【最終回】ベキは生きている?鍵を握るのは乃木の二重人格設定だ!ドラマ日曜劇場『VIVANT』第10話ネタバレ考察

TBS系日曜劇場『VIVANT』、第10話までのストーリーを考察! 乃木の二重人格設定の理由、ノゴーン・ベキは生きているかを考察します!

最終話となる10話では、これまでの謎や伏線を回収し、物語は終局を迎えた。これまでどんでん返しの連続で止まる所を知らない『VIVANT』だが、最終話でもその精神は健在。別班任務の真実、バルカ政府との対立、ベキの本当の目的……。70分間目を離せない内容だった。

その中から、乃木の二重人格設定とは何だったのか、ノゴーン・ベキの生死、残る別班は誰か、を考察する。

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※以下、ネタバレを含みます。

VIVANT』第10話のあらすじ

【最終話】ベキは生きている?鍵を握るのは乃木の二重人格設定!ドラマ日曜劇場『VIVANT』第10話ネタバレ考察

テントが持つフローライトの情報を政府にリークしたと疑われ、拘束された乃木(堺雅人)は「別班の任務」としてテントに潜入したことを白状した。乃木はベキ(役所広司)やテントの重要な側面を見逃している可能性に気づき、司令の櫻井(キムラ緑子)と協力の上、作戦を実行していたのだ。

ベキは初めから乃木が別班として動いていることを承知していた。乃木と黒須(松坂桃李)を解放し、別班として協力してほしいと頭を下げる。テントがフローライトで莫大な利益を得れば、今後テロ活動をしなくなると考えた乃木は、テントに協力することは日本を守ることにつながると承諾した。

フローライトの採掘権をめぐり、話し合いの場に現れたのは外部大臣・ワニズ(河内大和)とバルカに駐在する日本大使・西岡(檀れい)、そしてオリベ化学の蘇我(小林隆)だった。ワニズはフローライト事業を協業するムルーデルのノコル(二宮和也)とべレール興産のゴビ(馬場徹)に対し、採掘に関する開発を手伝う代わりに政府とオリベ化学に25%譲って欲しいと願いでる。想像に反してムルーデル側に歩み寄るような条件に戸惑うテント一同。

しかし、情報をリークしていたのがゴビだと発覚。ゴビはワニズと手を組み、べレール興産が持つ採掘権をワニズに譲り、政府が55%の採掘権を得ることで主導権を奪おうとしていた。この企みを阻止するには日本大使・西岡とオリベ化学の蘇我を懐柔するしかないと判断した乃木は、ベキの身柄を公安に明け渡すことを条件に、野崎(阿部寛)に協力を依頼する。

調印式でノコルが調印をするや否やゴビとワニズは本性を表したが、野崎の活躍の結果、日本大使・西岡が反旗を翻す。ワニずは日本から裏金を強要していたとしてチンギス(バルサラハガバ・バタボルド)に逮捕された。

無事、採掘の主導権を得ることができたムルーデル。ベキ、バトラカ(林泰文)、ピヨ(吉原光夫)は約束通りテントを解体し、公安に逮捕され日本に渡る。しかし、3人はモニターの協力によって逃亡してしまった。モニターの正体は、野崎の部下・新庄(竜星涼)だったのだ。ベキの目的はただ一つ、40年前、自分たち家族を見捨てた元・公安部外事課課長、現・内閣官房副長官、上原史郎(橋爪功)への復讐だった。上原の自宅を襲うベキたちの前に、櫻井から情報を得た乃木が現れ銃を向ける。乃木は家族として上原のことは許せないが、日本の重責を担う人物を失う訳にはいかず別班としてテント3人を撃つ。3人の銃には弾が込められていなかった。

その後、乃木は上原邸を燃やす。公安は今回の件を、テント3人が灯油を被り無理心中を図ったとして片付けた。乃木はその後、柚木薫のもとに戻り薫とジャミーンと抱擁を交わす。神社に置かれた別班饅頭が乃木を次の任務に誘いながら……。

【考察】ノゴーン・ベキは生きている? 鍵を握る“乃木とF”

裏切りや思いもよらない展開の連続に、視聴者を巻き込み続けた『VIVANT』。第10話となる最終話でも状況は二転三転し、最後まで心を掴んで離さなかった。今話で最大のびっくりポイントと言えば、「ノゴーン・ベキの逃走」だろう。数話かけて人となりを描き、10話では民を想い、自分の罪を贖う覚悟を見せる高潔な魂をもつ人物として存在した。それゆえ、“消えない憎しみ”の悲しさを見せつけられたようだった。

注目したいのは、日本・上原邸での緊迫シーン。乃木はベキと問答の末、テント3人を撃った。ベキは死亡したのだろうか? 本考察では、「死亡していない」と断定する。その理由の一つは乃木がノコルに伝えたことわざ。「皇天親無く惟徳を是輔く(こうてんしんなくただとくをこれたすく)」とは「天は特別親しい人を作らず公平で、徳を積むものを助ける」という意味だ。ベキは手段は悪くとも、これまで孤児のために尽くしてきた。一方、乃木が別班として上原を助けた理由は「日本の重責」を担う人物だから。乃木がこの言葉をノコルに贈ったのは、「天は徳の高い方を助けている」=ベキは生きているよ、と言う意味ではないかと推測する。

そしてもう一つは、「乃木の二重人格設定」だ。

乃木の二重人格設定の理由

10話で久々に登場した“F”。これまで乃木を導く存在だったが、今話ではベキの身柄を公安に渡す覚悟を決めた乃木に、ねぎらいの言葉をかけるのみだった。Fとの会話は1話から印象的だっただけに、物語後半のFの活躍のなさには「二重人格の意味は?」と疑問に思ったかもしれない。しかしこの二重人格設定こそが、乃木がベキを生かした理由になると考える。

これまでの考察で6話の乃木とFの会話について度々触れてきた。ベキに対し、「父親」として「愛情を注いでもらいたい」「会いたい」と言う感情を募らせる乃木と、「日本の敵」として「始末」するべきという姿勢を貫くF。2人の意見の対立は、「乃木憂助」という人間を考察するにあたって重要だと感じたからだ。

乃木はテント潜入後、父親の影を追い、信頼を得て、過去を知り「家族」になっていく。ベキに別班の任務だと明かしたが、父を見つめる眼差しや涙も、「愛されないかも」という不安も、すべて乃木の本当の気持ちだったのだろう。テント内部で活躍していたのは「乃木」であるように感じた。その上で重要なのは、乃木がベキに罪を償う道を提案したことだ。乃木とFは考えは異なれど、最終的には同じ意見に辿り着いている。乃木は「ベキの子」の立場で「自分の父親」だからこそ、Fは「別班」として「テロリスト」に対しての選択だった。この結果は彼らの関係を象徴していた。これまでの意見の対立に前話までは、乃木は「ベキの子」と「別班」どちらの道を進むのだろうかと見守っていたが、乃木とFの意思はどちらも等しく尊重される。2人はどちらも「乃木憂助」なのだと気付かされた。

1つの体に宿る2つの意思。上原邸でのベキとの牽制シーンはその延長のような構図になっている。ベキを父と慕い上原への憎しみを理解する乃木、別班として日本に危害を加えるものを止めなければいけないF。ベキが倒れたとき、乃木が一瞬驚いたような顔をしたが、あの場では乃木とFの両方の想いがぶつかっていたからだと思う。

対立する意思の中で「乃木憂助」はベキらを撃ったが、乃木とFの2つの意思が等しく叶うとしたらどういう結末になるべきか。それは「テント3名が死亡したという結果を残して生かす」ことではないか。だからこそ乃木は上原邸を炎上させ、3人の“すす同然”となった遺体を残す必要があった。そうすることで「別班として任務を成功させる」、「子として父親を救う」という2人の希望を同時に成立させたのだ。

この最終局面のために、1話から乃木とFの関係を描いてきたのだとしたら、脚本・そして構成の丁寧さに頭が下がる思いだ。

ノゴーン・ベキも二重人格だった?

上原邸で1つ気になるシーンがあった。それはベキが上原への恨みを語りながら不意に頭をおさえるところだ。頭を抑えるのは乃木とFが入れ替わる時に起こる象徴的な動作だ。ベキは過去の苦しい思い出に頭を抱えているようにも取れるが、今作にとって意味深な動作を演技に入れたからには意味があるのではないか? 上原に恨みを持つテント指導者のノゴーン・ベキ、家族の父である慈しみ深い乃木卓。過酷な過去をもつ彼が、息子と同じく二重人格だったとしてもおかしくない。

9話で乃木がベキの前で頭を抑えた時も、その様子を眺めるベキのカットがあった。その表情は驚きなのか、訝しげなのか形容し難いが、もしベキも二重人格だとしたらこのシーンで乃木とFの関係に気付いたのかもしれない。その上で、明美の遺言を実行しようとする自分を、別班として、子として止めてくれることに期待したのではないか。

何にしても、上原邸に乃木が駆けつけると予見していたこと、日本に渡るため公安に逮捕されるのが計画通りだったこと、フローライト事業を進めるため、ムルーデルとテントをつなぐ人物を排除していたことなど、未来を先読みして行動する彼の能力は、さすが「乃木の父」だ。

【考察】残る別班はだれ? 終わっても尽きない期待

「敵か味方か。味方か敵か。」のキャッチコピー通り、登場人物たちの魅力が輝き続けた『VIVANT』。10話で新庄がモニターと発覚し、SNSを賑わした裏切り者の考察合戦に終止符をうった。FILMAGAでも、柚木薫がテントと繋がっているのではないか、野崎は何故乃木をマークしているのか……など様々な考えを巡らせてきた。言及はしなかったが小日向文世演じる長野専務は本当に怪しかった。これらの人物は、考察を惑わせるダミーだったのかもしれない。しかし、10話で語られた内容が全てではないのでは? とも思う。

何故なら、別班のメンバーはそれぞれの顔を知らないからだ。テント潜入作戦で集められた6人は、乃木と黒須以外は初対面だった。野崎が「別班はどこにいるかわかりませんからね」と言っていたが、乃木の近くにいるあの人が実は……何てこともあり得るのだ。

今後、彼らの関係はどう変わっていくのか、裏の顔は? 本当の目的は? あいつが裏切り者??
まだまだ『VIVANT』に驚かされたくてたまらない。今後続編があるならば、期待したい!

VIVANT』作品情報

日曜劇場『VIVANT』

原作・演出:福澤克雄

脚本: 八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈

演出: 宮崎陽平、加藤亜季子

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/

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2023年9月20日時点の情報です。

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