興味の湧いた映画ができて、ネットでレビューを見てみると評価はボロボロ、じゃあ観るのやーめた……そんな経験は皆様にはありませんか。
もちろん、人によって好みが違うのは当然のことではあるのですが「感性が違う」の一言ですましてしまうのはあまりにも簡単。
なので今回は世間的にはあまり評価を受けていない映画を「自分はこう観たから面白かった」というあくまで筆者の個人的な見方をご紹介していきたいと思います。
映画の主軸はデスゲーム……ではない
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手始めに昨年最終章が公開された有名作からのご紹介。
この『ハンガー・ゲーム』という映画は本国ではティーン・エイジャーを中心に支持を集めた同名小説を実写化した作品で、映画でもその人気はとどまることを知らず主演のジェニファー・ローレンスが世界的に有名になる1つのきっかけとなるほどでした。
しかし、この作品は本国での評価とは裏腹に日本での評価は芳しくありません。
日本での評価が低い理由
個人的な見解ではありますが、日本には「集められた人間が互いに殺し合わされる」というジャンルの中で一世を風靡した『バトル・ロワイアル』という作品があります。
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原作である小説と深作欣二が製作した実写版、様々な理由から両方とも話題となった『バトル・ロワイアル』ですが、デスゲームが始まるまでのスピーディーな展開には導入部分の贅肉を削ぎ落としデスゲームそのものに全力を注ぎたいという作品そのものの思いがあったように思えます。
一方『ハンガー・ゲーム』でデスゲームが始まるのは映画が始まって1時間ほど経過してから。『バトル・ロワイアル』の様なデスゲームを中心に置いた作品を期待している人の多い日本では評価が芳しくない理由も分かります。
第1作の主軸はゲームの仕組み
作中で「ハンガー・ゲーム」と呼ばれるゲームは富豪層への娯楽の提供のために政府が行う死のゲーム。要するにテレビのバラエティ番組のノリです。
そのため、主催者側が大事にするのはゲームの平等性ではなく観客を盛り上げるためのスター性や展開。そのために主催者側は平気でルールすらも変えていきます。
そんな「ハンガー・ゲーム」を生き残るために準備期間の間、好きでもない相手と恋愛関係にあるフリをしたり……と観客が好みそうな演出を行ったり、なと準備期間中の観客へ向けての工作など舞台裏での攻防が第1作は見どころなのです。
全ての線が繋がるミステリー
(C)2014「劇場版 零〜ゼロ〜」製作委員会
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大人気和製ホラーゲームシリーズ『零』の実写版として話題となった『劇場版 零』。
映画『チョコリエッタ』のために髪を丸刈りにするほどの役作りを見せる森川葵と、日本とイギリスのハーフで絶対的な存在感を放つ中条あやみのW主演の今作ですが、劇場公開直後から評価は散々でした。
「ホラー映画なのに怖くない」という理由がその大半を占め、初めて鑑賞した時はその意見に自分も納得しかけてしまいましたが、終盤に差し掛かり一気に面白くなっていきました。
原作は大塚英志の小説
実は知らない方も多いのですがこの映画はゲームシリーズである『零』の映画化ではなく、『零』の世界観を踏襲した大塚英志の小説『零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い』の映画化作品です。
そのため、ゲームシリーズの『零』というより民俗学にも精通した文学界の巨匠と呼ばれる大塚英志の作風が強く、彼が原作を勤めた漫画『黒鷺死体宅配便』のキャラまで登場します。
どちらかと言うとミステリー
この映画の面白い点は序盤の謎が最終的に全て繋がる、という部分だと思っています。
亜矢が見てしまう自分と同じ顔をした女性、深夜12時に亜矢の写真とキスをすると神隠しに合う呪い。どこまでが呪いでどこまでが心霊現象なのか、亜矢と同じ顔をした女性の求めるものは何なのか、大塚英志の『黒鷺死体宅配便』に近いノリの作品で、大塚英志ファンには特にオススメしたい作品です。
ブラピの世界旅行的ゾンビパニック映画
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マックス・ブルックスによる小説をブラッド・ピット主演で映画化された『ワールド・ウォーZ』。
劇場公開前の期待度とは裏腹に度重なる撮影時のトラブルや、日本ではゾンビ映画であることを隠した宣伝が仇となり評判は芳しくないものでした。
ゾンビ映画初心者にオススメしたいエンタメ性抜群ゾンビ映画
古今東西、様々なゾンビ映画が存在しますがその多くは「人間の方がゾンビよりも猟奇的」などメッセージ性が強くアクの強い映画であることが多いです。
その点、この『ワールド・ウォーZ』はブラッド・ピットが世界各地でゾンビと戦う人たちを訪ねながらゾンビ根絶の方法を探す、メッセージ性よりもエンタメ性を重視した作品。
観客への物語の裏切り方、世界各地の特徴の出るゾンビ対策、ゾンビの目的と感染方法の推理、安心感のあるブラッド・ピットと共に深いことは考えずに楽しむ作品です。
2月19日地上波上陸
なんとこの『ワールド・ウォーZ』が2月19日日本テレビ21時からの『金曜ロードSHOW!』で放映されます!
「でもやっぱり評価が低いし……」と及び腰の方もせっかくなのでこの機会に鑑賞してみてはいかがでしょうか。
真相は自ら推理しろ!TIPS収集型ホラー・ミステリー
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架空の出来事をさも実際に起きた事のように描くモキュメンタリーという形式を映画界に広めた『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。
低予算にも関わらず世界中で大ヒットした今作ですが、レビューを見ると『劇場版 零』と同様に「怖くない」「意味不明」と言う批判が目立ちます。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は大学生のヘザーたちが奇々怪々な現象に巻き込まれる様子「のみ」を描いた作品で、最後も良く分からないまま終わってしまいます。
その最後をもって「意味不明」と言う判断を下す方が多いのですが、この映画、重要なのはそこからなのです。
一連の事件は魔女の呪いなのか、殺人なのか
公開当時、メディアミックス展開としてテレビ特番や映画のパンフレット、公式ホームページなどでヘザーたちが訪れた町で過去に起きた事件についてがさも実際に起きた事件のように紹介されました。
そう、実はこの映画はそれらの情報を集め「ブレア・ウィッチ伝説」の全容を自分で考察し、映画の内容を推理する「考察好き向け映画」なのです!
そして、2013年にHDリマスター版として発売された、ブルーレイ版『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』では、特典としてテレビ特番で放送された内容や、「ブレア・ウィッチ伝説」の情報が全て詰まっています。この機会に「意味不明」と駄作の烙印を押した方も再鑑賞してみてはいかがでしょうか。
でも、合わない人には合いません
この映画は『クローバー・フィールド/HAKAISHA』や『REC』シリーズで今やお馴染みのPOVという手法を用いた映画です。
登場人物が撮影したビデオカメラなどの映像をビデオカメラの視点で観ることで臨場感を増す効果を生むのですが、カメラを持つ人物が走ったりした場合にはカメラも揺れます。
そのため、映像酔いを誘発しやすい映画である事も事実で過去にPOV映画で映像酔いした事がある方には残念ながらオススメ出来ません……。
藤原竜也は神になった?考察が捗る意味深映画
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藤原竜也と松田龍平がW主演した『I’M FLASH!』。
藤原竜也好きの筆者は学生時代だった当時、地元では公開されていなかったため2時間以上かけて県外まで見に行きました。脚本入りのパンフレットを購入し、DVDも予約して購入した今作ですがネットの評価はかなりのドン底。この失意がこの記事を書くきっかけとなりました。
批判点こそ考察のポイント
この映画には不自然なシーンが多くあり、その不自然なシーンが説明も無いために叩かれている印象があります。例えば
- 1.暗殺者の銃弾が割と至近距離なのにルイに当たらない
- 2.胸に銃弾を受けたルイが死に至らず動きまわる
以上の2点が「監督の知識不足のせい」と批判の対象に良くあがることが多いです。しかし、本当にそうでしょうか?
1では劇中に暗殺者自身がルイに銃弾が当たらなかったことに驚きます。つまりこれは不自然でも知識不足でも無く意図して挿入されたシーンなのです。2も同様に他の部分の銃弾による負傷ならともかく、胸ですから意図したものであると考えても良いと思います。
意図的となるとルイは「何故か暗殺者の銃弾は当たらず」「当たっても死なない」訳です。ルイは本当に皆が思う通りの似非教祖だったのでしょうか?
と、そんな感じに考察を延々と重ねられるそんな映画であると私は思っています!
まとめ
以上で5つの映画を紹介しました。
ここでご紹介した見方はあくまで筆者の個人的な面白かった部分。最終的にはその映画の面白さと言うのは個人の感性によるものです。
でも、「世間の評価が低いから……」という理由で自分に合う映画だったかもしれない作品を見逃してしまうのはあまりにも惜しくありませんか。この機会に是非、興味が湧いた映画は鑑賞してみる事をオススメします。
まあ……面白かどうかは最終的には人によるんですけどね。
※2021年5月14日時点のVOD配信情報です。