週刊少年ジャンプにて、和月伸宏氏によって描かれた漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」を原作に、2011年に実写映画化を果たした映画『るろうに剣心』シリーズ。豪華キャストと派手なアクションが話題となりましたが、2020年にはその第4弾となる『るろうに剣心 最終章 The Final』と第5弾『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が公開されました。
中でも第4弾の『るろうに剣心 最終章 The Final』では、原作のクライマックスを担う“人誅編”の縁との戦いが描かれました。本記事では同作を一度観た人も楽しめるネタバレありの解説をします。
『るろうに剣心 最終章 The Final』(2020)あらすじ
かつて“人斬り抜刀斎”として恐れられ、激動の幕末を刀一本で戦い抜いた男、緋村剣心(佐藤健)。
新時代を迎え、二度と人を殺さないことを誓い、その刀を斬れない逆刃刀に持ち替え、仲間たちとともに、日本転覆を狙う志々雄真実をはじめとした数々の敵との戦いを乗り越えてきた。そんな中、東京が何者かに攻撃され、剣心の身近な人々が襲われる事態に見舞われる。
その騒動の陰に居たのは、かつて志々雄に武器や軍艦を送り込んでいた上海マフィアの頭目であり、剣心に憎しみを抱く雪代縁(新田真剣佑)だった。剣心に復讐を抱く縁は、剣心の作った新時代を破壊するべく剣心に“人誅”を仕掛ける……。
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『るろうに剣心 最終章 The Final』どんな映画?時系列は?
漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」において、『るろうに剣心 最終章 The Final』で描かれる“人誅編”は、ある意味待望とも言える映像化でした。というのも、1996年に放送されたTVアニメシリーズでは描かれておらず、1999年以降に製作されたOVA(オリジナルビデオアニメーション)シリーズでも部分的に映像化されるまででした。その背景を踏まえると、剣心と縁の戦いが本格的に映像化を果たすのは、『るろうに剣心 最終章 The Final』が初めてです。
タイトルに“The Final”とあるため、本作が最終作と勘違いする人も居るかもしれませんが、公開順としては、本作が『るろうに剣心 最終章 The Beginning』よりも先行して公開されています。ただし、時系列としては本作が最後。
本作では、作中でも重要な出来事として登場する、剣心の過去の出来事に焦点をあてた前日譚となっているので、映画を観て剣心の過去になにがあったのか詳しく知りたい人は『るろうに剣心 最終章 The Beginning』を併せて観るのがオススメです。
雪代縁とは何者なのか?
『るろうに剣心 最終章 The Final』で初登場となり、今作の宿敵として登場する雪代縁。彼はどういったキャラクターだったのでしょう。
中国大陸の裏社会を牛耳る武器商人であり、かつて志々雄真実に甲鉄艦を売ったのも彼でした。そんな縁の姉は、剣心の元妻である雪代巴であり、縁の目の前で剣心によって斬り殺されてしまったことから、剣心に強い復讐心を抱くようになります。
長らく中国で活動していたことから、縁が持っている刀は大陸製の日本刀である倭刀であり、その斬撃と体術を組み合わせた倭刀術を得意としています。
縁の持っている刀の鍔(つば)の部分をよく見ると、形状が剣心達の刀とは違った意匠になっているのが分かります。
原作漫画とはどう違いがあるのか?
『るろうに剣心 最終章 The Final』では、漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」の第18巻〜第28巻にかけて描かれた内容をもとに映像化をしています。原作においても長編ということもあり、縁が剣心への復讐の計画を実行することや神谷薫(武井咲)がさらわれてしまうといった大筋は同様ですが、映画の尺に合わせて幅なアレンジが施されています。
例えば、剣心の仲間である相良左之助や斎藤一、明神弥彦といった面々にも強敵との戦いが描かれています。また、原作では縁が神谷薫を殺したことを偽装するという展開が用意されており、剣心は薫が殺されてしまったと思い込み、長らく落ち込み伏せるという展開がありました。
その後、実は薫の遺体は精密に作られた人形であったことが判明し、剣心達は縁によって連れ去られた薫を救い出すべく、縁との最終決戦に挑むという内容でした。
それだけ聞くと割愛された部分が多く感じられますが、クライマックスで薫に危機が迫ったところを縁が命を張って庇う展開などは原作同様の演出となっており、要所の展開はしっかり原作をふまえたものとなっています。
実はあの展開は映画独自のサプライズ!
一方で『るろうに剣心 最終章 The Final』独自のファンサービスも用意されています。
例えばヒット作となった『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』の宿敵として登場した志々雄真実と思わしき人物が登場。前作で死んだはずの人物がなぜ? と思わせて、彼は偽者であったという展開が用意されています。
また、さらにそのあと、同じく『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』で志々雄真実の配下として登場した瀬田宗次郎(神木隆之介)が再登場。こちらは偽者ではなく、正真正銘の本物で、剣心に助太刀する形で一時的にともに戦うという、原作にはないサプライズとなりました。予告編などでも宗次郎の登場は伏せられていたので、当時映画館で彼の再登場に驚いた人も多かったのではないでしょうか。
宗次郎は原作漫画の人誅編では登場しなかったものの、後に月刊誌ジャンプスクエアにて連載をスタートした、漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-」で再登場しており、こちらでも剣心と手を組む展開が用意されていました。
これら原作漫画の新シリーズの他にも、本作と地続きとなる『るろうに剣心 最終章 The Beginning』や、2023年には新たなTVアニメシリーズの放送も発表されていたりと、本作以外にも「るろうに剣心」シリーズは広がりを見せています。
タイトルにこそ“The Final”とありますが、本作をきっかけに新たな“るろうに剣心ワールド”に踏み込んでみるのも良いでしょう。
(C)和月伸宏/ 集英社 (C)2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final」製作委員会
※2022年10月14日時点の情報です。