ハリウッドの伝説的俳優、ジェームズ・ディーン。彼の半生を描いた映画『ディーン、君がいた瞬間』が12月19日全国公開されます。
本作でジェームズ・ディーンを演じるのは、若手俳優トップクラスの演技力と存在感を誇る、デイン・デハーン。
今回は3本の映画を通して、奇異なる天才若手俳優:デイン・デハーンの魅力に迫ってみます。デイン・デハーン!ジミーを超えろ!!
天才的若手俳優
デイン・デハーン(本名:デイン・ウィリアム・デハーン)は1987年2月6日、アメリカ、ペンシルバニア州の生まれです。ノースカロライナ大学芸術学校にて演技を学びました。俳優以外にもイケメンな容姿を活かし、2014年の「プラダ」春夏メンズコレクションのモデルに起用されています。
趣味はゴルフで、「俳優をやっていなかったらプロゴルファーになりたかった」とも発言しています。ゴルフウェアもイケメンに着こなしそうです。
彼は「尊敬する俳優を3人挙げるとするならば?」の返答に、「アル・パチーノ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ジェームズ・ディーン」と挙げています。どの俳優も技巧派な芝居が特徴で、彼の演技に繋がってくるように思えます。
『クロニクル』
デイン・デハーンの存在感を示した、彼の代名詞ともいえる映画です。
突如落下した謎の隕石に触れた高校生たちが超能力を手に入れる模様を、POV(ポイント・オブ・ビュー)形式で撮影したモキュメンタリー映画です。
彼は主人公のひとり、アンドリューを演じています。内向的で冴えない彼が超能力を持ってしまったがために恐ろしい存在に変貌していく様子を、感情を抑えつつフツフツと滾らせていく演技がとても印象的です。
超能力とは、正義にも悪にも成り得る。それはちょっとした負の連鎖による感情の爆発によって自ずと容易く悪に転落していく…という、すさまじい「現実」を見せ付けられます。
これ、超能力でなくとも社会の中で普段使う「言葉」や「行動」にも当てはまることなんですよね。超能力というファンタジーな素材を扱いながらも普遍的なテーマを描いているところに、観客は共感し、この作品をより一層身近なものにしたデイン・デハーンの”自然な存在感”に驚かされます。
この映画によりデインは”神経質で不器用”といった”陰”のイメージが確立されたかと思いますが、このイメージを逆手に取った異質コメディが生まれます。
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(C)2014 LIFE AFTER BETH, LLC All Rights Reserved.
僕の彼女がゾンビになっちゃった!という『ウォーム・ボディーズ』の逆ヴァージョンをコミカルに描いた作品。デインは主人公・ザックを演じています。
彼はどちらかというとシリアスなドラマにしっくりくる深刻な顔つきをしていますが、この映画ではゾンビ化したベスに振り回される役として、その硬めの表情筋がコメディに一役買っています。
見どころは、夜のデートを終え帰ろうとしているザックを、ゾンビ化が順調に進んでいるベスが無理やり引き留めるシーン。ベスはザックを屋根裏に無理やり押し込み”襲おう”とするんですね、あ、性的な意味の方です。
でもザックは彼女がゾンビ化してきていることに気付いているので、いつ噛まれてもおかしくないとハラハラ。しかも彼女からは腐臭が漂い出しているのでロマンチックなムードも消し飛んじゃってるんです。
このシーンでのデイン・デハーンのあたふたっぷりは、いつも冷静な彼の雰囲気とは180°異なっていて、他の映画では見られない貴重な芝居かもしれません。
デイン・デハーン×コメディ×ゾンビ、という異色の組み合わせが、実に新鮮な2010年代を代表するホラー・コメディです。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】『ディーン、君がいた瞬間』
Caitlin Cronenberg, (C)See-Saw Films
無名の新人俳優ジェームズ・ディーンと、公私に渡り彼を支え続けた写真家デニス・ストックの友情を描いたこの最新作は、デイン・デハーンの今まで築き上げた魅力がギュッと詰まった作品です。
デインは、最も好きな俳優のひとりに挙げていたジェームズ・ディーンを、憂いを帯びた眼差しや煙草をくわえる仕草もソックリに憑依させており、まるでジミーが現代に蘇ったかのような空気感を漂わせています。
写真家のデニス・ストックは『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンが演じています。若手俳優同士の演技のぶつかりあいという点でも、面白く観れる映画かと思います。
ジェームズ・ディーンは「1950年代アメリカの反抗する若者」の象徴として、今も変わらぬ人気を誇っています。たった3本の映画を残して惜しくも24歳という若さでこの世を去ってしまったが故に、彼は発展途上の若さを永遠にフィルムの中に焼き付け、独自の魅力で輝き続けていきます。
対してデイン・デハーンは「2010年代アメリカのどこにでもいそうな若者」の象徴のように思えます。『クロニクル』のアンドリューに親しみと恐怖を覚えるのも彼のフツーな印象によるものですし、『ライフ・アフター・ベス』の中で漂う日常感も、彼の過剰でない自然な演技によるものだと思います。
“若さ”が映画の中でどう作用するのか? を意図的にも極自然にも体現し、役柄に落とし込む技術力の高さが2人の共通点ではないでしょうか。
柔らかで優しそうな笑顔の奥にある、触れることを許さないような頑固な寂しさ。ひとつの表情の中に異なるふたつの感情を瞬間的にこめられる演技、そこにディーンとデインの共通した魅力を感じずにはいられないのです。
『ディーン、君がいた瞬間』は12月19日よりシネスイッチ銀座他全国で公開されます。ジェームズ・ディーンのことまったく知らないなぁという方にこそ、ぜひ観ていただきたい映画です。
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今回紹介した他にも、『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督の描いた人間ドラマ『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』や、ライブ・ドキュメンタリーとドラマを融合させた『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』等、”通好み”な作品に多数出演しているデインですが、娯楽大作にも出演して欲しいですね。
ジミーは惜しくも早世しちゃいましたが、デインは30代、40代と新たな魅力を築き上げて欲しい俳優としてぜひぜひ大注目を!
※2022年1月21日時点のVOD配信情報です。