【ネタバレ】映画『正体』配信開始!結末はどうなる?犯人はだれ?逃亡する鏑木の目的とは?劣悪な事件の真相を解説

わざわざ聖地で結婚式を挙げた映画ドラマオタク

古澤椋子

2020年に刊行された染井為人の同名小説を、『新聞記者』『余命10年』などの藤井道人監督がメガホンを取り、映画化。主演に横浜流星、他に吉岡理帆や森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之が出演する。死刑判決が下った重大事件の犯人の逃亡劇とその犯人を信じる者たちのドラマが描かれる。

2020年に刊行された染井為人の同名小説を、『新聞記者』『余命10年』などの藤井道人監督がメガホンを取り映画化。脱獄した死刑囚の鏑木役に横浜流星、正体を隠す鏑木と心を通わせていく人物たちを、吉岡理帆森本慎太郎山田杏奈、鏑木を執拗に追いかける刑事を山田孝之が演じる。ある目的のため姿を変え、潜伏を続ける鏑木と鏑木を信じ支える者、警察の威厳が交差するサスペンスドラマに仕上がっている。第48回日本アカデミー賞では、優秀作品賞を含む最多12部門13の優秀賞を受賞し、3月14日(金)の授賞式では、最優秀賞の受賞を期待する声があがっている。

正体』(2024)あらすじ

一家惨殺事件を起こし、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。鏑木の取り調べを行った刑事・又貫(山田孝之)を中心に、警察が総力をあげて捜索するも鏑木の行方は掴めないまま。鏑木は姿を変え、あらゆる場所に潜伏していた。大阪府住之江区では工事現場の従業員、東京都新宿区ではフリーのWebライター、長野県諏訪市では介護老人ホームの社員。さまざまな場所で姿を変え、間一髪で警察から逃れる鏑木。彼は、それぞれの場所で自分を信じてくれる人と出会い、必死の逃亡を繰り返す。鏑木には、ある目的があったのだ。

変装と潜伏を繰り返す鏑木

刑務所内で自傷行為を行い、救急車で病院に運ばれている途中で脱走を図る鏑木。又貫は、上司・川田(松重豊)から叱責を受け、部下・井澄(前田公輝)とともに鏑木の行方を追う。

鏑木の最初の潜伏先は、大阪府住之江区。メガネにキャップ帽、髭面という風貌で、“ベンゾー”と呼ばれ、工事現場の従業員として働いていた。同じ現場で借金返済のために働く和也(森本慎太郎)と知り合う。鏑木は、和也が骨折したことを機に、彼と関わるようになる。和也にパワハラを行う金子(駿河太郎)を脅し、和也を救う鏑木。和也は鏑木に恩を感じつつも指名手配中の死刑囚に似ていることに気がつき、警察に通報する。和也に通報されたことに気づいた鏑木は、再び姿を消してしまう。和也は、自分のために上司と戦ってくれた鏑木を売ろうとしたことを後悔する。

鏑木が次に降り立ったのは、東京都新宿区。前髪を上げてニット帽を目深に被り、カラーコンタクトを着用。顔の横にあるホクロには自ら傷を付けている。鏑木は那須と名乗り、メディアトレンダーズというWebメディアでライターとして日銭を稼ぎ、ネットカフェで暮らしていた。メディアトレンダーズでディレクターとして働く沙耶香(吉岡里帆)はライターとしての那須の仕事を評価していた。大雨の日、偶然街中で会った沙耶香と那須はひょんなことから一緒に暮らし始め、那須はメディアトレンダーズで正式に働くことになる。鏑木はライターとしてニュースメディアに潜入し、自分が起こした一家惨殺事件についての情報を集めていた。共に暮らす中で心を通わせていく沙耶香と鏑木。沙耶香は鏑木に惹かれていく一方で、彼は死刑囚なのではないかと疑うようになっていた。沙耶香は、自分が見ている鏑木の姿を信じ、警察から鏑木を逃す。

鏑木は、沙耶香の愛を受け、次の潜伏へ。できる限り顔を変え、水産工場へと向かう。場所は変わり、長野県諏訪市。鏑木は桜井という名前で、介護職員として働いていた。働いている介護施設には、鏑木が起こした事件の唯一の生き残りである井尾由子(原日出子)が暮らしていた。老人ホームの社員として平穏に働いていた鏑木だが、共に働く酒井舞(山田杏奈)のSNS投稿をきっかけに潜伏先がバレてしまう。鏑木は介護施設を舞台に、立てこもり事件を起こす。鏑木は、どうしても井尾にから証言を引き出す必要があったのだ。自身の無実を証明するために。

劣悪な事件の裏側

鏑木の逃亡劇が続くなか、回想とともに一家惨殺事件の捜査の裏側が描かれていく。又貫は、まだ捜査を続ける必要があると川田に進言したものの、19歳の鏑木が極刑を受ければ少年犯罪の抑止力につながると、心神喪失状態の井尾から無理やり証言を引き出し、鏑木を逮捕していたのだ。鏑木は何度も無実を主張したにも関わらず、又貫は聞き入れなかった。そして鏑木には、死刑判決が下る。警察の思惑が絡んだずさんな捜査だったのだ。そして、一家惨殺事件と同じような事件が発生し、逮捕される。この人物が真犯人だったのだ。

鏑木は、事件のときの状況を鮮明に覚えていた。鏑木は高校からの下校中、ある一軒家から悲鳴が聞こえ、家の中を覗いたときに犯人の姿と犯人を見ている井尾の姿を見ていたのだ。鏑木は、被害者に刺さった鎌を抜き返り血を浴びてしまう。そして、そこに警察が突入。鏑木は逮捕されてしまった。

罪がないのに「逃げ回る」鏑木の目的とはなんだったのか?

鏑木は無実をはらすためには井尾から証言を引き出す必要があると信じ、工事現場で金を貯め、ライターとしてメディアに潜入して情報収集に励む。また、井尾の妹・笹原浩子(西田尚美)に接触するために顔を変えて水産工場でも働いた。最終的には井尾が暮らす介護施設に職員として潜入し、井尾に接触しどうにか当時の記憶を呼び起こそうとチャンスを窺っていたのだ。また、鏑木には嬉しい誤算もあった。鏑木が出会った人々は彼の優しさに触れ、鏑木はやっていないはずだと信じ、応援してくれるようになった。和也や沙耶香、坂井が自然に鏑木に惹かれていたように、幼い頃から変わらない聡明さと優しさこそが、鏑木の正体だったのだ。ただただ純粋に、“良い人”であるために、人を信じ続けたかったのだ。

物語は、鏑木の再審の判決が言い渡されたところで幕を閉じる。無罪という言葉は響かずとも、和也や沙耶香の喜ぶ顔、法廷に響く拍手、鏑木の噛み締めるように溢れさせる涙が、無罪という言葉を表現していた。

鏑木が罪を犯したのか否かというサスペンスのなかに、鏑木がさまざまな人物と心を通わせ、信頼を築いていく過程が描かれている。

※2024年11月28日時点での情報です。

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