荒廃した砂漠に過去を背負った一匹狼。そして、イカれた暴走野郎と過激なバトル。これだけ聞くと、北斗の拳を思い浮かべた人もいるかと思います。それもそのはず。ウィキペディアによると、北斗の拳の主人公ケンシロウは「松田優作」+「ブルースリー」+「メルギブソン(MADMAX2)」とのこと。原作者もかなり影響されたんですね。
ただ、わたし(アラフォーおやじ)がグッときてしまうのは、主人公よりもむしろ鶏冠(トサカ)ヘッドの雑魚キャラたちが興奮した時のルーチン。目を大きく見開き、両手を高くかかげ、やや微笑みながら、舌を出して、、、スクリーーーム!!
あれって鶏冠ヘッドの宿命なんですかね?そういえば成人式のニュースでも見たような気が・・・・・・あぁ、そういうこと?かれらもマッドマックス信者ということか!それにしてもTV局はなぜ、※よい子はぜったいにマネしないでください。って、出さないのだろう?
冗談はさておき、2015年のキネマ旬報1位に輝いた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。どうしてこんなに大ヒットしたのでしょう。
アクション?爆音?わたしはそうは思いません。世間の色に染まらない得体の知れない者が引き寄せる魅力だと思うんです。常識やしがらみ、上下関係や規則など関係ない世界で好きなように生きる者たち。そんな生活に憧れたことありませんか?
そりゃあんた、ピーターパン症候群だよ、そんな好きなように生きていいなら警察いらねえよ。っていうのは勘弁してください。ミッキーやマイケルと夢の王国に住みたいって意味じゃないんで・・・。
現実的だけど、しがらみに振り回されずに自由奔放な人たちっているじゃないですか・・・。ゾンビとか。ちがうか(笑)そうじゃなくて、前田慶次やビートたけしみたいに人を喜ばせたり、坂本龍馬や橋下徹みたいに世の中を変えてしまうような人たち。
今回ご紹介したい映画『きっと、うまくいく』の主人公ランチョーもそんな魅力をもつ青年。
ちなみに本作はFilmalks×TSUTAYAのコラボ企画「私たちが本当に好きな映画」で、2000年代1位、レビュー評価4.3と驚異的な数字を叩きだしています。
多くの観客が共感した本作を通じて、わたしなりに考えた好きなように生きるための心得について記事にしたいと思います。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】物語にある背景
舞台は日本の10倍以上も人口がいるインド。そのなかで過酷な受験戦争を制した優秀なエリート工業大学生たち。彼らを待ちうけるのはムチャな要求を押しつける横暴な先生や上級生たち。でもどんなに理不尽なことでも従うしかない事情があります。
なぜなら留年の告知はまさに死の宣告。そんなお金を払える生徒はごくわずか。本作でも失望から命を絶ってしまう生徒がいますが、現実でも深刻な社会問題になっているほど。ようやく手に入れた成功への切符、地方で卒業を待ちわびる両親、それを考えてしまうと・・・卒業するまではどうしても長いものに巻かれざるをえないのです。
そう、ランチョーをのぞいては。
固定概念をぶちやぶれ!
徹底した合理主義者でプライドが高く、「人生は競争だ」がモットーの学長。それは新入生へのスピーチでのこと。学長は胸ポケットからペンを取り出し、学生たちに熱弁します。
「宇宙ではペン類は使えないが、これは10万ドルで開発された字が書けるペンだ。これは自分が学生だった頃に学長からゆずり受けたもので、もし君のような優秀な生徒がいたらこのペンを渡してほしい、と言われた。だが、そんな生徒はいまだに現れていない。このペンが欲しい者はいるか?」
こんなとき、あなたならどうしますか?このペンは明るい将来が約束された希望のペンだと思ってしまいませんか?もちろん、この生徒たちも一斉に手を突きだします。ところがランチョーは皆が手をおろしたあとに満足げな学長にこう言います。
「なぜ、鉛筆ではなくペンをつかう必要があるのですか?もっと経済的に字が書けるのに」
一匹狼を覚悟しろ!
上級生の嫌がらせには立ち向かい、学長や教科書どおりの先生には口答え。授業を追い出されるランチョーを横目に「変わったヤツだ」と噂する周囲の学生たち。出る杭は打たれるのが世のつね。自由奔放な生き方が受け入れられるまでには時間がかかるのでしょう。
ところが彼はどんなに孤立しても、まったく気にしません。むしろ楽しそうに歌っています。そんな図太さがなければ好きなようには生きられないのかもしれません。
戦わずに屈服させろ!
孫子いわく、「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」。戦わずに相手を屈服させることは戦って勝つよりも良いことだ、という意味です。ランチョーの生き方はまさに孫子の兵法どおり。弱肉強食の競争社会だからこそ、乱世の兵法が役に立つのです。
上級生の嫌がらせ、学生同士のシャワー争奪戦、彼氏がいる女の子の目を引くことでさえ、ランチョーは戦わずに目的を達成します。弁護士のように理屈で相手を説得したり、スネ夫のように媚びたりなんてナンセンス。ましてや、暴力なんて愚の骨頂。じゃあ、いったいどうやって?それは映画を観てからのお楽しみ!
情報より状況を見極めろ!
今の時代、お金とスマホがあればそれなりに生きていけるかもしれません。ただ、好きなように生きるということは道なき道を進むということ。
なにが起きるかわからない状況で必要なのはネットの情報よりも状況にあわせた判断力。ランチョーは、身近にあるものを利用して便利な道具を創ってしまう達人。そんな彼のように臨機応変に対応できる達人になれば、もはや決められた道なんて必要ないんです。
ジェームスボンドやジャックバウアーのように、とはいかなくても、機転をきかせようとする努力と必要最低限のスキルは必要なのではないでしょうか。
きっとうまくいくと信じよう!
インド映画歴代興行収入1位にもなった『きっと、うまくいく』、観たくなってきましたでしょうか?いろいろと偉そうに書きましたが、人事を尽くして天を待つ。きっとうまくいく、そう信じていれば、案外好きなように生きられるのかもしれませんね。
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