還暦を過ぎても精力的に活動する香港が生んだ稀代の大スター、ジャッキー・チェン。彼の最新作『ドラゴンブレイド』が2016年2月12日(金)いよいよ日本公開となりました。
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画像を見てもお分かりになると思いますが、本作はジャッキー・チェン主演作としてはあまり多くない史劇モノ(『ラスト・ソルジャー』や武侠モノの『THE MYTH/神話』くらいでしょうか)。
皆が知っているいつものジャッキー作品とは違った、純粋に史劇スペクタクルとしてそしてエンターテイメント作品として素晴らしかった本作をジャッキー大好き筆者が客観性と主観性半々でご紹介致します。
「ジャッキー・チェン映画」という色眼鏡
上記にも申し上げましたが筆者は相当なジャッキー好きで、幼少の頃からジャッキー映画を観て育ちまして。それこそ劇場には行ける限り(親にねだって)足を運び、VHSがレンタルされればレンタル開始日に借りたモノです。
そんな彼の作品群は彼にしか出せない魅力がありますが、永遠の若々しいヒーローキャラだった彼も近年は歳のせいもありますが映画での立ち回りや見せ方も変わりつつあります(ヒーローであり続けて欲しい願望も個人的にはありますが)。
「ジャッキー映画」はラーメンで言うとラーメン二郎のような、香港映画やアクション映画の中でも別ジャンルとして確立しているように思えます。「ジャッキーが主演する」というだけで色眼鏡がかかってしまうのは仕方のないことなのでしょう(それだけ魅力があるとも言えますが)。
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近年は「ジャッキー映画」としては勿論、”純粋な映画”として勝負出来る作品も。2013年公開の前作『ポリスストーリー・レジェンド』は今までにない役柄(娘を想う父親役)、重厚なドラマで魅せる傑作に仕上げており正に新境地といえる記念すべき作品になりました。
そして最新作である『ドラゴンブレイド』は、ジャッキー作品の名残りは残しつつも「史劇スペクタクル」として純粋に見応えがある作品に仕上がっております。その面白さは『レッド・クリフ』『グラディエイター』『ブレイブハート』級かと(ここは色眼鏡あるかもですがそこまで言います)。
まさかジャッキー映画で古代ローマ軍の戦い方が観れるとは!
本作の舞台は紀元前の頃の中国。シルクロードの平和を守る司令官(ジャッキー)は、陰謀により亡命したローマ帝国の軍と共闘し、攻め入るローマ帝国最強の大軍勢と壮大な戦いを繰り広げる…というストーリー。
ジャッキーが出るのでジャッキーは勿論、他キャストもキレのあるアクションを見せてくれます(アクション監督もジャッキーが担当)。中盤の模擬試合でのローマ軍と漢軍の手練れたちの対決は特に素晴らしい!
今までのジャッキー作品だと中央突破で戦って苦戦しながらもジャッキーが解決!みたいなノリですが、本作はあくまで戦(いくさ)としての戦い方が描かれておりこれがジャッキー映画なのかと驚かされます。
集団で陣形を組み、盾を使ってじわじわと攻めてくる古代ローマの戦い方等のリアルな描写に脱帽!シルクロードを舞台に展開される壮大な戦闘シーンもド迫力なので是非ともスクリーンでご鑑賞頂きたいです。
ジャッキー演じる警備隊長は正に聖人かつヒーロー的な立ち位置でそこはジャッキーならではですが、近年はあまり見られない、80年代の主演作に多かったちょっぴりスケベでお調子モノなキャラクターもまたやって欲しいものです。
現代の世界における中国の存在感と思想を再認識させられる作品
今となっては経済において世界にその存在感を見せつける中華人民共和国。映画でもそのマーケットは巨大となり『トランスフォーマー』『アイアンマン』『パシフィックリム』でも中国が舞台になるケースも増えております。
そんな中、本作は世界において存在感が増した中国が世界の中で望む立ち位置を描いている作品なのかもしれません。様々な部族と亡命したローマ軍をジャッキーがまとめるという展開も正にその表れではないでしょうか(凄く熱い展開で燃えます)。
俳優もローマ軍の将軍をジョン・キューザック、悪役にエイドリアン・ブロディとハリウッドの実力派を揃えており、そのキャスティングにも力の入れようが分かります。
特にエイドリアン・ブロディは憎っくき悪役を好演しており、『グラディエイター』のホアキン・フェニックス演じるコモドゥスを更に強そうにした感じで非常に存在感がありました(キューザックも悪くなかったですよ)。
思想うんぬんは多くは語りませんが、本作は映画として、そして立派な史劇エンターテイメントとして優れた作品だと筆者は胸を張ってお勧めします。本作を鑑賞して今後のジャッキーの活躍が益々楽しみで仕方ありません。
ジャッキー・チェンは、いつまでも永遠のヒーローなのです。
※2021年6月14日時点のVOD配信情報です。