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『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』のレンタルが昨日(2015年10月21日)より開始となりました!
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日本でも熱狂的なファンを生んだ本作ですが、世界中でも同じ現象が起こっているようです。少し前に『ショーン・オブ・ザ・デッド』監督のエドガー・ライトがこんなツイートをしていました。
Hey @TheAcademy, I don’t even need the voting form. Put me down for ‘Fury Road’ in all categories. Even Documentary. pic.twitter.com/zg0MNPWA9Y
— edgarwright (@edgarwright) 2015, 9月 29
「やい!アカデミー賞よく聞け! おれにアカデミー賞の投票用紙は必要無い! 全てのカテゴリーで『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』に投票する! ドキュメンタリー賞でさえもだ!」
エドガー・ライトと同じ様に多くの映画好きが心底惚れこんでいる一方、さまざまな理由で今日の今まで観ていない人も存在しているようです。そこで、ツイッターなどで散見された「私がマッド・マックスを観ない理由」に対して、優しく、優しく、やさしく…… や さ し く ! 諭していこうと思います。
シリーズ全部見てないと解らないんじゃないの?
マックスことマクシミリアン・ロカタンスキーを主人公としたマッド・マックス名義の映画は最新作含めて4本あります。
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1作目はまだ警察や検察/弁護士が機能している、ほぼ我々が今住む世界と同じルールが施行されています。そこに野蛮な暴走族が現れて無法の限りを尽くし、マックスは彼らに妻子を殺されて復讐の幽鬼になってしまいます。
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2作目では、核戦争が起こって警察や法は全く機能せず暴力が支配する世界へと様変わりしています。復讐を果たしもぬけの殻になったマックスが弱い人々を守るため、闘争の世界へ戻っていきます。アメリカでは前作の知名度が低く、『The Road Warrior』のタイトルで独立した作品として紹介されました。 ……今さらですが。マッド・マックスシリーズは全てオーストラリア映画です。
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3作目は悪党でさえ気が休まらない無法の世界に、弱い者でもそれなりに生きていけるルールが出来ます。女首領アウンティ・エンティティが仕切るバーター(物々交換)タウンは、その名の通り価値があると認められれば、求めるモノが得られる世界です。マックスはその町の内部抗争に巻き込まれてしまいます。
以上、3作はメル・ギブソンが通してマックスを演じています。ただ、マックス以外に通して出演するのは彼が身につけるアーマー付き革ジャンとソードオフしたショットガン、それにV型8気筒のモンスターマシン、インターセプターのみです。意識のあるキャラクターでは存在すらしません。
物語もそれぞれ独立したものになっています。金田一耕助モノや『男はつらいよ』シリーズを何から見ても良いように、マッド・マックスシリーズも何から見ても大丈夫です。
いきなり4作目の『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』を見ても理解できないことは無いですし、何の問題もありません。むしろ、今まで1作もマッド・マックス映画を見たことが無いのなら、まず『怒りのデスロード』から見ることをオススメします。過去作も傑作揃いですが、『怒りのデス・ロード』はシリーズ中、群を抜いた最高傑作だからです。
アクションしか無い薄っぺらな物語なんでしょ?
出典:http://www.madmaxmovie.com/gallery.php
『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』は8割がたアクション・シーンで占められています。だからと言って物語が無いワケではありませんし、薄っぺらでもありません。マックスは救えなかった少女の幻影に悩まされています。女戦士フュリオサは首領であるイモータン・ジョーの情婦として犯され、後に彼の手先として悪事に手を染めた罪悪感から贖罪を求めています。登場人物全員、それぞれが血の通った物語を持っています。
それら物語は、表情やフとしたひと言で仄めかされます。何でもかんでも全部こと細かく台詞で説明するお昼のテレビドラマの様な、洗い物をしながらでも理解できる押しつけが強い下品な演出はありません。替わりに、繊細で上品ながら雄弁な演出で。強く、重く、暗い世界から一縷の光を見出すような物語を、アクションだけで語るのです。
単なるカー・アクション映画じゃないの?
出典:http://www.madmaxmovie.com/gallery.php
『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』には上記した通り、切実なドラマを含んでいますが「カー・アクション映画」と言いきってしまっても良いでしょう。しかし、今まで存在したカー・アクション映画全てを凌駕しています。
有り合わせの部品で奇妙に継ぎ接ぎされた名実ともに“モンスター・マシン”と言える車の数々が台風のように群れをなして走り、彼らから逃げるのはV8エンジンを2機積んだ重武装トラックです。止まることはおろか、スピードを緩めることさえ危険な追跡が延々と続きます。銃弾やガソリンの炎が飛び交い、人間さえ特攻よろしく爆弾抱えて宙を舞います。
マシン、スピード、アクションに留まらず、彼らを突き動かす思想も含め、全てが危険な超ド級のカー・アクション映画なのです。
で、どこがイイの?
出典:http://www.madmaxmovie.com/gallery.php
たとえば『スター・ウォーズ』シリーズが素晴らしいという言説に、異論はあるかもしれませんが理解は出来るでしょう。『神々のたそがれ』や『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズも然り。
それぞれ人間が登場しますが、現実とは違ったルールや常識を持った世界を舞台に、壮大なスペクタクルで、重厚なドラマをエピック(叙事詩)として描いています。
『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』も同じです。
私たちの生活している現実世界と同様の人間が生き、同様の物理法則を持った世界ですが、V8エンジンを崇める野蛮な信仰を持った集団と、その教祖が支配する世界が舞台となっています。
女戦士フュリオサは最強マシン「ウォー・リグ」を駆り、教祖イモータン・ジョーのハーレムに囲われた女性たちを連れて、あるとも知れぬ伝説の「グリーン・プレイス」へ逃亡を謀ります。いきがかり上、彼女たちの助けをするハメになったイモータン・ジョーの軍団“ウォー・ボーイズ”戦士ニュークスと、彼の“輸血袋”として連れ出されたマックスの命がけの逃走劇が描かれます。
過去のどんな作品とも引けを取らない緻密な世界観、壮大なスペクタクル、スリルあふれる大カー・アクション、重厚で切実なドラマ、それらが繊細で上品な優れた演出で描かれているのです。
『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』は職業映画監督が一生に一度作れるかどうか、という奇跡的な作品です。エドガー・ライトを始め、多くの映画ファンは、この作品がどれほど奇跡的か理解しているからこそ、同時代に生きたことを感謝し、絶対の支持をしているのです。
コレを読んでいるアナタが、もしも、いまだに『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』を見ていなければ。いきなりDVDなりBDのソフトを買ってしまうのをオススメします。が、不安があるという方は、まずレンタルしてマッド・マックス世界に打ちのめされてみましょう。
おそらく、毎日マッド・マックス世界へ没入するため、その日のうちにソフトを購入することになると思います。
※2021年5月31日時点のVOD配信情報です。