2019年に人気を博したドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)のプロデューサー、監督が再集結したドラマであることから放送前から注目を集めていた『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ)。芦田愛菜が7年ぶりに民放ドラマでレギュラーキャストに名を連ね、主人公は松岡茉優。どちらも観る者の心を動かす演技力を持つ二人だ。
第1話から8話までのあらすじと登場人物を相関図と一緒に解説する。
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以下、ネタバレを含みます。
『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』第1話〜第8話までのあらすじ
鳳来高校3年D組の担任教師・九条里奈(松岡茉優)は、卒業式を迎えた教え子たちをテラスから眺めていた。その時、背中に大きな衝撃が走り落下してしまう。犯人と思われる人物の手元には「D組おめでとう」という腕章があり、生徒に殺されたのだと認識した。次の瞬間、目を覚ますとそこは3年D組の教壇の前、4月の始業式。ここから九条の2度目の1年間が始まった。自分の死の未来を変えるため、文字通り“何でも”して生徒と向き合っていくことに。
鵜久森(芦田愛菜)のいじめ問題の解決をはじめ、悩みを抱える生徒に関わり徐々に心をほぐしていく。6話では、鵜久森も2周目の人生を送っていることが明らかになったが、何者かに突き落とされ、死を迎えた。7話では鵜久森の死をきっかけに、これまでのクラスでの出来事を職員に打ち明け、九条はクラス、そして大人たちへ問いかけた。
7話で九条は「憶測で鵜久森を語らないこと」「犯人探しをしないこと」をクラスに訴えたが、8話で状況は変わっていく。星崎がとある映像を東風谷に見せたからだ。それは事件当日、外部の人物である浜岡が制服姿で校舎に侵入するところを映したものだった。浜岡と相楽の関係を知ったクラスメイトたちは、鵜久森事件の犯人が相楽なのではないかと疑いを深くする。そんな同級生に対し相楽は「あいつは俺のせいで死んだ」と打ち明け笑うのだった……。しかしそれは「鵜久森は何かを変えようと危険を冒し、その空気を作ったのは自分だから」という意味だった。九条は相楽に「弱さを見せる覚悟はあるか」と問いかけ、クラスメイトに向き合うことを望んだ。相楽は弱い自分を認めることの恐れ、そしてそれを隠すためにクラスメイトに酷いことをしてきた、と自分の本心を正直に打ち明け、謝罪。その後、鵜久森の位牌の前でも、これまでの行いを涙ながらに謝った。
登場人物とキャストをおさらい
3年D組で最大の問題児と思われた相楽がクラスに頭を下げる衝撃的な展開だった8話。クラスには相楽への怒りや疑いが渦巻き、改めて「憶測」が暴走する怖さを認識した回でもあった。少しのきっかけで暴走してしまう生徒たち、相楽を取り巻いていた女子たち、犯人と疑われている浜岡、予期せぬ動きをする星崎……。これから物語はどのような終局を迎えるのだろうか。現在までの人物を相関図とともに解説する。
九条と鵜久森
九条里奈/松岡茉優
鳳来高校3年D組の担任で化学教師。2周目では、何でもして生徒に寄り添うことを決めた。教室にカメラを仕掛けたり、生徒同士の会話を録音したり、家に押しかけたりなど、生徒が抱える問題を解決するためなら方法は選ばない。1周目の人生では夫の九条蓮(松下洸平)から離婚を告げられるが、2周目では自分自身の感情をきちんと話すことで離婚を回避した。鵜久森の一件に対し「この出来事には必ず理由がある」と罪に対して許さないという姿勢を見せた。
鵜久森叶/芦田愛菜
3年D組の生徒。真面目でイラストが得意な優等生。クラス全員からいじめの標的にされ、九条の1周目の人生では1学期の途中で不登校となり、その後自ら命を絶っている。初めは九条を避けようとしてひどい言葉をぶつけるが、彼女が手段を選ばずに寄り添う覚悟をしていると知り、クラスでいじめられるようになった経緯と心にうけた苦痛を告白する。6話では、九条と同じく2周目の人生を生きていることが明らかになった。東風谷からの想いを受け止め和解するが、何者かに突き落とされて死亡する。その日は、1週目の命日と同じ日であった……。
相楽と迫田
相楽琉偉/加藤清史郎
3年D組の問題児集団のひとりで鵜久森いじめの首謀者。浜岡とも関係があり、金を払って文化祭前のD組荒らしを依頼していた。その理由は、自分のいないところで楽しそうにするクラスメイトたちへの嫉妬だった。しかし、それでも文化祭を成し遂げた様子にショックを受ける。鵜久森に「普通になろう」と提案したが、これまでの酷い行いを「忘れられない」と告げられたことが大きな転機となる。彼女の死との関係を生徒たちに疑われたがそれを否定し、「これ以上誰かに忘れられない傷を作ることのほうが怖くなった」と自分の弱い本心を曝け出し、謝罪。これまでのクラスでの傍若無人さも、自分が「最低な人間」だということを理解しながらそれを隠すための行動だったと吐露した。
迫田竜輝/橘優輝
問題児集団の一人。相楽グループの中では一番ケンカっ早い。相楽と行動を共にしていることが多い。相楽の「自分が壊れそうな時に笑う」というクセを知っており、鵜久森の一件でも笑みを見せる相楽を心配し、九条に「相楽を救ってほしい」と助けを求めた。相楽がクラスに謝罪した際には、ともに頭を床につけ謝った。
生徒たち
瓜生陽介/山時聡真
問題児集団の一人。九条の1周目の人生では家庭の金銭事情を理由に夏に転校しており、それを踏まえて九条は2周目の人生で瓜生に50万円を貸し与える。しかしこの九条への金の無心は相楽の入れ知恵で、遊ぶための金として利用しようとしていたことが発覚。さらに相楽の指示で向坂とともに九条に襲い掛かろうとするが失敗し、九条から犯人と特定される。九条から金銭に苦しんでいるなら周りに相談すればいいと助言され、アルバイト先と向坂に事情を話す。母親にいくらアルバイト代を差し出しても、知らない男に貢がれ消えていくことの虚しさを母親に訴え、これまでの行いを許さないと本音をぶつける。九条に助けられたことをきっかけに鵜久森に謝罪し、相楽らと決別する。相楽が一連の行動を謝罪した時には彼の横に並び、自身もいじめに加担していたことを反省しクラスに頭を下げた。
向坂俊二/浅野竣哉
問題児集団の一人。瓜生の親友で、相楽の指示で瓜生と共に九条に襲い掛かろうとするが、犯人と特定される。九条から瓜生の家庭が金銭で困っていて、転校するかもしれないと教えられると、自身のバイト代を瓜生の母親に差し出す。母親や学校への不満を抱えていた瓜生を友人として勇気づける。九条の助けにより、瓜生の家庭環境の問題が解決されたことをきっかけに、鵜久森にこれまでのいじめを謝罪し、相楽らと決別する。クラスが相楽への疑いを深くした時には、冷静な姿勢を見せていた。その理由は、自分も相楽とつるんでいたことを自覚し、背負いきれない罪に後ろ指をさされることに対する懸念からだった。瓜生と同じく、彼も相楽の謝罪の際には、共にクラスへ頭を下げた。
東風谷葵/當真あみ
3年D組の優等生。相楽の命令で阿久津とともに九条の担任変更の嘆願書を提出したが、鵜久森の説得により撤回する。そのことを金澤(田鍋梨々花)と江波(本田仁美)に責められるが、友達でもない人の願いを聞く必要はないと阿久津とともに決別を告げる。文化祭の終盤に、鵜久森に特別な感情を抱いている可能性を告白する。鵜久森の返事も聞かず、彼女を避けて休学をしようとするが、九条の説得と、鵜久森との会話により和解する。鵜久森の死にクラスとして向き合うことに1番に声をあげた。星崎から鵜久森事件当日の映像を見せられ、相楽に事件との関連を問いただした。
阿久津由利/藤﨑ゆみあ
3年D組の優等生。相楽らの命令で東風谷とともに九条の担任変更の嘆願書を提出する。鵜久森から、「自分たちをないがしろにする人に逆らわなければ、何事もない毎日に戻れると想像する」ことを一緒にやめないかと相談される。嘆願書を撤回し、東風谷と共に西野たちに決別を告げる。
眉村紘一/福崎那由他
工学研究会に所属。九条が教室にカメラを仕掛けたことで相楽らに部室を占拠されてしまい、その怒りの矛先を九条に向け、3年D組の黒板に殺害予告を書き込む。カメラを停止させて殺害予告を行っていたことから、カメラの扱いができる人物として九条に犯人と突き止められる。九条から今回の問題を根本的に解決するには、自分たちの性格を変える必要がある、自分たちをないがしろにする人と仲良くする必要はないと助言される。相楽らに脅されるが、会話もせずに関わらないよう願い出て、相楽らと決別する。
日暮有河/萩原護
工学研究会に所属。眉村とともに3年D組の黒板に九条の殺害予告を行う。九条から助言を受け、相楽らに会話もせずに関わらないよう願い出て決別する。
江波美里/本田仁美
問題児集団の一人。「自分には居場所がない」と思い悩んでおり、居場所を作るために相楽や西野の顔色を伺っていた。東風谷たちに仕向けた九条の担任変更の嘆願書が取り下げられてしまったことから、ハブられるのではないかと怯えていた。九条の1周目の人生では、交際相手の浜岡に騙されたことのショックから浜岡を刺し補導されてしまう。2周目の人生では九条から、交際相手の浜岡が自分の想いを利用していることに気付かないふりをしていると指摘されるが、本当に居場所がなくなってしまうと思いを吐露する。だが、江波に想いを寄せる栖原に公園に呼び出され、居場所を求めることも、誰かと同じでいなければと思うことも、必要以上に考えなくていいと諭される。
栖原竜太郎/窪塚愛流
江波に想いを寄せる。バンドの先輩・浜岡が江波の想いにつけ込み、利用しようとしていることを感づきながら、それを止めなかった。楠原は自身を「非合理的な行動をしない」ことが信条だと発言するが、九条から江波を救わなかったことを後悔すると助言を受ける。また、大切な人が傷つくことを後悔するならば、根拠のない行動に出ることも必要ではないかとも言われる。その後、江波を公園に呼び出し、誰かと同じになることを必要以上に考えなくていいと諭し、お前の居場所にいつでも行ってやると彼女に想いを告白する。
瑞奈ニカ/ 詩羽
学外でプロのミュージシャンとして活動している。風貌や行動に対して、周囲から「非常識だ」、「調子に乗っている」と批判されながら学生生活を送っている。クラスのみんなとは交わらず、文化祭に参加する意思もなかったが、九条から体育館の文化祭のステージの責任者に指名される。マスコミにも不用意な報道をされ、文化祭参加を見送ろうとするが、その場に居合わせた九条の友人・早乙女(森田望智)に背中を押され、文化祭への参加を決める。しかし、相楽の策略によりD組が荒らされ、自分のせいだからと参加をやめようとする。ホームルームで九条に、逃げ出すことは傷として残る、自由に生きられることを証明するよう助言され、文化祭へ参加する。
生田やよい/莉子
ダンス部に所属。文化祭前に教室が荒らされてしまったことにショックを受け、瑞奈に「あんたが調子に乗ったせいで」「変人ぶってイキってる癖に」と怒りをぶつける。だが九条から瑞奈は他のクラスメイトと何も違わない、自分たちと違う道を歩む人は別人ではない同じ人だ、と諭される。瑞奈の目標を聞いた生田は、文化祭当日、瑞奈に謝罪し彼女を舞台へと導く。
中園胡桃/寺本莉緒
バレー部所属。バレーで大学への推薦を得ており、鵜久森の事件に関して世間から注目を集めることで、将来自分が犯人だと疑われることを恐れた。クラスが事件に向き合おうとする中、正直に自分の意見を伝えた。
遠山泰次郎/岩瀬洋志
剣道部所属。中園が鵜久森の事件によって大学への推薦が危ぶまれることに理解を示した。
蓬田健斗/夏生大湖
野球部所属。中園・東山と同じく大学への推薦を得ているため、鵜久森事件に向き合うべきか意見を聞かれた。しばらくは考え込んでいたが、事件と向き合うことが自分の未来を失うことかどうかは分からないと答えた。その上で、大切なことを知らないフリをした自分を許せない、と向き合う姿勢を見せる。
相楽グループの女子たち
西野美月/茅島みずき
問題児集団の一人。相楽グループの女子側のリーダー的存在。自らは手を下さずに江波や金澤に指示を出して、東風谷に九条の担任交換についての嘆願書を出させた。相楽に対し「そのうち何かやらかしそう」と感想を漏らす。相楽がクラスに謝罪した際、彼女は特に動くこともなく静観していた。
野辺桐子/ 田牧そら
問題児集団の一人。3年D組の裏の軍師。1話では鵜久森が九条にいじめの密告をしたとしてクラス裁判を開き指揮した。西野と同じく、相楽の謝罪には乗じることなく黙っていた。
金澤優芽 / 田鍋梨々花
問題児集団の一人。西野の命令には逆らえないようで、東風谷たちに嘆願書の提出を促すなどをしている。相楽謝罪の際は西野たちが謝る選択を取らなかったためか、彼女も特に行動は起こしていない。
今後の物語の鍵を握る人物
星崎透/奥平大兼
九条の何でもするという言葉と、有言実行していく姿に感動し、彼女の映画を撮りたいと願い出る。九条が栖原と会話する様子を盗撮し、未来について語っている様子を知り、九条がタイムリーパーではないかと疑い、鵜久森、東風谷らに伝える。。鵜久森事件当日、学校に制服姿の浜岡がきていたことを映像に残し、そのことを東風谷に伝えた。
浜岡修吾/青木柚
鳳来高校には所属していない。江波の幼馴染で、栖原のバンドの先輩。自身が管理するマッチングサイトに江波を送り込み、道具としてこき使おうとしたが、九条の助言を受けた栖原と江波により失敗した。相楽のことを「仲良しのお得意様」と呼び、金を受け取ることで文化祭前のD組教室荒らしを実行していた。また鵜久森の一件があった日、鳳来高校の制服を着て校舎に侵入していたことを星崎に撮影されている。江波に電話で鵜久森事件の当日のことを問われると答えることなく通話を切った。
教職員たち
教頭・我修院学/荒川良々
鳳来高校の教頭。校長が長らく不在のため校長代理のような立場。非常に弱腰で、常にPTAの目を気にし、教員に無難な対応を求める。それは、共に働く教師のキャリアが傷ついたり、生徒が不安を抱くことを防ぐためだった。鵜久森の一件は「事件あるいは自身が選んでしまったこと」という警察の見解に対し校長が「渡りに船」と言い放ったことに怒りを滲ませた。自分が「かっこいい」と生徒に言われたくて教職に就いたことを思い出し、記者会見では、鵜久森の事件に向き合い自分一人が責任を持つと宣言した。
左から花村千代子/長井短、森育夫/細田善彦(細田よしひこ)、林結起哉/犬飼貴丈
鳳来高校の教員たち。鵜久森の一件をきっかけに九条のホームルームをみて、それぞれの思いを抱く。林は事故を否定することは「自分が防げたかもしれない後悔」に繋がると、恐れを口にした。しかし、花村は「私が選んだ職業は教師なんだ」と思い直し、森も同意した。そして3人とも、大人として事件に向き合うことを決心した。
2023年9月11日時点の情報です。