【Filmarksの人に聞いてみた Vol.8】人怖系から“絶対騙される”大どんでん返し系まで…!「サスペンス映画」のオススメをきいてみた。

Filmarksを運営する社員に、映画やドラマ、アニメに関する「偏愛」やオススメを聞いてみる企画。第8回目は、Filmarksの広告ディレクターをしている島田さんに、サスペンス映画について語ってもらいました!

今回のFilmarksの人

Filmarks ディレクターの島田さん。

サスペンス映画が好きで、自らパニックになる(なりたい)ために全力で身を委ねては騙される、明るい女性。疲れた時はロードムービーで癒されている。一番好きな俳優は、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。

「サスペンス」の定義って?

編集:「サスペンス映画」って、パッと思いつくものはいくつかあるのですが、結構ジャンル分けが難しくないですか? 特にミステリーとよく混同しちゃって…改めて定義のおさらいをしたいです。

島田:そうだね。サスペンスとミステリーは私もよく混同する! 以前、渡辺さん(Filmarksの人に聞いてみたvol.2 出演)に教えて貰ったんだけど、心理的な不安や緊張感をメインで描くのがサスペンス謎解きがメインに描かれるのがミステリー とのことでした。

作品の要素として、どちらに比重が置かれているのかを見極めることがポイントで、例えば『カイジ 人生逆転ゲーム』は緊張感を煽るデスゲームが見どころだからサスペンス、『名探偵コナン』は“謎解き”が見どころだからミステリー、って感じかな。

編集:なるほど……! サスペンスは緊張感を楽しんで、ミステリーは推理を楽しむ作品ってことですね。どちらの要素も内包している作品でも、見どころをよく考えればいいのか。スッキリしました(笑)。それでは、改めて島田さんオススメのサスペンス映画を聞いていきたいと思います。

人間が一番怖い…“人怖”系サスペンス映画

狂気のスウィート・ホーム『ヴィジット』(2015)

島田:1本目にオススメしたいのは、『ヴィジット』です。いわゆる人怖系のサスペンススリラーなのですが、会ったことのない祖父母を訪ねて母方の実家に2人きりでやってきた孫の姉弟が、そこで楽しく過ごすために“3つのルール”を約束させられるんですね。

そのうちの一つをなんの気なしに破ったとき、何かがおかしい事に気づき……。っていうのがザックリとしたイントロなのですが、最初の方は割と明るく楽しげなので油断すると思うんですけど、ジワジワと薄気味悪さが増していく感じがスリリングで面白くて。あと、こういう作品を観る時って“なんでそんなことを?”って気持ちが付き纏うと思うんですが、『ヴィジット』は何故か段々と笑えてくるので、意外と身構えなくても大丈夫かも(笑)。

編集:なるほど〜。ツッコみながら観れる感じの怖い系は割と好きなので、挑戦したいです。

島田:〜しちゃいけないってルールが生む緊張感と、POV方式の少し雑なアングルが挟まれることで「あ、今から絶対何か怖いやつくる」っていうドキドキがたまらないです(笑)。ストーリー的にもちゃんと謎を拾ってくれる作品なので、初心者にもオススメできますね。

編集:POV方式ってことは、作品自体はモキュメンタリーみたいな作りなんですか? 一人称視点の映像って入り込みやすい分「くるぞ!」って構えちゃいますよね。

島田:そうそう。お姉ちゃんの方が趣味でドキュメンタリーを撮っているので、いろんな所で手持ちのビデオカメラを回してるんですよ。映像の粗さとか画面の揺れが、綺麗に映っているより何倍も怖く感じますよね。明らかにおかしくなっていく状況と、少しづつ謎が分かっていく感じが臨場感あって面白いので、是非!

世界の映画祭を席巻!映画史に残る名作『ノーカントリー』(2008)

島田:コーエン兄弟の代表作としても有名な映画ですが、なんといっても殺し屋のアントン・シガー(ハビエル・バルデム)を観て欲しくて選びました……! 『ヴィジット』のように明確なオチがあるわけでもなく、全体的に謎が多く観客に解釈を委ねる系の映画なので、人によっては「よくわからない」で終わっちゃうかもしれないけど、“シガー”にハマれば、絶対面白くなります。

あらすじとしては、荒野で狩をしていたベトナム帰還兵のモスは、偶然ギャングたちの死体と麻薬絡みの大金200万ドルを発見。 その金を奪ったモスは逃走するが、ギャングに雇われた殺し屋シガーは、邪魔者を次々と殺しながら執拗に彼の行方を追う。事件の発覚後、保安官のベルは二人の行方を探るが、彼らの運命は予測もしない衝撃の結末を迎え……。といった感じに、一見シンプルなんですが、細部の作り込みが凄いので考察が捗ります。全体的な雰囲気としては暗いのですが、不条理な出来事の連続の中に、少しだけロマンを感じる渋さがとにかくカッコいい。

編集:第80回アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の4冠、その他多くの映画賞を席巻した名作なわけですが、島田さんはとにかくシガーを見てほしいと(笑)。なんだろう、全体的にアメリカンニューシネマっぽい苦しさを感じるサスペンスですよね。『No Country for Old Men』っていう原題もアイロニックで素敵。

島田:そうなんですよ……。どうしてもこの作品の話をすると、シガーの髪型に触れたくてしょうがない(笑)。異常な似合わなさが怖さを増強させてると思うんですよ。シガー自体はサイコな殺し屋で、身体能力が高いわけでもなく、銃の腕前がピカイチというわけでもない。ただただ、そこに躊躇いがないという強さ一つで生きていることが本当に恐ろしいです。一方で、コイントスで運命を選ばせたり気まぐれな一面もあったりして。まさに“悪の権化”として描かれています。

冒頭に主人公の自分語りがあるのですが、「(中略)最近の犯罪は理解できない。恐ろしいわけじゃない。この仕事をするには死ぬ覚悟が必要だ。だが、魂を危険にさらすべき時は“OK”と言わねばならない。“この世界の一部になろう”と。」の一文に、この映画の全てが詰まっていると思います。自分の理解を超える何かに出会った時には、運命を受け入れるしかないのだといったメッセージですよね。ここでタイトルがグッと響いてくる。是非観てください!

大どんでん返し!“絶対騙される”サスペンス映画

何度でも騙されたい衝撃の結末。『ライフ・オブ・デビット・ゲイル』(2003)

島田:当時映画館で観たのですが、エンドロール後しばらく立てなくなったくらい衝撃でした(笑)。ケヴィン・スペイシー主演のサスペンス・ドラマです。

あらすじとしては、主人公で大学の哲学科教授のデビッド・ゲイルが、死刑制度反対運動をする活動団体の同僚女性をレイプして殺害した罪で死刑判決を受ける。デビッドは死刑執行の4日前に、突然人気誌の女性記者ビッツィーを指名し、3日間の独占インタビューを行うことに。最初は訝しんでいたビッツィーだが、取材をしていくうちに冤罪を確信し、独自の調査に乗り出すが……。といった感じで、死刑執行まで3日といったタイムリミットが迫る緊張感や、何度も裏切られる大どんでん返しの連続で、とにかくプロットが素晴らしいです。

監督は『ザ・コミットメンツ』のアラン・パーカー、脚本は『スキャンダル』のチャールズ・ランドルフなのですが、チャールズ・ランドルフは実際に哲学教授の資格を持っているらしく、脚本の叙述トリックにまんまと翻弄されました。死刑制度の是非がテーマにはなっているのですが、テンポが良くてグイグイ引き込まれるので、エンタメ娯楽作としても十分に楽しめて、2時間あっという間だと思います。

編集:立てなくなるほど! 一気に観たくなりました(笑)。それにしても、何故そんなにギリギリでインタビュー依頼をしたのか、ビッツィーを指名した理由は何なのかなど、あらすじを読んだだけでも気になるところが沢山あります。

島田:うれしい(笑)。観終わったあとは考察やネタバレありのレビューを観たりすると、また理解が深まると思います! 是非観てくださいね。

パニック必須の叙述トリック『アイデンティティー』(2003)

島田:こちらもまたストーリー構成が巧みで、まんまと騙された作品です……! サスペンスやミステリーを観ているときって、自然と推理したり結末を予想してしまうと思うのですが、『アイデンティティー』に関しては、尽く予想を裏切られてパニックになりました(笑)。

あらすじは、嵐により一軒のモーテルに閉じ込められた11人が、1人、また1人と惨殺され始める。残された誰もが疑心暗鬼になる中、彼らにはある共通点があることが判明する。一方、時を同じくして死刑を直前に控えた猟奇殺人鬼の再審理が行われていた。その彼にも同じ共通点があることが発覚するが……。といった内容です。

あらすじ以外を喋るとネタバレしそうで怖いのですが、どうやったらこんな設定を思いつくんだ?といった感じで、観客にミスリードさせる脚本と演出が本当に凄い。同時進行で進む二つの事件の“ある共通項”がキーとなって、終盤にかけての想像を絶する展開の連続に、一時も目を離せないくらいに脳みそが喜びます……! あまり前情報をいれずに観てほしいです。

編集:いやー、あらすじを読んでもまったく予想がつかないですね。1人づつ殺されていく密室サスペンスと同時に、猟奇殺人鬼の再審理のストーリーが並走していてかなり意味深ですが、これがどうやって繋がってくるのか…かなり気になります。

島田:気になりますよね(笑)。こればかりは「観てくれ!」としか言えないのですが、多少のグロなどに抵抗がなければ後悔しないと思うので、是非みなさん観てみてください。

編集:気になる作品がいっぱいで、しばらく緊張感あふれる映画タイムを過ごせそうです(笑)。ありがとうございました!

島田:感想おまちしております(笑)。私も久しぶりに色々観返したくなりました。ありがとうございました!

 

【Filmarksの人に聞いてみた】連載

※2022年11月30日時点での情報です。

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