今年の10月、ヒューマントラストシネマ渋谷で大盛況を博したインド映画の祭典【インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2015】(以下、【IFFJ2015】)が、年末年始にかけてキネカ大森で再上映されることになりました。
12月26日(土)~1月8日(金)、インド映画特集上映★「IFFJ2015@キネカ大森」。今回は10月に公開されたラインナップの中から至極の5作品が上映されます。
出典:http://www.ttcg.jp/cineka_omori/topics/detail/42936
【IFFJ】の活動も今年で4年目。ファンが着実に増えてきた証とも捉える事ができる此度のイベント。
今回はその見どころを1作品ずつご紹介させていただきたいと思います。
記事をご一読の上、少しでもご興味を持っていただけましたらどうぞ劇場まで足を運んでみてくださいませ(劇場で流される映画にはすべて日本語字幕が付いております)。
『銃弾の饗宴・ラームとリーラ』(2013年/156分)
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Goliyon_Ki_Raasleela_Ram-Leela
基本情報
今秋のIFFJ2015でほぼ全回が満席になるほど注目を集めた大人気作。
ストーリーのベースは、ウィリアム・シェイクスピアによる『ロミオとジュリエット』。敵対する二大派閥の間で愛を貫こうとする男女の絆が切なくも濃厚に描き出されていきます。
『銃弾の饗宴・ラームとリーラ』予告編
見どころ
「映画の色香に呑みこまれてしまう」と言っても過言ではないくらい、スクリーンに映るすべてに魅せられてしまう1作です。
艶めかしい美男美女による激しい舞踏に、胸の奥底まで響き渡ってくる熱を帯びた歌声。見目麗しいきらびやかな衣装に、幻想的でエキゾチックな街並み。
出典:http://www.in.com/downloads/wallpapers-bollywood-ram-leela-313170.html
愛し合う男と女の愛情表現が見惚れてしまうほど大胆で、魅力的であるだけに、引き離されてからの狂おしい表情が殊更際立って目に飛び込んできます。
この上もなく美しく、そして悲しい愛の物語を、酔いしれるまま存分に味わっていただけたらと思います。
『銃弾の饗宴・ラームとリーラ』上映日
12月27日(日)、1月3日(日)、1月6日(水)、19時より上映予定。
『バン・バン!』(2014年/154分)
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Bang_Bang!
基本情報
ストーリーは、ハリウッド映画『ナイト&デイ』をリメイクしたアクション・コメディ。四方から追われる謎の男と成りゆきで行動を共にするハメになった一般女性のドタバタ×スペクタクルで×キュートな逃走劇が繰り広げられていきます。
『バン・バン!』予告編
見どころ
「笑いと驚きの連続で息つく暇もないほど興奮してしまう」、アクションもギャグもハリウッド版を遥かに凌駕する1作です。
君を愛してる、君を守ると言いつつも、女の頬をひっぱたいたり、胸を銃で撃ったりする陽気な男。嫌よ怖いわと言いつつも、男に運命を感じたり、勝手な妄想で突っ走っちゃったりする可愛らしい女。
出典:http://www.in.com/downloads/wallpapers-bollywood-bang-bang-315686.html
市街地、無人島、砂丘の豪邸、手を変え品を変えサーカスの出し物のように入れ替わるシチュエーションと体を張ったアクションに目が回りつつも、男の真の目的が何なのか、次はどんなぶっ飛んだ展開が巻き起こるのか。
分けも分からず連れまわされるヒロイン同様にワーッとドキドキ胸が高鳴っていってしまう映像が続いていきます。
ニヤリと笑ってしまう主人公のキメ顔を、キュンキュンきてしまうヒロインのキュートなリアクションを思う存分楽しんでいただけたらと思います。
『バン・バン!』上映日
12月29日(火)、★1月8日(金)⇒この日のみマサラ上映を開催、19時より上映予定。
『ピクー』(2015年/125分)
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Piku
基本情報
今年の映画祭のオープニング作品として万雷の拍手を得た豪華スター共演による傑作。
年老いた偏屈な父親と、同じく気が短くて風変りなその娘。そして行きがかり上彼らと行動を共にしなければならなくなった中年男によるすったもんだの数日間が面白可笑しく、意義深く描き出されていきます。
『ピクー』予告編
見どころ
豪華出演者陣による卓越した演技合戦が魅力のひとつとして挙げられる作品です。
今や押しも押されぬインド映画界の人気女優ディーピカー・パードゥコーン(『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』)。全世界にその名を轟かせる大御所俳優アミターブ・バッチャン(『華麗なるギャッツビー』)。昨今ハリウッドでの活躍が目覚ましいイルファーン・カーン(ジェラシック・ワールド)。
出典:http://www.imdb.com/media/rm2559041792/tt3767372?ref_=ttmd_md_nxt
そんな彼らが終始「便秘」の話で喧嘩を繰り広げていく様が殊更可笑しくて、しかしそこで生まれる迫真の演技から「老い」と「家族」の話が身につまされる問題としてしっかりと描きだされていくところにドギマギさせられてしまいます。
喧嘩して、言い争って、けれどもそれは結局相手のことを思ってのことであって。
繰り返し聞こえてくる穏やかなBGMが家族の根底に流れる幸せな関係を表しているようでいて、温かい気持ちになれる1作でした。
『ピクー』上映日
12月28日(月)、1月5日(火)、19時より上映予定。
『ファニーを探して』(2014年/106分)
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Finding_Fanny
基本情報
登場人物たちを愛おしく想ってしまう、熱烈なリピーターを生み出し続けた注目作。
ストーリーは、気の弱い老人、自己中心的な画家、見栄っ張りなご婦人、夫を亡くした美女、そんな彼女に想いを寄せる屈折した青年からなるロードムービーです。
老人のかつての想い人を探し当てる旅の中で波風を立てながら揺れ動く人間関係が移ろいゆく景色と共に描き出されていきます。
『ファニーを探して』予告編
見どころ
笑えたり、笑えなかったり、登場人物たちが熱っぽく言葉を発する度に人間の愚かさが見えてくるウィットに富んだ1作です。
素直になれないからこそ口を付いて出てしまうぶっきらぼうな言葉。くだらないジョーク。ポロっとこぼれでる嘘のような真実の言葉。
出典:http://www.in.com/downloads/wallpapers-bollywood-finding-fanny-315334.html
歌と踊りのシーンがない会話劇なだけにセリフの掛け合いがテンポよく紡がれていて、時に痛烈な暴挙・暴言がでてきてもそれが良いアクセントとなってアハッと笑いながら軽やかに楽しむことができます。
止まっていた時を再び揺り動かすため旅に出た彼らが行きついたその先にある、爽やかな風の感触を感じ取ってもらえたらと思います。
『ファニーを探して』上映日
12月30日(水)、1月4日(月)、19時より上映予定。
『ヨイショ!君と走る日』(2015年/110分)
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Dum_Laga_Ke_Haisha yoisyo
基本情報
スターなしで大成功をおさめた低予算映画。人のぬくもり、多幸感溢れる佳作。
ふくよかで高学歴な新妻と、両親からの要請でしぶしぶお見合い結婚をすることにした無気力で細身な夫。そんな凸凹な二人がまごつきながらも次第に心を通わせあっていく様を丁寧に朴訥と描き出していきます。
『ヨイショ!君と走る日』予告編
見どころ
「言いたいことがはっきりと言えない。それは自分に自信がなかったり、激しい思い込みをしてしまっていたりするからなのかもしれない」。
国や時代を超えて、じくじたる思いに沈む人たち、愛の尊さに気付いていない人たちの心にそっと手を添えてくれるような、人のぬくもりが感じられる1作です。
出演:http://www.in.com/downloads/wallpapers-bollywood-dum-laga-ke-haisha-316422.html
学歴、貧困、世間への劣等感からふさぎこんで妻と向き合うこともせず、果てには離婚協定までいってしまった若い夫婦。
みんな自分のことで精いっぱいなのかもしれないけれども、周りには人がいて、少なからず自分を大切に想ってくれる人がいて、なんだかもう、一人で殻を突き破れないのであれば二人の力でぶち破って前に進んでいったらいいじゃん!
と、映画の終盤、おんぶをしながら笑って走る主人公夫婦を見ながら熱く思ったりしてしまいました。派手さは決してありませんが、おすすめです。
『ヨイショ!君と走る日』上映日
1月2日(土)、1月7日(木)、19時より上映予定。
最後に…、マサラ上映情報!
12月26日(土)19時より『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』のマサラ上映が開催!
「マサラ上映」とは、劇中の「歌」や「踊り」、ひいては映画の勢いすべてに身を委ねながら、観客自身も<歌って><踊って>心ゆくまではっちゃけていくというインド映画の鑑賞スタイルです。
今回のキネカ大森ではクラッカーOK、紙吹雪OKの盛大なイベントが予定されておりますので、この機会に是非是非ご参加してみてくださいませ。
そして、1月8日(金)19時より『バン・バン!』のマサラ上映が開催!!
出典:http://www.in.com/downloads/wallpapers-bollywood-bang-bang-315106.html
通常の上映も12月29日(火)に行われますが、こちらの「マサラ上映」の回も是非是非ご注目してみてくださいませ。
※マサラ上映の詳細につきましては、くつみがきの過去記事【映画ファン必見!12.26マサラ上映『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』】をご参照くださいませ。
それでは、インド映画で迎えるホットな年末年始をこの機会に是非是非ご堪能してみてくださいませ!
キネカ大森公式HP→http://www.ttcg.jp/cineka_omori/