイロフです。

ピースブレイカーの戦闘員として登場したのですが、実はその正体は潜入捜査官であり、ストロンスカヤ文書の保護に一役買う人物となりました。

しかしストロンスカヤ文書をピースブレイカーに渡さないために犠牲となり、彼もまた本作で帰らぬ人となります。

作中のその多くが『PSYCHO-PASS サイコパス 3』につながっており、今作の顛末であるジェネラルのシビュラシステムの同化も『PSYCHO-PASS サイコパス 3』で描かれる海外の難民たちを広く受け容れていく体制を整えられる様になったきっかけであることがわかります。

『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』の物語が『PSYCHO-PASS サイコパス 3』、そして『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』へとそのまま繋がっていくので、アニメを観ていたけど忘れてしまったという人は今回の劇場版を踏まえて、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』をみかえして、理解を深めていくのも良いのではないでしょうか。

 

※2023年5月19日時点での情報です。

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