【仕事や人生に行きづまったときに】頑固な仕立て屋の女性が踏み出した小さな一歩に隠された、悩みを乗り越えるヒント

映画は気持ちよく生きるためのヒント

hikari

仕事が終わり、疲れて家に帰ってほっと一息ついたときや、休日ひとりでぼんやりしているときなど、ふとした瞬間に「今の働き方、生き方でいいのかな?」と疑問に感じることってありませんか?

そういう気づきがあると、つい焦ったり不安になったりする人も少なくないと思います。そんなとき、ぜひ観てほしい映画が『繕い裁つ人』です。

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今まで良しとしてきたはずなのに…生き方に迷う女性を描いた物語

この映画は、池辺葵さんのマンガ「繕い裁つ人」を原作として作られた作品です。

主人公の南市江(中谷美紀)は先代である祖母がはじめた南洋裁店を守るため、先代がオーダーメイドで作った服の仕立て直しやサイズ直し、先代のデザインをもとにした一点ものの新作を作ることが生きがいでした。

しかし、市江の服に惚れ込んだデパートの社員・藤井(三浦貴大)が彼女にブランド化の話を持ちかけたことで、口では頑なに拒否するものの、心の奥底に封印していた「自分がデザインした服を作りたい」という気持ちに気づいてしまい……。

多少マンガと異なる点もありますが、今まで良しとしてきたはずの働き方、生き方に迷いが生まれ、悩み、自分なりの答えを見つけていく大人の女性の姿を丁寧に描いた作品です。

“頑固じじい”な女性のちょっとした前進に勇気がもらえる

映画で「頑固じじい」と表現される通り、市江は自分の信念に沿ったことや好きなことにしか心は動かず、それ以外は凛とした態度で突き放します。しかも自分がやらなければならないことは、先代が残したものを維持することだと決めている。

そこまで頑なな態度をとっているのに、自分のオリジナルの洋服を作りたいのでは?と藤井に迫られると密かにぐらぐらと揺れてしまうのです。

藤井から勧められた「ブランドのはじめかた」という本をこっそり読もうと思ったり、描きためたデザイン画を眺めてしまったり……。

頑固なはずだったのに、そうやって揺れに揺れて悩み抜いて出した市江の答えとは?

それは傍から見れば、あっと驚くようなものではありません。ほんの少し前進しただけ。でも市江のキャラクターからするとそれは大きな一歩。そんな彼女の行動を見て、勇気をもらえる人はきっと多いはずです。

悩んだときは、ケーキを“ホール食い”したっていい

心に引っかかる思いがあるとき、市江はチーズケーキをホールで食べるために喫茶店へ駆け込みます。そのときの至福な表情といったら、もう……。

このチーズケーキのことは、Eテレで放送中のスイーツのレシピとそのスイーツに隠された物語を紹介する「グレーテルのかまど」でも取り上げられていました。監督の三島有紀子さんのエピソードも語られ、彼女もチーズケーキに癒やされていたのだとか。

悩んで、その先の道が切り開けなくなりそうになったら、一旦気がかりなことは脇において自分が喜ぶようなことをする。遠回りのように見えて案外問題を解決する近道なのかもしれません。

クラシカルな世界観がしゃんとした気持ちにさせてくれる

映画は、南洋裁店として登場する洋館や市江が資料を探す趣深い図書館、先代から受け継いだとわかる年季の入った市江の作業スペースなど、女性らしさも感じられるけどクラシカルな雰囲気漂う世界観を確立しています。

市江がまとう洋服も彼女のキリッとしたキャラクターに合うもので、どこかフェミニンだけど、これもまたクラシックな印象を受けるもの。

これらの、女性のやわらかさを残しつつも、ところどころ引き締まったムードが流れているところが、観ている人の悩みや揺れ動く気持ちを鎮めてくれる気がします。だからこそ、働き方や生き方に迷ったり、どうしていいかわらかなくなったりしたときに観てほしい映画です。

きっと、市江の生き方に迷いから抜け出すヒントがもらえ、作品の空気感から、自分が決めたことに自信が持てるような、しゃんとした気持ちになれる物語だと思います。

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※2022年6月21日時点のVOD配信情報です。

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  • YasuhiroAsano
    3.8
    趣きや情緒、奥ゆかしさ、風情 それらが映画全体の空気の隅々まで行き届いていて、ずっと目が離せなかった。 アパレル業界の友人から 「今の若い人達はワンシーズンで飽きてみんなメルカリとかしちゃうから〜」 みたいな事を聞いた時、なんて薄情な価値観なのだと嘆かわしく思う半面、毎シーズン新しいトレンドを生み出し消費を促すのもファッションビジネスの重要な要素である訳で… 僕はもう若くないので、大事に、大切に、心から愛でられる物だけに囲まれて生きて行きたい。 個人的に大好きな神戸の雑貨屋さんのNAIFSが出ててめちゃくちゃ嬉しかった!
  • しゃるーる
    4.5
    大切にするということは、大切にされるということだ。 大切にされているものたち、大切にされてきたものたちの息遣いが聴こえてくるかのようだった。 その息遣いがあまりに伝わって、心が震えてくるから、自分が恥ずかしくなる。 僕は、生活を共にするものたちを大切にできているだろうか。物言わぬものたちの、その物言わなさに甘えて、無下にしていないか。 そんな疑問が出てくる時点で、できてはいないのだろう。 大切にする人も、大切にされるものも、澄んだ美しさを湛えていた。とてもきもちがよさそうで、そこには純粋な悦びがあった。 その光景に、素直に“大切にしたい”と想った。 きっと、大切にされてきたものたちは、私を大切にしてくれるから。
  • よむみる
    2.9
    物を大切にする心は大切と思うけど ジトーっとしすぎw ケーキはぜひホールで食べてみたいですw
  • conta
    3.3
    縫製、洋裁、布を裁断して縫い合わせる呼び名はいくつもあるけど一生に一着の洋服を作るのはやっぱり「仕立て屋」なんだろうな。
  • しめこ
    3.5
    この大量消費時代に是非ともみんな見て欲しい映画でした。ここまで大切にできる人生の一着みたいなお洋服はもちろんお値がはるだろうけど、服ってこう言う存在であるべきだと思い出させてくれる。黒木華ちゃんのウェディングドレス本当に可愛かった。いい襟や。安く早く多くに惑わされる時代早くやめたい。笑 夜会行きたい。
繕い裁つ人
のレビュー(6334件)