【ネタバレ】『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』結末はどうなる?アニメシリーズとの違いは?徹底解説!

アニメの風通しがもっと良くなりますように

ネジムラ89

2021年4月に放送を開始し、徐々にその異質さが話題となったTVアニメ『オッドタクシー』

さまざまな動物の姿をした登場人物たちの思惑が入り組む本格的な社会派ミステリーで、放送後もSNSを中心に考察が飛び交い、話題を呼びました。

6月の放送終了後からわずか一年を待たずに公開された『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』では、TVアニメシリーズで描かれた内容をまた違った視点で描き、アニメシリーズの結末のさらにその先に踏み込みます。

はたして、『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』では何を明らかにしてくれたのか。本編をすでに観た人向けに、ネタバレ有りで解説していきます。

※以下、アニメ『オッドタクシー』と『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』のネタバレを含みます。

映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』(2022)あらすじ

偏屈で無口な変わり者<小戸川>。個人タクシーの運転手として街を流しながら、なるべく他人と関わらないように、平凡な日々を過ごしていた。ところが、ある日思い掛けず『練馬区女子高生失踪事件』に巻き込まれてしまう。事件には、億を超える巨額の金、目的不明の半グレ集団、売り出し中のアイドル、カリスマ化されていく大学生など、様々な事物が絡み、混沌としていく。

それでも、ある計画の実行をきっかけに、事態は一気に収束。一連の出来事は、多くの悲しみや不条理をはらみながら、いったんの結末を見た。――かに思われた。関わっていた人々は、口々に証言する。“あの時一体何が起きていた”のかを。それらを繋ぎ合わせることで浮かび上がってくる、事件の新たな輪郭。一人のタクシードライバーの “人生を一変させるような出来事”がカタチを変え、運命の歯車は再び揺さぶられていく。

意外な登場人物たちの活躍

TVアニメシリーズと映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズの大きな違いの一つが、前半を主要キャラクターがインタビュー形式で語っていく作りになっていることです。

タイトルの“イン・ザ・ウッズ”は、芥川龍之介の「藪の中」の英題となったタイトルです。「藪の中」と言えば、山中で発見されたある男の死体を巡って、七人の証言から事件の全容を浮き彫りにするという作品でした。本作はまさに、『オッドタクシー』版の「藪の中」とでも言えましょうか。

そして、意外だったのがその証言を聞く役割を担うキャラクターでした。これまで独自に事件を調査していたキャラクターが登場していなかったので、TVアニメシリーズを追っていた人も一体誰が取材を行なっているのかは分かりません。クライマックスの直前に、その正体がキャバクラで働いていたウサギの玲奈とネコの花音、そしてかつて田中と同級生だった消しゴムコレクターのモグラの佐藤の三人だったことが明らかになります。佐藤については、玲奈と花音の調査に協力する過程で加入したようです。

TVアニメでは目立った活躍をしていなかった玲奈と花音でしたが、実は独自に事件の調査を行なっていることがこの映画で初めて明らかになりました。なぜ事件の調査をしようとしていたのかは具体的には明かされませんが、行方不明となるスカンクの今井がキャバクラのバイト仲間であったり、玲奈はカバの樺沢の信者であること、さらにはカンガルーのタエ子に調査の資料を提出しようとしている素ぶりがあったことなどの手がかりから、彼女達がなぜ取材を行おうとしていたのかは想像していくことができそうです。

タエ子と幸せのボールペンの秘密

玲奈や花音との繋がりで特に注目したいのが、カンガルーのタエ子です。タエ子は、実は『オッドタクシー』において隠れた重要なキャラクターの一人です。TVアニメシリーズでは、小戸川たちが足を運ぶ居酒屋のママというだけの立ち位置だったわけですが、その活躍はTVアニメの放送と並行して発表されていた、YouTubeのオーディオドラマで明らかになります。

このオーディオドラマでは、キリンの長嶋がとあるボールペンに仕込まれた盗聴器を傍受することに成功し、その盗聴器で獲得した音声内容を公に配信するという体裁のシリーズとなっていました。このボールペンというのが、TVアニメや映画でも作中の隅に度々登場していた、ハートのついた派手なボールペンです。このオーディオドラマでの盗聴内容は、一見小戸川の独り言やどうでも良いことが収録されているようで、ミステリーキッスの面々の元などにも回っていき、その内容を追っていくことで、実は女子高生失踪事件のヒントとなる仕掛けが用意されていました。

そして、このボールペンに盗聴器を仕掛けた張本人と推測されるのが、実はタエ子なのです。事件物のノンフィクション作品を書きたいと語っていたタエ子ですが、実はこのボールペンが初めて登場するのがタエ子の店であり、事件に対する興味から小戸川の周囲にボールペンが渡るように仕向けたことが想像できます。

そして、このオーディオドラマの最終回では、長嶋の配信に気づいた黒ネコの和多垣がボールペンを回収するためにタエ子の店を訪れて、タエ子を襲撃するというところで終わりました。小戸川を襲おうとやって来た和多垣の手にボールペンが握られているのは、今まさにタエ子を襲って、証拠となり得るボールペンを回収し終えた後であることを示唆したものだったのです。

小戸川vs和田垣の行方

TVアニメシリーズの最終回は、まさにそんな小戸川と和多垣が邂逅するシーンで終わっていました。しかし今回の映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズでは、さらにその先が描かれます。

黒ネコの姿の和多垣を思い出した小戸川はすでに、女子高生失踪事件の犯人として和多垣のことを怪しんでいたのですが、人間の姿が動物に見えなくなった小戸川には、和多垣に気づくことができませんでした。和多垣の正体に気づかないまま、包丁を持った和多垣に小戸川は背後から襲われます。そして、その顛末はエンドロールで明らかになります。

襲われた小戸川は存命であり、和多垣が女子高生失踪事件の容疑者として捕まっていることがニュースの映像で示唆されます。タクシーの中で襲われた小戸川が、どうやって逃れたのかは作中では具体的に描かれませんでしたが、友人が救出に入ったことにより、一命を取り留めたことがニュースの内容から推測できます。

アニメ『オッドタクシー』では閉鎖的だった小戸川が、周囲の人間との関わりを経て自身の世界を広げていく物語だったわけですが、この顛末もある意味で、小戸川独りではどうにかできなかった事態を、周りの人間によって救われるという結末だったわけです。この結末にもTVアニメシリーズと一貫したメッセージが込められていることが分かります。

ちなみに、映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズのエンドロールでは、タエ子の入院した姿とお店の営業を再開を果たす姿が描かれ、オーディオドラマを聞いてタエ子の安否を心配していた人にとっては、ほっと胸をなでおろす瞬間となりました。

映画で割愛された要素とは?

玲奈やタエ子が事件の裏で独自に動いていたことが、映画とオーディオドラマで明らかになったわけですが、逆に彼女達がカバーできなかった証言も数多く存在します。例えば、ピューマの田中のドードーに対する思い入れや、クライマックスの事件直前にヤノと関口に拉致されていたスカンクの今井らの証言です。このように、映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズでは時系列の都合上、いくつかTVアニメシリーズで描かれた内容から割愛されている要素が多く存在します。

中でも、映画で玲奈たちがたどり着けなかったのが謎のひとつが、マレーバクの黒田のことでした。小戸川やシロテナガザルの柿花が通うサウナの常連客だったのですが、その正体はドブやヤノのボスであり、そして幼い小戸川を援助した人物でした。TVアニメシリーズでは、物語の最後に小戸川がその事実を知るという、もう一つのドラマも描かれていました。

ドブが読み誤った一発の銃弾の真相

一方で、映画の中だけで推測できる謎もあります。それは、田中に銃口を向けられたドブが残弾の数を読み誤ったのか、です。作中ではっきりとは明言されていないのですが、ストーリーの内容からその答えを推測できます。

ドブは田中がキャバクラで二発、小戸川の家に一発、カーチェイスで二発、港で一発の計6発の銃弾を撃ったと推測していました。しかし、実はこの中に田中が撃っていないと思われる銃弾があります。それは柿花を救出に向かった際に、港でドブが撃たれた一発です。

ドブはこれを田中が撃ったものと推測していましたが、実はその銃を撃ったシーンをよく見ると、その時に銃を持っていたのはグレーの毛色をした田中の手ではなく、白い毛色の人物が撃ったことがわかります。

作中で誰が撃ったのかははっきりと明言されませんが、あの場所で何かが起きていることを知っているのは、ミーアキャットの大門弟に限られます。それを示唆するように、映画では大門弟の証言の後にドブが撃たれてしまう描写が挟まれます。

大門弟がどういった心情であの港に向かったのかは想像することしかできませんが、後の言動を推測すると、彼なりの正義と勇気を振り絞って足を運んだことが想像できます。そんな思いで放った一発が、ドブの計画の詰みの一手になったと思うと、そこにまた一つのドラマが見えてきます。

想像を巡らせられるヤノとドブの関係とは?

こうして映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズの謎の数々を追っていくと、作中ではもちろんのこと、TVアニメシリーズやオーディオドラマといった周辺作品を掘り下げていくことで、細かな真相が明らかになっていくのが、このシリーズの特徴であります。

実はもう一つ、作品と別の部分でキャラクターの背景が描かれるものがあります。それが、2021年7月にヤノ役を演じたラッパーのMETEOR氏がリリースした『2019』という音源。ヤノ名義でTVアニメ主題歌を担当していたPUNPEE氏をフィーチャリングに迎えた『My Name Is』という曲が収録されていたりと、ヤノにインスパイアされた音源となっています。

実はこのEPには、「ドブの兄貴」というドブ役の浜田賢二さんを迎えたオーディオドラマを思わせる音源も収録されています。作中では一切直接対面することのなかったヤノとドブでしたが、この音源を聞くと、かつてはヤノがドブを慕っていたことを思わせるような会話が収められおり、TVアニメで描かれた犬猿の仲の背後にも、また一つドラマが隠されているように思わせられます

この音源はあくまでもインスパイアされた音源であり、作中の物語と地続きとは言えないのですが、作品外の要素に思いを巡らせることで印象がガラッと変わるのも、『オッドタクシー』の醍醐味です。

映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズの公開がTVアニメシリーズでは語れてこなかった新たな答えを教えてくれたわけですが、また他の謎をもたらしたとも言えます。ここで紹介した手がかりなども元に考察を巡らせてみたりと、映画を楽しんでいただければと思います。

♦︎『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』information

公開日:2022年4月1日(金)
配給:アスミック・エース
公式サイト:https://oddtaxi.jp/movie/
(C)P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ

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  • つちしげ
    4.5
    続編実写だったらアツイかも
  • たかな
    3.4
    オッドタクシーの続きがみれる!と聞き楽しみで行ったら、 3分の2は探偵たちが依頼者のために証言集めをしているというストーリーで進んでいて、その内容はほとんどアニメ版のおさらいだった〜でもまたみてもちゃんと面白かった みたかった部分はほんの少しだけで終わってしまったように感じて、楽しみにしてたから、もっと詳しく教えてください!!!!!!!!ってなった〜〜 エンドロールでの後日譚はよかった◎ けどこの子花見にいるの気まずくないの?ってガン見しちゃった笑 エンドロール後のシーンみて、動物に見えるのは主人公の誤認?だけど、そういうアニメーションに見えてるのも主人公又はみてる私たち側の誤認なのかな?って思ったりした 探偵たちの背景は特に明かされないんですね〜真実を知れる日は来るんだろうか
  • モンチッチ
    3.6
    アニメもっかい見直してからいけばよかった〜
  • りぃさ
    -
    果たして真実はみつかるのか… 前半からインタビュー(証言集め)とアニメの回想シーンが長いこと流れる。 一度見たストーリーを再度追うことに関して、退屈さを感じ…ることもない。なぜって、伏線まみれの物語やから。このシーンは、ここに繋がってたんや…とか、結局のところ再度見ても新しい発見とか考察とかが生まれてくる。 めっちゃ細かいところにまで伏線を探し始めてしまう。面白いのは言うまでもなく、宝探し的な楽しさがある。ストーリー追いつつも、常に背景に目を凝らしてる的な。 結論は描いてるけど、1番大事な途中の箇所が抜けてるスタイル。それがいい。 本当のことなんて、本人にしか分からないし、本人ですら分からないのかも。 やっぱ、真実は藪の中なのか… 〜ややネタバレ〜 終盤の畳み掛け方がすごい。 まさかのエンドロール流してる横で、物語の続きを描くのは卑怯じゃない?笑 小戸川助けたのって、やっぱり白川さん? スカートとPUNPEEのODDTAXIを映画館で聞けたの幸せ。
  • 2.8
    新規要素が思ったより少なかったかな。
映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ
のレビュー(4178件)