【7話考察】裏切りは必然?乃木に足りない3つのこと。ドラマ日曜劇場『VIVANT』をネタバレ考察!

TBS系日曜劇場『VIVANT』の第7話をネタバレ考察!乃木の裏切りは必然だった?

TBS系日曜劇場『VIVANT』。本作は大人気ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で演出を務めた福澤克雄が原作を担当しており、主演が堺雅人であることからも話題を集めた。7話までの放送で次第に人物や真相が明らかになる中、まだまだ謎が多い『VIVANT』。

乃木憂助の選択の理由や、矛盾した行動、ノゴーン・ベキの正体を考察する。

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※以下、ネタバレを含みます。

VIVANT』第1話〜第7話までのあらすじ

日本企業・丸菱商事がバルカ共和国の企業・GFL社に対し、契約金の10倍にもなる1億ドルの誤送金をしたことから始まった物語。関与を疑われた乃木憂助(堺雅人)は、契約金を追いバルカへ向かい、そこで出会った日本の公安・野崎守(阿部寛)と、医師・柚木薫(二階堂ふみ)とともに、テロの重要参考人としてバルカ警察から必死の逃亡劇を繰り広げた。
無事日本に帰国した後、野崎とともに乃木は誤送金事件を調べていく。その末に、犯人は乃木の同期である山本巧(迫田孝也)だと判明。山本はテロ組織・テントの一員(モニター)だったのだ。その山本を捕えたのが自衛隊の影の諜報部隊・「別班」の黒須(松坂桃李)、そして乃木。乃木は自分も別班であると明かし、山本を「日本国に害あるもの」とし、自死に見せかけて始末する。またテントのテロ最終目標が日本であることも突き止めた。
野崎は乃木が別班だと確信し、同時にテントのリーダーが乃木の父親であることも明らかにした。乃木をマークすることで別班がもつテントの情報を得ようと企む。
第7話で乃木含む別班チームはGFL社のアリ(山中崇)から得た情報を頼りに、バルカとロシアの国境付近で行われる会合に忍び込むことでテントと接触を図り、幹部のノコル(二宮和也)と対面した。

【考察】乃木の裏切りは必然?アイデンティティと矛盾行動

第7話は乃木の裏切りという、公式がXで予告した通り衝撃的な展開だった。しかし、乃木がテントを選ぶことには予兆があった。第6話での乃木とFの会話で、ノゴーン・ベキを「日本のために始末するべき」というFに対し、乃木は「愛情を注いでもらえるかも」と会いたいという意思を見せていた。この時点で、乃木がテントを選ぶ未来が見え始めていた。裏切り行動を黒須に非難されたシーンでは「僕の気持ちは分からないさ」と言い放つ乃木だったが、彼の気持ちとはなんだったのか。それは、前話でも触れられた愛情への飢えでもあるし、彼の「アイデンティティの無さ」でもあると思う。

乃木のぽっかり欠けたアイデンティティ

乃木のアイデンティティの無さとは何か。3つ挙げられる。
まず一つ目は「信念」。物語の中では度々「神」や「宗教」の描写が散見される。バルカの人々が神へ祈りを捧げたり、公安が神頼みをしたり十字を切るなどの描写が異様に多いのだ。第7話で公安が過去に起きたバルカの内乱を説明する際には、中国、ロシア、モンゴル、カザフスタン、それぞれの信仰や主義がわざわざ記載されていた。一方乃木はというと、1話の段階から「天照大御神、イエス・キリスト、アブラハム アラーよ、誰でも。いい助けてくれ」と無宗教らしさ全開の発言。彼は「信念のない男」として描かれている。(ちなみに5話前のダイジェスト放送でも、「信念のない男」であることは言及されていた)
二つ目は「記憶」。彼は幼少の頃に両親と生き別れ、人身売買を経験するが、そのことのストレスで記憶喪失となる。大学入学前までは「丹後隼人」という何者でもない名前で暮らしていた。その後、乃木憂助の名を取り戻すが、幼少の記憶との繋がりは度々うなされる断片的な夢と、乃木家に渡された写真のみである。
三つ目は「愛情」。両親との記憶を失った乃木は、「愛」を知らない。9.11の際に「愛する家族を守るため」と入隊を決意したサムに大きな感銘を受けた乃木は、「愛する」ということを渇望するようになる。第7話で驚いたのは、乃木と柚木薫のキスシーン。キスをしただけで、泣き崩れてしまったのだ。それほど乃木は「愛情」に恋焦がれ、飢えていたのだろう。
彼には名前も家族も無いのである。所属する別班は影の組織であるし、アイデンティティの拠り所とするものがポッカリと欠けてしまっている。その辛さこそが他人にはわからない「僕の気持ち」であり、父親からの愛情を強く求めてしまう理由なのでは無いかと思う。いま思えば、1話のタクシーの中で運転手の声が耳に入らないほど写真を眺めていたのも、切実な父への気持ちの現れだったのだろう。柚木との関係や、赤飯を愛する日本人であることも大切なアイデンティティになり得るはずなのに、乃木はテントを選んでしまった。

裏切り者の矛盾行動

別班を裏切りテントの元へ足を運ぶ乃木だったが、矛盾した行動も見られた。それは、野崎へのアプローチである。乃木は今回のバルカの作戦にあたって「野崎さんが動きやすいと思いましてね」と本名でパスポートを使用。バルカ国内ではドラムに付けられた発信機の通信を一度は遮断したものの、ロシア国境付近のパーキングエリアでは発信機をオンにして位置を知らせた。発信機は野崎からもらった写真に貼り付けられており、まるでメッセージのようだった。その後、野崎は何者かからのメールを見てテントとの会合場所へ駆けつけているが、それができたのも乃木ではないか。テントに寝返ったはずの乃木が、なぜテントの場所を教えるようなことをするのか。
また乃木が飛行機の中で野崎に伝えた言葉も気になる。「あなたは鶏群の一鶴。眼光紙背に徹す」。「鶏群の一鶴」とはニワトリの群れの中にいるツルのことで、平凡な人の中に混じる優れた人物の例え。「眼光紙背」とは物事の表面だけではなく、紙の裏側まで読む、つまり真意まで目を光らせること。乃木は野崎を優れた人物だと認め、真実を見てほしい、と暗に伝えていたのだと思われる。
この一連の矛盾行動は乃木が行ったものか、それとも、Fによるものかは定かではない。バルカに旅立つ前、乃木に「俺がお前を死なせねえ」と宣言したFである可能性は高い。
乃木は次回、ノゴーン・ベキと対面を果たす。その結果がどうであれ、野崎は彼のもとに辿り着くのだろうか。乃木と野崎が手を組み、テントを再度裏切る未来もあるのかもしれない。

緑の魔術師、ノゴーン・ベキは二重スパイか?

第7話では、ノゴーン・ベキは元々公安部 外事第一課に勤めており、農業使節団を装ってバルカ国内で諜報活動をしていたことが確定した。1984年にバルカの内乱で死亡したとされ公安在籍の記録も抹消されている。別班は、自分を見捨てた恨みから日本へテロを企てているのでは、と予想していた。
では実際のベキの立場はどういうものなのか。その答えはまだないが、ヒントと思われるものはあった。それが「ハリー・ポッター」だ。作中では「ハリー・ポッター」のDVDをはじめ、関連するワードが出てきた。乃木が野崎に「スネイプ社と商談がある」と伝えていたが、「スネイプ」とは「ハリー・ポッター」シリーズの主要人物の一人。スネイプは闇の帝王・ヴォルデモートに仕えていたが、愛する女性を守るためホグワーツ魔法魔術学校の校長・ダンブルドアに助けを求め、その後スパイとしてヴォルデモートの元へ戻る。所謂二重スパイだった。ホグワーツでスネイプはスリザリン寮の寮監を務めており、スリザリンの寮のカラーは緑だ。ここで思い出したいのがノゴーン・ベキの名前の意味、「緑の魔術師」。緑の魔術師であるノゴーン・ベキはスネイプであり、二重スパイだという伏線だろうか。 ノゴーン・ベキはテントと日本、どちらのために動いているのか。第6話の冒頭ナレーションで、「別班と公安が討つべき相手は乃木の父親なのか」とあったが、ドラマはまだまだ2転3転していきそうだ。

まだ明かされない謎に今後も注目

話を重ねるたびに衝撃的な展開が続く『VIVANT』。第7話では乃木が別班を裏切り、これまでの勢力図が不安定なものとなった。乃木がノゴーン・ベキと出会い何が起こるのか、野崎はどう動くのか、そして敵が誰なのかが間違いなく見どころとなるだろう。また、ジャミーンについてもまだ語られていないことが多い。監督が5話前に放送されたダイジェストの中で「笑顔が物語の鍵になる」と言及していることも覚えておきたい。第7話では、乃木に満面の笑みを浮かべるジャミーンだが、野崎には目も合わせない様子が対照的だった。
テレビドラマとは思えないスケールで進む『VIVANT』。こんなに勢いがあって、積み重なる謎にワクワクさせられるドラマはそうないだろう。ぜひこのブームに乗り遅れないでほしい。

*2023年8月28日時点の情報です。

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