【宮崎駿監督生誕記念】見逃せない名作がずらり!ジブリに愛された海外アニメーション

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大久保渉

今回は、宮崎駿監督の生誕を記念して【ジブリに愛された海外アニメーション作品】をご紹介したいと思います。

宮崎監督がかつてアニメーションづくりにおいてもっとも影響を受けたと言われている稀代の1作や、魔法のような不思議な映像が連なる技巧の1作等々、初見の方も、既に観られたという方々も、この機会に是非ご鑑賞いただければと思います。

まずはここをチェック!「世界の優れたアニメーションをお届けします」~三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー~

現在、世界の優れたアニメーションをセレクトし、日本国内に広く紹介する活動を行っているのが“三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー”です。

高畑勲監督・宮崎駿監督がおすすめする作品を中心に、まだまだ知られていない世界の名作をジブリ美術館がシリーズ化して、劇場公開、DVD販売等々を行っています。

“三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー”

そんな傑作ぞろいのライブラリー(20作品以上)の中から、とりわけおすすめしたい5作品を以下に記させていただきます。

『雪の女王』(1957/ロシア)

雪の女王

今作は、「映画監督宮崎駿にとっての運命の作品」と言われています。

とりわけ宮崎監督にとって、『白蛇伝』(1958)がアニメーターを志すきっかけだったとしたら、今作はその創作活動の始まりにおける大きな指針であったと映画の公式HPの中で紹介されています。

アンデルセンの童話『雪の女王』をアニメーション化した1作。主人公の少女が雪の女王にさらわれた少年を探しに旅に出かける物語。

そのやわらかいタッチとなめらかなアニメーションの動きは、危険が迫りくる冒険譚であろうとも観る者の心に信じるべき希望を常に温かく抱かせてくれます。

そしてたとえ幾多の困難に見舞われようとも、まっすぐな心で少年を思い歩き続ける少女のすがたからは揺るぎない勇気がもらえます。

「少女」+「冒険」、宮崎監督がご自身の映画の中で描き出したかったある種の答えがふと垣間見られるようなアニメーションかと思われます。 

ジブリの優しくて勇気あるヒロインたちが好きな方々には是非ともおすすめな1作です。

『王と鳥』(1979/フランス)

王と鳥

今作は、「高畑勲、宮崎駿をアニメーションへと誘った不朽の名作。ジブリの原点」と呼ばれている1作です(公式HPより)

このアニメーションの最も特徴的なところは、その「社会性」に富んだストーリーにあると言われています。

間の抜けたような「王」の顔や、丸みをおびたキャラクターたちの「かわいらしさ」の裏に隠された「現代社会の縮図」のような辛辣なストーリー。映画を「娯楽」というだけにはとどめない、観る者に深い問いかけを投げかけてくるシーンの数々。

架空の独裁国家を舞台に、可憐な羊飼いの少女に恋をした冷酷で我がままな王様と、そんな彼女を連れて逃げまわる恋人・煙突掃除人による追走劇がコミカルに、かつサスペンスフルに描かれていきます。

奇天烈な空飛ぶ乗り物、巨大なロボット等々、独創性に溢れたガジェットにワクワクしつつも、ふたりを捉えようとする王様の横暴に胸がゾワゾワ、恋人たちの行く末にハラハラしていってしまうのです。

「少年と少女が手を取り合う」、「社会性が盛り込まれたストーリー」自体は後の宮崎監督作品でも数多く見られるお話ではあるので、ジブリファンの皆様には「果たして二人がどうなってしまうのか」、「王様の国はどうなってしまうのか」、今作の目を覆ってしまいたくなるような衝撃的な結末にしばしご注目していただけたらと思います。

『プリンス&プリンセス』(1999/フランス)

ベルヴィる部

今作は、フランスアニメーション界の鬼才、ミッシェル・オスロ監督によるファンタジックな影絵アニメーション作品のオムニバス短編集です。

スタジオ・ジブリは彼の第一回長編監督作『キリクと魔女』(1998)の日本公開を担当してから、それ以降2作目となる本作、そして2006年公開の『アズールとアスマール』、2010年公開の『夜のとばりの物語』と継続してオスロ監督作品を取り扱ってきました(一部DVD扱い)。

アズール

ジブリも惚れこむオスロ監督のその魅力とは、切紙を使った独特なアニメーションの美しさにあると感じられます。それはキャラクターの動作というよりも、むしろその色彩の鮮やかさ。その繊細な煌めきには誰もが一度は言葉を失って魅入ってしまうことかと思われます。

そして映画『プリンス&プリンセス』に関して言えば、ひとつひとつの短編(全6話)がいわゆる「小話」になっていて、非常に捻りがきいていて単純に面白いのです。

魔法にかけられた姫を助けるため、悪名高い魔女に囚われた姫を助けるため、求婚してくる男を殺しては楽しむ姫(快楽殺人者!?)に本当の愛を伝えるため、あれこれと王子たちが知恵を巡らせていく小気味よさが堪らないのです。

色彩豊かな創造性溢れる映像という点ではジブリアニメーションに勝るとも劣らない作品ですので、是非一度この魔法のような不思議で鮮やかなアニメーションをご覧いただけたらと思います。

『ベルヴィル・ランデブー』(2002/フランス)

プリンス

今作は、高畑監督称賛。2003年カンヌ国際映画祭特別招待作品としてプレミア上映され、そのクオリティの高さと斬新さで世界中から大絶賛された1作です。

監督は、フランス映画界注目のアニメーター兼映像作家のシルヴァン・ショメ。

舞台は戦後間もない(架空の)フランス。おばあちゃんと孫、家族二人で仲睦まじく暮らしてきた生活がある日を境に一変、何者かによって孫が連れ去られてしまい、孫一筋のおばあちゃんは彼の救出へと犬の嗅覚を頼りに乗り出していくことになります。

そして次第に明らかになっていく謎の組織の陰謀と、おばあちゃん&共に戦ってくれる三人の熟女たちとの摩訶不思議な闘いが繰り広げられていきます。

登場人物は皆不格好で、クセがあり、しかしそれでも「人間=不完全」という本質をずばり捉えているようでいて、支え合う彼らをただただじっと見つめたくなってきてしまう作品です。

少ないセリフにシュールなギャグ、それでも心がほわっと温まる。「これはすごい体験をした」と感動してしまうほどオリジナリティーに溢れた1作ですので、是非一度お手にとってみていただけたらと思います。

『しわ』(2012/スペイン)

しわ

今作は、本国スペインで公開されるやいなや爆発的なヒットを記録。日本国内でもその原作スペイン漫画が2012年にメディア芸術祭<優秀賞>を受賞して話題を集め、2013年の映画公開時には瞬く間に熱烈なファンを生み出していった1作です。

この老人ホームを舞台にした、テーマに「老い」を扱った映画は、高畑監督より「誰もが無関心ではいられないが、そのくせ、できれば目をそらせていたい老後の重いテーマを、勇気をもって扱っています」と高く評価されました(公式HPより)。

“三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー”では前述のミッシェル・オスロ監督、シルヴァン・ショメ監督含めて、一度注目した監督の作品を引き続き取り扱うケースが多く見受けられるため、今作の新鋭・イグナシオ・フェレーラス監督の新作もまた日本全国を駆け巡るやもしれません。

以上、【宮崎駿監督生誕記念 見逃せない名作がずらり!ジブリに愛された海外アニメーション】をまとめさせていただきました。

もちろん、まだまだこの他にも“三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー”には素晴らしい名作が揃っていますので、是非この機会にご覧になっていただけたらと思います。

それでは、宮崎監督のお誕生日を祝いつつ、アニメーション映画の今後さらなる躍進に、乾杯!

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    3.9
    絵がオシャレ スペイン語も新鮮 おじいちゃんに会いたくなった 切ない
  • HAYATO
    3.9
    お年寄りを大事にするようにします。
  • 横山ミィ子
    5
    (2020/8/16付「アマゾンレビュー」、及び「映画ランド」に掲載のレビューと同じ内容です) スペインといえば私の大好きなフラメンコの故郷。自分とは歴史が違う、骨格が違う、発想が違う。そんな人々の舞踊やカンテ(唄)を見聞きするたびに、彼らの考え方を本当に理解することはできないのだろうなと漠然と感じていた。しかし、映画『しわ』での主人公エミリオの言動は、父方の祖母のそれとほぼ同じであった。映画の中、施設で暮らす人々のうつむいた顔は、祖母がお世話になっていた施設のお年寄りたちの様子と、変わらなかった。  認知症やアルツハイマー病は、病気が進行していくという自覚があるという。想像してみればとても残酷である。聞きなれた言葉がわからなくなる、日常のささいな動きができなくなる。ゆっくりと、しかし着実に自分自身をむしばむ影を、この映画は丁寧に、なおかつ圧倒的なリアリティをもって描いている。  深い洞察力と、大きな輝く目を持つアニメーター、イグナシオ・フェレ―ラス監督は、作品インタビューでこう語る。「40歳でも80歳でも、ものの感じ方は変わらない」「高齢者自身の問題ではなく、社会が高齢者を人間として扱っていないという問題がある」「自分が年を取ったときに、居場所があるように、今の方法を変えていかなければならない」監督のこの姿勢は、映画からも見えてくるはずだ。エミリオと同室のパートナーとなり、悪友にもなったミゲルは、「どうせ相手にはわかりっこない」といって他の老人に嘘を教えるし、「人間、自分自身がわからなくなったら終わりだ」と思っていた。この作品はミゲルの成長のストーリーでもあり、ミゲルの心の変化は、現在の社会のあり方を良い方向に導くための希望になり得る。  この映画は漫画作品をもとにしているが、「老い」「認知症」「アルツハイマー病」というシリアスな題材を扱ったこの作品が、多くの人々に高く評価され、ゴヤ賞を受賞した背景として、映画ならではの演出による力が大きかったであろう。スペインのピアニスト、ナニ・ガルシア氏(この映画で初めて知りました)による穏やかで清らかな楽曲たち。伸びやかな美しい色合い。特に、施設内の影の多さとその色味が、多くを語っていたようにも思う。とりわけ、アルツハイマーを患っているモデストの妻、ドローレスが回想する、「雲を取る」シーンのダイナミックな表現は、圧巻の一言であった。もはや本人の口から語られることはなくなったとしても、人の心の中でいつまでもその輝きを失わない、人生のとある瞬間。もちろんこれはファンタジーではあるが、自分の目の前にいる、ずっと目を閉じているお年寄りが、そのような経験をしているかもしれない。少なくとも私にはそういう説得力のあるシーンであった。  母方の祖母がお世話になっていた施設で、お誕生日会の集まりがあり、祖母の着物と羽織を着て出向いたことがある。祖母は始終目を閉じていたが、私が帰ったあと、祖母がスタッフの方に「羽織が…」と言ったと、後で母から聞いた。この映画を観て、そのときのことを思い出した。祖母はちゃんとわかっていたのだ。ドローレスに昔の言葉をささやかれてにっこりと微笑む、モデストのように。
  • いち麦
    4
    原作はスペインのマンガ家パコ・ロカの話題作。徐々に進行していくアルツハイマー病の症状を残酷なまでに晒す。老いを現実問題として突き付ける一方、親友の病状悪化に懸命に抗うミゲルの共感と友情をも織り込んだ意欲的アニメ。 速いクロス・フェードをかけ患者サイドの意識を垣間見させる手法はアニメーションならでは。平坦な絵は原作の感じのままだがいっそ全く変えても良かったのかも。表現手段も違うのでパコ・ロカの原作とは切り離して鑑賞すべきか。
  • むーぎー
    3.6
    鑑賞メモ
しわ
のレビュー(1535件)