映画ファンが「秋を満喫したい…」と思った時に観る!?「読書シーンが魅力的な映画」10選

映画の中にふと出てくるアイテムが名場面を演出することはよくあります。中でも「本」は、読書する俳優の姿が単純に絵になるというのもありますが、他にもそれによって人と人の出会いが演出されたり、作品に込められた監督など製作者の意図が明らかになったりと重要な役割を果たす場合があります。そこで本記事では、「読書シーンが魅力的な映画」をまとめて10本紹介します。紹介する作品以外にも普段観る作品に「本」が登場するか目を凝らして鑑賞してみるのはどうでしょうか。

『パターソン』（2016）

『ナイト・オン・ザ・プラネット』のジム・ジャームッシュ脚本・監督作。アダム・ドライバー、カーラ・ヘイワード、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏出演。ただ読むだけではない、（詩を）詠む世界の奥深さが堪能できる。

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と思いがけない出会いと共に描くユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

『ネバーエンディング・ストーリー』（1984）

『トロイ』のウォルフガング・ペーターゼン脚本・監督作。原作はミヒャエル・エンデによる「はてしない物語」。ノア・ハサウェイ、バレット・オリヴァー、タミー・ストロナッハ、モーゼス・ガン、パトリシア・ヘイズ出演。非日常を提供してくれる本の魅力が詰まった1作。

イジメっ子から逃れた少年が学校の天井裏で「ネバーエンディング・ストーリー」という不思議な本を通して、幻想的な世界“ファンタージェン”を見いだす物語。本は若き戦士アトレーユが“ファルコン”という名の幸運を呼ぶ竜の助けで、ファンタージェンを“無”による崩壊から救う物語だった……。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』（2019）

『ヘイトフル・エイト』のクエンティン・タランティーノ脚本・監督作。レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ、マーガレット･クアリー出演。レオナルド・ディカプリオと天才子役のジュリア・バターズが読書をしながら語らうシーンが印象的。

『ふたりのベロニカ』（1991）

『トリコロール／青の愛』のクシシュトフ・キエシロフスキ脚本・監督作。イレーヌ・ジャコブ、フィリップ・ヴォルテール、サンドリーヌ・デュマ、ルイ・デュクルー出演。難解な設定とアンニュイな雰囲気は未だに新鮮。

同じ名前や顔を持つ2人の「ベロニカ」。彼女らは別々の国に住んでいて別々の生活を送っていたが、ある出来事をきっかけに接近する……。

『君の名前で僕を呼んで』（2017）

『サスペリア』のルカ・グァダニーノ監督作。ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、エステール・ガレル出演。本や音楽が散りばめられている2人の日常にただただ憧れる。

1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。眩しすぎる太陽の中で、激しく恋に落ちるふたり、しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてくる……。

『ジェイン・オースティンの読書会』（2007）

『シークレット・ルーム／アイ’ム ホーム　覗く男』のロビン・スウィコード脚本・監督作。キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー出演。昨今人気の読書会とはどんなものかを知るための入門にオススメ。

年齢や境遇も異なる6人が、毎月ジェイン・オースティン作品を語り合う読書会して各々の人生と向き合う物語。

『マイ・ブックショップ』（2017）

『死ぬまでにしたい10のこと』のイザベル・コイシェ脚本・監督作。エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン、ハンター・トレメイン、オナー・ニーフシー出演。たくさんの読書シーンが出てくる書物愛に満ちた作品。

舞台は1959年のイギリス。ある海岸地方の町。戦争で夫を亡くした女性フローレンスが、書店が1軒もなかった町で、夫との夢だった書店を開業しようとする。女性の開業がまだ一般的ではなかった保守的な地方の町で、フローレンスの行動は住民たちに冷淡に迎えられる。ある日、彼女は40年以上も邸宅に引きこもり、ただ本を読むだけの毎日を過ごしていた老紳士と出会う。フローレンスは、読書の情熱を共有するその老紳士に支えられ、書店を軌道に乗せるのだが、彼女をよく思わない地元の有力者夫人は書店をつぶそうと画策する……。

『街の上で』（2019）

『愛がなんだ』の今泉力哉監督作。若葉竜也、穂志もえか（保紫萌香）、古川琴音、萩原みのり、中田青渚出演。「本を読む姿」で日常から非日常へと移り変わる展開がリアル。

下北沢の古着屋で働いている荒川青。青は基本的にひとりで行動している。たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったり。口数が多くもなく、少なくもなく。ただ生活圏は異常に狭いし、行動範囲も下北沢を出ない。事足りてしまうから。そんな青の日常生活に、ふと訪れる「自主映画への出演依頼」という非日常。またいざ出演することにするまでの流れと、出てみたものの、それで何か変わったのかわからない数日間、またその過程で青が出会う女性たちを描いた物語。

『シングルマン』（2009）

ファッションデザイナーのトム・フォード初監督作。コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、マシュー・グード、ニコラス・ホルト、ジョン・コルタジャレナ出演。恋人と同じソファで読書するシーンが非常に魅力的に回想されている。

1962年のロサンゼルス。パートナーのジムを亡くした悲しみが癒えず、ジョージは自殺を決意。その最期の日に予想外の出来事が起き……。

『家庭』（1970）

『映画に愛をこめて アメリカの夜』のフランソワ・トリュフォー監督作。ジャン=ピエール・レオ、クロード・ジャド、松本弘子、クレール・デュアメル、ダニエル・チェカルディ出演。ヌーヴェルヴァーグの監督らしい引用の連続と読書する夫婦の姿が印象に残る。

平穏な暮らしを送っていた夫婦だが、ある日日本人女性との出会いを境に2人に変化が訪れる……。

※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks（フィルマークス）」のデータに基づいてセレクトしたものです。

※2021年10月3日時点の情報です。