コメディアンからオスカー俳優へ。今年還暦を迎えるトム・ハンクスの輝かしい経歴

映画は人生の道しるべ。人生案内人。

yasuukusayan

名優の一人であるトム・ハンクスは1956年7月9日生まれで、今年還暦を迎えます。出演してきた映画作品は2015年の『ブリッジ・オブ・スパイ』までで45作品(声優は除く)。コメディアンであったことから、初期の頃はコメディタッチのものが多かったことはご存知でしょうか?

初主演作や長いキャリアの中で生み出してきた名作に注目しながら、名優トム・ハンクスの活躍を改めて振り返ってみましょう。

デビュー作品は地味な役?!

映画デビューは1980年公開(日本では劇場未公開)の血ぬられた花嫁』というホラー作品。残念ながら主役ではなく、主人公の友人という設定で出番はほんの僅か。ホラー映画なので、せめて殺される役なら少しは目立ったでしょうが、殺されることもない、いてもいなくてもいい役柄… でした。

初主演作は1982年公開の『トム・ハンクスの 大迷宮ですが、本作はテレビ映画なので劇場初主演作品は1984年公開の『スプラッシュ』です。

制作はウォルト・ディズニー・カンパニーの映画部門であるタッチストーン・フィルムで、人魚を演じるダリル・ハンナの全裸シーンが登場することから、ディズニーという名前を使わず、本作のために新たに作った会社です。

のちにタッチストーン・ピクチャーズと名を改め、ディズニーの大人向け映画を制作する専門会社となりました。これまでにカクテル』『プリティ・ウーマン』『アルマゲドンなどを世に送り出しています。

美しい人魚と人間の青年との恋を描いたファンタジー作品『スプラッシュ』

それでは事実上トム・ハンクスの初主演作となる『スプラッシュ』を解説していきましょう。

スプラッシュ

ストーリー

家族旅行中の少年アランは船上から海面を眺めていた時に、波間から惹かれるような感覚を覚え、海に飛び込んでしまいました。泳げない彼は海中に沈んでいきますが、海の中を泳ぐ不思議な少女に助けられます。

その少女のことを忘れられないまま20年の時が過ぎ、成人になったアランはある日酔った勢いで幼い頃不思議な少女と出会った海へ向かいます。チャーターした船で海に出ますが、故障し放り出されると、突如海の底から現れた人魚に助けられます。実はその人魚こそ、かつて少年だったアランを助けた少女でした…

ロン・ハワード監督と初タッグ、純朴な青年役を好演

アンデルセンの『人魚姫』をオリジナルにした、美しい人魚と人間の青年との恋を描いたファンタジー作品です。『人魚姫』と異なるのは、本作が悲恋物語ではなく、ハッピー・エンドで終わるコメディ作品なこと。見終わった後は、夢の世界へ引き込まれたような気分にさせてくれる作品です。トム・ハンクスが28歳の時の作品で、恋人ができない純朴な青年役を好演しています。

監督はロン・ハワードでしたが、この作品のあとには『アポロ13』『ダ・ビンチ・コード』『天使と悪魔』を撮り、2016年10月に公開される新作『インフェルノ』でもトム・ハンクスを主演に迎えています。

人魚の役を演じたのはダリル・ハンナ。本作の2年前にリドリー・スコット監督作『ブレード・ランナー』でレプリカント(人造人間)の役を演じています。抜群のスタイルと洗練れた美貌の持主で、尾ビレを付けた状態で海中をドルフインキックで泳ぐシーンはとても美しく、本当の人魚が泳いでいるようです。CGではなく、実演しているところがすごいです。彼女は本作で一躍脚光を浴びることになりました。

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ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した『ビッグ』

『ビッグ』は1988年に主演した作品で、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しました。またアカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされています。

BIG

ストーリー

12歳になるジョッシュ少年は年に一度開催されるカーニバルに足を運び、想いを寄せる女の子の前でジェットコースターに乗ろうとしましたが、身長が足らず乗ることができませんでした。落胆した彼は願いを叶える不思議なゾルダーと呼ばれるからくり人形に「大きくなりたい」と願います。

翌朝、目覚めると大人に成長している自分の姿を鏡で見て大慌て。母親に相談しようとしますが、姿を見て驚いた彼女から強盗に間違えられ、家から飛び出してしまいます。行き場を失い、子供に戻ろうと『ゾルダー』を探しますが、カーニバルは撤収してしまい跡形もありません。状況を理解してくれた親友のビリーに連れられ、『ゾルダー』が見つかるまでニューヨークで身を隠すことにし、玩具会社に職を見つけ働き始めます。

ジョッシュは子供らしい発想で玩具を開発し、社長のマクミランに気に入られ、とんとん拍子に出世。また女性重役のスーザンも彼のピュアな心に惹かれ、ふたりは大人の関係に。仕事も恋も大成功に見えましたが、中身は子供のまま。やはり母親の元が恋しいのです。そして、ついに『ゾルダー』を見つけますが…

トム・ハンクスなしでは生まれなかった傑作コメディ

『スプラッシュ』に次ぐ、ファンタジーコメディの傑作で、誰もが子供の頃に思う“大人への憧れ”を具現化した作品です。『ゾルダー』の魔法で突然大人になってしまう少年をトム・ハンクスがおもしろおかしく演じています。

“子供の心を持った大人” という、まさにトム・ハンクスにしか演じられない役で、彼でなければ本作はヒットしなかったでしょう。コメディではありますが、ラストシーンで子供に戻った彼を見送るスーザンの姿に胸がキュンとなります。

本作は1996年にブロードウェイでミュージカルとして上演され、1998年から日本でも『big ~夢はかなう~』というタイトルで上演されました。また2012年には韓国にて、コン・ユ主演で『ビッグ~愛は奇跡<ミラクル>~』というタイトルでテレビドラマ化されています。

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『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー主演男優賞を受賞!

フィラルディフェア

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エイズに感染した弁護士の葛藤を描く『フィラデルフィア』で、アカデミー主演男優賞を受賞。翌年には『フォレスト・ガンプ/一期一会』で2年連続のアカデミー主演男優賞を受賞しました。

フォレスト・ガンプ

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これらの作品の影響もあり、それまでのコメディ俳優のイメージからサスペンス、シリアスドラマの名優として知られるようになります。以降、アポロ13』(1995年)『プライベート・ライアン』(1998年)『グリーンマイル』(1999年)『キャスト・アウェイ』(2000年)、2006年には世界的ベストセラー作家ダン・ブラウン原作のロバート・ラングドン シリーズを映画化したダ・ヴィンチ・コード、2009年にはその続編天使と悪魔で主役のロバート・ラングドン教授を好演しました。

ラブコメもお手の物

かといって、代表作品はシリアスな映画ばかりではありません!世界中の女性のハートを掴んだラブコメディにも出演をしてきました。特に、メグ・ライアンと共演をした『めぐり逢えたら』(1993年)や『ユー・ガット・メール』(1998年)は公開から20年以上が経つ今でも多くの人に愛される名作です。

めぐり逢えたら

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『ブリッジ・オブ・スパイ』ではスティーヴン・スピルバーグ監督と再び!

ブリッジ・オブ・スパイ

(C)2015 DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC and TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION.

1950年~60年代、アメリカとソ連の冷戦時代。実在の事件を元に、世界の平和を左右する重大な任務を委ねられた弁護士の活躍を描いたサスペンスです。

トム・ハンクスが1960年に起きたU-2撃墜事件でソ連の捕虜となったフランシス・ゲイリー・パワーズの釈放のために動く弁護士・ジェームズ・ドノヴァンを演じています。監督はスティーブン・スピルバーグで、トム・ハンクスとは『プライベート・ライアン』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』に次い4度目のダッグを組んだ作品です。

2016年は『ハドソン川の奇跡』『インフェルノ』の2作品が公開予定

今年は還暦を迎えますが、大作の公開が予定されています!

一つ目は9月にクリント・イーストウッド監督による2009年に起きた旅客機事故を題材にしたハドソン川の奇跡です。続いて、ロン・ハワード監督による『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続くロバート・ラングドン シリーズ第3弾となるインフェルノも2016年に公開予定です。いずれも人気監督による大作で、大ヒットしそうな予感。期待しましょう!

 

※2021年6月28日時点のVOD配信情報です。

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    4.5
    ★1988年に続き2回目の鑑賞★  監督のロン・ハワード、主役のトム・ハンクス、ダリル・ハンナがまだまだ駆け出しだった時(三人とも製作当時20代)に製作され、彼らが大ブレイクするきっかけともなった貴重な作品。  とにかく本作のハンクスが、若い!細い!!動きが軽快!!ハンナも前作の「ブレード・ランナー」の奇抜な戦闘員と打って変わって可愛らしい!!そういう点でもとても魅力のある作品。  ストーリーはべたと言えばべたなのだが、悪党も含めて心底悪い人間が出てこないこと、コメディ部分もとても自然で笑顔になれるし、まぁ、多々都合が良い展開はあるけど、非常によくまとまった、バランスの良いファンタジー・ラブロマンス作品だと思う。  ただ、ハンクス演じる主人公アランが恋愛に臆病で今一つ魅力がなく、確かに人魚姫マディソン側には20年振りに出会った気持ちの高鳴りがあるのだろうが、出会った後のアランの行動を見ても、なぜそこまでぞっこんになるのかの深掘りはちょっと足りないと思う。  ただ、35年振りに鑑賞して気付いた(いや、その時にも気づいていて忘れているだけかも)のは、マディソンがアランに20年変わらぬ恋心を持っていたのは、少女時代に海中で自分と同じように振舞えたアランが同じ人魚だと思っていたからだということ。同じ人魚であるアランが人間社会で暮らしていることへの憧れもあったのかなと思うと、アランに尋常ならざる強い愛情を感じていたのもわからなくはない。  私にとって本作品は、学生時代に観たラブロマンス映画として五指に入ってくる作品。  もちろん個人的に長身スレンダーの女性が好みのこともあるが、ハンナの個性的な顔立ちも、ヒロインとして申し分ないことの寄与も大きい。  現代だと本作のような内容ならアニメになりがちなのだが、個人的に思うのは、特に海外アニメは、人間造形に対してどうしても表情・表現が大げさなため、なんだか違う生き物としか感じられず、どんな内容であっても評価が4を超えることがないのだが、本作はファンタジー的要素はヒロインが人魚というだけで、基軸が普通の人間世界の実写映画なので、普通に心がきゅんとなり、夢を感じられるという点で、全然高い評価になる。
  • ダースポール
    5
    【訂正とお詫び】 申し訳ございませんでした。 数ヶ月前、『リトルマーメイド』のレビューにて、 「人魚姫最強のブラは、貝殻ブラだ!」 と、声高々に主張しましたが、誤りでした。申し訳ございませんでした。 お詫びして訂正致します。 正しくは、人魚姫最強のブラは、、、 「ノーブラです!!!」 😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️😍❤️ 衣装はそのまま、主演を綾瀬はるたんで、リメイク希望❣️ 入場料5万円でも観に行きます❣️ 神様、お願いだよ〜❣️ 作ってくれよ〜❣️ 《余談❣️》 コンビニでバイトしてた後輩が言っておりました。 「早朝に、ノーメイクで腕組みして入ってくる女性客は、百パー、間違いなく、ノーブラです😍」と。 女性の皆さ〜ん、腕組みしてても、バレてますからね〜❣️ 気をつけてね〜😉
  • ブラックカフェ
    3.5
    人魚と人間の恋物語。 トム・ハンクスのファンタジーラブコメディ。 『シェイプ・オブ・ウォーター』観た後に思い出した。 どの時代でも人間は残酷で繊細な種なのだとわかる。 トム・ハンクス好きにオススメ。 ダリル・ハンナの人魚姿をドキドキ観た記憶もある(笑)
  • あちゅ
    -
    こんなに人魚にフォーカスしてくれる映画があることに感動した。この映画大好き。人魚はいます。
  • みきわめとおる
    5
    このトムハンクスの若いこと! ダリルハンナも究極可愛いかった。 1984年、大学4年の私は最終面接で東京に向かい、最終社長面接で「君は我が社に入ったら何が出来るかね?」と聞かれ、 「私はこの会社の潤滑油になり、組織を活性化して会社と共に成長できます!」 とカラ元気で答えた。 エネルギーを使い果たし、ヘロへロの私は新宿歌舞伎町の映画館でスプラッシュを観た。 初めてのトムハンクスとダリルハンナのピュアな恋物語は、私の綺麗事にしか聞こえない生き様を嘲笑うかのように胸にズシーンと響き渡った。 22年生きてきた中で多分映画館で一番泣いて記憶が飛んだ。 嗚咽してしゃくりあげた。 大阪→東京往復で使えた、青春18切符を何故か感動のどさくさで紛失して、大阪への帰り切符を買い直す事になってしまった。 トムハンクスは、ずーっと安定して素晴らしい映画に参加し続けている。 スプラッシュは私にとっての「いちご白書をもう一度」なのです。
スプラッシュ
のレビュー(4281件)