TOKYO MXの人気バラエティ番組「バラいろダンディ」で、玉袋筋太郎(以下:玉さん)&RHYMESTER 宇多丸(以下:宇多さん)の映画好きコンビが月に一度とっておきの映画を解説するコーナー「水曜バラいろショー」。
11月のテーマは「モテ男映画」。生粋のプレイボーイが活躍する映画から、え、なんでこの男!?というちょっとユニークなものまで「モテ男」が活躍する映画を紹介してくれました!
映画好きが評価する意外な「モテ男映画」No.1は!?
玉:今日のテーマはこちらでございます!「モテ男映画」。映画の中にはですね、信じられないくらい女性にモテる男性がいますから。
宇多:みなさんは「モテ男映画」といったらどんな作品を思い浮かべるのでしょうか。TSUTAYAさんがおすすめする日本最大級の映画レビューサイト「Filmarks(フィルマークス)」によるランキングTOP15、見てみましょうこちらです!
「モテ男映画」Filmarksランキング TOP15
1位:『劇場版 テレクラキャノンボール2013』(2014年/日本)《カンパニー 松尾》
2位:『ラッシュ/プライドと友情』(2013年/アメリカ)《クリス・ヘムスワース》
3位:『アイアンマン』(2008年/アメリカ)《ロバート・ダウニー・Jr》
4位:『日本一の色男』(1963年/日本)《植木 等》
5位:『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年/アメリカ)《レオナルド・ディカプリオ》
6位:『アルフィー』(1966年/イギリス)《マイケル・ケイン》
7位:『オープン・ユア・アイズ』(1997年/スペイン)《エドゥアルド・ノリエガ》
8位:『電撃フリント GO!GO作戦』(1966年/アメリカ)《ジェームズ・コバーン》
9位:『カサノバ』(1976年/イタリア)《ドナルド・サザーランド》
10位:『テッド』(2012年/アメリカ)《(声)セス・マクファーレン》
11位:『ドンファン』(1995/アメリカ)《ジョニー・デップ》
12位:『SHAME -シェイム-』(2011年/イギリス)《マイケル・ファスペンダー》
13位:『ジゴロ・イン・ニューヨーク』(2014年/アメリカ)《ジョン・タトゥーロ》
14位:『オースティン・パワーズ』(1997年アメリカ)《マイク・マイヤーズ》
15位:『007 ドクター・ノオ』(1962年/イギリス)《ショーン・コネリー》
宇多:やっぱりFilmarksは映画好きな人が多いのか、(ランキングが)おもしろいんですよ。笑ったのは『007』より『電撃フリント GO!GO作戦』が上にきてるの。
玉:ほんとだー(笑)
宇多:本家より、ジェームズ・コバーンのほうが上にきちゃってる。
玉:4位に『日本一の色男』、植木等さんが入ってるっていう。
宇多:『アルフィー』って60年代のイギリス映画が入ってたり、なかなか渋いんですよね。『バニラ・スカイ』じゃなくて、オリジナルの『オープン・ユア・アイズ』が入ってたりとかね。『テッド』はどういうことなのか分かりませんけど(笑)
玉:『テッド』は分からんな(笑)
宇多:こんなそうそうたるラインナップのうち、1位がすごいんですよ。
玉:驚いたんだ、俺も。
宇多:1位すごいよ、『劇場版 テレクラキャノンボール2013』! もともと、AVだったんですけど、劇場版で再編集したものが大変評判になって。カンパニー松尾さんの。めちゃめちゃおもしろいんですよ。
玉:驚いたよね、周りをおさえて1位だから。
宇多:ということで、私が本日おすすめする作品は、この名前がプレイボーイの別名になっているという、こんな作品でございます!
プレイボーイの別名になっている作品『カサノバ』
宇多:9位にランクインしております。1976年イタリア映画『カサノバ』。
宇多:18世紀半ばイタリア、ベネツィア生まれのカサノヴァ。作家だったり劇作家だったりいろんなことやった人なんですけど。カサノヴァっていうのは、要は色男の代名詞ですよね。あいつはカサノヴァだって言ったらもうヤリチンというかね。そのカサノヴァ役を、ドナルド・サザーランドが演じております。監督は『甘い生活』や『道』でお馴染みのフェデリコ・フェリーニ。
(『カサノバ』の映像を観ながら)
宇多:映像は、いろんなタイプの女性と遍歴を繰り広げているところでございます。
玉:「女薫の旅」だね、これ。
宇多:実際のところ、カサノヴァはいろんな女性と女性関係繰り広げすぎて、あちこちで出禁をくらって、流浪してたりするわけです。下男とどっちがセックスが強いか対決してみろってことになって。1時間で何回イケるかみたいなね。
玉:はー、3回だって。すごい!
宇多:晩年書いた「カサノバ回想録」という本で、非常にプレイボーイの歴史が有名になりました。当時としては非常に画期的な千人斬りをやったなんてことも。
玉:うーん。
宇多:でも、非常に知識人でございまして。劇作もしますし、外交官もやってましたし、司書をやったりとか非常に多彩な人ではあったんです。モテモテで、いろんな巨大な女と寝たりとかですね。
玉:あー。
宇多:これはね、乱交を小屋の中でしてるんですけど、ヤりすぎて小屋が動いてしまうという。フェリーニ監督らしいね。フェリーニ作品は、どの場面もお祭り感があるんですよ。最終的に彼が女性遍歴を経て、いきつく場所がこの機械人形。
玉:あらー。
宇多:ついに人形愛、とういうところにまで行き着いてしまう。
玉:いっちゃったねー。
宇多:現実の女性にいろいろ傷つき絶望してきた結果、人形にいってしまうというね。
玉:ラブドールだ。
宇多:すさまじい展開になっていくわけでございます。ということで、フェリーニの『カサノバ』。1976年の作品ですけど。とりあえず、こういうふうに見てくださいというポイントはここです!
宇多:「全然うらましくない」。
玉:どういうこと?
宇多:千人斬りだ、モテモテだなんて言ってますけど、全然この映画の中だと羨ましく描かれないんですよね。
玉:あー。
宇多:これ、どういうことかご覧ください。
(再び『カサノバ』の映像を観ながら)
宇多:最初にね、尼さんとね情事を重ねる。これね、実は魚の穴のところから、フランス大使の偉い人が覗いてるんです。自分の愛人を他の男と…いわゆる今でいう「NTR」、寝取られですね。
玉:あー。
宇多:こうやって寝かせて、それを見て楽しんでるという場面。この映画におけるセックスシーンは、非常に奇妙な描かれた方。黄金の鳥の人形が、彼の性欲が高まってセックスのパワーが高まってくると、「ピロリロリン、ピロリロリン」と鳴って。
玉:ゲージだ!
宇多:セックスをしてるという態(てい)の場面ですけど、とにかく奇妙な。要は滑稽なんですよ。セックスというものをとにかく滑稽に描いてる。セックスというところでしか取り柄を認められないカサノヴァという男の悲哀。
玉:うんうん。
宇多:フランスの大使に向かって、「私はセックスだけが取り柄じゃないです。いろんなことできるんです。政治に是非使ってください」っていうと、そこは無視されて。
玉:(笑)
宇多:「お前、竿師としてはいい仕事したな」みたいなことしか言われない。この場面が、ある意味彼の一生を暗示してるというかですね。
玉:うん。
宇多:最後、晩年は悲惨な晩年を迎えるんですけども。たとえば、『アマデウス』の終わりのほうみたいな。晩年はしょんぼりして過去の栄光にすがってて、周りの人から馬鹿にされてるような。物悲しいエンディングになったわけです。
玉:そうなんだ。
宇多:ということで、ヤリチンは別に羨ましくないというね。
玉:まぁ、そうだな。
宇多:皆さんも非常に勇気が出る作品(笑)ということで、『カサノバ』ぜひご覧ください!
モテ男は映画の中だけじゃない!芸能界のモテ男9
「WBCならぬWMC、『ワールド・モテ・クラシック』。確実に侍入りするベスト9を発表したいと思います。」と、玉さんが日本の芸能界のモテ男9を紹介。「えっ!本当に?」とスタジオが驚くエピソードの数々。
大谷選手に負けじと、モテ男版の二刀流もメンバー入り!? ということで、たくさんの笑いが巻き起こったモテ男9。そして、次回のテーマはこちら!
次回12月放送は「VS映画」特集
宇多:ということで、今年最後となる次回、12月のテーマはなんでしょうか。
玉:「VS映画」! 対決映画ですね。格闘技イベント「RIZIN」を超えるビックマッチを発表したいと思います。
玉・宇多:というわけで、水曜バラいろショーでしたー!
■オトナの夜のワイドショー!「バラいろダンディ」番組公式サイト
(月〜金曜日 21:00〜21:55放送)
水曜バラいろショー過去放送分 書き起こし
- 宇多丸おすすめのフィルム・ノワール新傑作『マジカル・ガール』
- 男性必見!悲哀なプレイボーを描いた名作『カサノバ』
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