映画ジャーナリスト・小西未来が切り取る3人の女性たち『カンパイ!日本酒に恋した女たち』【インタビュー】

世界のディズニーを翔る元映画サイト編集長

鴇田崇

ロサンゼルス在住の映画ジャーナリスト/フィルムメーカーとして活躍する小西未来監督の『カンパイ!日本酒に恋した女たち』は、日本酒の未来を切り拓く3人の女性たちを主人公に、自分らしく生きる勇気を与えてくれる感動ドキュメンタリーだ。前作『カンパイ!世界が恋する日本酒』に続く<日本酒ドキュメンタリー映画>第二弾だが、今作では日本酒そのものよりも、日本酒の世界で活躍する女性たちのストーリーを追っていく。

カンパイ!

映画ジャーナリストとして長年ハリウッド映画業界の最前線で活躍する小西監督は、長い間に培った取材技術や多くの人との出会いを通じて、長らく女人禁制と言われてきた伝統的でミステリアスな日本酒の世界で、新しい世代の女性たちが輝く姿をクローズアップ。取材で多忙な日々を送りながらも映画を撮ることで得るものがあるという小西監督に、最新作『カンパイ!日本酒に恋した女たち』にまつわるさまざまなお話をうかがった。

カンパイ!

ーー前作の評判がよかったそうですね。それが今作制作への後押しになりましたか?

日本酒ではなく日本酒を作る人たちのドキュメンタリーで、3人の方が主人公でしたが、撮っている間に魅力的な人たちがたくさんいることに気づいたんです。なので撮っている最中からほかの人を題材にして、直接の続編じゃないけれどもシリーズ化できたら面白いなと思っていました。これほど面白い人たちがいるなら、次回作があってもいいなあと思いました。

ーーどの職業でも業務にトリコになっている人たちって魅力的ですよね。

そうですね。自分の日常生活において映画関係のクリエイターの人たちに会う機会が多く、それはすごく刺激になっていました。でも、ほかの業界の世界には接点がなかったんです。それで、たまたま業界の方々と知り合う機会があり、日本酒って題材は面白いと思った。作られた日本酒も大好きですが、日本酒よりも日本酒を作る方の姿を見てすごく感動しました。

カンパイ!

ーーおっしゃるように異業種の方々との交流は少なそうですよね。

だから仕事しているジャンルは違うけれども、これほど素敵な人たちと一緒に仕事という言い訳を通じて近くにいられることがすごく楽しかったんです。別世界が開けたような、ね。続編を作ろうと思ったのも、それが楽しかったから。それを続けたいみたいなことで安易な感じもありますが、何かを作る人が好きなんだなってことが自分でもよくわかりました。

カンパイ!

ーー2本映画を作ってみて、初めてわかることなどはありましたか?

撮影なども含めて自分がこういうことをすることが、すごく好きなんだなってことがわかりました(笑)。それは他人が見て「向いている」と思うかどうか知らないですけれど、自分としては仕事としての充実感はすごくあります。自分の中途半端なスキルを総動員して、やっている気がします。

ーーそれは具体的には、どういうことですか?

たとえばインタビューでは、自分が持っているスキルを一種類しか使わないわけですよ。書くスキルも別な一個。その一個ずつのスキルを全部かき集めて作る。大げさに言うと、映画って総合芸術じゃないですか。それをやることはすごく難しいし、だからこそ楽しいなと感じていますね。特に長編。5分とか10分の映像は簡単に作れるけれど、飽きさせないでかつ情報も伝えつつやっていくのは大変。でも、楽しい作業だなって思えます。

ーー独自のコツみたいなものはあるのでしょうか?

当初、日本酒を伝えたくて作りはじめたけれど、日本酒を題材にしてしまうと伝わりにくくて、絵的にも面白くなくなってしまう。だから、それにまつわる面白い人を見つけて、いかに面白く伝えるかですよね。自分でこうしたいと思うよりも、あくまでインタビューをそれぞれして、そのなかで自分が面白いと思った要素をそれぞれ見つけて、あとはそれぞれがマッチするか組み合わせを考えて映像をつなげました。元から台本があって、それに当てはめたのではなく、長い取材があってできたところはあります。

カンパイ!

ーー今日はありがとうございました。本作との出会いを経て、いま気になる題材はありますか?

今回食とのペアリングを意識していて、その撮影を通じてレストランのシェフとお知り合いになれたりとか、いままで敷居が高いなと思っていたところにも行けたりして、ちょっと踏み込めるようになりましたかね(笑)。もともと食べることも大好きなので、酒から食ってあまり変わってないのだけれども、でも食に注目するのは、面白いなと思っています。(取材・文・写真=鴇田崇)

映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』はYEBIS GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー。

カンパイ!

出演:千葉麻里絵、今田美穂、レベッカ・ウィルソンライ
監督:小西未来
脚本:小西未来
公式サイト:http://kampaimovie.com/
(C)2019 KAMPAI! SAKE SISTERS PRODUCTION COMMITTEE

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  • Kathy
    3.5
    東京のあのお店に行ってみたくなった🤤まだまだ可能性がある分野だなぁとつくづく思う😚
  • esakinariya
    3.9
    女性だからという言い方は好きではないけれど、しかしパワー溢れる女性たちにパワーをもらえる映画。ペアリングとプレイリストは似てる気がすると思っていたら、最後にリッチー・ホウティンが出て来てなんか繋がった気がする。ちなみに監督の名前どこかで見たことあるなと思ったら雑誌『Cut』で映画の『科学と学習』というメチャクチャ好きな連載書いてた人だった!
  • ゆこちん
    3.9
    日本酒に関わる女性達のドキュメンタリー^ ^ 日本酒も好きなので興味深くみました 皆さんすごく素敵な女性でした。 機会があれば是非飲んでみたい。 楽しい映画と美味しいおつまみと美味しいお酒がある時間が私にとって一番贅沢^ ^
  • mitakosama
    3.7
    スカパーにて。前作に引き続き酒に関わる者達を描いたドキュメンタリー。今回は女性に視点を置いている。 元々女性は不浄なものとして扱われ酒造りに関与出来なかった世界だが、女性の従事者の台頭を紹介することで新時代の日本酒の在り方を提示している。 恵比寿で飲み屋を営む千葉麻里絵女史。 広島の今田酒造で杜氏を務める今田美穂女史。 ニュージーランド出身の日本酒コンサルタントレベッカ・ウィルソンライ女史。 前作が濃い人ばかりだったから、今回はちょっと小粒かな?と思ったら全然違った。三人ともメッチャ求道者じゃん。 特に面白かったのが千葉麻里絵さん。只の飲み屋の女将かと思ったらレベルが違う。方々渡り歩いて酒蔵で日本酒修行。 寿司屋で板前の握る寿司に合わせて、その場で調合などをして合う酒を選定する。味覚で板前とガチンコ勝負に挑んでるんだよね。冒頭で舐めてました。いや御見それしました。この人スゲーわ。 今田美穂さんもサバサバ系で面白い。レベッカさんは前作のゴンドナー氏のお弟子さんにあたるとのこと。 前作同様、“人”に焦点を充てたアプローチは流石。一方で今作の方がより“酒”の魅力が伝わる。飲みたくなる絵づくりは今作の方があるね。
  • ありぺい
    4
    記録
カンパイ!日本酒に恋した女たち
のレビュー(101件)