TCPでFilmarks受賞の映画『ルームロンダリング』片桐健滋監督インタビュー

2015.12.25
インタビュー

FILMAGA編集部

フィルマーくま

片桐監督メイン

2015年11月、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社グループ主催の映像クリエイター発掘企画「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM2015」(以下、TCP)の最終審査会が開催。全474の企画の中から勝ち抜いた7名のクリエイターが熱いプレゼンテーションを繰り広げ、グランプリ1作品と準グランプリ2作品が決定ししました。

今回FILMAGAでは、受賞監督たちにリレー形式でインタビュー。ラストとなる第3回目は、準グランプリ・Filmarks賞を受賞した『ルームロンダリング』の片桐健滋監督梅本竜矢プロデューサー。崔洋一監督『血と骨』などの現場でも共に制作に携わってきたというおふたりに話を伺いました。

TCP授賞式

《片桐健滋さん:プロフィール》1979年大阪府生まれ。高校在学中より8mm映画制作を始め、1997年に神奈川映像コンクールで「ice・cream」が入賞。2000年に渡仏し、フランソワ・トリュフォーの編集で知られるヤン・デデ氏に3年間師事。帰国後、ミュージックビデオ、イベント映像等のフリーの編集を経て、助監督に転向。以降、崔洋一監督、豊田利晃監督、羽住英一郎監督などに師事し現在に至る。

《梅本竜矢さん:プロフィール》1976年大阪府生まれ。大学在学中から毎日放送ラジオのADとして「MBSヤングタウン」や「ありがとう浜村淳です」等を担当。2000年に東京へ転居し、映画『刑務所の中』の撮影現場に制作進行として参加。2002年に映画制作会社ビーワイルドに入社し、数本の映画制作を経験する。その後、フリーとなり、2011年9月に映像制作会社スラッシュを設立。

企画を聞いた時に「それだよ!」って感じで。すごくキャッチーなものを感じた(梅本)

—この度は受賞おめでとうございます!最終審査会ではおふたりでプレゼンに登壇されていましたが、脚本もおふたりで?

梅本:ありがとうございます。そうですね、脚本は交換日記みたいにやりとりしています。まだこれから方向性を定めていく段階ですね。

—TCPに応募されたきっかけは?

片桐:『ルームロンダリング』のアイディアを下北沢の居酒屋で彼(梅本さん)に話したら、後日、彼が「企画をTCPに出しておいたよ」と(笑)

梅本:お姉ちゃんが勝手に弟をジャニーズのオーディション応募に出すみたいな感じで(笑)

片桐&梅本1

—それほど片桐監督の企画に魅力を感じたんですね。

梅本:そうですね。彼の企画をパッと聞いた時に「それだよ!」って感じで。彼のアイディアにはすごくキャッチーなものを感じたんです。結局、その飲み会では企画についてずっと話してました。

梅本1

片桐:呑みながら、もう一番最初のプロットの話を始めてましたね(笑)

僕はとにかく楽しんで観てもらいたいというのがまず先にあります(片桐)

片桐1

—今回準グランプリに輝いた『ルームロンダリング』。この作品は《訳あり物件に居住して部屋を浄化することを生業とし、想いを残して幽霊と化した元住人たちを成仏させながら失踪した母を探すという無気力女子が主人公のブラックファンタジーコメディ》という内容ですが、このアイディアはどのように思いついたのですか?

片桐:その頃、僕は中村義洋監督の『残穢 住んではいけない部屋』の制作に助監督として参加していたんですが、その中で「自分ならこうしたい」という思いが芽生えたんですね。僕は基本的にコメディが好きなんで、『残穢』のようなテーマで自分なりにもっと面白くできないかなと。

そう考えた時に、そういえば事故物件を専門に扱う闇の不動産ってあったよなと。それを話の中心にして、訳あり物件を賃貸に出すまで仮住まいする人の物語を描いたら面白いんじゃないかと。

片桐2

—元々、片桐監督はコメディがお好きなんですか?

片桐:コメディの方が好きですね。シリアスな作品が好きな人とエンタメ作品が好きな人の数って、そもそも母数が違うと思っていて、僕はとにかく楽しんで観てもらいたいというのがまず先にあります。

—コメディを好きになったきっかけは?

片桐:フランスにいた頃に足しげく映画館に通っていて、そこで一番観ていたのがコメディだったんです。向こうのコメディってシニカルですごく面白いんですよ。なかでも、ジャン=フランソワ・ステヴナンっていう、フランソワ・トリュフォーの助監督をしたり、俳優さんもやっている人なんですけど、彼が監督として3本映画を撮っていて、その3本ともものすごく面白い。

片桐3

—フランスにいらっしゃったことがあったんですね

片桐:実家に8ミリフィルムの映写機があって、それをきっかけに高校生の時に自主作品を映像コンクールに出したら、審査員だった大島渚監督に「海外へ行ってみれば」とアドバイスをもらいまして。それで行った先のフランスで、自分の師匠になる編集技師さんと出会うんです。

フランソワ・トリュフォー監督の作品なんかを手がけていた人なんですけど、彼のもとで助手をやらせてもらって、日本に帰って来てミュージックビデオの編集などを手がけるようになりました。具体的に何かを作りたいってわけじゃなかったですけど、10代の頃の自己表現の延長で今に至る感じですね。

—なるほど。梅本さんはどのような映画がお好きなんですか?

梅本:小さい頃から好きなのは『がんばれ!ベアーズ』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ですね。大学生の頃にゴダールやタランティーノの作品に出会って、「ベスト作品はゴダール監督の『気狂いピエロ』だ!」という風に友人と映画論議をしたりしていて、そういうことが映画に目覚めたきっかけですね。

梅本2

梅本:最近は、あらためて『がんばれ!ベアーズ』とかジャッキー・チェンのようなエンタメ作品っていいなと思っていて、『ルームロンダリング』もコメディ作品ってことで、同調できるなと思ったんですね。

—今回の『ルームロンダリング』ではお互いの志向性がまさに合致したという感じですね。

梅本:今だから合ったのかもしれないですね(笑) 現場をやってると、志向って都度変わったりするものなので。ただ、作り手として、やっぱり根本的にはみんなが観たいと思うモノをやるのがいいんじゃないかと。今はそう思ってます。

スタッフがゲラゲラ笑いながら撮れる現場の空気を作らないといけない(梅本)

—片桐監督は、初監督を務めるにあたって、心がけていることはありますか?

片桐:いい意味で、バカになろうと思いますね(笑)助監督って、作品や撮影を成立させるために、天候や俳優さんのスケジュール、スタッフの疲労度などを見て日々スケジュールを組んでいくんです。なので、助監督として監督に対して「(スケジュール的に)今撮るべきなんじゃないか!?」って思う瞬間がたくさんあるんですけど、でも監督はいい作品を撮ることが目的ですから。

片桐&梅本2

片桐:そして、今度は自分が「今撮るべきなんじゃないか!?」って思われる立場になるわけなので、ポジティブな意味でバカになろうと。無責任にやるわけじゃなくて、些細なことを気にかけて作品のクオリティを下げるようなことはしたくないと思ってます。

—プロデューサーとして、梅本さんが心がけていることはありますか?

梅本:映画って団体競技なんで、監督の周りにいろんな仲間が集まってひとつのモノに取り組むことで生まれる“うねり”のようなものがあるんですね。ある意味、文化祭の前日と当日を繰り返すような仕事なので(笑) そのにぎわいを楽しみたいですし、それにそういう現場の空気感は絶対に画にも現れるんです。

片桐&梅本3

梅本:雰囲気がよくないチームの映画を観ると、「面白さが突き抜けてないな」って分かるんですよ。そういった意味でも、スタッフがゲラゲラ笑いながら撮れる現場の空気を作らないといけないなと思っています。

—それでは最後に読者の方へメッセージをお願いします

片桐:まだこれからですが、「空振り三振だなこの映画」ってならないようにがんばります(笑)

梅本:僕は、やる気が起きなかったり、将来について探しごとをしている人たちに、勇気と希望を与えられる映画になればいいなと思っています!

—ありがとうございました!『ルームロンダリング』期待しています!

(取材・文 / 斉藤聖 撮影 / 鸙野茜)

■『ルームロンダリング』公式サイト:http://roomlaundering.com/

<TSUTAYA CREATORS’PROGRAM>特設ページ

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