皆さんは月に何回、映画館に訪れますか?
近年は話題作も多く映画館に足を運ばれている方も多いと思うのですが、こちらの記事によると昨今では、シネコン(シネマコンプレックス・複合映画館)の増加に伴い通常映画館(ミニシアター・単館系)は減少の傾向にあります。
そのため来場者数は横ばいになり動員数が伸び悩んでいる中で、東京のキネカ大森でイベント上映、立川シネマシティでは極上爆音上映など様々な工夫で人気を博し、観客たちを魅了しています。
“東京はやっぱり違う! 私も行ってみたい!”
そう思われる方もいらっしゃることでしょう。私自身、東京の映画館で行われるイベント上映に興味を持ちつつも関西在住の身で、訪れることは簡単ではありません。私のように苦虫を噛み潰す思いで東京や関東地方での上映レポートを読んでいる関西地方の皆さまに朗報です! 関西にだって素敵な映画館が存在します! むしろ東京以上!
本日はそんな関西の映画ファンの味方、塚口サンサン劇場について紹介したいと思います!
塚口サンサン劇場ってどんなところ?
(写真提供:塚口サンサン劇場)
兵庫県尼崎市の阪急塚口駅前にある塚口サンサン劇場は開業62年、大型のシネコンとは違いスクリーンが4つで1スクリーンあたり約100人位が収容できる小規模などこか懐かしい雰囲気の漂う昔ながらの映画館です。公式Twitterによるとエプロンでも気軽に来られるんだとか。
そんな昔ながらの雰囲気を持った場所ですが、お手洗いは最新設備で使いやすいと評判です。劇場スタッフが毎日清掃しており、“日本一きれいなトイレ”を持つ映画館として訪れる人たちを驚かせています。
(写真提供:塚口サンサン劇場)
他にも映画にちなんだ展示物、クリスマスには劇場スタッフお手製クリスマスツリーが見ることが出来たりとなんだか、一癖も二癖もある映画館です。下の写真は映画『ガールズ&パンツァー劇場版』の公開を記念してつくられた戦車。劇場スタッフの映画に対する愛が伝わってきます。
(写真撮影:玉澤千歩)
フットワークの軽さが魅力的!
(写真撮影:玉澤千歩)
塚口サンサン劇場はTwitterが大変ユニークです。多くのフォロワーを持ち、タイムライン上で、時には映画談議に花を咲かせたり、時には軽い冗談を言ったりと映画ファンとコミュニケーションをはかっているのをよく見かけます。
“あの映画、終わったけどもう一回観たい!” “あの映画、近くでやっていないから上映して欲しい”
そう思ったことはありませんか? 塚口サンサン劇場なら、その希望を受け入れてくれます! すべての要望が叶うわけではありませんが、劇場側で出来る範囲のことを考えてくれます。実際に私もカン・ヒョンチョル監督の『サニー 永遠の仲間たち』をもう一度観たい! とお願いしたところ、検討してくださりアンコール上映に漕ぎつけた思い出があります。
通常の大型シネコンでは公開作の多さから簡単に出来ることではありません。しかし塚口サンサン劇場はこのように映画ファンの声に耳を傾けて上映スケジュールを組んでいます。そしてそれはやがて、多くの映画ファンを巻き込んであるお祭り騒ぎを開催するのです……。
ファンの気持ちにこたえた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 Screaming“MAD”上映
アカデミー賞6部門受賞し、映画ファンを熱狂させた伝説ともいえるべき映画、ジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】
公開されるやいなや、あっという間に中毒者続出だったこの作品。ところで皆さんは映画を観ているとき、「映画の世界に溶けこみたい」と思ったことはありませんか?
最近ではアトラクションのように楽しめる4DX上映などがありますが、映画を観ながら登場人物になりきって声を出したり、音楽に合わせて歌って踊る……といったことは他の鑑賞者に迷惑がかかるため出来ないことが多いですよね。
そんな中、塚口サンサン劇場は「映画をもっと楽しみたい」という気持ちから映画を観ながら手拍子をしたり、クラッカーを鳴らしたり、紙ふぶきを撒いたり、ダンスしたり、雄叫びをあげたり、登場人物たちを応援したりする映画体感型イベント上映を実施したところ、4DX上映にはない興奮と熱をもって、イベント上映は成功に終わったのでした。
(写真提供:塚口サンサン劇場)
映画の世界に入り込める新しい上映スタイルということで好評を博し、毎日放送の情報番組「ちちんぷいぷい」にて紹介されるほどの注目を集めたのです! ちなみに噂ではチケットが発売開始からわずか4分で完売したようです……。
またまたファンの気持ちにこたえた『アキラ AKIRA』『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』重低音ウーハー上映が開催!!
同劇場にて、2017年3月18日(土)から24日(金)まで、大友克洋監督の『アキラ AKIRA』、そして2017年3月25日(土)から4月6日(木)まで、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』がサンサン劇場ならではのウーハーを使用した《重低音》での特別仕様にて上映されることが決定しました!
《重低音ウーハー上映》とは、野外ライブなどで使用するスピーカーを使用し、特別に音響調整をして、低音を大幅に増幅させたとても臨場感溢れる上映。
同館担当者も「大友克洋監督作品と押井守監督作品を続けて上映するのは大変貴重なことだと思います。日本アニメ文化を世界に知らしめたと言えるこの2作品を《重低音》で皆様にお楽しみいただけることが、私たちも楽しみです。兵庫県尼崎市という場所から、世界に向けて発信できる企画と自負しています」とコメント。
4月7日に劇場公開されるハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』に先駆けて、滅多にないこの機会をぜひ見逃さずに!
(C)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
おわりに
塚口サンサン劇場は決して大きな劇場ではありません。しかし、工夫とアイデアで映画ファンを魅了しています。
イベント上映は参加者が楽しむことはもちろんですが劇場スタッフも一緒になって楽しむことも大切! という信念のもとに企画をするそうで、だからこそ誰もが楽しめる独自のスタイルと人気の秘訣を生み出したのかもしれません。
普段とは違った映画の楽しみ方が味わえるので、映画を映画以上に楽しみたい方にはおすすめです。もちろん、初めての人でも「こういう楽しみ方があるんだ」と映画を好きになるきっかけに繋がると思います!
“東京でなくても面白いものはたくさんある!”
映画を愛する気持ちさえあれば、その思いはきっと劇場に届くでしょう。さて、次は一体どんなことを仕掛けてくるのでしょうか……? 皆さんも関西に立ち寄った際は是非、塚口サンサン劇場で素敵な時間をお過ごしくださいね!
塚口サンサン劇場 公式ホームページ:http://www.sunsun.info/
※2021年5月31日時点のVOD配信情報です。