涙が止まらない衝撃作品『ルーム』の基になった信じられないような凶悪監禁事件とは?

映画好きをこじらせLAへ

MaryK

第88回アカデミー賞で見事ブリー・ラーソンが主演女優賞に輝いた超話題作の『ルーム』。今年の春公開の映画で一番の注目作品であることは間違いありません!

ルーム

そのあまりの衝撃的な内容に”これって実話ではないよね?むしろ、実話ではあって欲しくない!” と誰もが思うでしょう。

しかし、原作であるベストセラー小説『部屋』の筆者であり、映画の脚本も担当したエマ・ドナヒューは残念ながらオーストリアで実際に起きた凶悪監禁事件を基にこの本を書いたとインタビューで語っています。

そこで、今回は4月8日に公開の『ルーム』のあらすじと、基となった凶悪事件についてご紹介していきます。

Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】

7年間もの監禁生活

room1

最低限の設備だけが用意された小さな部屋で暮らすジョイと息子ジャック。彼女は7年前の17歳のときに監禁され、それから一度もこの部屋から出たことがないのです。ジョイを誘拐した男は夜になると食料を持って部屋にやってきますが、もちろん目的はそれだけではありません。そんな絶望的な状況の中でもジョイは生きる気力を失わずに耐えてきました。

その唯一の理由は、5歳になる息子ジャックの存在です。母親だけがこの世界の住人であり、外の世界は存在しないと教えられ育ったジャック。大きくなったからと、自分はどこから来たのか、TVに出てくる人たちは外の世界で生きていることなど、今までジャックに隠してきたことを話し、息子だけでも外の世界で自由に生きさせるために大きな決心をすることになります。

外の世界で待ち受けていた現実

room2

映画の前半はとにかく息が詰まるほどの苦しい状況がこれでもかとスクリーンに映し出されます。こんなに見ていて苦しい映画があっただろうかと思えるほど。

一転、後半は外の世界が描かれるのですがジャックが初めて見る空の美しい色がとても印象的。どんよりした灰色一色だった彼の世界は、大きく変わることとなるのです。

しかし、あの部屋しか知らず生きてきたジャックとは違い、7年もの失われた時間を痛感することとなるジョイにとって、その現実はあまりにも過酷でした。日に日に新しい生活に慣れている息子を目の前にし、一人その辛さに耐えることになります。

ジャックが大きくなった時、彼の父親についてどう話せばいいのか?心を病んでいる母親のもとにジャックは残しておいていいのか?これからこの親子が立ち向かうであろう数々の問題を想像するだけで苦しくなります。

オーストリアで起きた信じられないような監禁事件とは

『ルーム』そのものは、フィクションではありますが、原作と映画の脚本を担当したエマ・ドナヒューによると、オーストリアで起きた「フリッツル事件」のショッキングなニュースがこの作品の執筆に影響を与えたと答えています。

その恐ろしい事件とは、実の父親に24年もの間、自宅の地下室に閉じ込められていたと42歳のエリーザベト・フリッツルがオーストリアの警察に訴えたことで2008年に発覚したもの。

その間、7人もの子供を出産し、そのうちの3人は失踪したエリーザベトが置いていった子供として、ヨーゼフと妻に育てられていました。カルト宗教に入ったと信じ込んでいた妻は、まさか娘が地下室に監禁されており、養子として迎えた子たちが娘と夫の子供であるとは知らなかったそうです。

エリーザベトの長女が腎不全のため病院を訪れた際に、病院のスタッフが不審に思い通報したことで警察が捜査に動き出し、24年もの監禁生活から開放されることとなったのです。

この時に、地下室で保護されたエリーザベトの息子フェリックスの年が5歳だったことも『ルーム』に影響を与えています。

息子を演じたジェイコブ・トレンブレイが天才すぎる!

小さな部屋で母親とTVしか知らずに育った息子ジャックを完璧に演じたジェイコブ・トレンブレイ君の演技には誰もが涙を流すことでしょう!アカデミー賞にノミネートされなかったのが不思議でたまりません。

ブリー・ラーソンとは大好きなスター・ウォーズの話題で打ち解けたそうです。親友だと言い合う仲良しの二人。とってもかわいいです!

過酷な運命にも負けず、ひたすら前を見続けた力強い親子の感動作品『ルーム』は4月8日公開です。劇場に足を運ぶ際にはハンカチを忘れないで下さいね!

Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】

 

(C)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015

※2020年5月13日時点のVOD配信情報です。

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS

  • 本屋
    3.8
    男の子の表情がとても素敵だった。
  • ジョーカー
    1
    う〜ん、微妙
  • s
    3.6
    もとになった事件を調べてからみた、これより何倍も何十倍も酷いことが本当に起こったと思いたくないし信じられない、ずっと苦しかった
  • neko
    4.5
    密室もの。5歳になって初めて密室から外の世界に出るとどうなるか、を7年の監禁から救出された母親のその後の苦難と併せて描かれています。 密室の緊張感があり、脱出後も陰鬱な雰囲気が続いてるのが良かったです。
  • A8
    4
    7年間家屋で監禁されていた主人公とそこで生まれた息子の物語。 失われた7年間の長さそして辛さやその後監禁から解放された彼女たちの社会に適応しようとする姿を上手く描かれていた。 17歳からの7年間何者かに監禁をされ、自由を奪われるという想像し難い苦しみはもちろん、社会に戻っていき適応しようとするが“心無い記者からの質問”により自分を責める主人公の苦しさが終始描かれていた。 だが、そんな彼女がここまで生きてこれたのは“息子”の存在が大きいのだろう。自分を責めた主人公は脱衣所で自殺未遂をしてしまうが、なんとか一命を取り留めた。そんな母親に「髪の毛にはパワーが宿っている」という教えを信じた息子が大事にしていた髪を切る母親に渡すというシーン。 壮絶な監禁生活。そして、社会に出てからも苦しみを感じることになった彼女は“愛”息子からの“愛”により、前に一歩進んでいけるパワーをもらったのであろう。 そして、娘が監禁された夫婦は7年の月日が経ち離れ離れで暮らすことになっていた。 娘が戻ってきて喜びに満ち溢れる父と母。だけど、娘の子どもをみるや否や、父のどこか困惑し、受け入れ難い表情は複雑な心情を伺うことができる。 あの誘拐犯とは裁判を含め一切関わらないと静かながら固く訴え、決意したシーンの一連からみればよく理解できる。 一つの事柄は、複数の作用をもたらす。監禁され、発見し、保護できたら事件解決。でもそこが本当の終わりではないのだ。保護された娘はもちろん、父や母、周りの人たちの人生に大きく影響し、失われた時間や心、家族の絆、、、。そういった複雑な事柄も丁寧に描かれている。そして、人生を“広い世界”で再び生きていこうとする決意がみえた。 最後、息子のリクエストで監禁されていた家屋を覗きにやってくるシーン。彼の「この部屋縮んだ?」と純粋に母に聞くのである。 ほんの少し前までこのあまりにも狭い空間しか知らなかった彼はもういない。 人は適応能力がある生き物である。この広い世界で自分に合う場所を見つけることを考えた時、とてもワクワクする感覚を覚える。 かつていた場所が小さくみえた彼、そのようにして人は成長していくのだろう。 感情溢れるであろうシーンばかりなのだが、すべてが感情!感情!ではなく、うまーく自然に演じられているのがすごいと思った。
ルーム
のレビュー(114540件)