「どん底気分になればいいな」アリ・アスター映画一覧&ちょっと怖い?インタビューまとめ!新作『ボーはおそれている』や『ミッドサマー』など

『ボーはおそれている』『ミッドサマー』などのアリ・アスター主要作品を総まとめ!“アリ・アスター節”炸裂なコメントと一緒にご紹介します!

『ヘレディタリー/継承』で頭角をあらわし、以降、公開するたび巷を騒がす作品を世に送り出してきたアリ・アスター。妙に不安になるその作風に、クセになる方も多いのではないでしょうか? その魅力はストーリーだけに留まらず、来日時などのインタビューで発せられた“アリ・アスター節”炸裂なコメントも度々話題に。

今記事では、最新作『ボーはおそれている』を含むアリ・アスターの主要作品とともに、作品について語ったコメントなどを一緒にご紹介します!

「家族の嫌な話の映画リスト」って何……!?
ヘレディタリー/継承』(2018)

あらすじ:グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは、家族とともに粛々と葬儀を行う。エレンの遺品が入った箱には、「私を憎まないで」というメモが挟んであった。アニーと夫・スティーヴン、高校生の息子・ピーター、娘・チャーリーは家族を亡くした喪失感を乗り越えようとするが、奇妙な出来事がグラハム家に頻発。やがて想像を絶する恐怖が彼女たちを襲う。

アリ・アスターの長編映画監督デビュー作。自分の家族にある不幸が起こり、その経験をもとに映画の構想を練りはじめたという。『ヘレディタリー/継承』のトークイベントに登壇した町山智浩氏によると、アリ・アスターは本作をオカルトではなく「家族映画なんだ」と語っていたという。また、作品の参考にするために「家族の嫌な話の映画リスト」を作っていることも明かされた。その中には、溝口健二の『雨月物語』や新藤兼人の『鬼婆』もあり、参考にしたことが伺える。

みんなが不安になってくれるといいな
ミッドサマー』(2019)

あらすじ:家族を不慮の事故で失ったダニーは、恋人や友人と5人でスウェーデンの奥地で開かれる“90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。

「みんなが不安になってくれるといいな(I guess I hope that people will feel unsettled.)」というコメントで話題を呼んだ本作。公開時にはアリ・アスターが来日し、舞台挨拶を行なった。その場では、「この映画はホラーとは思ってません。」と発言し、ダークコメディやおとぎ話などさまざまな側面に触れつつ「失恋映画でもある」と語った。当時、付き合っていた彼女と別れ、失恋ムービーにしようと思い立ったことから始まったという。“カップルで観たら別れる”という語られ方をしていることについても触れ、「“付きあっているけれど、本当は一緒にいるべきではない”と思っている二人は、ぜひ一緒に観て“『ミッドサマー』を観て別れた”という伝説を残して欲しいですね」と微笑んでいたのが印象的。「爽快、浄化されるような感覚も味わってもらえたら嬉しい」と残している。

“どん底”ツアーへご招待
ボーはおそれている』(2023)

あらすじ:主人公・ボーは、常に不安を抱えて悪夢のような日々を過ごしている。ある日、数時間前まで電話をしていたはずの母が怪死していることを知る。ボーが母の元へ駆けつけようとアパートを飛び出すと、世界は激変していた……。 現実なのか夢なのかはっきりしないなかで、地図にのっていない道を旅するうちに、ボーはこれまでの人生が転覆してしまうような体験をする。これは運命なのか、それとも……。

解説:ユダヤ人版『指輪物語』と称する本作。『ミッドサマー』に続き、特報映像にて「みんな、どん底気分になればいいな(I wanna put you in the experience of being a loser.)」とアリ・アスターが笑う様子が映されている(無邪気そうなところがまた怖い……)。本作の公開前には再度来日を果たし姿を見せた。試写会では、ボーの物事が決められず優柔不断である様や不安を描くことで、「観客を物語に引き込み、考えさせた末に……とんでもない結末がある。これは僕が長年やりたかったことなので、本作で念願叶って嬉しい」と語っている。

番外編:
The Strange Thing About the Johnsons(原題)』(2011)

あらすじ:父と母、そして息子の一見幸せに見えるジョンソン一家にある悲劇が訪れる。息子は幼い頃から青年になるまで実の父親を、性的対象として愛していた……。

アリ・アスターが在籍していたAFI時代に制作された短編作品。これまで紹介してきた3つの長編は根底に“家族”というコンセプトがありましたが、本作もまさに“家族の歪み”を描いた作品。全編英語のみですが、アリ・アスターが表現しようとしてきたものを、さらに深く知ることができるかもしれません。

 

*2024年2月19日時点の情報です。

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