【体験レポート】人気の映画フェス!夜空と交差する森の映画祭2019

恋と映画は出会うタイミングが全て

真央masao

静岡県沼津の「INN THE PARK」で開催された「夜空と交差する森の映画祭2019」の体験レポート。当日の様子やその感想、服装・持ち物・宿泊についての情報も。

星がまたたく夜空の下、澄んだ空気が漂う森の中に置いたキャンピングチェアに深々と腰を掛ける。木々の間に張られた大きなスクリーンに目を移すと、映画が上映されている。手元にはビール。もし眠くなったら、映画の音をBGMに寝袋に包まれて眠りにつく……。

そんな映画好きにとって最高の一晩が体験できるイベント、五感まるごとで楽しむ野外映画フェス「夜空と交差する森の映画祭2019」が9月21日(土)に開催された。

森の映画祭

今年の開催地は静岡県沼津市にある泊まれる公園「INN THE PARK」。“大人の林間学校”をテーマにしたこの施設で、どんな一夜が催されたのか。 イベント当日の様子や「次回は参加してみたい」という方のために、服装や持ち物、泊まり方などについてレポートします!

夜空と交差する森の映画祭とは?

夜空と交差する森の映画祭(以下、森の映画祭)は毎年秋頃に開催される野外映画フェスで、今年で6度目の開催。今回で5度目の参加となる筆者が思う、森の映画祭の特徴は大きく3つ。

■夕方から翌朝まで開催されるオールナイトのイベントであること

■複数のステージで長編・短編映画を組み合わせて上映するフェス形式であること

■毎年開催地を変え、その度に異なるテーマ・世界観で演出されること

リピーターが多いのにも頷ける魅力と多彩なコンテンツにあふれています。

今年の森の映画祭のテーマは「いつのまにか」。「いつのまにかうつろいゆく世界の中にも、本当は変わらないものもある」というメッセージが込められています。

森の映画祭

まず、会場のエントランスに着いて渡されたのが、絵本仕立てのパンフレット。早速、今年のテーマ・世界観が表現されたパンフをパラパラめくりながらあたりを見渡すと、絵本から飛び出したようなメルヘンチックな装飾がそこかしこに施されていて、歩いているだけでノスタルジックな気分に。

大人になるにつれて“いつのまにか”忘れてしまった何かを思い出させてくれそうな空間です。さて、本会場はどんなつくりになっているのか、ワクワクしながら森の奥へと進みます。

森の映画祭

異なる雰囲気の4つのステージ

森の映画祭では例年、数カ所のステージが設置されます。今年は全部で4ステージ。毎回のテーマに基づいた世界観で演出されつつ、ステージごとのコンセプトがあり、それぞれ個性的な空間が広がります。入口を抜けたところがメインステージ「まちはずれのたからじま」。

ここでは『きみに読む物語』や『インターステラー』などの長編映画を上映。4つの会場の中でも、最も人が集まるステージです。上映と上映の間に、パフォーマンスやトークショーも催されるので、ずっとここに居ても充分に楽しめます。

森の映画祭

川に沿って歩いた先にあるのが、「きいろいながぐつ」ステージ。木と木の間に張られたスクリーンでは『ペンギン・ハイウェイ』や短編映画を上映。

高く伸びた木々が月や星の明かりを遮るので、スクリーンの明かりがないと隣の顔も見えないくらい真っ暗。まさに「森の中での映画鑑賞」という感じで、森の闇の深さも体感できます。

森の映画祭

唯一、建物の中にあるのが「ねえねえ みてみて!」ステージ。森の映画祭初の屋内ステージで、『顔たち、ところどころ』や短編映画を上映。靴を脱いでマットの上で体育座りをしながら観ていると、小学生に戻ったような気分です。

森の映画祭

森を抜けてひらけたところにあるのが「まっくらのなか」ステージ。ここでは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』や短編映画が上映されていたほか、森の映画祭代表であるサトウダイスケ監督の作品『近すぎるのに遠い、だなんて』の舞台挨拶も。主演女優のおふたりも登壇していました。

森の映画祭

映画以外の楽しみもたくさん!

森の映画祭は、午後2時の開場から午前8時の閉場まで、計18時間! 映画鑑賞以外の楽しみもたくさん用意されています。

森の映画祭

特に賑わったのが、メインステージの近くにある「まちの商店街」エリア。フードや物販、ワークショップなどさまざまな楽しみが揃っています。ランタン作りやレジンクラフトなどが並ぶ中に、「森のリラクゼーション」という名のフットマッサージ体験ブースも。森の中を歩き回って疲れた足に、これは嬉しいですね。

フードも本当にたくさんのメニューがありました。丼モノやピザ、担々麺などのガッツリ系から、ポテトやからあげなどの映画を観ながら食べられるメニューまで。友だちと手分けして並んで、持ち寄ってシェアするのもいいですね。

森の映画祭

今回筆者が一番楽しみにしていたフードが「ラルバディナポリ」のピザ。開催地・沼津でとれたバジルやシラスを使っているとのこと。ご当地ならではの味を堪能できるのも嬉しいポイントです。

スープや唐揚げ、ビールとワインも並べて、ちょっと豪華なディナーに心もお腹も満たされました。森の中での食事、ほんとにおいしかった!

森の映画祭

また今年初の試みだったのが「スナック夜空」。これは映画監督や映画関係の仕事に携わる方が交代でマスターになり、参加者と交流するというユニークなもの。映画祭サポーターのひとつで、筆者も利用している映画レビューアプリ・Filmarks(フィルマークス)のスタッフがマスターを務める時間帯もあり、お邪魔させてもらいました。

映画の話を中心に、さまざまな話題で参加者同士が盛り上がりました。ちなみに、映画祭参加者で一番あるあるネタだったのが、「雨の可能性もあったから、昨日慌ててレインコート買った」でした。

森の映画祭

参加者はどんな服装なの?持ち物は?

いざというときの寒さ対策を!

スナックで話題になったように、やはり服装は参加者の一番の悩みどころ。筆者視点で見る参加者の服装の傾向は、ウィンドブレーカーやアノラックなど、アウトドアウェアを着た人が全体の3分の1ほど。残りの3分の2は、パーカーやニット、トレーナーなど普段使いのカジュアルな服装という割合でした。

森の映画祭

今年は昼間のうちはシャツや長袖Tシャツでも充分過ごしやすく、半袖の人も多く居た印象です。夜もそこまで冷えず、昼間の服装に一枚羽織るくらいでも大丈夫でした。

ステージからステージへと移動している間に体温が上がってくるので、動きやすくて、着脱しやすい服装が便利なのは間違いないでしょう。(靴は歩きやすい運動靴がおすすめです!)

森の映画祭

一方で、ひとつのステージに留まったり、じっとしている時間が長いと体も冷えてきます。また、森の中というだけあって明け方はやはり少し冷えます。その時のために厚手のセーターやパーカー、ダウンなどを1枚用意していくと安心です。

開催地によっても気候は変わってくるので、現地の夜と朝の気温を事前にチェックしておくことをお忘れなく。

森の映画祭

持っていくと便利な三種の神器

・レジャーシート

・アウトドア用の椅子

・寝袋

この3つは、持参必須の「森の映画祭 三種の神器」と言えるでしょう。特に寝袋は、宿泊施設を取っていない人にとっては、睡眠道具としてはもちろん、寒い時には防寒にもなります(ゴロンと横になって映画を観られる)。レジャーシートが飛ばないための重石代わりにもなるのでオススメです。

森の映画祭

さらに、エアーソファやクッションがあると、横になって観る時に頭の高さを調節できるので、これが地味に助かります。

森の映画祭

ただ、荷物が多すぎると会場内の移動が大変になるので要注意。大きめなリュックひとつを背負うか、リュックに加えて片手で少し持つくらいの量にとどめるのがいいと思います。

それから、虫除け対策は必須です。虫除けスプレーを会場の入口で全身にかけておきましょう。

宿泊施設は毎年大人気

宿泊施設は毎年会場によって異なりますが、今年はテントサイトと会場内の宿泊施設の2種類がありました。両方とも利用するためには事前の申し込みが必要です。特に会場の宿泊施設は毎年人気で、先着順もしくは抽選のこともあるので、利用したい方はチケット購入時に忘れずにチェックを!

森の映画祭

ちなみに筆者は、メインステージ前の芝生に寝袋を広げて横になりながら映画を観ていたら、寝落ちしていました。最後まで観られずに寝てしまったのは悔しいですが、森の空気と映画の音に包まれた眠りは最高でした。

森の映画祭

上映数は過去最多の59作品

いろいろな楽しみがありつつも、一番肝心なのはやはり上映作品のラインナップ! 今年は長編作品と、事前応募の中から選ばれた短編映画をあわせて全59作品が上映されました。この数は過去最多とのこと。

59作品が4つのステージでバラバラに上映されるので、お目当ての作品がいくつもある場合には、入念にタイムスケジュールを組んでおくのが大切です。

森の映画祭

今回筆者が特に注目していたのが、ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭で受賞を果たした邦画『ウィーアーリトルゾンビーズ』。劇場鑑賞の機会をうっかり逃してしまったので、絶対に観よう!と思っていましたが、深夜3時からの上映を待てず、いつのまにか入眠……。観たい映画が深夜上映の場合は、仮眠をとる時間もスケジュールに加えておくことをオススメします。

一方で、「映画との偶然の出会い」を楽しめるのもフェスの魅力。筆者自身も、過去5回の参加で短編作品を上映するステージを転々として、「この短さで、こんなに面白い映画があるのか!」という発見をたくさん経験しました。なかには、インディペンデント作品らしく「これは、どういうことなんだ……?」と観客の解釈や感性に委ねる作品もあり、そういう時は映画レビューアプリ・Filmarks(フィルマークス)で他の人のレビューを読んでみるのも面白いです。

森の映画祭の開催期間中はFilmarksアプリで「森の映画祭」の上映作品を一覧でチェックできるコンテンツがあり、レビューを簡単に見ることができました。

楽しみ方はあなた次第!

前回にも増して、濃密で幸せな一晩を体験させてくれた森の映画祭。

「いつのまにかうつろいゆく世界の中にも、本当は変わらないものもある」というメッセージの通り、子供の頃に金曜ロードショーを最後まで観たり、修学旅行の夜に消灯後も友だちと話したり……。ノスタルジックな雰囲気に包まれた森の中で、ふとあの頃の夜更かしの楽しさがよみがえったようでした。

森の映画祭

見上げれば星空が広がる森の中で、映画を観るも、ゆっくり寝るも、恋人や友だちと語り合うも、すべてよし。参加する人の数だけ楽しみ方がある、それが森の映画祭最大の魅力と言っていいでしょう。

次回はあなたも! 特別な一晩を体感してみてはいかがでしょうか。

【写真協力:長谷川智太、森の映画祭実行委員会】

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