映画『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』徹底解説!注目すべきは“声で電話をかける”シーンだけじゃない?ネタバレありで見どころ紹介!

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ネジムラ89

映画『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』の名シーン“声で電話をかける”仕組みとは?音楽へのこだわりが詰まった本作をネタバレありで徹底解説!

2008年に劇場公開された名探偵コナンの劇場版第12弾が名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』(※以下、記事内では『名探偵コナン 戦慄の楽譜』と表記します。。本作の特徴は、音楽がテーマになっているところ。一見、ストーリーを音楽の世界を舞台にしただけと思われるかもしれませんが、実は気づかないぐらい細かいところまで、こだわりが見られる映画となっています。
今回はそんな名探偵コナン 戦慄の楽譜』のいろんな見所や秘密を、ネタバレありで紹介していきます

名探偵コナン 戦慄の楽譜』(2008)のあらすじ

堂本音楽アカデミーの練習室で爆破事件が発生し、2名の死者と1人の重傷者を出す事態となった。事件現場からはフルートのパーツが発見される。

この事件の被害者が出演予定だった堂本音楽ホールのこけら落としのコンサートに、コナン達は園子の招待で訪れていた。そこの現場には関係者の事情聴取に来ていた目暮警部たちの姿もあった。被害者が最後にメールを送った相手こそ、有名なソプラノ歌手である秋庭怜子だったのだ。

そんな彼女が、実は帝丹小学校の卒業生であったことが判明し、コナン達は彼女にクラスの合唱の練習をみてもらう約束を取り付けるのだった。

ところが、練習の日に事件は起こってしまう。怜子の水筒の飲み物を飲んだ元太が突然苦しみ出してしまうのだった。命に別状はなかったものの、さらにコナンや怜子達は帰り道でダンプカーに乗った何者かに襲撃されてしまう。

そして、爆破事件に続き音楽アカデミーの1期生が次々と亡くなる事件が発生し、そこにはフルートの残りのパーツが残されているのが発見されるのだった……。

※以下、『名探偵コナン 戰慄の楽譜』のネタバレを含みます。

コナンの音楽能力と新一の弾き癖の秘密

劇場版シリーズでも今作が初でもある「音楽」というテーマ。実は言わずとしれたコナンの数少ない弱点の一つと言えます。というのも、頭脳明晰で運動神経も抜群の新一にとって、唯一と言っても良いほどの不得意なことが歌。映画の中でも、わざと間違った音程で歌っているのかと怜子に疑われるほどの歌唱力です。

とはいえ、コナンは実は絶対音感の持ち主であることもこの映画で明かされます。あくまでもコナンは、思ったような音程で声を発することができないだけ。怜子と同じく耳に入ってくる無数の音を、しっかり音階で認識できるようです。独特の音楽センスを持っているんですね。

実際に音感というのは人それぞれで、特定の楽器の音であれば音階がわかる人や、特定の音だけを聞き分けられるという人もいるのだそう。音感の察知能力にも個人差があるのですね。

そう言えば映画の最後に、蘭はコナンの弾いたバイオリンに対して、弾き癖を察知して新一の演奏だと見抜きます。結局その弾き癖がなんなのかは、作中ではコナンすらも分からずに終わってしまいました。蘭にとっては新一の演奏に対してのみ音感が働くということを表していたのかもしれませんね

声だけで電話をかける仕組みとは?

コナンの音痴ぶりが試されるシーンが、中盤の山場である怜子の異例のコンビプレーを発揮するシーン。船に置き去りにされたコナンと秋庭怜子が協力して、自身の声だけで助けの110番をかけるという『名探偵コナン 戦慄の楽譜』屈指の名シーンがありました。

このシーンは、その奇抜さからもバラエティ番組「探偵ナイトスクープ」で実際にできるのか検証がされるなど、多くの人の興味をひくシーンとなり、Youtubeなどでも様々な検証動画が投稿されるほどでした。

そもそも、声だけで電話をかけるというのはどういう仕組みなのでしょうか。

コナン達が実践したのはトーンダイヤル式と呼ばれる電話。この方式の電話では、各番号ごとに固有の周波数が割り当てられています。つまり電話番号とは、特定の連続した周波数を送る楽譜みたいなものだったわけです。コナン達はボタンを押して110番の周波数を奏でるのではなく、自力の声を使って110番の周波数を奏でることに成功したわけですね。

正確に決まった周波数の音を奏でられる玲子の力も見事ですが、正確に受話器をボールではじき飛ばしたり、そもそも110番に繋がる周波数を把握しているコナンの能力の高さにも驚かされましたよね。

唯一無二?聴いて楽しむコナン映画!

音楽をテーマにするだけあって、こだわりはそれだけではありません。名探偵コナン 戦慄の楽譜』ではプロの音楽家たちが制作に参加している映画となっています。

玲子役は声優の桑島法子が務めていますが、歌唱シーンは別で、プロのソプラノ歌手である赤池優が担当しています。映画でも重要な曲となるアメイジング・グレイスの歌唱シーンなどは、映画の展開的には緊張感のあるシーンではありますが、プロの歌手を起用した非常に贅沢なシーンとなっていました。

もちろん歌唱シーンだけでなく演奏シーンについても同様、堂本一揮が演奏するオルガンも、オルガニストである高橋博子によって演奏されたものが起用されており、演奏も日本大学カザルスホールにて録音されているそう。カザルスホールは2010年でホールの貸し出しを終了しているので、カザルスホールのオルガンの音を聞ける貴重な演奏でもあります。

しかもこだわりはそれだけではありません。演奏しているアニメーションも、しっかり演奏に合わせた正しい動きをしているというのだから驚き。もはやライブの完全なアニメーション再現といったところ。一度映画の展開を楽しんだ後は、改めて映像シーンを観直して……いや、聞き直してみるといいかもしれません。

コナンの劇場版ではZARD主題歌は本作が最後!

音楽がテーマの作品としても実は忘れてはいけないのが主題歌。今回の映画で主題歌を務めたのはTVアニメシリーズでも、楽曲の多くが起用されてきたZARDです。この「翼を広げて」は、元々はDEENに坂井泉水が提供していた曲。セルフカバーとしてリリースされた曲です。

この映画が公開される前年である2007年にボーカルの坂井泉水さんが亡くなられたこともあり、その直後の公開作となった今作がZARDにとって劇場版コナンの主題歌への起用が最後となりました。そういった経緯もあり、上映当時のパンフレットでは、“「名探偵コナン」とZARDがともに歩んだ軌跡”という特集ページが組まれることになりました。

コナンと音楽のつながりを見つめ直す劇場版という意味でも本編の物語とは別に感慨深い一本となっています。

多くの劇場版シリーズが公開されてきた名探偵コナンシリーズですが、音楽をテーマにしているだけあって、音へのこだわりや縁が深い映画となっています。そのほかの作品にない楽しみ方ができる映画として、この記事が観直すきっかけとなってくれたら何よりです。

(C)2008 名探偵コナン製作委員会

※2020年12月20日時点の情報です。

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